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『パール・ハーバー』と小泉参拝(3):週刊アカシックレコードmail版010723

発行日時: 2001/7/23

■『パール・ハーバー』と小泉参拝(3):週刊アカシックレコードmail版010723■
小泉首相が終戦記念日に靖国神社に公式参拝することを表明したあと、中国共産党の指導下にある映画配給会社は、反日映画『パール…』の中国での封切りを8月15日前後と決定する。中国の唐外相が日本の田中外相に「(首相の靖国参拝でこれ以上日中関係が悪化すると)泣きっ面にハチだぞ」といったのは、どうも今夏の「反日宣伝工作」のことを指しているようだ。
(前回の記事
http://plaza12.mbn.or.jp/~SatoshiSasaki/dragon/pearlh.html#chinesefriendly
から続く)

●中国待望の「反日映画」
『パール…』は、まだ中国で公開されていないが、『人民日報』やインターネットでの取り上げ方から、この「反日映画」に対する中国政府の期待の大きさは十分にわかる(中国共産党政府がなぜ繰り返し「反日」キャンペーンを張るのかについては、いずれ本誌「シリーズ・中国の限界〜世界一堕落した政党」で取り上げる予定である)。

インターネットで調べて、今夏公開される他の話題作『A.I.』との比較、また日中の状況を比較することで、 中国「世論」の反日映画への期待の大きさの一端を窺い知ることができる。詳しいデータは 
http://plaza12.mbn.or.jp/~SatoshiSasaki/dragon/pearlh.html#antijapan
を参照されたい。

●小泉首相の靖国参拝にぶつける陰険さ
おまけに(中国共産党の指導下にある中国の映画配給会社が決めた)『パール…』の中国本土での封切りは8月の半ばである、と6月15日の人民日報(英語版)ホームページで報道された。 

つまり、中国共産党政府は日本の敗戦(中国の戦勝)記念日に合わせて、日米開戦の映画を公開しようというのだ。これでは『パール…』は事実上、中国共産党の宣伝映画になってしまう。 

しかも、これは、小泉首相が靖国神社参拝を予定している日とほとんど同時になる。そのとき、日中関係に関して中国の世論が、共産党支配下の官製マスメディアによって、どのようにリード(あるいはミスリード)されるか、注目されるところである。 

小泉首相は、戦没者を慰霊するという純粋な気持ちで参拝すると主張しているが、中国側は1978年以降、東京裁判のA級戦犯(中国政府が中国侵略の立役者とみなす政治指導者たち)が合祀されているので「侵略の美化」につながると言って反対しているのだ。

(筆者は首相の靖国参拝に100%賛成ではない。首相が宗教法人である靖国神社に公式参拝するのは、憲法の政教分離原則のゆえ若干疑義があるという立場である。が、中国に文句を言われる筋合いはないとも思っている) 

(もっとも、中国側にしてみれば、べつに小泉首相の参拝にあてつける意図は当初はなかったのかもしれない。元々2001年の8月には、1日の建軍記念日、半ばの『パール…』公開、15日の対日戦勝記念日をつなげて愛国心高揚キャンペーンを企画していたところへ、日本側が「首相の靖国神社参拝」などという、橋本派や野中前幹事長が自民党内の主流であった時代には考えられもしなかった「余計な」問題を付け加えたために、反応せざるをえなくなった、といったところかもしれない)

が、こういう上映日程を踏まえて、以下の中国各紙の『パール…』の取り上げ方を見ると、おのずと8月の封切り時の情景は見えてくるであろう。 

人民日報(中国語版)ホームページで「電影」「珍珠港」(映画『パール・ハーバー』という意味)をともに含む記事を検索した結果は、(リンク先も含めて)115件あったが、そのうち代表的と思われるものを以下に紹介する。まだ公開どころか完成もしていないうちから、中国の官製マスメディアがこぞって『パール・ハーバー』に期待しているさまが、よく分かるであろう(但し、簡体字中国語フォントが必要)。 

《北京青年報》 2001年5月26日 の転載(昨日全米ロードショーの記事。日本版は世界版と違うことも指摘)
http://www.peopledaily.com.cn/GB/wenyu/64/127/20010526/475036.html 

《南方日報》 2001年5月25日 の転載(戦争版「タイタニック」と紹介、日系人の上映反対運動も)
http://www.peopledaily.com.cn/GB/wenyu/64/127/20010525/474753.html 

《羊城晩報》 2001年5月23日 の転載(5月21日の空母甲板での試写会の記事)
http://www.peopledaily.com.cn/GB/guoji/25/95/20010523/472797.html 

《南方都市報》 2001年4月19日 の転載(盛大首映有請総統=大統領も見てほしい!? 5月21日にハワイの空母甲板で試写会を開くことと、映画も「タイタニック」級であることを紹介)
http://www.peopledaily.com.cn/GB/wenyu/64/130/20010419/446645.html 

《南方日報告》 2001年3月15日 の転載(世界電影史上耗資最大的影片「珍珠港」无縁来中国。中国でも公開されることの予告)
http://www.peopledaily.com.cn/GB/wenyu/64/127/20010315/418149.html 

《北京青年周刊》 の転載(2001年2月19日)(好来 重演「珍珠港」大戦。記事中に、日本鬼子=日本兵の蔑称あり。劇中のセリフ「我不想看見日本鬼子的旗子挿在来辛頓号上」より)
http://www.peopledaily.com.cn/GB/wenyu/64/127/20010219/398778.html 

《南方都市報》 2000年12月12日 の転載(史的巨片「珍珠港」曝光。記事中に、日本鬼子=日本兵の蔑称あり。劇中のセリフ「我不想看見日本鬼子的旗子挿在来辛頓号上」より)
http://www.peopledaily.com.cn/GB/channel6/33/20001212/346384.html 

こういう実態がある以上、やはり『パール…』の敵(かたき)を「原爆映画」で取るのは的外れと言わざるをえない。 

どうしても一矢報いたいのなら……ここから先は宣伝になってしまって恐縮だが……私が現在執筆中の小説『龍の仮面(ペルソナ)』(徳間書店より年末刊行予定)をハリウッドに頼んで映画化してもらって全世界に公開するのがいちばんよい。この小説は、北京五輪と台湾独立をテーマにリアリティーのあるシミュレーションとともに、近未来(200X年)の中国激動のドラマを描くものである。 

●配給会社に抗議メールを
でも、それにはまだ時間がかかる。だから、すぐできることから始めよう。
さる在米邦人が述べているように、アメリカでは、差別されても抗議しないマイノリティーグループへの差別は差別でなく「受け入れられた言論」とみなされ、際限なく繰り返される恐れがある(『正論』平成13年8月号p.155、阿部達郎「『パール・ハーバー』の上映を拒否せよ!」)。日本人が「自分たちを悪者扱いする映画を受け入れ、その制作者を喜んで儲けさせた」という既成事実だけは断じて残してはならない。 

なんとしても今年中にディズニーにもブラッカイマーにもベイにも「日本を敵にまわすと大損する」ことに気付き、二度と「江沢民製作総指揮」の映画など作るまいと悟ってもらいたい。 

ディズニーが一刻も早く、「親中反日映画ノルマ」から解放されるよう、本誌は日本中の映画ファンに、映画『パール・ハーバー』の全面ボイコットと、ディズニー傘下の配給会社ブエナ・ビスタ(日本法人)への「上映反対」のメールを送ることを呼びかけたい。 

これは、言論封殺ではない。アメリカ国内ではさまざまなマイノリティーグループが、自分たちの尊厳を傷付けるメディアの言論を是正するために、しょっちゅう実践していることである。映画会社などメディア側にはもちろん言論の自由はあるが、一般市民の側にもそれに反対を表明する言論の自由がある。これは、アメリカでも日本でも広く認められた国民の基本的人権である(だから、ディズニーも抗議されることには慣れているので、こわがることはない)。 

くれぐれも、「敵」が中国政府であることを忘れないように。ディズニーは敵ではない(中国の一般庶民だって敵ではない)。 

したがって、ブエナ・ビスタ社への抗議は、礼儀正しく合法的なものでなければならない。
絶対に違法なこと、たとえばブエナ・ビスタ社やディズニー社のWebページへの無断リンクなどはしてはならない。 

但し、「ディズニーグループの製品やサービスへの意見は歓迎する」旨が両社のWebに明記されているので、『パール・ハーバー』についての意見をメールで送る(ことを奨励する)のは違法ではない(このことを示すWebページのアドレスを書けば、筆者の主張の「合法性」はよりはっきりするが、それをすると「無断リンク」になる恐れがあるので、省略する)。 

抗議メールは
info@movies.co.jp 
宛に礼儀正しくお願いしたい。 

そして、この抗議行動は、『パール…』のDVD/ビデオの発売/レンタル開始時、ペイテレビ放映時、地上波テレビ放映時にも繰り返して行わなけれなばない。この映画の製作関係者には、この映画に関してだけは、絶対に損をさせなければらならいのだから。 

●「対ハリウッド外交」が必要な時代
『パール…』は全世界での興行収入の合計が4億ドルを超えないと黒字にならない、製作費のかかり過ぎた超大作映画なので、アメリカでの成績が2億ドルに届きそうにないと予測されている現状では、すでに「大儲け」は不可能な情勢だ(通常、アメリカでの数字を2倍したものが全世界の興行収入と予測される)。 

が、7月上旬に1億8000万ドルはクリアした。この数字を、同じ米国内の興行収入で他の作品と比較すると、『タイタニック』『スターウォーズ・ファントムメナス』には遠く及ばないものの、あの『マトリックス』を超えており、もはや2001年の年間ベスト10入りは確実だ。 

となると、これは「ヒット作」の範疇にはいってしまう。
非常にまずいことになった。中国政府は「対ハリウッド工作」によって中国のための国策映画を作らせることに成功してしまったのだ。彼らがこれに味をしめて同じことを二度、三度、ディズニー以外の映画会社をも対象にして繰り返したら、どうなるか?
日本政府は、対策を真剣に考えたほうがいい。 

少なくとも、在ロサンゼルス日本総領事館の外交機密費の一部は、対ハリウッド工作に使われるべきである。 

(敬称略) 

--佐々木敏(+「週刊アカシックレコード」編集部/サポートスタッフ) 

追伸1:
本メールマガジンは筆者(佐々木敏)のサポートスタッフにより運営されており、本号は創刊第三号です。創刊のご挨拶は
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  • 小説家。00年『ゲノムの方舟』(徳間書店)でデビューし朝日新聞など17紙誌が絶賛。ほかに産経抄が紹介した『龍の仮面』、NHK-BS『週刊ブックレビュー』で笑賛された『中途採用捜査官@ネット上の密室』など。

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