食品偽装に消えた年金!「人気メルマガ発行者」が鋭く斬り込むNEWS評論!【投票は28日迄】
トップ > ニュース&情報 > 国際情勢 > 週刊アカシックレコード

得をしたのは誰だ:週刊アカシックレコードmail版010913

発行日時: 2001/9/13

■得をしたのは誰だ:週刊アカシックレコードmail版010913■
9月11日に起きた米国防総省と世界貿易センター(WTC)ビルへのハイジャック機テロ(米中枢同時テロ)は、旧来型軍事力の無力を印象付けた。おそらく、これを機にミサイル防衛(MD)に反対する軍産複合体の保守派が排除され、MDと精密誘導兵器の重視を掲げる「軍事革命」推進派が台頭し、MD開発は加速されるだろう。
【お知らせ】(>_<;) 11日の同時多発テロのニュースを聞きながら、それと似た雰囲気の拙著『ゲノムの方舟』の「第三章 欧州の恐慌」の場面を思い出していた筆者は、真の黒幕はイスラム過激派の指導者ウサマ・ビンラーディンとは思いませんでした。
■いちばん得をしたのはだれだ〜米中枢同時テロで加速する米軍改革(1)■
●「赤の広場」不時着事件という「先例」●
1985年にゴルバチョフがソ連共産党書記長に就任し、ペレストロイカ(改革)、グラスノスチ(言論の自由化)と東西冷戦の終結(東欧からのソ連軍の撤退)を政策目標として掲げたとき、軍部・保守派は激しく抵抗した。が、その後、西ドイツから「平和を訴えるために」グライダーで1人の青年がモスクワの「赤の広場」に飛来し、不時着する事件が起きた。

ゴルバチョフは激怒した、「もしルスト君(操縦者)が爆弾を持っていたら、ソ連の中枢が破壊されていたぞ!」。防空態勢の重大欠格が露呈したとされ、軍の長老幹部(保守派)は軒並み引責辞任に追い込まれた。こうして「幸いにも」最大の「抵抗勢力」が消えてくれたので、以後ゴルバチョフは改革を加速し、80年代末までにソ連軍の東欧撤退と、ソ連と東欧の軍事同盟、ワルシャワ条約機構の解消を決定する。
つまり「結果的に」ルスト君は、ペレストロイカを推進したことになる。

●「ニュー米軍」構想●
1999年7月、米国防総省(大統領は民主党のクリントンだったが、国防長官は共和党のコーエン)は『Asia 2025』なる内部報告書をまとめた(この報告書が定義する「アジア」は「北極海からインド洋まで、かつアラビア海からオホーツク海またはインドネシアまでの地域、海域」で、中東を含まない)。同報告書はまず今後25年間の国際情勢の認識として、以下のような点を指摘している:

・もう欧州で大きな戦争はない
・アジアでは米国の国益にかかわる戦争、紛争がありうる
・欧米の中東原油への依存度が低下
・逆に、中東原油の最大の得意先はアジアになり「中東はアジアを向く」
・ロシアが人口減少で衰退(中国がシベリアに「浸透」)
・中国が(1人っ子政策の副作用で)高齢化に突入し、いったん国力が肥大化したあと、ほどなく衰退
・インドは高齢化せず、成長を持続し、地域大国として台頭

さらに、軍事情勢認識の要点としては

・非正規軍(テロ、ゲリラ)との戦いが増加
・弾道ミサイルの拡散(弱小国や、北朝鮮のような「無法国家」へのミサイルの普及)
・弾道ミサイルの格好の標的である空母、戦車など旧来型兵器(や在外米軍基地)の使用不能
・「アメリカの若者の血を流すこと」への米国内世論の抵抗

などをあげ、結論として

・二正面作戦(朝鮮半島または台湾海峡と中東で同時に正規戦を戦う能力)の放棄
・旧来型兵器(空母、戦車、戦闘機)の大幅な「軍縮」
・精密誘導ミサイルなどの「無人兵器」重視
(したがって、当然MD、ミサイル防衛重視)
・欧州駐留米軍の削減
・将校へのアジア言語(ウイグル、チベット、ヒンズー語等)の教育重視

などを提言している。また、明言していないが、

・アメリカの中東からの撤退(イスラエル切り捨て)
・サウジ駐留米軍基地のアジア諸国(たとえばインド)への移管
・日米印による対中国包囲網の検討

も示唆されている。この結果、未来の米軍は、

#1 在外米軍基地に多くの兵員や空母のような大型の武器をあまり置かず
#2 米本土に緊急展開部隊を用意し
#3 米本土と同盟国を弾道ミサイルの脅威から守るMD網を構築して、核保有国(中国)の暴走や分裂に備え
#4 弾道ミサイル発射やテロ攻撃の探知のために衛星査察、リモートセンシング技術、米英など5か国が運営する盗聴網「エシュロン」による情報収集活動を強化し、
#5 米本土から遠隔操作で巡航ミサイルや無人戦闘機を飛ばし、あるいは緊急展開部隊を投入して反撃する

といったものになろう。

筆者は一部の国際政治・軍事専門家と同様、この報告書を、アメリカの外交、国防政策と米軍の未来(「ニュー米軍」)の方向を示唆したものとして重視している。なぜなら、この報告書の提言や示唆の少なからぬ部分が、その後の米政府高官(共和党)の発言や実際の政策に反映されているからである(産経新聞2001年3月1-3日付朝刊「新次元防衛戦略」)。

たとえば、米系国際石油資本はこの数十年間、ベネズエラ、メキシコなど中南米諸国(とアフリカのナイジェリア)での石油開発を重視してきたため、アメリカの中東原油への依存度は『Asia 2025』の指摘するとおり徐々に下がっており、今後20年以内に中東原油の最大の消費者の座をアジア(日本、中国、インドなど)に譲り渡すことは確実である。

2001年に登場したブッシュ政権(共和党、石油派)は、この流れを加速させる、エネルギー政策の転換を行った。それは、

・原発建設の再開
・アラスカなど国内の新規油田の開発

であった。ブッシュ政権が中東和平に熱心でなく、イスラエルとパレスチナの対立激化に関して仲裁しない態度を取っているのは、アラブの庶民からは「イスラエルびいき」に見えるだろうが、それは正確ではない。これは「イスラエルほったらかし」政策であり、イスラエルがまわりのアラブ諸国から怨まれて滅びようがどうしようがかまわない、という意志の表われにほかなるまい(逆に、民主党、原子力派のクリントン前大統領が推進した中東和平合意とは、パレスチナの主権と独立を認めつつも、とにかくアラブ側に「イスラエルの生存権」を保証させようという策で、これこそ真のイスラエルびいきだ)。

上記の「原発建設の再開」は、一見すると共和党が原発派に宗旨替えしたかに見えて紛らわしい(「原発派vs.石油派」については
http://plaza12.mbn.or.jp/~SatoshiSasaki/usout.html#table
の一覧表を参照)。

が、戦時のための軍の地下備蓄(石油が輸入できない場合に備え、軍が油田を保有し「掘らせない」安全保障上の制度。実際には石油の生産制限であり、世界の石油相場の下支えに役立った)や自然保護を理由に開発していなかったアラスカ油田に手を着けようとしていることと併せて考えれば、共和党はべつに石油派から原子力派に鞍替えしたのではなく、「中東」から、国内を含む「中東以外」にエネルギー供給源を急いで変えたいのだとわかるはずである。

その理由はもちろん「中東を含む」2か所以上の大規模地域紛争に介入する戦略を放棄して、空母など、たった一発の弾道ミサイルで数百人の死者を出しかねない旧来型兵器への無駄な予算を削減し、MDをはじめとする「ニュー米軍」構想実現のための、軍事革命(軍の構造改革)に注力したいからである。

┏━━━━━━━━━━━ メルマガ「軍事情報」 ━━━━━━━━━━━┓
        あなたに唯一欠けているのは、「軍事常識」です。
    さあ、私たちと一緒に本当の軍事の世界に船出しましょう!!
            http://users.goo.ne.jp/ttpacino/
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

●軍需産業が平和主義者?●
MDには莫大な開発コストがかかることから「軍需産業の金儲け」にすぎない、という批判が世界各国にあるが、実はMD構想推進の最大の「抵抗勢力」は、旧来型兵器を駆使して勲章をもらってきた米軍幹部と、彼らに旧来型兵器を供給して儲けてきた正真正銘の軍需産業、すなわち、伝統的な「軍産複合体」である。なぜなら、国防総省の中枢や共和党幹部(ブッシュ政権)は、MDや精密誘導兵器、無人戦闘機などの「使える兵器」の開発予算を捻出するためもあって、旧来型の「米兵に血を流させる」「使えない」兵器の削減(軍縮)を主張しているからである。

となると、人命尊重や平和主義や軍縮の観点に立てば、MD反対派と賛成派のどちらに理があるかは自明であろう。日本にもアメリカにも中国にも、MDに反対することこそ平和主義だと誤解している人が多いようだが、そろそろ自分たちが旧来型の軍産複合体の代弁者になってしまっている事実には気づいたほうがよいのではないか。

●精密誘導兵器の台頭●
アフガニスタンの中南部を実効支配するイスラム原理主義過激派タリバンの「首都」カブールで、現地時間9月12日未明、爆発があり、イスラエル政府はこれをアメリカの巡航ミサイルの攻撃と発表したが、アメリカ政府はこれを否定し、アフガニスタンの北部を支配する反タリバン勢力「北部同盟」のヘリコプターからのミサイル攻撃などと述べた。

が、これはウソだ。朝日新聞記者の田岡俊次は12日早朝にテレビ朝日の番組に出演して、その瞬間のビデオ映像を見ながら指摘している。爆発(攻撃)は夜間に行われたのだから、ミサイル攻撃をするには暗視装置や赤外線誘導装置(付きのミサイル)が必要だが、そんなハイテク兵器は北部同盟にはない。したがって、このカブール攻撃はペルシャ湾やその近海で「反米テロ」に備えて警戒にあたっていたアメリカ海軍艦船からの「報復攻撃」に相違あるまい。

これは、「敵」(今回のハイジャック機テロの犯人)が犯行声明も出さず黙っている以上、こちらも「報復声明」は出さず、再報復を招かないようにしたい、という米軍側の「ポーズ」なのだろう。

それはともかく、米中枢同時テロの発生から24時間以内に、米軍側がとりえた有効な軍事行動はこれだけだった。

●空母「役立たず」の証明●
他方、空母の投入はみじめなものだった。国防総省とWTCが攻撃されたあと、ブッシュ大統領はワシントンとニューヨークの沖合いに1つずつ空母戦闘群を配備した。が、いずれこの配備は「空母黄金時代の終焉」を告げるものとして、世界の軍事史に記録されよう。

空母やその艦載機にいったい何ができるというのだ。空母は米国やその同盟国の領土、領海、領空を、その外側の敵から守るため、その外側に向かって攻撃するためのものだ。が、今回の敵は終始一貫して「内側」にいたのだ。内側で、空港の警備態勢をかいくぐり、飛行機をハイジャックしてビルを攻撃する「ミサイル」とし、直前までまともな飛行をさせたうえで、突如コースを変えてから数分間でWTCや国防総省に突っ込ませ、米空軍の防空体制を完全にかわしてカミカゼ特攻を完遂してしまった。

仮に空母戦闘群が事件発生前に配備されていたとしても、迎撃のしようがなかったのではないか(もし、空母から迎撃できるなら、陸上の空軍基地から迎撃できるだろう)。空母や戦闘機などの旧来型兵器はどのみち無力だったのだ……と米国民は「思い込まされている」はずだ。

おそらく、今回出動した2空母戦闘群はともに、その辺の海域で、ただ「しばらくぶらぶらして帰る」ということになろう。これには米国民の怒りが殺到する可能性が高い。

もともと近年の弾道ミサイルの拡散(無法国家への普及)によって使いにくくなりつつあった空母が、今回の事件で、役立たずであることが決定的に明らかになった。

「何兆ドルも使って7つも8つも空母戦闘群を維持しても、国民の生命は守れない」
「空母は税金の無駄遣いだ」

とマスコミや共和党のMD推進派に言われたら、旧来型の軍産複合体はもう反論できまい。
(以下、次回に続く)
(敬称略)(2001年)

拙著『ゲノムの方舟』(徳間書店)の内容や購入方法については
http://plaza12.mbn.or.jp/~SatoshiSasaki/genome/cntnt.html#toyokeizai
をご覧ください。

追伸1:
本誌へのご意見、投書は、投稿者氏名等の個人情報を伏せたうえで、本誌上で紹介させて頂くことがございます。あらかじめご了承下さいませ。
本メールマガジンは筆者(佐々木敏)のサポートスタッフにより運営されており、本号は創刊第12号です。
ご登録手続きやバックナンバー、内容紹介は、こちら↓をご利用ください。
            http://plaza12.mbn.or.jp/~SatoshiSasaki/
追伸2:
本メールマガジンの送信を停止するには、お手数ですが、このメールの最後にあるmelma.comのアドレスをクリックし、そこから「退会」フォームでお手続き下さい。
melma.comのシステム上、誠に申し訳ございませんが、本メールに返信されても「退会」手続きは成立しません。
また、本メールにご意見等を投書されたい方のうち、筆者の個人アドレスをご存じの方はそちらにお送り下さい。
ご存知でない方は本メールに返信する形で投書を下されば、スタッフ(編集部)によるセキュリティ等のチェックを経て、数日後に筆者に転送されます。

Copyright (C) 2001 by Satoshi Sasaki
All rights reserved. 不許複製、禁無断転載

 
このメルマガの読者になる
規約 
>> メルマ!の会報誌もお届けします
ブックマーク: はてなブックマークに追加del.icio.usに追加Buzzurlにブックマークニフティクリップに追加ライブドアクリップに追加Yahoo!ブックマークに登録My Yahoo!に追加Add to GoogleRSS

このメルマガを読んでいる人はこんなメルマガも読んでいます

Japan on the Globe 国際派日本人養成講座
日本に元気と良識を。歴史・文化・政治・外交など、多方面の教養を毎週一話完結型でお届けします。3万4千部突破!
JOG Wing 国際派日本人のための情報ファイル
政治・経済・外交・社会・文化などの分野において「元気な日本」を作るためのオピニオン誌です。
宮崎正弘の国際ニュース・早読み
 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析
頂門の一針
急所をおさえながら長閑(のどか)な気分になれる電子雑誌。扱う物は政治、経済、社会、放送、出版、医療それに時々はお叱りを受けること必定のネタも。
甦れ美しい日本
日本再生のための政治・経済・文化などの発展・再構築を目的とし、メールマガジンの配信を行う


この記事へのコメント


コメントを書く
コメントはありません。

おすすめキャンペーン

おすすめカードローン!
オリックスVIPローンカードなら

<<年率5.9%〜15.0%、利用可能枠最高500万円>>
ゆとりのカードローンです。
お申込みはこちら⇒

はじめようメルマガ生活
メルマガを読むには
メルマガを出すには
約64000誌から検索

メルマガデータ

  • メルマガID : 42082
  • 創刊日 : 2001-07-06
  • 最新号 : 2008-07-07
  • 発行周期 : 週刊
  • バックナンバー: 全て公開
  • 発行者サイト: あり
  • 読んでる人 : 20361人
  • コメント数 : 97
  • Score! : 95点
  • >> 月間ランキング

発行者プロフィール

ペンネーム :

  • 小説家。00年『ゲノムの方舟』(徳間書店)でデビューし朝日新聞など17紙誌が絶賛。ほかに産経抄が紹介した『龍の仮面』、NHK-BS『週刊ブックレビュー』で笑賛された『中途採用捜査官@ネット上の密室』など。

このメルマガの読者になる

規約に同意する



このメルマガの最近の記事


このメルマガの最近のコメント


このメルマガのバックナンバー


注目情報


新着記事トピックス