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ブラジル・南米の政治経済ニュース。(アナ・ログ翻訳事務所提供)




Brazil Today

発行日: 2001/12/8

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Brazil Today                                              2001 / 12 / 10(29号)
日系企業ビジネスマンのための週刊誌           (毎週月曜日配信。無料購読)
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目次:
■柔軟性の多い労働法改正案、上院投票は来年回し
■三菱、ロライマ州にて大豆栽培へ進出
■汎米口蹄病センター、南伯の無病を確認
■マンゴー輸出、日本からの技術ミッション来伯予定
■トランスブラジル航空、倒産回避に必死
■燃料配給、48年のペトロブラス独占から開放
■年末売上げ好調、だが、不良貸付に要注意
■アルゼンチン、預金半凍結、ほとんどドル化
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■柔軟性の多い労働法改正案、上院投票は来年回し

投票盤故障で延期された下院投票

 下院にて11月27日に予定されていた労働統合法CLTの投票が翌28日へ延期さ
れた。23時30分、下院の電光盤は出席者462名を表示していたが、与党側はす
べての出席議員が投票するとは信じられず、また、過半数の賛成を得る票読み
にも自信なく、0時55分に閉会した。政府与党のPMDBとPTBの中に反対票を投
ずる意思の者が多く、与党リーダー達は28日に投票を行うか否かを協議する。

 労働統合法改正法案が11月28日に下院で採決されたが、投票盤の故障により
来週へ延期された。投票は記名式で行われ、反対197票、賛成1票、棄権2票
にて、アエシオ・ネーベス下院議長(PSDB−MG)は政府案の敗北を宣言しよう
としたが、与党側は定足数257票に不足している点を申し立て、再度の投票を
求めた。だが、都合よく、電子投票盤が故障し実行できず、与党議員は退場し
て定足数不足、次週へ延期された。

下院にて可決、だが、上院は来年の投票

 下院は3回にわたる延期の後、12月4日、労働統合法CLT改正案を賛成264
票、反対213票、棄権2票にて可決。上院での投票は来年3月から4月の予定
である。PMDBは政府与党でありながら57人が反対票、PTBは賛成15票、反対12
票の投票、最も政府へ忠実であったのはPSDBで89.2%が賛成票、次いでPFLが
83.3%の賛成であった。

 野党側は種々の手段を尽くして通過を阻止しようとしたが法案は可決。しか
し、本年中に国会承認の予定の政府意図を来年3月・4月まで引き伸ばすのに
成功した。なお、労連側の立場は、フォルサおよびSDSは「法案は不正規製を
減じ、中期的に新規雇用を促進する」として賛成、単一労連CUTおよび総労連
CGTは「労働者の権利を取り除いた」として反対している。

法案の内容は柔軟性、労組との交渉次第が多い

 今回の改正案は現行法と比較して柔軟性に富み、交渉により決定する点が多
い。改正案における労使間の団体協約交渉により決定、または交渉不可な事項
は下記の諸条件である。

<夜間労働>憲法では昼間労働より高額を支払うことに定めているが、その率
は下位の法により決定。また、現行法では夜間労働1時間は52分30秒である
が、交渉次第で60分とすることも可能。

<時間外手当>憲法には正規時間労働の50%増と定められている。それ以外は
交渉にて決定する。

<有給週休日>憲法では有給週休日規定があり、休日は日曜日が望ましいと定
めているが、これも交渉の対象となる。

<有給休暇>憲法は年30日の有給休暇を保障、統合法が詳細を規定している
が、その分割、支払に関しては労使交渉の対象となる。

<13ヶ月給料>支払については交渉で決定、毎月分割支払も可能。

<利益分配>法規定では半期以下の分割を禁じているが、交渉により可能。

<時間縮小と減給>憲法では「団体協約による以外は減給を認めず」と規定さ
れている。協約でのこの種の規定挿入は稀であるが、法案では交渉による決定
を認めている。

<時間銀行>現行法では最大限12ヶ月であるが、それ以上に適用することも可
能。

<労働手帳登録>労働手帳登録期間は統合法に定められた48時間以内、延長も
可能。

<団体協約>統合法に定められた団体協約の有効期間は2ヵ年以内、だが、延
長も可能。

<交渉不可な条件>裁定または正当な理由なき解雇に対して保護される雇用、
失業保険、勤続保障基金FGTS,最低給料、社内最低給料、13ヶ月目給料、夜間
労働割増金、利益分配、家族手当、一日労働8時間と週44時間、有給週休日、
年間有給休暇、妊婦有給休職、出産有給休暇、勤続年限に比例する解雇予告。

賛否両論の要点

 団体交渉による決定事項が増加した点に関して、労組の関与が増大したが、
その反面、動員力の弱い組合の場合は交渉力が弱くなり、労働者側が不利益を
被る場合もある。また、法案で雇用保障が強化されたと支持する意見に対し
て、変更された事項の多くは既に雇用保障を条件として提示されたものであ
り、目新しいものではないとの反対意見がある。

 現行の統合法は時代遅れ、変更は労働関係の近代化をもたらす、特定の権利
に関しては支払などの点で交渉の対象になるが、権利は失われていないという
賛成論。憲法にて保障された有給休暇、13ヶ月目給料などが統合法から交渉に
よる協約に移されるのは労働者権利の後退であり、労働法自体は先進国に近づ
いたが、社会面などの面で立ち遅れたブラジルでは一層の労働者保護が必要と
いうのが反対論である。現在の処、労働統合法とは変わっておらず、適用する
者にとっては同様なもの。他方は近い将来においてすべての労働者の権利を交
渉する段階への第一歩であると主張する者もいる。
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■三菱、ロライマ州にて大豆栽培へ進出

 三菱グループはロライマ州において非遺伝子操作大豆の現地生産テストを来
年から開始する。最初に16万ヘクタールの耕地を用意、8万ヘクタールに大豆
を植え付け、5年後には50万ヘクタールまで拡大する予定。投資総額は2億ド
ル。同社の説明によれば、ロライマは大豆二毛作が可能、搬出は中西伯からブ
ラジル南部まで陸路2,000キロを運ぶのに対し、1,000キロ離れたアマゾン本
流のイタコチアラ港、1,000キロのベネズエラのオルダス港、または、600キ
ロ離れたガイアナのジョージタウン港を予定している。

 ブラジルへ進出して20年の三菱が始めてのセラード農業で組んだ合弁の相手
はブラジリアのカンポ農業促進会社。三菱との関係は日伯セラード開発計画
Prodecerに始まる。日本資本49%とブラジル資本51%の合弁会社は人間の食糧
としての非操作大豆の生産、日本市場の潜在需要は400万トンと推定され、言
うまでもなく、最大の買入れ先は三菱となる。最初の2ヵ年は試作、この期間
中に最適品種を特定する。同社は40家族を選考、ボアビスタ〜カラカスを結ぶ
国道第174号またはガイアナとの国道第401号に沿って入植、栽培に必要な指
導を受ける。
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■汎米口蹄病センター、南伯の無病を確認

 南伯における汎米口蹄病センターCPFAは11月30日、ポルトアレグレ市(リ
オ・グランデ・ド・スル州)において農業連邦検査局と会議を行い「口蹄病侵
入に対する措置は国際獣疫局OIEの家畜免疫規定にて要請される口蹄病予防を
満たしており、当地域は無口蹄病である」と判定された。また、滞在中のヨー
ロッパ連合の代表も「南リオグランデ州政府の採った措置は満足である」と認
定、ヨーロッパ向け牛肉輸出が再開されることに決定した。
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■マンゴー輸出、日本からの技術ミッション来伯予定

 ブラジル政府は23年振りに日本へ生果物を輸出するため、来年1月に訪伯す
る日本政府の技術ミッションの到着を待っている。ミッションはブラジルで実
行されている生果物輸出に対する収穫、衛生処理、包装の工程を日本の衛生基
準と照らし合わせて検査し、日本への道を開放すると予想、3月からブラジル
のマンゴーが日本人の食卓を賑わせる予定である。

 日本は年間に生果物25億ドルを輸入しており、ブラジルはこの12ヶ月間に
2.08億ドルの生果物を輸出しているが、ブラジルから日本への輸出はゼロであ
る。昨年、プラチニ農務相は、2005年までに生果物20億ドル輸出の目標を掲
げ、ヨーロッパ連合・アメリカ・日本など世界の主要消費国の衛生規定を満足
させる運動を開始した。ブラジル政府の技師の意見ではマンゴーの輸出に成功
すれば、柿・パパイヤ・メロン・パイナップル・椰子などの輸出も同様の取り
決めが可能となる。

 ブラジル産果物の日本向け輸出を妨げているのは衛生免疫規定、例えば日本
は生牛肉年間30億ドルを輸入しているが、ブラジルからはゼロ、日本の規定は
無口蹄病、免疫注射不要の地域からしか購入せず、南伯および東南伯の牛肉は
無口蹄病だが、要免疫注射のために輸出できない。プラチニ農務相が日本の農
林相と会談した結果、マンゴーに関してミッションが検査、問題がなければ試
験的に輸出することになる。また、ブラジルからも農畜産研究公社Embrapaの
ペレス常務を団長とするミッションを日本へ送り、両国間のアグロビジネス拡
大に関して会議する予定。日本は年間200億ドルの食糧を輸入している。だ
が、ブラジルからはわずか4億ドル、従ってブラジルにとって日本向け食料品
輸出新興は優先戦略の一つである。
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■トランスブラジル航空、倒産回避に必死

税務負担が高いブラジルの航空会社

民間航空はWTCテロ以前からも世界的に苦しい状態にあり、事件以後は更
に困難性を増した。しかし、アメリカの民間航空は政府から多額の援助融資を
受けたが、途上国の航空会社はアメリカに比較して一層の危機状態にあった。
民間航空局DACの資料によれば航空業界の税負担はアルゼンチン21%、アメリ
カは7.5%に過ぎないが、ブラジルは34.8%と極めて高率で「これが競争力低
下の一因である」と指摘する。

政府へ援助を依頼、だが、話は停滞のまま

 トランスブラジルのシプリアニ社長は11月7日、新聞記者会見を行い、市場
に流れている同社閉鎖の噂を打ち消し「我が社は航空路線を維持し続けてい
る」と保障した。同社の負債は約9億レアル、存続のため、再交渉を継続中。
また、従業員基金の現在保有する20%の株式から45%へ増加させることを提案
している。社長は倒産を防ぐため、ブラジリアにて政府との交渉に入ったが、
民間航空局のグロシ総理事は「会社が回復するように応援するが、現状ではこ
れ以上は何もできない」と回答した。

要請の一つは民間航空に対する金融支援措置の早期実行であるが、州政府
と89年から94年に掛けての流通税ICMS徴収に関して訴訟があって、トランスブ
ラジルは3.35億レアル受け取りの権利を得たが、これは会社が得るのか、乗客
のものなのかについての問題が残っている。シプリアニ社長は「少なくとも政
府はその半分1.67億レアルを解除し、会社営業へ使用させるべきである」との
意見。しかし、話は停滞したままである。

 政府が上記の件を承諾しないのであれば、代案として98年のように「政府が
トランスブラジルの経営を引き受けて欲しい」というのが社長の提案。同社の
負債は9.1億レアル、だが、グロシ民間航空局総理事は「政府は如何なる民間
航空にも介入しない」と一蹴した。

燃料買えず運行停止、9月分給料一部支払

 トランスブラジルは12月3日夜「シェルの燃料供給合意不履行により一時的
に運行を停止する」と発表、航空局の依頼により、4日0時から23時59分まで
の同社の切符所有者は他の航空会社により応対される。11月30日、給料遅配2
ヶ月に関する従業員代表との会議において、シプリアニ社長は「シェルへの支
払90万レアルを優先する」と語った。なお、現在の同社への燃料補給はすべて
現金にて支払われている。社長は政府からの援助に一縷の望みを賭けており、
飛行士組合は労働債権2,500万レアルを確保するため、会社と出資者の財産を
差し押さえる訴訟を提起。しかし、会社側は何とか資金を都合し、12月5日に
9月給料の一部として全従業員へR$400を支払った。
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■燃料配給、48年のペトロブラス独占から開放

 ペトロブラスによる燃料独占は石油およびガス開発・生産面で既に崩れ、自
由化されているが、今回は配給面で開放されることになった。石油監督庁ANP
は11月29日、2002年からの石油製品販売自由化規定を発表。これによって販売
市場へ競争原理が導入され、消費者は安価な燃料を選ぶことになるが、他方、
今までの方式で中間に挿入されていた価格緩衝装置である石油勘定が消滅、石
油価格高騰の際の政府補助金支出がなくなり、直接、国際石油価格の上下が消
費者の懐へ影響する。

 石油監督庁より発表された規定の主要点は(1)燃料輸入・輸出商および配
合者の形態を定める、(2)大口消費者と生産者・輸入商との直接取引きを認
める、(3)大口最終消費者はディーゼルを直接輸入できる、(4)大口最終
消費者は混入前のガソリンAタイプを輸入できる、(5)大口消費者へ配給す
る小売販売運送業者は精油所または石油化学センターから直接仕入れが可能と
なる。

 燃料配給業者組合Sindcomの資料によれば、大口消費者の消費量は約33%、
直接輸入が可能となれば市場の需要が減少する可能性がある。しかし、イピラ
ンガのバス生涯部長は「今までの顧客を失わないように、競争できる価格で燃
料を提供すれば、消費者側は輸入に必要な投資を節約でき、我が社は顧客を確
保できる」と語った。なお、ナフタ、航空燃料、GLPは製品として輸入される
可能性はあるが「ガソリンは輸出している状態にあり、製品として輸入される
ことは考慮されない」とイピランガおよびシェルの幹部は述べた。
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■年末売上げ好調、だが、不良貸付に要注意

 電力不足、アルゼンチン危機、WTCテロ事件により低下していた消費者の購
買意欲が年末を控えて復活した模様。ショッピングセンターとスーパーの11月
最終週、人の動きと売上げの伸びが期待以上の成績に達し、経営者を驚かせ、
更に12月第1週、13ヶ月目の給料を懐に入れた消費者は買い物に走り、商業は
前年度以上の売上を記録、喜ばしい次第である。

ベロオリゾンテ市のBH、ブラジリア市のパルケ、サンパウロ市のアナリア
の各ショッピングセンターでは売上げが昨年同期の12%増、リオ市のノルテシ
ョッピングでは11月16日飛び石連休の金曜日には前年の25%増の新記録であっ
た。本年度の特徴は低所得階級の伸び、サンパウロ市近接のABC地区で最大の
ABCショッピングでは前週に比較して20%の売上げ増、また、サンパウロ市の
大衆を相手のショッピングDのモッタ専務は「11月10日以来の売上げ増加は悲
観論を吹き飛ばし、土曜日曜の2日間のみで通常月の売上げの33%に達した」
という。

サンパウロ市商業協会ACSPは11月の不良消費者金融の上昇に警鐘を鳴ら
し、小売店は「慎重に」と呼び掛けている。11月の月賦支払遅延は10月に比し
て31%増、前年度に対し10.2%増となった。ただし、13ヶ月目の給料による累
積債務返済も多く、負債取消しは前月に比べ27.9%増。協会のエコノミストの
アルフィエリ氏は「9月から10月にかけての失業率増大が月賦支払遅延へ影響
したが、97年・99年と比べると著しい低下」と述べた。月賦販売高の指標であ
る信用保護サービスSCPCへの金曜日から日曜日の問合せ件数は前年度に対し
3.9%増、現金販売指数である小切手問い合わせUsechequeは2.2%増であっ
た。
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■アルゼンチン、預金半凍結、ほとんどドル化

国民は情勢混沌でドル買いに走る

 アルゼンチン市場に乱れ飛ぶ噂はペソ切り下げ、ドル化経済、デフォルト宣
言、大統領と内閣総辞職などで、11月30日のアルゼンチン状況は超インフレ時
代にもなかった混乱の極み。「ペソは信用できず」と国民はドル買いに走り、
巧まずして経済はドル化した。モンディノ経済相補佐官は「ペソ切り下げの危
険を避けるため、アルゼンチン経済は自然にドル化したが、兌換制は継続して
おり、ペソ切り下げは兌換制の外であるが、現在のドル化は兌換制の一部であ
り、公式のドル化は考慮されていない」と語った。

基金との交渉、未解決のまま

 基金との合意である財政赤字限度目標の不達成を赦して貰い、融資実行を願
ったカバージョ経済相の希望空しく、通貨基金は、「赤字ゼロプラン」の失
敗、不況による税収入の低下、輸出振興に対する政府の能力不足に基づく目標
不達成を指摘し、経済危機膨張、為替制度すべての公式目標の変更を要請し
た。基金ミッションは第3四半期の実績を分析、来年度予算作成に随伴してお
り、基金がアルゼンチン政府に提示する返答はペソ切り下げか、デフォルトの
2選択肢となると予想される。伝えられる情報によれば、ミッションは一度ワ
シントンへ帰り、基金上層部とアルゼンチンに対する態度を話し合い、8日に
再度、ブエノスアイレスへ戻る予定と述べた。

預金流出10億ドル、利子年700%

 11月29日と30日の両日の銀行預金流出は10億ドルと推定され、多くの自動引
出し装置は現金不足で機能せず、銀行の支払準備は枯渇、銀行間利子は年
700%、カントリーリスクは3,332の高率に達した。銀行預金は本年に入って
から150億ドルを失い、27日には725億ドル、その74%はドル建てである。外
貨準備は計算方法の変更で、23日24億ドル引き上げに成功、213億ドルに達し
たが、以後5億ドルの低下で、27日の残高は208億ドル。シカゴではペソ引下
げ年間80%のバルコン取引があった。

 ブラジルでは小切手、クレジットカードが広範に使用されているが、アルゼ
ンチンではこれらの流通が普及しておらず、買い物は現金で行われることが多
い。政府はクレジットカードの使用を促進するため、カードによる購入は5%
の付加価値税を割り引くという奨励策を実施したが、それでも、普及が進まな
かった。なお、アルゼンチンの労働者の40%は労働手帳を所有しておらず、ノ
ータフィスカルを使用しない不正規取引が多いという。

12月1日、預金引出し制限とドル化

 カバージョアルゼンチン経済相は12月1日夜、現金による預金引出しの制限
および定期預金のドル化を発表した。措置の内容は(1)当座預金の現金によ
る引出しは週US$250、月US$1000まで。それ以上の引出しは小切手、クレジッ
トカード、勘定振込みを使用する。(2)銀行定期預金はドル建てとするが、
ペソ建ての選択も可能。(3)貸付はすべてドル建てとする。(4)海外送金
に対する監督を厳重にし、US$1,000以上の送金は中銀許可を要する。(5)ペ
ソからドルへの換金に手数料徴収を禁止する。(6)ドル化措置は一時的なも
ので、外債スワップが完了するまで。約90日間と見積もられる。

 12月5日、アルゼンチン政府は預金引出し制限の一部を修正、週US$250でな
く、月US$1,000とした。また、海外旅行の持ち出しは1万ドルまで、ただし、
預金引出しUS$1,000の限度は変らず。同国内では限度を超える引出しを狙って
銀行預金口座開設が盛ん、措置発表後2日間に5万口座が新規に開かれた。な
お、商業活動調整局の資料は前週と比べ商業活動50%減を記録した。

内債500億ドルの交換に成功と経済相

 この数年間で最も金融市場の混乱した11月30日の市場閉鎖後、カバージョ経
済相は「国内主要債権者との間に500億ドルの債務スワップ合意が成立した」
と発表。これらは地元銀行、年金基金、保険会社との交渉、担保は将来の税収
で、平均利子年11%を7%に切り下げた上、据置期間3年間、政府は元金を返
済する必要がない。内債総額640億ドル中、残りの内債は小額の個人投資家、
および、県政府との債務75億ドルの再融資という。この交渉で得た利子節約30
億ドルは今後の外債交渉において有利に作用する。カバージョ経済相は12月2
日、ワシントンを訪れ、30ヶ国グループとの会議へ出席、5日の通貨基金ミッ
ションがブエノスアイレスに戻るのと同日に帰国する。

アルゼンチン金融市場は沈静化、だが、消費は激減

銀行預金の現金引出し制限により、12月3日のアルゼンチン金融市場は沈
静化し、引出しは1,000万ドルに留まり、カントリーリスクは5.6%下がり
3,153、株価指数Mervalは6.7%上昇した。格付け会社の評価はムーディスが
デフォルトの一歩手前で留めているが、フィッチは「11月30日の措置はデフォ
ルトである」と見做して国の格付けをCからDDDへ、また、スタンダード&プ
アスはアルゼンチンの数銀行の格付けを引き下げた。なお、11月の銀行預金流
出は25.3億ドル、徴税見積もりは35.3億ドル、前年度より10%減である。

銀行の前には3日の午前中、週限度US$250の引出し客の長い行列ができて
いたが、午後は減少した。自動預金引出し装置はUS$200しか出せず、顧客は苦
情を述べている。もっとも、アルゼンチンの国民は銀行を信用せず、買い物は
現金という習慣であり、銀行勘定を有するのは社会の30%から35%のみ。クレ
ジットカードとなれば、更に少なく、0.9%のみ。商店街は閑散、商業活動調
整局CAMEの調査によれば、全国100万ヶ所の店舗中でクレジットカードを受け
取るのはわずか15%の店舗に過ぎず、加入原価と措置実施期間90日を考慮すれ
ば、カードを取り扱うのは引き合わないという。

更に問題なのは経済活動の40%、年間650億ドルを占めるヤミ商売と経済
人口39%の不正規労働者。小売商では不正規従業員は20%程度であるが、家事
手伝いは95%がモグリ、建築業は65%と推定される。例えば、US$250で銀行口
座を有しない家事手伝いを雇っている人が現金で給料を払えば、手元に一文も
残らなくなるので、解雇せざるを得ない。不況の激化、現金繰りによって銀行
口座を有しないこれらの人達が失業、また、約100万人と推定される不正規移
民にも同様の問題が生ずる。

通貨基金、ドル化よりペソ切り下げを主張

 通貨基金の報道官は「今回のアルゼンチン政府の決定には全く参与しておら
ず、決定の通知位はすべきである。経済省に電話して、詳細を確かめており、
従って評価する域に達していない」と述べた。今回の措置で基金へ提出されて
いる合意目標は全面的に変更される必要が生じている。

 或る基金理事は「アンネ・クリュゲル副理事、北米政府は単純にペソ切り下
げを実行する方が今後の経済発展、競争力強化により効果があり、痛みが少な
いと考えている。カバージョ経済相は通貨切り下げを避ける破滅的な約束を履
行しようとしている。アルゼンチンはドル化しているのではなく、預金価値を
維持する幻想を創り、凍結しようと試みているに過ぎない。問題は単純なドル
化はメルコスール内におけるアルゼンチンの競争力強化にも国内の税収増加に
もつながらない点にある」と語った。なお、オニール米国財務長官はアルゼン
チンの兌換制廃止を主張、テイラー副財務長官は「1,320億ドルの債務交換が
不成功ならばアルゼンチンはデフォルト」と語った。しかし、債務交換は成功
との報が入った。

アルゼンチンへの基金融資、本年中は実行せず

 カバージョアルゼンチン経済相は12月5日にテレビを通じて「国際通貨基金
IMFからの融資12.6億ドルは近日中に貸し出される」と発表したが、同日、基
金の執行委員会は「アルゼンチン向け融資を12月中に実行しないように」と理
事会へ提案、更にブエノスアイレスに滞在中のミッションへ週末にはワシント
ンへ戻るように指令した。基金の委員会は非公式に会議、状況を分析し「アル
ゼンチンは約定した目標を達成していないとの結論」と報告した。ミッション
の使命停止はアルゼンチン政府措置を基金が不承認であることを明白に示すも
のである。

「基金の不承認によってアルゼンチン政府は12月中にデフォルト宣言を発
せざるを得ない」というのがNYにてエマージングマーケット取引業者協会EMTA
の年次総会に出席していたJPモーガン、メリルリンチ、ゴールドマンサック
ス、ドイツ銀行などの理事の共通した意見であった。JPモーガンのチャン常務
は「月間の引出し額US$1000へ制限後の資本逃避額の水準を憂慮している。ア
ルゼンチン政府はドル化を選択したように思われるが、現在の交換率では外貨
準備率から見て困難、ペソ切り下げのリスクは更に上昇し、今月支払予定の元
金のみで15億ドル返済は基金の拒絶によって不可能となった。外債交換は強制
的となり、投資家の損失は50%以上となる」と予想する。ゴールドマンサック
スのレーメ常務は「アルゼンチン政府は緊急に預金引出し統制を厳格にする必
要に迫られており、外貨準備は危険水準に達している。この事態を続けるなら
ば、貴重な準備金が更に失われる。基金の拒絶によってデフォルトの確率は一
層高まった」と警告した。

ドル化は競争力・財政不均衡を解決せず

ブエノスアイレス滞在中の格付け会社スタンダード&プアスのビアス常務
は「アルゼンチンがペソを放棄、通貨をドルに替えることは選択肢の一つ、だ
が、経済回復を保障せず。ドル化には金融損失を制限する利点はあるとして
も、競争力強化、財政均衡の問題を解決することはなく、また、ペソ切り下げ
は国民の政府に対する信用を失するに過ぎない」と述べた。ドル化の場合は外
貨準備208億ドルを取り崩し、国内流通のペソ紙幣102億ドルを回収する必要
がある。12月5日、アルゼンチンのカントリーリスクは4,020へ上昇、ブラジ
ルは885に下がった。
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メールマガジン: Brazil Today 
著者(現地ブラジルで執筆): 大岩國男
編集: 大岩幹男
発行: Ana&Log(アナ・ログ翻訳事務所)
住所: 〒468-0034 愛知県名古屋市天白区久方一丁目149番地19-504
電話/ファックス: 052-804-5710
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宮崎正弘の国際ニュース・早読み
 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析
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