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自作自演か予想外か:週刊アカシックレコードmail版010920

発行日時: 2001/9/20

■自作自演か予想外か:週刊アカシックレコードmail版010920■
ウサマ・ビンラーディンもサダム・フセインもかつては米国に育てられた。昔の仲間を悪玉に仕立てて「正義の戦争」を戦って国民を団結させるのは米国のお家芸だから、日本もいつ「昔の仲間」にされるかわからない。日本の保守政財界が日米同盟強化を唱えるのは、日本が世界で「いじめられる側」にまわるのを防ぐためで、その手段は遺憾ながら「いじめる側」にまわることしかない。同時テロの真相も判明しないうちから西欧・アラブ諸国が米国支持にまわった理由もそこにある。真実や正義の探求は個人がやるべきで、国家が国民を巻き添えにしてやるべきではなく、テロの真相は政治的にはどうでもいい。
【ひとこと】(>_<;) 米国とタリバンの間で板挟みになったパキスタンは、中立であることはできません。国際法上、中立国には自国の領土領空を外国に使わせない義務があり、米軍機が領空を通過してタリバンを空爆するなら「中立国パキスタン」には米軍機を撃墜する義務が生じます。したがってスウェーデンのような重武装軍事大国でない限り中立は保てず、非武装中立論などというのは「詐欺まがい商法」です。
■自作自演か予想外か〜米中枢同時テロで加速する米軍改革(3)■
(前回の記事
http://plaza12.mbn.or.jp/~SatoshiSasaki/dragon/md.html#02
から続く)

●だれが「黒幕」を育てたのか●
映画『ランボー3』を見るとわかるが、アフガニスタンのイスラム原理主義過激派を育てたのはアメリカ、もっとはっきり言えばCIAである。 

1973年にアラブ産油国と米系国際石油資本は結託し、71年の金・ドル兌換停止、いわゆる「ニクソン・ショック」等によるドルインフレで目減りしつつあった石油収入を補填するため、第4次中東戦争を口実に石油危機を起こし、原油価格を一気に4倍に引き上げた(この戦争にはイスラエル・パレスチナ問題はまったく関係ない)。こうして目減り分の補填を上回る天文学的数字の富を得た当時世界第3位の産油国、サウジアラビア王国(1位はソ連、2位は米国)はそれを国内の公共事業に注ぎ込み、それでもっとも利益をあげた建設会社社長の息子が、大富豪ウサマ・ビンラーディンなのである。彼は80年代にアフガニスタンに義勇兵として参戦し、CIAからもらったスティンガーミサイルでソ連と戦った。 

つまり、この「黒幕」は、べつにCIAに「たすきがけ買収」(この言葉をご存知でない方は
http://plaza12.mbn.or.jp/~SatoshiSasaki/tasuki.html
を参照)されたわけではなくて、元々CIAの「仲間」だったのだ(イラクのサダム・フセインも80年代のイラン・イラク戦争のときにはイラン革命を警戒する米国から武器援助を受けていたが90年代には見捨てられ、米国の敵として湾岸戦争でたたかれた)。 

ちなみに、ルスト君事件を口実に軍長老のクビを切ったゴルバチョフはKGBの出身で、現在の米大統領ブッシュの父親も元CIA長官で、ウサマがCIAから武器をもらっていたときは副大統領だった。 

念のために申し上げるが、筆者はソ連がスパイ機と呼ぶKAL機が「007便」だったことも、3発目の着弾時に海軍長官室が無人だったことも、地対空ミサイルが撃たれなかったことも単なる偶然……だったと思っている(相手がCIAでもウサマでも、証拠もないのに人を疑うのはやめましょう
(^^;))。 

●冬季五輪は開催できる●
日本時間9月11日夜、事件の第一報を聞いたとき、現場近くに家族が住んでいるので、筆者は非常に緊張した。また、今後は飛行機に乗ることは世界中で際限なく危険になっていき、2002年の米ソルトレークシティでの冬季五輪も中止ではないかと心配した。が、やがて家族が無事とわかり、さらに米軍の軍事革命について思い出すに連れて、冷静になり、現在米軍……というより米国が抱える問題の全体像が見えてきた。 

(因果関係はさておき)おそらく上院国防委員会で民主党が軍事革命を妨害せず、議会が大統領や国防長官にMD開発の予算と権限を十分に与えさえすれば、もうこんなテロは起きないはずだ。 

逆に「平和主義者」が軍事革命を妨害するなら、遺憾ながらCIAはもう一度……いや、創設以来初めて(^_^;)たすきがけ買収……じゃなくて、途中で裏切って使い捨てにしたり、共謀せずに罠にはめて利用したりする「砕氷船」(この言葉は
http://plaza12.mbn.or.jp/~SatoshiSasaki/saihyo.html
を参照)や、FBIの得意な、犯罪をやってもらってから捕まえる「おとり捜査」というのもあるが……いずれにせよ「初めて」そういう高度なオペレーションを考えないとは言えない。 

●自作自演?●
それにしても天下の産経新聞の「産経抄」が今回のテロを「真珠湾奇襲と同様?米国の自作自演」とほのめかしたのには驚いた(2001年9月18日)。筆者より勇気がある。

そこで筆者も敢えて邪推してみる。今回のテロの真相は、CIAやFBIが過激派の中に工作員「アンダーカバー」を潜入させ、テロ計画を途中までやらせて(見守って)捕まえるはずが、工作員の死亡等でコントロールを失った、ということではないか。「どうせアンダーカバーの筋書き通りに飛行機をビルにあてても、主翼(燃料タンク)の片方がビルを水平にかすったぐらいじゃ、ビルには大した被害はないさ」(ある程度被害が出れば、CIAの予算と権限が増えるし「ニュー米軍」の軍事革命にもはずみがつくから、ボスも喜ぶ)とCIAらは思っていたのではないか。

ところが(真珠湾と同様に)予想外に被害が大きかったのは、犯人グループに優秀な建築技師とパイロットがいたからだろう。WTC(世界貿易センター)ビルの2棟に別々にあたった乗っ取り機2機はいずれもビル中層に(水平でなく)約45度の角度で両翼をぶつけたため一度に10以上のフロアに一斉に燃料が流れ出して大火災にになり、瞬時にビル中層の鉄骨を熱で弱らせた(夕刊フジ2001年9月18日付)。

もし最上階にあたれば、その下の階はすべて無事だ。下層にあたれば(ビル上部の重さを支えるため)太い鉄骨が使われているので、飛行機はあたってもはじかれる。中層が火災で弱り、上層の重みに耐えられずに潰れ、上層がそこに落下し、その勢いで下層が砕かれたので2棟とも倒壊し「米国の自作自演」とは思えないほどの大惨事になった……仮にこれが正しいとしても(正しいとは思わないが)殺人犯はあくまで「実行犯」のみであり、CIAらには過失責任しか問えまい。世界の世論がテロを非難し米国を支持するのは「外交上」なんら間違いではない。

●MD反対論者の正体●
テロはもちろん悲劇だが、これを機に米議会内に無意味なMD反対論を見直す機運が生まれた、という報道もある。 

クリントン民主党政権はMD開発実験の日程を故意に遅らせ、技術試験レベルを下げ、MDが実現不可能な技術であると見せかけることに腐心した。また、国防総省の報告書にはない、NMD(米本土ミサイル防衛。アメリカは本土だけは特別安全な技術で守り、同盟国にはあまり安全でない技術を提供するという、失礼な意味になる)などという概念をでっちあげ、意図的に欧州同盟国の反発を引き出した。 

1990年代前半、このクリントン政権が初めて旧ユーゴ内戦に遭遇した際、パウエル統合参謀本部議長(共和党員。現国務長官。MD推進派)は、米兵の多大な犠牲が出ることを理由に、地上軍の投入に反対した。ところが、女性のオルブライト国務長官(民主党員。MD反対派)は「何十兆円も税金を使って使えない軍隊を養っているのか(米兵が死んでもいいからさっさと地上戦をやれ)」と恫喝した。彼女の発言は、MD反対者たちがいかに品性下劣であるかをよく表している。命よりカネが大事だというのだから。彼女は任期終了間際の2000年、テロ国家北朝鮮を訪問し「無法国家」への融和策を打ち出した。 

こんな者に国政を任せたら、米中枢同時テロの何百倍もの人命が米国やその同盟国で失われかねない。パウエルと違って、オルブライトは人の命なんてなんとも思っていない。より多くの人命のためにやむをえず慎重に軍事力を投入するという発想はなく、旧来型兵器で戦って大勢の犠牲が出てもいいと思っているからこそ、MDに反対なのだ(ちなみにクリントン政権では、大統領、安全保障担当大統領補佐官、国務長官、国防長官がそろって軍歴がないという、たぐいまれな「しろうと政権」だったので、彼らは「軍人の命を虫けら並みに扱う」傾向が強かったと察せられる)。 

(実はMDは単なる兵器ではなく、文明のあり方を変えるもので、この奥の深さについては別の機会に論じる予定である。が、『ゲノムの方舟』には、筆者の議論の「前提」となる、21世紀の地球環境・生態系・経済問題への独特の「中長期」の認識は十分に述べてあるので、ぜひご高覧賜りたい) 

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●日本が「敗北」する必要性●
ところで、日本では構造改革(特殊法人の廃止や、銀行の不良債権処理)も日米同盟強化(有事立法、集団自衛権のための憲法9条[の解釈])の見直し)も遅々として進まない。前者は、アメリカが中国に対抗するうえでのパートナーである日本の国力の維持に不可欠で、2001年3月には軍出身のパウエル米国務長官が「日本の不良債権問題は放置すれば、同盟の根幹を揺るがす」と指摘したのに、その後半年間ほとんど具体策は打たれず、後者も、防衛に無知な田中真紀子が外相なので、小泉政権発足以来まったく手着かずである。 

これは、日本全体がこの半世紀「安保ただ乗りで高度成長」を実現してしまったために「成功したシステム」を変えるのを旧ソ連軍の保守派のように嫌がっているからに相違ない。ペレストロイカ反対の将軍たちと同様で、日本人も「情勢が変わった」「古いやり方ではやっていけない」と言われても、日本を世界第二の経済大国に押し上げたシステムへの愛着は「10年の不況」や「失業率5%」「地下鉄サリン事件」「阪神大震災」ぐらいの「ささいなこと」ではなくならない。 

それなら北朝鮮に頼んで、2002年の日韓W杯サッカーの開催前に、会場の1つ宮城スタジアムにテポドンミサイルを撃ち込んでもらうなんてのはどうだろう? この会場はバブル経済崩壊「後」の1997年に着工され、宮城県の財政事情を無視して250億円もかけて建てられたうえ、W杯後の利用計画が皆無で取り壊し必至なので、壊す手間が省ける分だけ県にとってはかえっていいのではないか。攻撃のタイミングは人がいない日を選べばいいし、元々開催会場は日本だけでも10か所もあって過剰なので、これがなくても困らない。破壊されれば年間3億5000万円の維持費は節約できる(このスタジアム建設の「禁治産者」的なひどさについては
http://www.mainichi.co.jp/entertainments/sports/worldcup/worldcup/venue/0004/29-01.html
を参照。この建設計画の責任者は、民間企業なら背任罪に問われるのではないか。これは犯罪だ。本来なら「首謀者」は投獄され、家族は路頭に迷うはずだ。それができないから、いつまで経っても構造改革は進まないのだ)。 

北朝鮮がだめなら、イスラム過激派でもいい。テポドンがだめなら、旅客機でも爆弾テロでもいい。中国は新疆ウイグル自治区のウイグル人イスラム教徒を弾圧しており、その中国を、日本は平和国家のごとくたてまつって多額の軍事援助(軍民共用空港の建設費など)を与えているのだから、日本がイスラム過激派の標的になる理由は、すでにあるのだ。 

そうなれば、もう道路公団などの特殊法人が、田舎で無駄な公共事業をやって遊んでいる暇はなくなる。各地の交通インフラは有事に際して自衛隊や米軍の輸送や移動に使えるか、という観点ですべて再点検され、以後、道路や港湾の建設予算の付け方もまったく変わる。政府予算案の作成だって前例にとらわれず、危機管理関連分野に重点配分され、北陸、東北新幹線などの整備新幹線の建設はたぶん中止だ(そんなものより、新たな軍民共用空港を地方に造ったほうが国防上も経済政策上もはるかに有益だ)。「不要不急のこと」しかやらない特殊法人の「大量粛正」も一夜にしてできる。 

外務省内の親北朝鮮派(イコール対中国弱腰派、軍事的消極派、ハト派)は公職を追放され、野中弘務は政治生命を絶たれる。

「近隣アジア諸国」の日本観も変わる。もはやセピア色の静止画でしか見られない日本軍国主義の脅威(単なる思い出)などどうでもよくなり、カラー動画で目撃した「いまそこにある危機」に関心が集中する。日本と(中国を除く)周辺諸国との関係は劇的に改善され、日韓同盟、日台同盟、台湾核武装すら議論されるようになるだろうし、もちろんこれらの国ではMD反対論は雲散霧消するだろう。 

ミサイル1発でこれだけ改革できるなら、ちょっと頼んでみようかな、とCIA長官が考えても、べつに不思議ではあるまい。 

●クリントン政権下の「失われた8年」●
ああ、92年の米大統領選挙が山だった!
あそこでクリントンが勝たなければ、ずっと「ブッシュ」共和党政権が続いていたはずで、MD開発が妨害されて誤解されることもなく、クリントンの外圧に便乗した野中自民党がばらまき公共事業を続けて不良債権処理を先送りすることもなく、中国が劇的な軍拡を達成し台湾海峡に弾道ミサイルを多数配備することもなく、つまり米民主党の日本弱体化・中国優遇策が奏効することもなく、もしかすると今回のテロもなかったのではないか、と思われ、筆者は悔しくして仕方がない。

父ブッシュは性急にイスラエル切捨てを進めてユダヤ票を敵にし、92年に大統領再選をはたせなかった。だから息子は現在、イスラエルにはおべっかを使っているが、基本路線はほとんど変えていない。

(以下、次回に続く)
(敬称略)(2001年) 

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  • 小説家。00年『ゲノムの方舟』(徳間書店)でデビューし朝日新聞など17紙誌が絶賛。ほかに産経抄が紹介した『龍の仮面』、NHK-BS『週刊ブックレビュー』で笑賛された『中途採用捜査官@ネット上の密室』など。

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