北京五輪は実現するか:週刊アカシックレコードmail版創刊準備号
発行日時: 2001/7/12■北京五輪は実現するか:週刊アカシックレコードmail版創刊準備号010712■
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米ブッシュ政権もダライ・ラマも「北京五輪」に反対しないと表明している。2008年五輪が北京で開催されると、中国は経済的には利益を得るが、政治的軍事的には大打撃を蒙りかねない。なぜなら台湾の独立を阻止しにくくなるからだ。中国のチベット侵略等を理由に中国にもっとも批判的なブッシュらの「反中国派」が北京五輪に消極的ながら支持を表明する最大の理由は、実は五輪を利用して中国を「押さえ込む」ことにある。つまり、今回北京は奇妙なことに、親中国派、反中国派双方の支持で五輪招致合戦に当選しそうなのである。
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●8割方「北京当確」
いよいよ来たる2001年7月13日、モスクワのIOC総会において、2008年夏季五輪の開催地がIOC委員の投票で決定される。
立候補している5都市のうち、最有力は北京と言われている。この理由は、五輪を機に中国経済が発展すれば世界経済にとってプラスになるから、などと中国の五輪招致派(江沢民主席や北京政府)や世界中の中国シンパは主張している。
が、人権問題やチベット侵略を理由に、日頃「反中国的な」態度を取ってきた米国(とくに共和党)の政府や亡命チベット人(ダライ・ラマ)までもが「敢えて反対しない」とすることにはウラがあると見なければならない。すくなくとも米ブッシュ政権は、中国に五輪をやらせて世界との交流を盛んにし、中国国民が「世界のルール」を知る機会を増やしたほうが、人権問題の改善に役立つと主張している。
つまり、今回北京は奇妙なことに、親中国派、反中国派双方の支持で五輪招致合戦に当選しそうなのである。
●江沢民の一抹の不安
が、筆者は、「北京当選」を予言しない。理由は、中国の五輪招致派のリーダー、江沢民国家主席が「一抹の不安」を抱いているからだ。それがある以上、落選確率はまだ2割ぐらいあると見ないわけにはいかない。
実は、7月13日のモスクワのIOC総会の翌々日の15日、江沢民はモスクワを訪問して、プーチン露大統領と中露首脳会談をしたあと、ベラルーシなど旧ソ連数か国を歴訪し、7月下旬まで北京を留守にするという。この外交日程を聞いたとき、筆者は仰天した。もしかして、江沢民のあたまは超ド級の……などと失礼なことを思ってしまった。
が、無理もなかろう、2つの可能性しかないのだから。
1. 北京が当選して、翌々日中露首脳が会う場合
2. 北京が「落選」して、翌々日中露首脳が会う場合
必ずどちらかになる。「1.」なら問題ない。中国および江沢民の威信は、世界の外交舞台で大いに高まる。が、もし「2.」なら、中国の威信は失墜し、傷心の江沢民はとても外交交渉などできる精神状態ではなくなる。
もし、「絶対当選」と決め付けてこの日程を組んだのなら、江沢民は、国家の威信を危険にさらした愚か者と呼ばれてもおかしくない。政治生命すら……。
●「落選保険」をかけた江沢民
……と心配していた筆者だったが、モスクワ訪問の内容がわかって納得した。江沢民は今回のモスクワ訪問では外交的駆け引きなどはあまり必要でなく、むしろ事前にアレンジされている中露善隣友好条約の調印などの「セレモニー」に終始するという。
なるほど、これなら、たとえ北京が落選しても、直後の人民日報などの官製メディアのトップニュースで「大国ロシアと肩を並べた中国(および江沢民)」の威信の高まりを、映像付きで報道できる。したがって、威信の低下はカバーされ、政治的ダメージは最小限で済む。しかも、そのあと、江沢民は旧ソ連数か国の外遊を続けて下旬まで帰国しないので、北京で「五輪招致に失敗したダメな指導者」として非難を浴びることもない。彼は、落選のほとぼりが冷めた頃、外交的成果をひっさげて帰国できるのだ。
そのうえ、15日の江沢民訪問の警備のため、モスクワ市はその前後一週間ぐらいは厳戒態勢にはいるから、当然「北京五輪開催反対」を叫ぶ人権NGOや亡命チベット人組織の強硬派は、モスクワから追い出される。したがって、IOC委員が投票直前に彼らの抗議行動を見て心を動かされる(北京を落選させようと思う)可能性も低くなる。
つまり、江沢民は、投票を有利にするために、あるいは、「北京落選」による威信の失墜をカバーするために、いわば一種の「保険」として、15日のモスクワ訪問やその後の外交日程を組んだようなのだ。
というわけで、江沢民がここまで不安がっている以上、筆者は「100%北京当選」とは言えないのである。
●「ブッシュの密使」もモスクワ入り
もっとも、アメリカ政府は、逆に「100%北京」とすべく行動しているのだから、江沢民の心配は杞憂かもしれない。
IOC総会の前日の12日には、米ブッシュ政権の安全保障担当大統領補佐官のコンドリーザ・ライスもモスクワ入りする。表向きはイワノフ外相とのミサイル防衛問題などの協議「だけ」が目的とされているが、当然彼女はIOC委員たちに「アメリカ政府は北京に五輪を『やらせたい』のだ」と真意を伝える機会を持つことになろう。だから、江沢民もそこまで不安がる必要はないのだが、現実に中国政府はいままでさんざん人権弾圧で手を汚してきたし、それを理由に1993年のIOC総会では、2000年夏季五輪招致でシドニーに負けた(直前に米議会で北京五輪開催反対決議が可決された)のだから、彼が神経質になるのも無理からぬところか。
実は、筆者が現在執筆中の小説『龍の仮面(ペルソナ)』(仮)(2001年末、徳間書店刊行予定)は、2008年に北京五輪が開催されるという前提で構想を立てていたので、当選してくれないと執筆を先へ進められない(筋を変えないといけない)ので、当選してほしいと願っているのだが……。
ダライ・ラマとは違う意味で、筆者も一種の「反中国的な北京五輪支持者」なのである。
(敬称略)
-- 佐々木 敏(+「週刊アカシックレコード」編集部/サポートスタッフ)
追伸1:
本メールマガジンは筆者(佐々木敏)のサポートスタッフにより運営されており、本号は創刊準備号です。7月17日(水)配信予定の創刊第一号は、
「『パール・ハーバー』 -- だれが何のためにこの映画を作らせたのか」(仮)
です。これは、アメリカの素朴な国民感情や社会の風潮を一切「無視」して、映画制作スタッフの内部事情のみを根拠に「真犯人」(意外な勢力)を推理したものです。
創刊のご挨拶は
http://plaza12.mbn.or.jp/~SatoshiSasaki/admin/regist.html#greeting
にございます。
追伸2:
このmail版記事の背景「北京五輪vs.台湾独立」を説明した論文は、長すぎるので
メールマガジンでは配信せず、Webサイト
http://plaza12.mbn.or.jp/~SatoshiSasaki/dragon/note.html#olympic
に載せてありますが、この記事と重複した部分はありません。
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拙著『ゲノムの方舟』(2000年、徳間書店刊)の内容はこちら
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