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選挙か参拝か(1):週刊アカシックレコードmail版010726

発行日時: 2001/7/26

■選挙か参拝か(1):週刊アカシックレコードmail版010726■
どうやら今回の参議院選挙は、小泉内閣支持派と不支持派が、自民、民主両党内に同居する「呉越同舟選挙」のため、両党の勝ち負けそれ自体にはあまり意味はなさそうである。むしろ、8月15日の小泉首相の靖国神社参拝のほうが、親中国派の「あぶり出し」につながり、政界再編の起爆剤につながりそうで興味深い。不思議なことに日本政界では、なぜか首相の靖国神社参拝反対派には、中国海軍の違法活動や北朝鮮の拉致問題に弱腰で、アメリカのミサイル防衛構想(MD)に否定的な者が多く、参拝賛成派はその逆である。首相の参拝強行のウラには「連立組み替え」への深謀遠慮があるようだ。
【お知らせ】(^o^)/映画ファンの皆様、8月下旬以降には『チャーリーズ・エンジェル』や常盤貴子、『パトリオット』を政治学的に考察した「美人大国(日本)と巨大市場(中国)」等を予定しておりますので、しばらくお待ち下さいませ。
■選挙か参拝か(1)■
先日、某紙のコラムに、(アンチ自民の)小泉(改革)支持者のための「投票の仕方」とおぼしきものが載っていた(産経新聞2001年7月22日付朝刊11面、稲垣武「斜断機・民は愚ニシテ賢ナリ」)。参院選の自民党候補者のなかにいる「仮面改革派」、すなわち「小泉首相の掲げる構造改革に反対する族議員候補者のくせに小泉人気に便乗して改革派と称している者」には投票したくないが、小泉改革は支持したいという場合、どうすればいいのか、というかなり多くの有権者が抱いている疑問への1つの答えである。 

(尚、「実は小泉自身が仮面改革派だ」という説が一部にある(^^;)ことを筆者は十分に承知しているが、とりあえずここでは選挙の投票方法の検討をしたいので、その説は棚上げにして先へ進めたい) 

そのコラムは、自民党の比例代表候補のうち「非自民」「改革支持」を掲げる国際政治学者(要するに、舛添要一のこと)に大量得票させ、族議員系の大物(たとえば、高祖憲治・全国特定郵便局長会顧問。小泉の唱える郵政民営化論に反対なのは明らか)があまり票を取れなければ、自民党内での力関係の変化につながるから、意味がある、というのである。 

たしかに、一理ある。が、欠点もある。 

●非拘束名簿式比例代表選挙
今回初めて、参議院の比例代表選挙には、全国を一選挙区とした「非拘束名簿式比例代表制度」が導入される。従来は(全国でなくブロックごとの)「拘束」名簿式比例代表だったから、候補者名簿の順位は政党が決めた。が、今回は有権者が(政党に拘束されずに)決めるのである。 

従来の拘束名簿式の比例代表選挙では、各党の得票数(たとえば有効票の50%)に応じて、その選挙区(今回は全国だが、従来は地域ブロック。たとえばあるブロックは20議席とする)の議席数を比例配分して、まず各党ごとの当選者数を(たとえば自民党は50%だから10人)などと決め、その選挙区の同党のあらかじめ届け出た名簿の順位(たとえば、1位:高祖憲治、2位:大仁田厚……11位:舛添……)に従って、上から順番に決めていく(この方式だと、11位の舛添は落選するが、舛添個人の支持者にはそれをくつがえすすべがない。順位は党の定めた名簿によって「拘束」されているのだ)。 

ところが、今回の「非拘束」名簿式比例代表選挙では党の定めた候補者名簿には順位がなく、有権者は候補者名を書いても(党名を書いても)いいので、結局順位は有権者が決めることになる。もしも、自民党全体(党名票と候補者名票の合計)の得票数に基づいて配分される(全国の)当選者数が20名で、得票順位が1位:舛添、2位:大仁田……21位:高祖憲治で、22位以下、下位にずらっと族議員が並ぶのなら、族議員候補、すなわち「仮面改革派」を落とせるので、小泉改革の後押しになるではないか、というのが、そのコラムの主張である。 

が、ちょっと待って頂きたい。小泉支持、不支持の双方の立場で、このコラムの意見の適否を検討してみよう。 

●小泉支持者ための「自民党離れ」のすすめ
上の方法だと、舛添があまりに大量に票を取りすぎた場合、自民党の総得票数、得票率も上がってしまうので、それに比例して当選者の枠も拡大され、21位、22位の候補者でも当選する、という事態になりうる。つまり、当落線上にいる「仮面改革派」、族議員候補者が舛添票の「おこぼれ」で当選してしまうのだ。これは、いかにも理不尽ではないか(この「非拘束式」を導入する公職選挙法の改正審議の際、野党はこれを「票の横流し」と呼んで批判した)。 

もちろん、おこぼれで大勢「当選させてやった」舛添の発言力が、逆に「当選させてもらった」族議員に対して強くなる、という期待は持てる。 

が、国会議員になってしまえば国会の裁決では「1人1票」でみな平等なうえ、派閥(橋本派)にはいるのも離党するのも新党を作るのも、その議員の自由であり、これを阻止する法的手段はない。 

となると、「仮面改革派」を落としたい改革支持者の有権者にとって、族議員候補を大量に抱える自民党に(たとえ投票用紙に「自民党」でなく「舛添要一」と書くにせよ)投票する、というのはいかがなものか。 

●アンチ小泉派のための「民主党離れ」のすすめ
同じような事情は民主党にもある。自民党比例候補者のなかで知名度ナンバーワンが舛添なら、民主党では文句なしに大橋巨泉だ。彼は、立候補前から小泉内閣批判を一貫して展開しており、その意味では筋が通っていていいのだが、肝心の民主党のほうが筋が通っていないのである。 

民主党の中も「呉越同舟」で、党内には小泉支持を主張する議員がかなりいるのだ。つまり、小泉批判のつもりで巨泉にあまりに大量の票を取らせると、そのあおりで当落線上の小泉支持派候補が当選する、ということも十分に起きうるのである。 

これでは、投票のしようがないではないか。(>_<;) 

●中小政党でないと、党内がまとまらない?
いちおう他の政党は、公明党、保守党が自民党と連立政権を組んでいるので「表面上」小泉支持、共産党、社民党、自由党が野党なので不支持となっている。これらはいずれも、国会議員数が少なく、みな自民党の一派閥かそれ以下の規模しかないせいか、まとまりがよく「呉越同舟」にはなっていないので、有権者としては選びやすい。 

が、公明、保守両党はもともと、郵政族、建設族、道路族などの族議員を多数抱える橋本派(平成研究会)の野中広務元幹事長のはからいで自民党と連立に参加したのであり、景気対策、対中外交、防衛政策、靖国神社参拝問題、対中対韓教科書摩擦などでの「本音」は明らかに橋本派に近く、小泉に遠い。逆に、自由党は野党ながら、その小泉批判は「改革不十分」と叱咤激励する側面を持つもので、かつ、景気対策(が構造改革に優先するか否か)から教科書摩擦までの上記5点では小泉にかなり近い。もちろん、共産党、社民党は上記5点では小泉と正反対であるから、正真正銘のアンチ小泉である。 

となると、小泉支持なら自由党に、不支持なら共産党か社民党に入れたほうが確実である、という仮説がいちおう成り立つ(ただし、これら各党は基礎票が乏しいので「大勢に影響ない」恐れは十分にある。「勝ち馬」に乗って勝利の感激や興奮を味わいたければ、やっぱり舛添や巨泉に入れたほうが「楽しい」に違いない)。今回の選挙では、投票方法と立候補者の背後関係が複雑なので、筆者はいまだにだれに投票するか決められずにいる(が、絶対に棄権はしないつもりである)。 

●選挙より「有効」な靖国神社参拝問題
自民、民主の2大政党が「呉越同舟」なので、この参議院選挙は結局「自民党がそれなりに勝ち、小泉政権がしばらく続きそう」なのを確認するだけのものになるのではないか(逆に民主党は、負け方が悪ければ、党首交代や党分裂につながる危険がある。もともと各紙の世論調査では鳩山由紀夫現代表は菅直人前代表/現幹事長より人気がないうえ、菅幹事長が最近旧社会党のような「労組頼み」の傾向を見せているため、分裂を含めた、民主党の「政変」が予感されるのである)。 

むしろ、注目すべきは、選挙の約2週間後の8月15日、終戦記念日に、小泉首相が行うと公言している靖国神社参拝のほうである。この問題は、小泉支持の「仮面」をかぶっている連中の仮面をはがす効果があり、展開いかんでは政界再編のきっかけになりうるので、筆者は選挙よりむしろこちらに注目している。 
(以下、次号に続く)
                              (敬称略) 
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--佐々木敏(+「週刊アカシックレコード」編集部/サポートスタッフ) 

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  • 小説家。00年『ゲノムの方舟』(徳間書店)でデビューし朝日新聞など17紙誌が絶賛。ほかに産経抄が紹介した『龍の仮面』、NHK-BS『週刊ブックレビュー』で笑賛された『中途採用捜査官@ネット上の密室』など。

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