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ブラジル・南米の政治経済ニュース。(アナ・ログ翻訳事務所提供)




Brazil Today

発行日: 2002/7/13

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Brazil Today                                              2002 / 7 / 15(59号)
日系企業ビジネスマンのための週刊誌           (毎週月曜日配信。無料購読)
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目次:
■労働党の経済政策、政府は調整者として積極行動
■上半期貿易収支、輸入減にて26億ドル黒字
■ブラジル大豆の仕向け先、中国向けが増大
■製鉄業界の話題、CSN外資導入交渉とセアラ製鉄建設
■ペトロブラスのグロー社長「YPF購入に関心」と発言
■国庫に550億レアル、債務支払に問題なし
■スチグリッツ博士、通貨基金を酷評
■アルゼンチン、来年3月の総選挙へ発進
■ボリビア大統領選挙、コカ支持候補者が第二位
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■労働党の経済政策、政府は調整者として積極行動

 6月下旬の労働党PTの全国幹部会議にて「ルーラ政権誕生した場合の経済政
策」が承認され、公表された。その内容は監督官庁の権限を増大し、経済に対
する連邦政府の関与を高める傾向が強く、労働党は「政府は独占および寡占状
態の略奪的態度に対して監督者または調整者として積極的行動を採る必要があ
り、この目的に沿って政府の調整機関の能力が強化される」という構想を抱い
ている。

 労働党の政策構想は6ヶ月の党内討議の産物、労働党が政権を得た場合でも
可能な限り平静に市場を維持する目的で発表された。報告書の調子は慎重その
もの、転換期においても今までの契約および規定は尊重され、報告書の中で
「我々の政府は魔術のような公約をしない」と述べている。問題別の政策を列
挙すれば下記の通りである。

経済>新経済モデルへの移行に際して、第一次収支黒字とインフレの測定方法
と目標を維持する。原則は市場への連邦政府の統制機能を支持、契約を尊重す
る。経済安定、生産的な外資投資を奨励する。

通商>メルコスールを再実施、共通の政治・司法機関を設置、単一共通の域外
政策を進める。米州自由貿易圏FTAAの新交渉を提案、大統領直結の輸出庁を創
設、競争力ある輸入補完を奨励する。

税制改革>現行0.38%の小切手税CPMFを0.08%へ減じ、脱税対策を主目的とす
る税に変える。税遡及および累積税を廃止、輸出に対する課税負担を軽減、流
通税ICMSを単純化し、付加価値税IVAへ変革する。財産および遺産に課税、中
流サラリーマン階級と大量消費財への租税負担を軽減する。

労働改革>労組中央会を社会階級団体として正式に認証し、労働総合法改革を
議論する被雇用者、雇用主、政府の各代表から構成される労働フォーラムを創
設する。

農地改革>土地を有しない農民50万家族の入植を実現、200万人の雇用を造
成。憲法中に土地取得の基本規定として、公共利益に基く土地押収を追加す
る。

政治改革>選挙運動に対する公共資金の融資、比例代表制に党指定順位リスト
による当選。党忠実性の導入、政府代表の比例制度に対する措置。
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■上半期貿易収支、輸入減にて26億ドル黒字

 上半期の貿易収支は輸出250.52億ドル、輸入224.46億ドルにて26.06億ドル
の黒字となった。6月のみでは輸出40.79億ドル、輸入34.04億ドル、収支
6.75億ドルの黒字。なお、6月輸入が5月に比して大幅の減少となっているの
は税関検査官のストが大きく影響を及ぼしているといわれる。

ただし、1月にはバリグの業務縮小による航空機返還3.57億ドルが輸出に
含まれており、これ以外の黒字原因は輸入減によるもので、6月輸入額は95年
以来の最低額、輸出増加でない点が悲しい。上半期の地域別輸出は最大の減少
を見たのはメルコスール向けで58.6%減、その他の地域ではアメリカ向け
2.8%、ヨーロッパ連合向け15.3%、アジア2.7%、東欧8.1%といずれも減
少した。
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■ブラジル大豆の仕向け先、中国向けが増大

 ブラジル大豆の仕向け先がこの5年間に大きく変化した。ヨーロッパ連合へ
96年に300万トン(輸出総量の82.2%)を輸出していたが、2001年には1,005
万トン(64.1%)と量的には235%の増大、だが、シェアは18.1%の縮小。こ
れに対し、中国は96年にはわずかに1.5万トンに過ぎなかったのが、5年後に
は319万トン(20.4%)を占めるに至った。これは中国政府が国内精油工業の
振興措置を採用したことに基く。日本向けは96年31.7万トンが77.8万トンと倍
増、だが、シェアは8.7%から4.9%へ減少した。
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■製鉄業界の話題、CSN外資導入交渉とセアラ製鉄建設
CSN、英蘭資本とコルスと株式持合交渉

 ナショナル製鉄CSNとイギリス/オランダ資本のコルスCorusとは相互に株
式の一部を持ち合う交渉を開始した。コルスの資本10%にCSNが出資、CSNの
資本の20%にコルスが出資、同時にCSN負債の一部をコルスが肩代わりするの
が交渉の内容。開発銀行BNDESはCSNの支配者ビクーニャへ5億レアルの債権
を有しており、外国資本の導入によって負担が軽くなると交渉を歓迎してい
る。

 コルスは99年にイギリスのブリティッシュ製鋼とオランダのホーゴベンスと
が合同して発足した年産1,810万トン、ヨーロッパ第2位、世界第6位の製鋼
会社、CSNは年産400万トン、世界49番目である。

 なお、世界第一の製鋼会社はヨーロッパのウジノル、アセラリア、アルベッ
ドが合同してできたアルセロル(4,310万トン)で、ブラジルではアセジッ
タ、CSTを支配しており、第二がPosco(2,780万トン)、第三が新日鉄
(2,620万トン)。以下はISPAT、上海バオス、コルスの順。

セアラ製鉄建設にバーレ、韓国、イタリアが合意

 バーレ・ド・リオドッセ、韓国企業ドンクック、イタリア企業ダニエル、お
よびセアラ州政府の代表者が7月4日に会談し、セアラ州ペセン港に製鉄工場
を建設する件に関して原則的な合意を得た。プロジェクトは総額5.6億ドル、
年間150万トンの鋼板を製造、輸出3.4億ドルの収入を見積もる。コーディネ
ーター銀行はウニバンコス、協力銀行はイタリアのメジオクレジット・セント
ラレおよびブラジルの開発銀行BNDES。州政府は土地および免税措置を提供す
る。
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■ペトロブラスのグロー社長「YPF購入に関心」と発言

 ペトロブラスのグロー社長はマドリッドにおいて「未だレプソルYPFと交渉
したわけではないが、もし、レプソルがYPFを手放す気があるのなら、購入し
たい」と発表。これに加えて「ペトロブラスはアルゼンチンへ1.4億ドルを投
資する意図を有し、米国のデボンエネルギーサンタフェの精油所購入を交渉
中。優良な資産で適正な価格であれば、すべての可能性を検討しており、アル
ゼンチンの危機克服と経済再建を確信、また、レアルは年末までに安定する」
と語った。
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■国庫に550億レアル、債務支払に問題なし

 民間会社への国際資金調達の困難性からブラジルのカントリーリスクが上昇
しているが、国庫のサルデンベルグ事務局補佐官は「政府債務返済の準備金と
して、国庫には550億レアルが用意されており、政府が証券を市場で売却でき
ない最悪の事態に陥った場合でも、2003年第1四半期末までの債務返済は保証
されている」と語った。ここ3週間にわたり、政府は国債売出しを停止してい
るが、これは市場の条件が望ましい状態になかった故であり、国庫は市場で資
金調達できないとは読み違えも甚だしい」と説明した。

航空会社へ開発銀行を通じて援助

 業界への資金援助としては資金難に悩む航空業界への融資がある。開発銀行
BNDESが航空会社の空港公社Infraerに対する債務、バリグ2.4億レアル、バ
スプ1.1億レアル、TAM7200万レアル、ゴール1,100万レアル、合計4.33億レ
アルの支払について期限30ヶ月の融資を実行する。利率は中銀基本金利プラス
1%。
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■スチグリッツ博士、通貨基金を酷評

 2001年度の経済ノーベル賞受賞、世銀IBRDの元経済主任、現NYのコロンビア
大学教授のスチグリッツ博士は、現在の国際通貨基金IMFの幹部に対し「一流
大学出の三流スタッフ」と酷評を下し「アルゼンチンは通貨基金を必要とせ
ず」と語った。

通貨基金に頼らず、成功した例

 アルゼンチン危機に通貨基金に頼る以外に解決の道はないというのは詭弁に
過ぎず、独自の方法で危機から脱出した3例がある。その第一はマレーシアで
あり、危機に際して基金から「勧告に従わないならば、如何なる事態が発生し
ても当方では責任を持たない」と脅かされたが、韓国と全く反対の処方を採
用、危機から脱出した。即ち、資本出入の統制、財政不均衡の過剰支出、低金
利政策を採り、今日の経済好調を得ている。

第二の例はモラトリアム宣言後のロシアである。通貨基金が貸し付ける資
金の大部分が国際金融機関が有する債権確保に使用されるのを知ったロシア政
府は基金の要請した条件の一部を履行せず、通貨切り下げを実行、その効果に
より経済を立ち直らせた。第三例の中国の場合、資本は統制され、急速な民営
化は実施されていなかった。

基金はアルゼンチンを救わず

アルゼンチンの場合、政府が通貨基金の条件を満たし、融資を受けられて
も問題は解決しない。何故なら、基金からの融資はアルゼンチン企業が輸出を
振興させる目的に使用されないからであり、招くのは不景気ばかり。アルゼン
チンに必要なのは企業による生産を復活させるための資金である。メキシコが
復活したのは基金からの融資ではなく、米国の企業から出た輸出向け融資、生
産再開の資金であった。

「ブラジルが直面している為替問題は投機資本に対する短期資本市場の開
放であり、その証拠に資本市場が閉鎖されている中国およびインドでは為替問
題は発生していない。これに対処する方法は未開発、富裕国の場合は防止でき
たが、途上国では困難、この点を考慮し、手を指し伸べるべきである」と述べ
た。
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■アルゼンチン、来年3月の総選挙へ発進
ドゥアルデ大統領、3月選挙を発表

 ドゥアルデアルゼンチン大統領は7月2日「2003年9月に予定されていた大
統領選挙の時期を早めて3月とし、就任は5月25日とする」と発表した。大統
領は「就任に際しての使命は無政府状態に陥った国家を救済、経済停滞を逆転
させることにあり、国際通貨基金IMFとの合意が近付いた現在は民意を問い、
次段階へ進むべきである」と語った。

 政府も基金も否定しているが、アナリスト達の間では「早期選挙は通貨基金
からの差し金」と見る向きが強い。ウゴアイネ調査機関が先週、調査した結果
では、正義党PJではサア氏12.8%、ロイットマン氏12.1%、メネン氏9.7%。
急進市民党UCRはデラルア元大統領の失政で支持率は5%以下へ下がり、代わ
って、中道左派の平等共和党ARIが勢力を得て、党を率いるエリサ・カリオ女
史の支持率は17.1%に達しており、対抗できるのは今までに汚職のない唯一の
正義党員、ロイットマン氏のみと噂される。

国民は年内選挙を希望

 ドゥアルデアルゼンチン大統領は7月2日「来年度9月に予定された選挙を
早めて3月とする」と発表したが、国民の大部分は更に時期を早め、年内の選
挙を望んでいる。イボペOPSNが最近調査いた結果では63%が年内に大統領を選
挙するばかりでなく、県知事、国会議員を含む総選挙を希望し、また、大統領
自身も総選挙の可能性を支持している。同時に行われた調査では、有権者の
91.9%は「現在の政治家をすべて追放する」ことに賛成という。

 現時点において次期大統領として最も有力なのは正義党PJ、元F1パイロッ
ト、ロイットマン現サンタフェ県知事で支持率46.5%、第二位が平等共和党
ARIのエリサ・カリオ下院議員38.4%である。しかし、サンタフェ県のロイッ
トマン知事は7月10日「次期の大統領選挙に出馬せず」と発表した。彼は正義
党内で最有力の大統領候補、同じ派のドゥアルデ大統領、コルドバのデラソタ
県知事は落胆、競争相手の少なくなったメネン元大統領、大統領の最有力候補
となった平等党ARIのエリサ・カリオ女史は大喜びという。

深刻化した危機に大統領は悲観的演説

 3月にドゥアルデ氏が大統領に就任した際に「7月9日の独立記念日には4
年間にわたる不況の終焉を祝うであろう」と楽観的な予想を述べたが、7月9
日にツクマンで行われた演説は「我が国は危機状態に陥っており、基礎から再
建する必要がある」という悲観的なものであった。

 本年度の上半期の実績は前年同期に対して、ペソ下落71.5%、インフレ(消
費者物価指数)30.5%、卸売り物価指数87.2%。国内総生産GDPの低落は第1
四半期は前年同期に対し16.3%、不況に入った98年下半期以降の下落は25%に
達している。経済活動の指数は5月までで建築35.1%減、工業12.3%減、ショ
ッピング11.7%減、スーパーだけは10.4%増。輸出は6.0%下がり、失業率は
23.0%、国民は貧しくなり、昨年10月に30%であった貧困階級は現在50%を超
えていると政府も認めている。
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■ボリビア大統領選挙、コカ支持候補者が第二位
バンセル大統領逝去により6月選挙

 ボリビアのバンセル前大統領は71年から78年までの独裁者で、一時は政権か
ら離れていたが、97年8月の選挙で民主大統領として返り咲いた。しかし、肺
ガンで入院したのは昨年の7月、8月には大統領職をキロガ副大統領に譲り、
本年5月に逝去した。キロガ副大統領の任期はバンセル大統領の残余の本年度
8月までなので、6月30日に大統領選挙が行われた。憲法に基けば、第一次投
票において過半数の得票者がない場合は上位2人の中から上院27人、下院130
人、合計157人により選挙されると定められている。

大統領立候補者中に異色の追放議員

 6月選挙に立候補したのは11人。この中で有力なのは、全国革命党MNRのサ
ンチェス・デ・ロサダ元大統領、共和新勢力党NFRのレイェス・ビラ氏、社会
主義運動党MASのモラレス追放国会議員、左翼革命運動MIRのサモラ元大統領
の4人。この中で注目の的はモラレス氏、政治家のほとんどが白人なのに唯一
のインジオ出身、ヨーロッパの人権主義者団体から95年度のノーベル平和賞に
推薦された人物で、コカ栽培のチャバレから立候補、『清き一票をコカに』の
標語で選挙区の70%の得票を得た。同区の警察と栽培農民の対立から、警官側
に数十人の死者を出し、責任者と見做され、国会から追放された。一説によれ
ば、追放はアメリカからの圧力ともいう。

米国大使、全候補者から顰蹙を買う

噂でも判るように、ロッチャ米国大使とは猿犬の間柄。米国大使は種々の
手段を弄して、コカ栽培者の支持を受けたモラレス候補の当選または連立を阻
止しようとして「コカ業者である彼に投票すべきでない」と触れ回り、他の候
補者から顰蹙を買っていた。大使は「モラレス氏が大統領になれば、米国は援
助を打ち切り、経済封鎖を断行する」と宣言、この明らかな選挙干渉に他の候
補者達も不快の意を表していた。

レイェス候補は「米国大使に敬意を表するが、ここは我々の国土」といえ
ば、サンチェス元大統領も「米国大使の宣言を嘆く。我々には我々の民主主義
の誇りがある」と語った。サモラ元大統領も同意見。攻撃の対象となっている
モラレス候補は「当選したならば第一に麻薬対策局を閉鎖する」と宣言した。
米国独立記念日の7月4日、米国大使は3年の任期を過ごした祝典を開いた際
に、モラエス氏から贈り物として一枚のコカ葉が届けられた。

接戦の末、モラレス第二位で開票終了

 選挙は6月30日、コッパ戦のブラジル対ドイツの決勝戦終了直後から投票が
開始され、即日90%の開票の結果、第一位はロサダ氏21.7%、第二位レイェス
氏20.2%、第三位がモラレス氏17.8%、サモラ氏15.6%。しかし、地方区の開
票が送れ、4日までに95%、5日には開票99.19%まで進んだが、第二と第三
の差は0.071%で約4,000票。未開票は2地区、悪天候に妨げられ、ラパスに
到着できず。

 開票の終了したのは7月9日夜、第一位は全国革命運動MNRのサンチェス・
デ・ロサダ元大統領624,126票(22.46%)、第二位が社会主義運動MASのモ
ラレス581,884(20.94%)、第三位が共和新勢力党のレイェス581,163
(20.91%)とわずか721票の差でモラレス氏が第二位となり、8月4日の国
会での大統領選出はロサダ氏とモラレス氏が争うこととなった。

ボリビア農村、唯一の換金作物はコカ

 モラレス氏の二位躍進の秘密を理解するにはボリビア農村の実情を知る必要
がある。ボリビアの西部、コチャバンバから数十キロの地点、アンデス山岳地
帯からアマゾン盆地が始まるチャパレ地区にビラツナリという約40軒の寒村が
ある。この部落へオ・エスタードSP紙のサンターナ記者が訪問した。現地に到
着したのは7月2日の午後、家にはウンベルト君(22才)、エルシリアさん
(20才)および4人の弟妹がおり、家長夫妻はやや離れた500平方メートルほ
どの畑でコカの手入れをしていて不在。ウンベルト君もエルシリアさんも中学
在学中であるが、職がなく家へ戻ってきた。

 この畑は53年の農地改革によって取得した土地で、灌漑されており、半分に
米、マンジョカなど自家消費物を植え、残り半分がコカ畑である。3年前に兵
隊が来て「コカ植付は禁止」と言って抜いてしまったため、パイナップルを植
え、60個を収穫。しかし、1個がUS$0.03では生活できず、再びコカを植え付
けた。コカは年4回、一回に2包みの収穫が可能、1包みがUS$56、年間
US$450の現金収入になるといわれる。

強制抜根するパトロール隊、だが、密林中にコカ畑

 ボリビアの国内総生産GDPは80億ドル、この中で70年代にはコカが4億ドル
と約5%を占めていた。しかし、アメリカは8,000万ドルの援助の代償にコカ
撲滅を要求、ロサダ大統領は93年にコカ抜根を開始、初年度にはヘクタール当
りUS$2,500の補償金を約束していた。だが、その後は方針を変更、バンゼル大
統領が農村パトロール行動隊を組織、給料US$100、食費・住居・その他手当て
付きで旧警官、退役軍人を主とする隊員を募集、強制的抜根を強行した。

 政府のコカ抜根促進運動はアメリカの強力な参加による地区開発計画との混
合の産物、チャパレを通るコチャバンバ/サンタクルス街道はしばしば浸水す
るが、アメリカ援助基金USAidによって修理される。警官と軍隊による検査は
全土にわたり実効されており、特にコカイン製造資材に目を光らせている。だ
が、熱帯に住むボリビア人達は警官の目の届かない密林の中に小さな畑を開
き、わずかな生活費を得ている。

インジオの人権擁護を主張するモラエス氏

 チャパレ地方のコカ栽培者の支持により第二位となったモラレス氏は「大統
領となる可能性は少ない。しかし、当選したならばコカ栽培を自由化する。米
国と外交断絶する気はないが、我が国の政治と軍隊を牛耳る米国麻薬対策局
DEAは退去して貰う」と語った。

 社会運動党のモラエス氏の予期せぬ進出に関して、政治アナリスト達は第一
に既成政治家に対する幻滅と第二に国内政治に対するアメリカの過剰干渉への
反感を理由に挙げている。選挙の3日前にもロッチャ米国大使は「コカ党の候
補は麻薬組織と結託しており、彼が大統領に当選するならば、米国政府はボリ
ビア商品を米国市場から閉め出す」と発言したが、ブラジル政府のマイエロビ
ッチ麻薬対策局長は「モラレス氏を悪魔とするのは無駄な努力、彼はインジオ
の持続的発展の闘争により世界人権擁護団体から好感を持って受け入れられて
いる」の意見であった。ボリビアは人口の55%がケチュア族、アイマラ族など
のインジオ、30%が混血、15%が白人の人種構成の国、今までは政治的にイン
ジオを代表する者がいなかった。

元気付く南米のインジオ団体

ボリビア大統領選挙におけるモラレス氏第二位の成績は南米各地のインジ
オ社会に種々の反響をもたらせている。政治評論家のザンブラ氏は「アンデス
インジオ団体はここ数年間に急速に発展、エクアドルではマウアド政権を倒
し、ボリビアでは街道封鎖に始まり、大統領選挙第二位までに成長した」と述
べた。

コロンビアインジオ機構Onicのバルブエナ会長は「ボリビア大統領選挙に
てモラレス氏第二位進出はアメリカのネオリベラリズム独裁からアイデンティ
ティと土地を守るために戦う南北アメリカのインジオにとって重要な事件であ
る」と語る。同国の人口は4,000万人、その中でインジオは100万人と見積も
られ、国会へ5人、州知事1人がインジオ出身者である。

ペルーは以前のインカ帝国の中心であっただけにインジオ人口が多く
1,300万人、総人口の46%を占める。農業連盟のクレメンテ会長は「モラエス
氏が我が国のトレード大統領にならぬことを期待する。大統領はインジオ出身
でありながら超右翼、通貨基金と世銀の代弁者となった」と批評。エクアドル
は人口1,200万人の40%がインジオ、だが、国会議員はわずかに3人、その一
人であるタラグア国会議員は「誇りと思う。モラレス氏は我々も同様な権利を
有する点を示してくれた」と発言した。
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メールマガジン: Brazil Today
著者(現地ブラジルで執筆): 大岩國男
編集: 大岩幹男
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