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海軍長官室に着弾:週刊アカシックレコードmail版010917
発行日時: 2001/9/17■海軍長官室に着弾:週刊アカシックレコードmail版010917■
9月11日、3機目のハイジャック機は、米国防総省1階の海軍長官室付近に「着弾」した。が、当時この付近は改装工事が終わったばかりで無人だったため、海軍長官は無事だった。経歴から見て、彼がミサイル防衛(MD)推進派(空母軽視派)なのは間違いない。
【ひとこと】(>_<;) いよいよ「パキスタン消滅」へのカウントダウンが始まりました。前回紹介した米国防総省の内部報告書『Aisa 2025』には近未来情勢についての5つの「想定シナリオ」もあり、その1つはパキスタンが弱体化してインドに制圧・植民地化され、南アジアに同地域史上最大の「軍事超大国」が出現する、というものでした。パキスタンはアフガン(タリバン)攻撃への協力を米国から求められ、米国とタリバンの板挟みでどっちについても治安・経済が悪化し「シナリオ通り」になりそうです。
■海軍長官室が吹き飛んだ〜米中枢同時テロで加速する米軍改革(2)■
(前回の記事
http://plaza12.mbn.or.jp/~SatoshiSasaki/dragon/md.html
から続く)
●改革に追い風●
2001年1月、ブッシュが大統領に就任すると、そのもとでラムズフェルド新国防長官は「ニュー米軍」構想を盛り込んだ軍改革プランの作成に取りかかり、当初は5月に発表する予定だった。が、平和主義者(の顔をした軍需産業のまわし者)や現役軍人や米民主党国会議員らの激しい抵抗に遭い、改革プランの作成は遅れに遅れ、2001年9月現在、10月まで発表されない見通しになっていた。
しかも、その内容たるや「抵抗勢力」の激しい反発のゆえに、減らす空母戦闘群は1つのみ、といったおざなりな内容になるだろうと、アメリカのマスメディアには予測されていた。これでは、まるで小泉内閣の「特殊法人の廃止、民営化方針」に各省庁の役人が事実上の「ゼロ回答」で抵抗している姿と同じで、米軍の大改革など到底できそうにない。
そこへ、この「追い風」である。改革に抵抗してきた「旧来型」の高級将校、つまり「抵抗勢力」は発言力を失い、空母などの「無駄な兵器」の削減は一気に進むだろう。
●敗北なくして改革なし●
1980年代、日本で国鉄の分割民営化や赤字国債の削減などの行財政改革が課題となりはじめていたとき、高坂正尭・京大教授(故人)はその難しさを以下のように説明した。
「戦争に負けたときは、国民に『この国のシステムが敗因だった』と言えるので、それを改革するのは簡単だ。が、戦争に勝ったシステムを改革するのは容易でない。日本は戦後世界の経済戦争に勝ち、高度成長を達成したのだから、高度成長をもたらした行財政システムを変えるのは……戦争に負けない限り……非常に難しい。かといって、また戦争するわけにもいかないし(^^;)」
ソ連軍はロシア革命以来、多大の犠牲を払いながらも(アフガニスタンへの軍事介入を除く)すべての戦争に勝ってきた。だから、ゴルバチョフが東欧からの撤退などという大改革を打ち出したとき、歴戦の名将たちが「なんで成功したシステムを変えるのか」「だれのお陰で国が守れたと思ってるんだ」と反発したのは当然だった。
が、ルスト君の領空侵犯事件は、この将軍たちの明らかな「敗北」だった。だから、彼らはもはや「偉そうなこと」は言えなくなり、改革に抵抗できなくなった。たしかに「負けたシステム」を改革するのは簡単だ。
他方、アメリカ軍も、1941年の真珠湾攻撃以降この60年間、ベトナム戦争を除くすべての戦争で旧来型の「重厚長大」兵器を駆使し、大勢の米兵の血を流しながらも勝ってきた。その間常に空母は花形であり、かつては第3世界の某国でソ連のスパイ機関に支援された反政府ゲリラが親米政権を脅かしたら、その国の沖合いに空母を派遣し、軍事演習をさせるだけでも十分な威嚇効果があった。それをいまさら「空母は弾道ミサイルに弱い」だの「世論が米兵の犠牲に厳しくなった」だのと言われても、歴戦の名将たちは納得しない。
が、米東部標準時2001年9月11日朝、ついに彼らも負けた。もう「ニュー米軍」の登場を阻む抵抗勢力はいなくなるであろう。
●世界一厳重に守られているもの●
1963年、アメリカ大統領ジョン・F・ケネディ(JFK)が暗殺された。犯人については「オズワルドの単独犯行説」からキューバなど外部の暗殺集団まで、さまざまな説がある。が、合衆国大統領は核ボタンの管理者であり、アメリカどころか全世界の運命を握っている。世界一厳重な警備態勢で守られているはずである。オズワルドなどという頭のおかしな青年がライフル一挺撃ったぐらいで殺せるはずがない。また、キューバごとき部外者の攻撃で暗殺が成功するぐらいなら、核兵器で威嚇しあう米ソの冷戦が戦後50年の長きにわたって続いたはずがない(ソ連はアメリカの正副大統領ほか数人の代替指揮権者を一斉に暗殺してから核ミサイルを米本土に撃ちこめば「圧勝」できたはずである)。
常識的に見て「内部から手引き」しない限り、世界一厳重に守られているものは攻撃できないはずだ。だから『JFK』という映画が作られ、ヒットしたのだ。少なくとも、ほとんどのアメリカ人はJFKの暗殺はCIAの仕業と信じている。
世界一厳重に守られているもの……それはJFKのみならず、赤の広場、米国防総省についても同じはずだ。
韓国の大統領府「青瓦台」の上空では、いかなる飛行物体が侵入してきても、理由の如何を問わず警告なしに即座に地対空ミサイルや戦闘機で撃ち落とすことになっている。国家安全保障とは元来そういうものだ。今回3番目の「ミサイル」とされたハイジャック機は、なぜ国防総省の上空で「旋回」できたのか。ペンタゴン・シティー備え付けの地対空ミサイルはなぜ発射されなかったのか。こうした技術的な疑問を解くことはきわめて重要で、マスメディアは技術的知識のかけらもない詩人や評論家の感傷的なコメントを無駄に流す暇があったら、軍事専門家の発言機会を(普段から)もっと増やしてほしい。
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●視覚効果と世論操作●
事件発生から数日間、国防総省の死者数(の予測)がなかなか公表されないことや「そもそもの原因」に疑問や関心が集まらなかった最大の理由は、1発目と2発目がWTC(世界貿易センター)ビルにあたり、WTCがテレビのニュース画面を一人占めしてしまったからだ。犯人グループは1発目をあてて中継用のテレビカメラを集めておいて、そのうえで2発目もあてたため、全世界は89年の天安門虐殺以来の「虐殺の生中継」を目撃することになった。
それだけで、もう十分に衝撃的で、テロリストへの憎しみは最高度にかき立てられる。マスコミの関心も、警察も消防もそこに殺到する。そのあとで、3発目が国防総省にあたったという「概念」がニュースとして流れるが「実況中継」でないので映像のインパクトは弱い。だから、そこで何人死んだかに人々の関心は集まらず、「国防総省まで撃たれたのか」(ペンタゴンは被害者だ)という観念が植え付けられる。
米ソ冷戦期の1983年9月1日、アメリカの国会議員を含む数百名の乗客を乗せた大韓航空機がコースをはずれ、ソ連領空を侵犯し(#1)撃墜され(#2)墜落する(#3)という事件が起きた。米コロラド州にある北米防空司令部(NORAD)は世界中の飛行物体を探知できるので、アメリカはこの件のすべてを事件発生当初、つまりKAL007便(数字に注目)が通常のコースをはずれ始めた時点から知っていた。もちろんソ連も防空レーダーで捕らえて知っていたが、情報公開制度のない国なので公表はしない。世界のマスコミの頼りはアメリカ政府だ。ところが、そのアメリカ政府はマスコミに情報をリークするとき、意図的に
#3 民間機が墜落した
#2 ソ連に撃墜された
#1 実は民間機はソ連領空を侵犯していた
と、順序を変えて流したのである。まず#3で世界の関心を集め、次に#2で「丸腰の民間機を撃った」ことを強調して世界の世論の怒りをソ連に向けさせ、世界が興奮して冷静に判断できなくなってから「十分間合いを取って」#1を流した。が、#1の頃にはもう、領空侵犯などなんのニュースバリューも持たない話題に成り下がっていた。
さすがはCIAだ。ここまでやれれば、なんでもできる。軍改革の「抵抗勢力」だって、ねじ伏せることは可能だろう(大韓航空機KAL007便撃墜事件についてのソ連側からの「異説」は
http://www.ioc.u-tokyo.ac.jp/~worldjpn/documents/texts/JPKR/19830909.D1J.html
を参照。ソ連はKAL007便をソ連極東の防空能力を探知するためのスパイ機とみなしている。尚、当時一部のフランスのメディアには、この件について「米国陰謀説」が流れた。が、今回の件では、フランスメディアは全面的に米国支持だ。言論の自由に則って陰謀を追求することと、自由主義の価値観を共有する国同士が連帯することとは互いに矛盾しない)。
●空飛ぶ海軍長官●
筆者は、98年末に取材で国防総省ビル(ペンタゴン・シティー)を訪問した際、1階の海軍長官室の前を通った。今回3発目が「着弾」したのはまさにその付近だから(産経新聞2001年9月13日付朝刊3面)海軍長官室は完全に破壊されているはずだ。
が、なぜか、この付近は「たまたま」改装工事中でオフィスとしては使われていなかったという。このため「奇跡的に」ゴードン・R・イングランド海軍長官は無事だった(彼に限らず、3軍の長官と統合参謀本部議長が全員無事で、12日にブッシュ大統領との会合に出ていることは、国防総省ホームページ
http://www.defenselink.mil/photos/Sep2001/010912-D-2987S-124.html
で判明)。
米海軍のホームページ
http://www.chinfo.navy.mil/navpalib/people/secnav/england-bio.html
によると、彼はブッシュ現大統領の指名で、ジェネラル・ダイナミックス(GD)社から転職してきた文官で、元々は航空工学とハイテクセンサーが専門の技術者であり、かつては、ジェミニ宇宙計画に携わったこともあり、かの有名な電子偵察機E-2Cホークアイの開発プロジェクトではリットン・インダストリー社にいてプログラムマネージャーを勤めたという。船乗りや造船プロジェクトの経験はほとんどない。
この、一見すると「空軍長官」かと見まがうような経歴の人物が海軍長官になったのだから、彼がMD推進派(空母軽視派)なのは間違いない。数週間後、彼はきっと、歴戦の名将(提督)たちの前でこう言うだろう、
「あなたがたが誇る空母戦闘群は、私の執務室すら守れませんでした」
「空母は攻撃兵器であって防衛兵器ではないのです、テロに対しては」
「『攻撃が最大の防御』なのは、かつてのソ連や大日本帝国の巨大な正規軍と向き合って『そっちが撃つなら撃ち返すぞ』と言えた、敵味方の戦力が(左右)対称的な戦争における『恐怖の均衡』が機能する場合のみです」
「こんにちわれわれは非対称の戦争に直面しているのです。われわれには豊かさや人権など失うものが多々ありますが、アフガンにいる貧しい連中には失うものは何もありません。高価な武器もありません。もちろん反撃は必要ですでが、たとえ国土を壊滅させても、彼らはまたどこかに穴倉を掘って、すぐに昨日と同じ生活を始められます。何も変わらない」
「でも、ウォール街のビジネスマンはこうはいかない。彼らはWTCが破壊される前と同じ生活をいますることはできないのです。われわれはこのような弱い市民を守らなければならないのです。そのためには、わが軍の組織構造を抜本的に変える必要があります」
(以下、次回に続く)
(敬称略)(2001年)
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