『パール・ハーバー』と中国(2):週刊アカシックレコードmail版010717
発行日時: 2001/7/17■『パール・ハーバー』と中国(2):週刊アカシックレコードmail版010717■
この映画の真の企画立案者は、実は江沢民・中国国家主席だった。彼は『タイタニック』への賛辞を全人代(国会)で発言するほどアメリカへの憧れが強く、97年に「ハワイ経由で」訪米した際には、日米同盟の分断と米中の接近を画策した。が、凄まじい「反中国映画」や人権批判に遭遇して逆上し、やがて途方もない「映画企画」を思い付く。
(前回から続く)
●「親中映画ブーム」は「工作」でも起こせる
おそらく、中国政府は映画界におけるディズニーの立場を考慮して「反中映画を作るな」ではなく「親中(反日)映画を作ってはどうか」と(キッシンジャーを介して)提案したに相違あるまい(「言論の自由」を至上の価値とするアメリカの映画産業界に属するディズニーにできることは、ほかにないのだから)。
ディズニーランド(DL)の中国進出許可の交換条件として、その第一弾をアニメの『ムーラン』(製作、配給ともディズニー)、第二弾を『パール・ハーバー』(製作はタッチストーンに委託)と考えると、昨今のディズニーのラインナップや、奇襲攻撃とラブロマンスをくっつけてロマンスの苦手な監督に撮らせた「異形の映画」が誕生した背景が、無理なく説明できるのではあるまいか。
『ムーラン』は中華民族を団結させて率いて、外敵モンゴルの侵入から守った少女の物語で、あまりに単純な愛国心高揚映画であるが、常に民族間地域間の対立と分裂に怯えている中国政府にとっては、まさしく必要な映画であったと言えよう(ただし、内蒙古自治区の中国籍モンゴル人には耐え難い映画だったと思われるが)。
●江沢民訪米
第二弾『パール…』の内容が、97年10月の江沢民・中国国家主席(共産党主席)訪米時のハワイでのスピーチ「(米中両国が)共に手を携えて第2次大戦中のファシズムと戦った」(産経新聞97年11月12日付朝刊「主張」)に符合しており、これが江沢民にとって必要な映画であったことも、もはや言うまでもなかろう。
思い起こせば、江沢民は自ら北京の映画館に足を運んで、『泰担尼克』(タイタニック)を鑑賞して絶賛し、アメリカ向けリップサービスまで披露するほどアメリカへの「片思い」が強い。「恋敵」の日本をアメリカから引き離したい(?)一心で、クリントン前米大統領に、訪中の前後に日本に(日本が同盟国だからといって)立ち寄るな、と要求したほどだ。その彼が訪米に際しては、まずハワイに第一歩をしるしたい、と希望したのだ。実は『パール…』は、この『タイタニック』とハワイをこよなく愛する江沢民の心境を忠実に反映して作られている(作らされている)かなり無理な企画の映画であることは、少し考えればだれでも容易に気付くはずだ。
●『タイタニック』と比較する愚
すでに米国誌が取材で明らかにしているように、そもそもこの映画の企画は製作者のブラッカイマーからも監督のマイケル・ベイからも提出されなかった。実は、ディズニー側が2人に押し付けたものなのだ(『ニューズウィーク日本版』2001年6月13日号、p.60)。
しかも、マイケル・ベイは、過去の作品ですでに「ラブロマンスの撮れない監督」であることがはっきりしている。彼の映画には「かわいい娘」(『アルマゲドン』のリブ・タイラー、『ザ・ロック』のクレオ・フォルラニ)は出ても、人格を持った大人の女性は絶対に出ない。『アルマゲドン』の父親役のブルース・ウィリスも、『ザ・ロック』のショーン・コネリーもそろって「やもめ」であり、『ザ・ロック』の叛乱軍将校(エド・ハリス)は妻の死をきっかけに謀反を決断するという設定だったが、この3人の主人公の妻はまったく画面に出ない(遺影すら出ない)。徹頭徹尾「妻」「母」を拒絶し、彼女らが産んだ「娘」だけを描くということで彼のスタンスは一貫している。
これは、同じアクション系の監督でも『エイリアン2』『ターミネーター』『ターミネーター2』『アビス』(および『タイタニック』)を通じて一貫して「どんな困難に出会っても必死に生き抜こうとする女性(しばしば母親)の人格」を描いてきたジェームズ・キャメロン監督とはまったく異なる。キャメロン監督が一見「畑違い」に見えるロマンス大作『タイタニック』に挑んで成功したのは、けっして「まぐれ」ではなく、彼の女性観の結実であり、当然の結果である。
したがって、マイケル・ベイに「『タイタニック』のような」ロマンス作品を作らせるなど、とんでもないことだ。女性の人格を描けない者に、なんでラブロマンスが作れようか。この映画は、およそまともな映画人の発想で企画製作されたとは思えない。
この映画の企画は「どしろうと」の思い付きによると考えたほうが自然ではないだろうか。もちろん、その「どしろうと」とは、江沢民以外にはありえない。なぜなら、言論の自由と金儲けを至上の価値とするハリウッドを代表とする企業グループに対して、そのようなくだらない思い付きを押し付けられるのは、アメリカ国外の「部外者」で、かつ「許認可権」などの権力的な脅迫手段を持つ者に限られるからだ。
●逆上した独裁者
おそらくふだん映画をほとんど観たことのない彼にとって、唯一感動した映画が『泰担尼克』だったのだ。彼は訪米の際、まずハワイで米中両国共通の敵は日本と言わんばかりのスピーチをして、米中の「同盟」をほのめかしてから意気揚々とアメリカ本土に乗り込んだ。ところがそこで彼を待ち受けていたのは、人権団体や亡命チベット人組織や映画関係者の中国非難デモと、ハリウッドの「反中映画」の洪水だった。
逆上した独裁者が「あいつらを黙らせるには、『タイタニック』のような大作で、しかも親中反日の映画をハリウッドに作らせて全世界でヒットさせるしかない」と思い込めば、独裁国家ではだれもそれを止めることはできない。このような愚かな企画を思い付くことのできる者は、世界中に江沢民以外にだれかいるだろうか? ブラッカイマーやディズニーのアイズナー会長のような「プロ」が、こんな「木に竹を接いだような」企画を考え付くだろうか、自ら望んで提案するだろうか? 彼らにはほかのいい企画がたくさんあり、現に他の(日本のファンにも喜ばれる)多数の秀作映画で成功を収めている。世界第二の映画市場のファンを敵にまわしかねない映画をわざわざ作って危険を冒さなければならない理由は何もない。彼らはただ中国に押し付けられた「親中(反日)映画ノルマ」をこなしただけだ。
●米中映画摩擦から日中映画対決へ
かつて、97年のディズニーと中国の対立は「米中映画摩擦」と呼ばれた(Web版毎日新聞1999年12月22日。
http://www.mainichi.co.jp/entertainments/gossip/hollywood/colum/1999/1204.html
)。もし、2001年に『パール・ハーバー』をめぐって摩擦が起きるなら、それは「日米映画摩擦」だろうか…………とんでもない。これは「日中映画摩擦」なのだ。中国政府が、ハリウッドを舞台に日本に情報戦(イメージ・アップまたはダウン戦略)を挑んでいるのだから。
対抗策はただ1つ。日本側もハリウッドに乗り込んで、「親日(反中?)映画」を作るべきなのだ。筆者は近い将来、そういう仕事をしたいと思っている(最近、私は「江沢民ごときにできることがなんで日本人にできないのか」と思うようになった。少なくとも江沢民より筆者のほうが、日米の映画ファンに役に立つことは間違いない。筆者のエンターテナーとしての能力については、
http://plaza12.mbn.or.jp/~SatoshiSasaki/genome/cntnt.html#toyokeizai
を参照されたい)。
(以下次号に続く)
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●配給会社に抗議メールを
ところで、ディズニーグループ(傘下の配給会社ブエナ・ビスタ)が反日映画『パール・ハーバー』を日本でラブロマンスと偽って公開したことに抗議の意志を表明されたい方は、抗議メールを
info@movies.co.jp
宛に礼儀正しくお願いしたい。
これは、言論封殺ではない。アメリカ国内ではさまざまなマイノリティーグループが、自分たちの尊厳を傷付けるメディアの言論を是正するために、しょっちゅうやっていることである。映画会社などメディア側にはもちろん言論の自由はあるが、一般市民の側にもそれに反対を表明する言論の自由があるし、ディズニーも抗議されることには慣れているので、こわがることはない。
但し、絶対に違法なこと、たとえばブエナ・ビスタ社やディズニー社のWebページへの無断リンクなどはすべきでない。
(敬称略)
-- 佐々木 敏(+「週刊アカシックレコード」編集部/サポートスタッフ)
追伸1:
本メールマガジンは筆者(佐々木敏)のサポートスタッフにより運営されており、本号は創刊第二号です。創刊のご挨拶は
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