ブラジル・南米の政治経済ニュース。(アナ・ログ翻訳事務所提供)
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Brazil Today
発行日: 2002/4/27━━■ P R ■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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Brazil Today 2002 / 4 / 29(48号)
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目次:
■化学兵器禁止機構ブスタニ総務、米国のイラク攻撃阻止
■通貨基金、ブラジル経済を賞賛、慎重な通貨政策を要望
■デジタルTV選考、交換条件を要求
■貿易会議所、鋼材保護措置実施せず
■日本、ブラジルのえび輸入開始
■コニカ、7百万ドル投資のマナウス工場開設
■アルゼンチン、銀行無期限休日、経済相が交替
■中南米の一人当り所得、アルゼンチン1位から9位へ
■ベネズエラクーデター裏話を米国雑誌が暴露
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■化学兵器禁止機構ブスタニ総務、米国のイラク攻撃阻止
アメリカのイラン攻撃に反対したブラジル人
ブッシュ米国大統領は本年1月に「世界に悪の枢軸があり、それは北鮮、イ
ラン、イラクの3国である」と定義。更に3月中頃、大統領は「イラクは大量
殺人兵器を所有、国連はサダム・フセイン大統領に兵器視察を認めるように説
得すべきであり、我々はイラクに対抗する戦線を結成しよう」とアフガニスタ
ン侵攻に次ぐテロ対策第二段階としてイラクを対象とする話を英国へ持ちかけ
た。
しかし、イラク攻撃を実行するには化学兵器禁止機構Opaqという国際機関総
会の承認を得なければならない。機構はオランダのハヤに存在し、加盟国は
145カ国、総務理事はブラジル外務省から派遣されたブスタニ氏。3月19日に
突然、米国政府は機構の総務理事更迭を要求する文書を提出。米国国務局報道
官は「機構は危険兵器の縮小を考慮せず、総務理事はその職に不適任な人物、
理由は財務管理が悪く、技術部門の意欲を引下げた」と説明した。だが、真相
は彼が中立的態度を示し「イラクも含めた相互の話し合い」との意見を有し、
米国のイラクに対する懲罰動議に反対したのが原因の模様。ブスタニ総務はイ
ラクを機構に加えての話し合いを主張、アメリカ側は三悪の枢軸の一つ、イラ
ク攻撃を要求する。
金力も利用した米国、傍観したブラジル政府
機構は理事会47カ国代表を招集、ブスタニ総務理事の更迭を投票した結
果、更迭に賛成が17国、反対はブラジル、中国、ロシア、キューバ、イランの
5カ国、棄権18カ国にて、米国は更迭承認に必要な32票を得られなかった。残
された総務理事から解任する手段は総会を招集して決議しなければならず、承
認には過半数の73カ国の賛成を得る必要がある。フランスを除くヨーロッパ連
合、カナダ、日本は解任賛成。メキシコ、ロシア、中国、インド、キューバ、
ブラジルはブスタニ支持。中南米、カリブ諸国は米国の圧力によって反対する
のが困難な立場にある。
投票を控えて米国政府は総務理事排斥に忙殺、新聞の伝えるところでは、
機構に勤めるアメリカ人25名と会議し、勤務態度に関して話し合い、また、会
費未納国は投票権がないとの規定なので、投票と引き換えにアジア、中米、ア
フリカ諸国の会費未納分を立て替え支払するなどの工作を行っているという。
なお、アメリカが主張する総務理事解任の理由は「不適任」のみ。ブラジル政
府は消極的に総務理事に協力する意味から会費103万ドルを支払ったが、外交
立場として積極的に行動してアメリカに対抗するのは好ましくないとして傍観
する立場に留まり、ブスタニ個人の活動に任せている。
米国の圧力でブスタニ総務理事解任
化学兵器禁止機構のブスタニ総務理事は4月22日の総会で解任された。投票
の結果は解任賛成48カ国、反対7カ国、棄権43カ国。反対票を投じたのはブラ
ジル、中国、ロシア、メキシコ、キューバ、イラン、ベラルーシ、大部分のラ
テンアメリカ諸国は棄権した。このようにイラク攻撃に反対した機構のブスタ
ニ総務理事が解任された。だが、米国の評論家マクスウェル氏は「この一連の
事件で評判を悪くしたのはブッシュ米大統領、名を轟かしたのは解任されたブ
スタニ氏の方でである」と批評した。
ブラジル政府は9月11日の事件に際して迅速に行動、ラテンアメリカ諸国を
糾合し、テロ反対に結集させたが、同時にカルドーゾ大統領は「対抗する軍事
行動を含む反撃を支持する。だが、反撃が狂気となることを恐れる。不寛容の
精神に引き摺られ、同様の狂気を発揮してはならない」と寛容の精神を主張、
これがブスタニ氏の行動にも反映しており、この後のイラクに対するアメリカ
の態度を拘束するであろう。
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■通貨基金、ブラジル経済を賞賛、慎重な通貨政策を要望
通貨基金、ブラジルに注意警報
国際通貨基金IMFはブラジル政府に対し通貨政策実施に注意警報を発し
た。基金と世銀IBRDの春季総会の開会に際して、発表された『世界経済展望』
によれば「ここ数ヶ月の通貨政策に緩みが感じられ、インフレ目標達成を保障
するには更に慎重なる態度が必要」の意見が記載されている。
金利のインフレへの影響は左程でない
中銀は信用度を高めるためにインフレ目標を定め、2001年の目標は達成で
きずに終ったので、本年度は目標5.5%を履行するのため、更に慎重に行動し
ている。しかし、過度の慎重さは本年初めから始まった経済回復の流れを損な
う恐れもある。年間インフレの市場期待値は1月5.32%であったが、4月上旬
には5.32%まで上がっている。インフレに対する最も強い圧力は電力料金、燃
料価格などの政府管理価格に基づくものであり、金利はそれほど重要な要因で
はない。
インフレを差し引いた実質金利は年10%と非常に高く、消費と投資を抑制
するばかりでなく、財政支出を高め、経済成長を損ねている。石油価格の不安
定により如何なる程度まで上昇するか不明であり、これが直接、間接にインフ
レに与える影響を憂慮する点は認める。他方、為替の動向は落ち着いているに
しても、ブラジルは過剰ドルを受け取っており、残高が縮小するリスクのある
点を認識しなければならない。
基金のブラジル経済予想
基金のブラジル経済予想はインフレが広汎消費者指数IPCAの年平均
3.9%、国内総生産GDP成長2.5%、2003年は3.5%。基金はブラジル経済を
賞賛しているが、経済調査のロビンソン副理事は「公共債務の高水準に注意す
る必要があり、特にドル建て証券が多いのが経済の弱点である。財政目標は第
一次収支の国内総生産GDPの3.5%を継続し、また、債務と輸出のパーセント
を低下させるように経済を更に開放すべきである」と語った。
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■デジタルTV選考、交換条件を要求
電話庁Anatelのマスコミ部のミナシアン専務は「予定されるデジタルTV方
式の選考には方式自体の技術、品質、経済面のみならず、導入に伴う経済交換
条件を考慮する」と発表した。条件に含まれるのは(1)集積回路チップなど
の部品工場の設立、(2)アナログTV、ハイビジョンとの併用装置の国産化、
(3)ロイヤリティ無償提供、(4)国内工業の能力増進と訓練の実施であ
る。これらの条件への対応を含め、選考希望者は7月中に電話庁および関係部
署へ目論見書を提出しなければならない。なお、ブラジルで適用される指標は
アルゼンチンなどの南米他国にも適用される可能性が強い。
目論見書は60日間の公開審議
新方式導入に関する目論見書は60日間の公開審議にかけられ、決定は電話
通信省のみならず、商工開発省、科学技術省、外務省、開発銀行BNDESとの合
同会議により決定される。なお、ミナシアン専務は3法律事務所を推薦した。
電気電子製造協会Eletrosのサアブ会長もこれらの交換条件、特に集積回
路チップの国産化に賛成「国産の部品が入手でき、高品質、納期が保障される
ならば、ドル相場に煩わされることなく生産が可能となる」と語った。
デジタルTV、日本方式の巻き返し開始
デジタルTV方式選考に関して、アメリカ、ヨーロッパに次いで日本方式も活
動を再開した。デジタル放送エキスパートグループDiBEGの杉本会長が4月23
日にはブラジリアにて電話庁、商工開発省、24日にはサンパウロにてグラヂエ
ンテ、CCE、フィルコの代表者と会談した。ブラジリアではパソニック、セン
プ東芝の職員が随行し、日本方式ISDB−Tの説明を行った。
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■貿易会議所、鋼材保護措置実施せず
貿易会議所Camexは4月25日、鋼材に対する保護措置は実施しないと決定。
貿易局Secexの資料によれば、製鉄研究所IBSが当初に憂慮した鋼材輸入量の
増加はなく、輸入税定率引き上げの必要はないとの結論に達した。ただし、特
定品目に関しては不当競争といえないが、輸入過大となる憂慮は残されてお
り、米国の救済措置による税率決定は7月3日が期限、ブラジル政府の依頼し
た免税措置に対する回答如何によっては世界貿易機関WTOへの提訴の可能性も
残されている。
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■日本、ブラジルのえび輸入開始
MPEグループのバレンシア・ダ・バイア海産は三井物産を通じて養殖えびの
輸出を開始、第一便として20トンを発送する。同社は日本向け輸出規格に適用
させるために、2ヶ月にわたり、三井から派遣された技術員の指導を受け、え
びは手作業にて身を傷付けずに殻を剥いたもの、三井の買値はキロUS$8.90で
ある。同社は1150ヘクタールの養殖場、250ヘクタールの稚魚飼育場、4研究
室を有し、月産420トン、年商5,500万レアルの会社であり、60%が輸出、既
にイタリア、アメリカ、スペイン、フランスに輸出していた。
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■コニカ、7百万ドル投資のマナウス工場開設
写真のコニカが近日中にマナウス工場の開所式を行う。投資金額は700万ド
ル、最初の製品は印画紙とフィルムの予定、市場はコダックが70%のシェアを
有し、今までは輸入品を市価よりも10%ほど安く販売し、市場を開拓してい
た。同社は74年にブラジルへ進出、X線写真のフィルムを輸入、販売していた
が、80年代中頃に相次ぐブラジルの経済危機に嫌気がさして撤退した。戻って
来たのは4年前、2000年には300万巻を販売、2001年には400万巻と増加した
ので、工場建設に踏み切った。同社グループに属するコンシューマー・イメイ
ジング社のイワミ社長は「ラテンアメリカ市場への主要入り口」とブラジルを
定義、マナウス工場の年間生産、印画紙1,200万平方米、フィルム2,000万巻
の10%を輸出に向ける。
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■アルゼンチン、銀行無期限休日、経済相が交替
独自の経済政策を準備中
ドゥアルデ大統領は17日「国際通貨基金IMFからの要請は我が国の危機を更
に深刻になったので、今後は或る部分の基金要請を受け入れず、履行不可能な
合意には署名しない」と宣言、レニコフ経済相は「アルゼンチン政府は経済を
継続できるプログラムを発表する。新経済政策は基金からの要請の一部を変更
した程度ではなく、独自の計画である」と語った。
経済スタッフは新政策を準備中、内容はメネン政権の初期に実施されたこ
とのある預金凍結措置Bonexの再来、預金を完全に凍結し、預金者に対してペ
ソ建て5年、ドル建て10年の証書発行の模様。大統領府のアマデオ報道官は
「裁判所の命令は預金者の15%のみに利益を与えインフレを促進し、国民に損
害をもたらせている」と裁判所を非難した。
アルゼンチン政府は数日中に本年に適用する中期経済政策プログラムを発表
すると約束、これにより通貨基金と合意交渉を行う。計画中の最重要点は金融
費控除前の第一次収支目標の設定で、県政府との新合意を含める。基金の要請
は国内総生産の1.4%の公共部門第一次収支黒字であるが、アルゼンチン側か
らの新計画ではGDPの0.7%から0.8%。この結果を得るには中央政府が
1.4%黒字、県政府は総合で0.4%から0.6%の赤字。レニコフ経済相は19
日、この提案をオニール米国財務長官と話し合った。
スコチアバンクに中銀介入
中銀は4月18日、流動性不足によりスコチアバンク・キルメスの営業を30日
間停止した。同銀行は一ヶ月間に裁判所命令による凍結預金の引出しが5,000
万ドル、中銀は既に同銀行へ再割引を通じて1.77億ドルを融資し、流動性補給
対策を要求したが、カナダのスコチアバンク本部は送金を拒絶、中銀が介入し
30日の営業停止となった。なお、アルゼンチン銀行組織全体の預金流出は12月
末に772億ペソの残高が4月18日には670億ドル、流出は4ヶ月間に102億ド
ル、毎月25億ドルに達している。スコチアバンクの報により、3月25日に3.90
ペソ、その後、4月に入り2.87ペソまで下がり、17日に2.92ペソであったドル
は18日3.12ペソ、19日3.28ペソと上昇した。
アルゼンチン中銀、銀行の無期限休日を宣言
アルゼンチン中銀は、金融機関の圧力により4月22日から始まる銀行無期限
休日を決定、市中銀行側は「裁判所命令による預金引出しを停止させるため、
中銀が何らかの措置を講じない限り、開店しない」と宣言した。
ドゥアルデ・アルゼンチン大統領は「裁判所が凍結預金の解除をここ数週間
の速度で続けるならば、アルゼンチンの銀行組織は崩壊することは明らかであ
るので、問題解決まで無期限の銀行休日を強制した。国会が定期預金の公債と
の交換を認める法律を認めない限り、銀行休日を続ける」と措置を弁明した。
現在の定期預金残高は約300億ドル、公債の利子は年12%、期限はペソ建て5
年とドル建て10年である。
エクサンテ・コンサルタントのアブラン氏は「政府は銀行を救うために大
衆の財産を取り上げた」と批評、エコノミストのエスペルト氏は「政府を信用
した預金者は市場価値がない政府の紙切れを受け取ることになった」と抗議。
国民は全く銀行預金を信用せず、民間コンサルタントの見積りでは国民の住宅
および銀行貸金庫内にある紙幣は250億ドルと推定する。
アルゼンチン政府、新経済措置を上院へ上程
アルゼンチン政府は4月22日、銀行定期預金を国債と交換、公立銀行の合
併、中銀権限拡大を内容とする新経済措置を上院へ送付する。定期預金の国債
との交換はペソ建て預金は期限5年、ドル建ては10年の国債と交換させる。公
立銀行の合併とは、ナシオン銀行と貿易銀行が合併し連邦銀行を設立、また、
県立銀行と市立銀行とを合併させ、公立銀行を強化する法案。中銀権限拡大と
は危機に瀕した銀行への介入強化である。
大統領府のアマデオ報道官は「もし、政府が支払不能に陥った場合でも国債
は税金支払に使用可能であるから問題はない。老人および病人に対しては措置
実施前に引き出す権利を認める。通貨基金基金との交渉成立後に税制を改革す
る」と語った。
銀行休日・自動預金引出しはアルゼンチン市民の悲しい習慣となっており、
19日(金曜)夜から20日にかけて自動預金機により引き出された預金は1.38億
ペソと通常なら一週間分に相当する金額、日曜日の朝はブエノスアイレス市内
の機械3、500台の60%は資金在庫なしの状態となった。
大統領、新措置不承認なら辞任と宣言
アルゼンチンでは、国民からの強い圧力と政界の分裂によって、4月23日の
上院審議日程に挙げられた定期預金の国債への強制交換が延期される可能性が
強く、ドゥアルデ大統領は22日、テレビを通じて「国会が不満足であるなら
ば、他の集会を招集して新大統領を選出すればよい」と就任以来始めて辞任す
る可能性を示した。
不人気の定期預金と国債の交換は裁判所が発行する預金凍結解除措置に対抗
するものとして預金流出を防ぎ、銀行に流動性を確保するため実施されるもの
「もし、承認されないならば、銀行制度は流動性不足から大混乱に陥る」と政
府は主張、アナリスト達は「国債は発行の数日後、額面の25%へ減価する」と
いう。
国債交換に対する抵抗の最初は県政府派から開始、次いで急進党UCRへ波
及、上院リーダーのメストレ議員は「公表された形式では法案を取り扱えな
い。急進党は政府を支持しようと思うが、今までに新規経済政策の発表に際し
て相談に預かったことがない」と語り、平等共和党ARIのカフェイロ議員は
「新措置により問題解決はなし、政府は銀行側の問題のみを解決しようとす
る」と述べた。デモ隊は投票阻止に国会を包囲中。
なお、国会にて投票を待つ新経済措置は下記の通り。(1)国債プラン(銀
行定期預金の国債へ強制的に交換)、(2)倒産法(国家経済への犯罪容疑或
る銀行家および企業家に対する起訴に適用される法律、裁判官により法的無保
護に乱用される恐れありと基金から改正が勧告された、(3)破産法(破産に
陥った会社に銀行との債務再交渉を認める)、(4)中銀権限拡大(県立銀行
と国立銀行との合併に関する中銀権限を強化)、(5)金融指数変更(銀行貸
付と預金に修正指数の変更)。
アルゼンチン、レニコフ経済相が辞表提出
アルゼンチンのレニコフ経済相は4月23日、定期預金の国債転換措置に対す
る国会と民衆の反対に耐えかねて辞表を提出、更にメンジグレン生産相、カピ
タニッチ官房長官も辞任。同日23時30分、ドゥアルデ大統領は国会議員、県知
事およびスタッフと新政策の方向を決めるために会合したが、新経済相の指名
に関して意見の一致を見ずに終了した。
レニコフ経済相はドゥアルデ大統領がブエノスアイレス県知事時代(91−
99)の財務長官で、県知事の施政方針を忠実に実行、ただし、自分の政治勢力
は有していない。経済相就任は本年1月3日、混沌たる経済状態を転換させよ
うとペソを切り下げ、ドル建て預金をペソ化し、競争力を強化して経済再興、
資本逃亡の防止を図った。だが、意図に反して、経済は低落の一途を辿り、イ
ンフレは再燃、税収は下がり、凍結した預金は裁判所命令で引き出された。こ
の結果、打ち出した措置が定期預金と国債の強制交換措置であるが、政界と民
衆の反対が強烈、辞任に追い込まれた。
大統領辞任は考慮外、だが、情勢は混沌、行き先は不明
大統領の以前からの政敵、メネン元大統領は「大統領が辞任するリスクがあ
る。アルゼンチンの状態は未だなかった困難な状態に差し掛かって、強力な政
治リーダーを必要としており、これを救う者は一人しかいない」と自身の存在
をほのめかした。だが、大統領府のアマデオ報道官は「大統領は辞任を全く考
慮しておらず、大統領選挙の早期実施も国家存亡の危険を冒すものとして思考
外である」と発表した。
今後の経済の方向は混沌、経済相としてガダニ駐伯大使、ゴンサレス・フラ
ガ元中銀総裁、カルボ米州開発銀行経済主任の名前が挙がっており、為替に関
しても、固定為替への復帰も選択肢の一つになっている。トデスカ副経済相は
「全国の街路で国民が暴発する以前に、一歩後退しても良いから、新アイデア
に道を拓くことを経済スタッフは望んでいる」と述べた。
固定為替制度の提案と政府発表の趣意書
ドゥアルデ・アルゼンチン大統領は4月24日、県知事との会議において「変
動為替制導入は失敗であった。為替安定は唯一の解決策である」と語り、3ヶ
月間、為替をドル2.50ペソ〜3.50ペソの間に置く固定固定為替制度を提案し
た。オニール米国国庫長官の態度は不変、通貨基金との約束履行を要求してい
る。非公式ではあるが、大統領は国際通貨基金IMFのアンネ・クルガー副理事
へ電話にて「危機が静まる短期間でも良いから、為替を安定させたい」と訴え
た。現在の外貨準備は123億ドル、1月以降にペソ防衛に費やしたドルは24億
ドルであった。
同日、アルゼンチン政府は新政策を発表したが、その内容は措置というよ
り趣意書というべきものである。内容は(1)国際約定を遵守、(2)15日以
内に県政府との財政合意を締結、(3)60日以内に連邦参加の新法を作成・承
認、(4)金融混乱を避ける財政・金融政策を樹立、(5)当座預金の流動性
を法により保障、(6)金融組織を強力に再安定させるように行動、(7)県
政府との新合意にブラジル責任法に似た賞罰規定を入れる、(8)総合租税法
の改革、(9)破産和議法改正の早急な審議、(10)倒産法の廃棄、(11)海
外にあるアルゼンチン資本の呼び戻し、(12)輸出奨励、(13)政治改革の保
障、(14)雇用計画の保障。以上の通りで左程、目新しいものはない。
新経済相はラバニャ駐欧州連合大使
レニコフ氏辞任後のアルゼンチン経済相は駐ヨーロッパ連合および駐世界貿
易機関WTOのラバニャ氏が就任する見込み。同氏はブエノスアイレス大卒業、
ベルギー大にて大学院、95年には米国ハーバード大の研究員となり、経済はオ
ーソドックス経済派。イザベリッタ大統領時代に労働省次官、アルフォンシン
大統領時代に工業貿易相、アウストラルプラン作成にも参加した経験がある。
急進党UCRに属していたが、正義党へ移るという。
アルゼンチンの銀行は4月26日から開店するが、年金受取、支払勘定振替の
み、為替業務は新経済政策と為替制度の方向が確定するまでは休日を続ける。
惨憺たるマクロ経済指標
本年3月までの国内総生産GDPは前年同期より4、5%の低下、3月のアル
ゼンチンの工業生産は前月に対し3、1%、昨年同期よりも18.1%の下落を示
し、自動車生産は前年3月の24,500万台に対し、本年度は1月4,400台、2月
7,800台、3月11,100台の低水準。解雇者数は1月2.95万人、2月7.50万人、
3月6.55万人、失業者数は全国で320万人を超えている。インフレは公式記録
では第1四半期9.7%と発表されているが、全く信用されておらず、消費者団
体の発表した生活必需品の値上がりは50%を超えている。
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■中南米の一人当り所得、アルゼンチン1位から9位へ
アルゼンチンは数十年年間、中南米において最も国民一人当り所得の高い国
であったが、1月以来のペソ下落で9位に転落した。これは国連人間環境会議
の資料によりコンサルタントエキスが調査した結果である。
中南米で一人当り所得の最も高いのはウルグアイでUS$6,130(月収
US$510)、第二がチリUS$4,820(月収US$401)、第3位がブラジルでUS$4,790
(月収US$401)。以下はメキシコUS$3,700(月収US$308)、ベネズエラ
US$3,480(月収US$290)、パナマUS$3,080、コスタリカUS$4,790。ペルー
US$2,610の次が第9位のアルゼンチンUS$2,493(月収US$207)。以下はコロン
ビアUS$2,180、パラグアイUS$2,000にて、この後は年収2千ドル以下のエルサ
ルバドルUS$1,810、エクアドルUS$1,670,ボリビアUS$970,ニカラグア
US$410。
アルゼンチン国内ではブエノスアイレスが最も高所得でUS$3,636,これに次
ぐのが南端のデルフエゴUS$3,455、低所得は北部のコリエンテスUS$1,424,フフ
イUS$1,564。
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■ベネズエラクーデター裏話を米国雑誌が暴露
4月11日に行われ、失敗したベネズエラのチャベス大統領に対するクーデタ
ーに関して、米国雑誌ニュースウィークは「米国政府とクーデター派の陰謀は
米国大統領府が認めたよりも遥かに広汎なもの」と記事を掲載した。同誌の記
者は反チャベス派の中心人物としてテレビ業界の大物シスネロス氏を指摘、氏
と現米国大統領の父、JHブッシュ元大統領との交流を述べ、カルモナ氏の臨時
大統領就任を決定したのはシスネロ氏の事務所であったという。
また、ニューヨークタイムスから転載したフォーリャSP紙の記事は「この
数年間、アメリカはベネズエラのチャベス大統領に反対するアメリカ人・ベネ
ズエラ人に対して数億ドルの資金を贈与して来た」と報道する。米国国会から
拠出された88万ドルと見積もられる資金は『民主国民持参金』NEDグループを
通じて提供され、ベネズエラの状況を悪化させ、チャベス大統領と企業家・労
組・ミディアとの間に衝突が発生するように使用されていた。資金は全世界に
民主主義を提供するとの目的を有していたにもかかわらず、受領者の幾人かは
非民主主義的にチャベス政権を崩壊するために資金を使用、NED事務所には
100万ドルの贈与金が残っているが、検査が終了するまで贈与を停止。
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メールマガジン: Brazil Today
著者(現地ブラジルで執筆): 大岩國男
編集: 大岩幹男
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