フランス地方都市に在住の筆者が、普段の生活を通して疑問に思ったことを書いていきます。三面記事から社会面的な内容が中心。ワイン、ファッション、観光だけでは満たされない読者の皆さまにお薦めです。
- 最新号:2004-11-02
- 発行周期:月刊
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- 創刊日:2001-04-16
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フランスの片隅から 2004-01-24 「地方選挙」
発行日: 2004/1/24フランスの片隅から 2004-01-24
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INDEX
今月の話題「地方選挙」
● フランスの行政区分
● 分権、多極化
● 県、県議会議員選挙
● 地域圏
● 地域圏議会議員選挙
● 今回の選挙における個人的な着目点
サイト紹介「フランス内務省」
補足情報「非宗教の原則」
メールマガジン紹介「三面記事でフランス語」
最近のニュース「県知事の自家用車の爆破事件」
あとがき
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皆さん、こんにちは。Olivierです。
2004年最初の号から大幅に遅れてすみません。
言い訳その他はあとがきにて。。。
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今月の話題「地方選挙」
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今年、フランスは選挙の年です。3月の地方選挙(県、地域圏)と6月の欧州
議会議員選挙は全有権者に関係があります。この他、元老院議員の一部改選が
9月に実施されます。元老院議員選挙については、当マガジン2002年6月号を
参照なさってください。
最初にフランスの行政区分を説明します。
● フランスの行政区分 ●
フランスの行政単位は大きい方から国、地域圏(または州)、県、市、区(パ
リ、リヨン、マルセイユの3市のみ)となっています。
複数市のまとまったものが県、複数県のまとまったものが地域圏です。コルシ
カ島を含むフランス本土には96県あり、この他に海外県が4つあります。地域
圏はフランス本土に22あり、4つの海外県はそれぞれが地域圏でもあります。
これらの行政単位それぞれに意思決定機関と政治の執行者があります。
国なら、意思決定機関は国会、執行者は大統領、首相を中心とした内閣です。
地域圏なら、地域圏議会とその議長、県なら県議会とその議長、市なら市議会
とその議長(つまり市長)がそれぞれ対応します。いずれも、議会のメンバー
は住民の直接選挙によって選ばれ、議長は議員の互選という間接選挙で選ばれ
ます。
フランスには、この他に知事という職があります。知事は県と地域圏におかれ
ます。大統領によって任命され、ヒエラルキーとしては内務大臣直属です。国
の代表者として決定権と執行権を持っており、住民ではなく国に対して責任を
負っています。なお、市においては市長が同等の職を務めます。
● 分権、多極化 ●
一般にフランスは中央集権の国だと言われます。中央(首都であるパリ)で決
まった事柄がトップダウン方式で地方に下りてくるので、地方はそれに従う、
というイメージですね。イメージするのは簡単ですが、地方の要求を中央がう
まく把握できないなどの不都合があるので、実際にはこのモデルで一国が機能
するのは稀です。
そこで、分権や多極化の考え方が生まれます。
多極化とは、国という大きな枠内のことを首都ですべて決めてしまうのでな
く、国を小さな単位に区切って、それぞれの土地に国の出先機関を置く考え方
です。
外国人の滞在許可証を例に説明してみます。外国人がフランスに居住する場
合、県庁に滞在許可を申請します。本来なら、当該外国人の国内居住を認める
か否かは、内務省(ひいては内務相)が決定すべき事柄です。が、県知事が国
家権力の一部として県レベルで機能しているので、滞在許可の申請、書類等の
審査、決定、許可証の発行・受け渡しまでの一連の手続が、県庁において、県
知事の責任の下に行なわれているのです。
分権とは、現在国が負担している事業を地方公共団体に委譲する考え方です。
現在のフランスにおいては、とくに1992年以降、地方分権が進められていま
す。
例えば、公教育は国の事業なので、カリキュラム編成は文部省が担当するし、
国の予算も教育事業に多額が投入されています。しかしながら、老朽化した校
舎の建替え、給食業者や山間部における送迎バス業者の選定などについては、
地方公共団体が権限を持っています。これが分権の一例です。
● 県、県議会議員選挙 ●
県という枠組みは、フランス革命期に発案されました。当時から国土を約100
の単位に分割するのが、サイズ的にちょうどよかろうと考えられたのです。し
かし、現在は複数の市が独自に結びついて、公共交通機関網を整備、文化的行
事を共同開催するなど、県よりも小回りのきく単位での活動が好まれていま
す。県の壁を超えた市の連携も活発です。こういう現状を踏まえて、県を撤廃
してもいいじゃないかという議論さえ起きているくらいです。しかしながら、
県が果たす行政上の役割は大きく、撤廃というのは現実的ではありません。
県には、県議会と県知事が置かれています。行政機関は県知事の管轄下にあり
ます。
県知事は、首相と内務相の推薦、閣議での承認を経て、大統領が任命します。
人選は、まったくの自由裁量で行なわれます。つまり、基準に基づいた選抜で
はありません。県知事は、県の行政の責任者であると同時に県における国の代
表者でもあります。県政および県下の各市の政治が合法的に行なわれるよう監
視する役割を持っているのです。
県議会は、県の意志決定機関です。議長は県政の執行者で、県議会の決定を具
体的に実行します。
議長と議会の関係は、内閣と国会の関係に喩えると理解しやすいかもしれませ
ん。多くの場合、議長が議題を提出し、議会がそれを審議、承認し、議長が中
心となって実行していきます。県議会内に力のある対抗勢力が存在する場合、
議長の調整能力が問われます。
県知事と県議会議長の役割分担ははっきりしています。前者は国の事業を国の
代表者として実行、後者は県の事業を県議会の代表者として実行するのです。
県議会議員の任期は6年。2年ごとに、定数の1/3ずつ改選されます。した
がって議長の任期も2年、再選は可能です。県内に複数の小選挙区があり、小
選挙区は3つのグループに分かれています。今年改選されるのは、1998年に選
挙のあった選挙区です。
県議会議員の立候補は政党単位です。各政党が改選対象分プラス補欠分の候補
者リストを作成し、投票はこのリストごとに行なわれます。
第1回投票で、有効票の過半数を得たリストがあれば、その政党が全議席を獲
得します。過半数に達したリストがない場合、つまり大抵の場合、第2回投票
が実施され、得票率に応じて議席が分配されます。仮に第2回投票で過半数を
得たリストがあっても、分配すると決まっています。
上で書いたように、1/3ずつの改選なので、1回1回の選挙結果によるイン
パクトはそれほど大きくありません。そのため、県議会議員選挙をメディアが
大きく取り上げることはほとんどありません。今年も、地域圏議会のことばか
り耳にします。
● 地域圏 ●
地域圏とは、1955年(第四共和政時代)に創設された地方公共団体です。創設
理由は、国が各地方に適した経済政策を取りたい時に、県単位では広域にわた
るダイナミックな政策が無理だからでした。現在、地域圏の果たすべき役割
は、管轄内の複数の県の間の連携を推進したり、国やEUの基本政策にしたがっ
て地方政治を行なうことです。経済、社会保障、文化、環境、都市計画、土地
整備などの分野がとくに関係します。
地域圏の行政は、地域圏知事の管轄下にあります。任命のプロセスは県知事と
同じです。また、地域圏知事は、地域圏庁所在地のある県の県知事を兼任しま
す。例えば、ブルターニュの地域圏庁所在地はレンヌ市なので、ブルターニュ
の地域圏知事はレンヌ市のあるイル・エ・ヴィレンヌ県の県知事も兼任しま
す。
地域圏は複数の県を管轄しますが、地域圏知事が県知事より上位に位置するわ
けではありません。県政は、周囲の県と良好な関係を築くという観点から、地
域圏の基本政策を尊重しなければなりませんが、仮にこれに従わない県があっ
たとしても、地域圏知事が県知事を罰することはできません。両知事とも内務
相の直属なので、知事として不適格な行為があった場合は内務相から罰せられ
ることになります。(更迭、転属など)
● 地域圏議会議員選挙 ●
議員の任期は以前は6年でしたが、今回から5年となります。したがって議長
の任期も5年となります。議長は議員の互選で選ばれます。
議員の選出方法も今回から改正されました。以前は県ごとに投票が行なわれま
したが、今回から全地域圏が1つの選挙区となります。この他、細かい変更が
いくつかあり、改正後の選挙法は次の通りです。
立候補は政党ごとに行ないます。県の場合と同様、各政党は定数プラス補欠分
(+10%程度)の候補者リストを作成し、投票はこのリストごとに行なわれま
す。
投票は必ず2回行なわれます。
第1回投票で過半数を得たリストがあれば、このリストが議席の1/4を獲得
し、第2回投票では各リストの得票率に応じて、残り3/4の議席が分配され
ます。第1回投票で過半数を得たリストがなければ、第2回投票の得票率に応
じて全議席が分配されます。
ただし、第1回投票での得票数が全有権者の10%相当未満のリストは、第2回
投票に立候補することができません(2003年4月11日の法律)。例えば、棄権
や無効票が30%あったなら、有効票は全体の70%です。あるリストが10%の票
を得たとしても、70%中の10%では全有権者の7%にしかならず、条件を満た
さないことになります。
第2回投票にあたって、候補者リストを修正することが可能なので、ここでは
2つの政党が統一リストを作ったり、得票率が低すぎたために本来なら立候補
できないはずの人が、他のリストに加えてもらったり、様々な駆け引きがあり
ます。
この選挙方法では、極端に得票率の高いリストがあった場合も議会内の過半数
を占めることが難しくなり、極端な政治が行なわれにくくなる反面、得票率の
小さな党が議席を得ることも難しくなりました。
● 今回の選挙における個人的な着目点 ●
今年の選挙(地域圏)に関しては、保守派政党が優位を占める地域圏が多いだ
ろうと予想しています。まあ、誰でも似たような予想をするでしょう。着目点
は毎度のことながら国民戦線(FN)なんですが、特に注目したいのはパリを含
むイル・ド・フランスとニースやマルセイユを含むプロヴァンス・アルプ・
コートダジュール(PACA)の2つの地域圏です。
その理由は、PACAではルペン党首自らが、イル・ド・フランスではルペンの娘
マリーンがリストの筆頭として出馬することです。しかも、この2つの選挙区
には、もしかしたらFNの議長が誕生するかもしれない、つまりFNが大勝するか
もしれないと思わせるだけの事情があるのです。
PACAは、もともとFNの支持率が高い地区です。大騒ぎになった2002年の選挙で
は、大統領選挙、国民議会議員選挙の両方で、この党への投票率トップを記録
したくらいです。いずれも25%を超えており、全投票者の4人に1人がFNに投
票した計算です。
前回1998年の選挙では、議員122人のうち22人がFNのリストから当選、FNが公
式に後援したリストからの当選者が10人います。保守派統一リストは40人、社
会党を中心とした連合左派リストは33人、共産党系リストは14人が当選しまし
た。当選した22人の中にルペン本人も含まれていたのですが、傷害事件で有罪
判決を受けたために当選無効となり、現職の地域圏議会議員ではありません。
が、今回のリストでもトップに名前があるので、FNからの当選者が1人でもあ
ればルペン本人が議員となることは明らかです。
さて、地方選挙において議席を獲得するには、一般的には他政党と連立するか
しないかが大きく影響します。PACAではFNはどの党とも連立しません。ルペン
の議会入りを阻むには、社会党と保守派(UMP)が共闘するのが妥当な戦略だ
ということは、誰の目にも明らかです。が、簡単な話ではないんですよね。
現職議長は社会党に属しています。社会党系リストの得票率が一位だったの
で、議長選挙においては左派と右派が協力して彼を議長として選出したわけで
す。しかしながら、左派と右派では基本理念、公約などが異なり、可能なら独
自の公約を掲げ、それを実行していきたいとどちらの党も考えているはずで
す。だから、現時点ではどちらの党も第1回投票での連立はないと明言してい
ますが、第2回投票での連立についてはコメントを避けています。
今からコメントできるわけはありません。連立するということは、単独リスト
では選挙に勝てないことが前提となってしまい、党としての信頼性や威厳が失
われます。ライバルが最初から手を結んで(表向きは)仲良く選挙戦だなん
て、支持者としては支持のし甲斐がありません。どうでもよくなった有権者が
棄権すれば、それこそFNにとって有利な状況です。FNを支持する人たちは棄権
しないし、他党に投票することもほとんどないと、各種統計でも明らかにされ
ています。
それに加えて、現職の議長(前回社会党リストのトップ)と前回RPRリストの
トップだった人が、お互いを政治的なライバルだと見なしており、2人とも今
年もリストのトップとして立候補するという事情があります。UMPは落ち目の
社会党とは組みたくないだろうし、社会党には前回の得票率がトップだったと
いう事実と、保守的な土地柄ではあるけれど現在議会をうまく運営していると
いう自負があります。
社会党とUMPが連立するのかしないのか、その駆け引きの間隙を突いてFNが漁
夫の利を得るのか、これがPACAでの注目点です。
イル・ド・フランス(以下「RP」)は、現職のパリ市長が社会党所属なのを見
ても分かるように、潜在的に左派政党の支持者が多い地区です。社会党だけで
なく、共産党、労働者系の政党など極左の得票率も安定していると言えます。
他人事として見れば、FNに対抗するには左派政党が連立して統一リストにする
のが手堅い戦略なんですが、ここでも第1回投票での連立はあり得ないと発表
されています。しかも、極左グループ内部に複数の政党があり、それぞれが独
自のリストで立候補するのです。
多数の候補者間で票の取り合いになるとどうなるか、極端な形で現れたのが前
回の大統領選挙でした。あの結果を思い出すと、いくらなんでも極左に3党は
多すぎるように感じますが、どの党にも主張すべき事柄があり、お互いに相容
れない部分があり、いろいろな思惑が絡み合った結果、最初から連立するのは
止めておこうということなのでしょう。
しかしながら、ここで指摘しておきたいのは、伝統的に極左の支持基盤だった
失業者や工員がFNに流れる傾向があるということです。これは2002年に始まっ
たことではなく、その前の1997年の大統領選挙に関する統計でも目立つ動きで
した。当時は、順当にRPRと社会党の候補が決選投票に進んだので、それほど
騒がれなかっただけでした。
さらに、今回から適用される「全有権者数の10%相当」が気になります。第1
回投票における得票率が5%未満だった場合は、他のリストに参加さえでき
ず、前回の地方選挙よりも厳しい条件なのです。票が割れてこれらの条件を満
たせなければ、連立するしない以前の問題です。社会党(いくらなんでも条件
は満たすと思う)は連立の相手を失い、相対的にFNが有利になると考えられま
す。
また、マリーン・ルペンはメディアを積極的に活用して、これまでのFN(外国
人とユダヤ人を排斥する、年寄り臭いなど)とは違ったイメージ戦略を展開し
ています。これが必ずしも定着するとは思わないのですが、親しみやすく、外
国人とも仲良く、市民の意見に耳を傾け、若者からも支持される、といったイ
メージです。ルペン姓より、マリーンという名での露出が目立ちます。従来の
FN支持者は必ずしもマリーンを支持しているわけではなさそうですが、新しい
支持層を開拓するのであれば、それでも別に構わないのでしょう。
以上のような理由で、RPの結果も気になります。
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具体的な日程をお知らせすると、地方選挙は3月21日と28日、欧州議会議員選
挙は6月13日に実施されます。
フランス語の豆知識的なことを書いてみます。
地域圏はla region、地域圏議会はle Conseil regional(大文字の使い方に注
意)、その選挙はles elections regionales、略してles regionalesと呼び、
必ず複数にします。2回投票が行なわれるからです。
県はle departement、県議会はle Conseil general、その選挙はles
elections cantonalesまたは略してles cantonalesと呼びます。第2回投票が
行なわれるとは限らないので、単数にしても間違いではないと思います。
県議会をle Conseil departementalと呼ばない理由は知りません。
選挙がcantonaleなのは、投票がcantonと呼ばれる小選挙区ごとに行なわれる
からです。
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サイト紹介「フランス内務省」
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フランス内務省
http://www.interieur.gouv.fr/
選挙関連の情報が掲載されています。
仏語の他、英語、ドイツ語、スペイン語ページあり。
地域圏議会選挙ポータルサイト
http://www.elections-regionales.com/
過去の選挙の結果、今年の立候補者、考察記事、県議会選挙に関する情報な
ど。公式サイトではありません。(仏語)
なお、公共サービスのポータルサイト www.service-public.gouv.fr
各県や地域圏の公式サイトも、情報が古いまま残っているところがあります。
タイトルに「2004年」とあっても内容が更新されていないことがあるので、そ
の点に注意なさってください。
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補足情報「非宗教の原則」
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昨年8月号で取り上げた内容なんですが、イスラムのスカーフに絡めて「非宗
教の原則は法によって体系化できるものではない」という議論を展開されてい
るサイトを、読者の方から教えていただきました。私の書いたものに言及され
た部分もあるし、私とは違う問題意識に基づいて書かれているので、ここで紹
介させていただきます。
極東ブログ
http://finalvent.cocolog-nifty.com/fareastblog/
finalventさんのブログ。
新聞の社説や論説記事の考察が中心。毎日更新されています。
「なぜフランスはスカーフを禁止するのか」は1月4日の記事です。
さて、昨年8月号ではシラク大統領が「共和国の非宗教性に関する委員会」を
創設したことをお知らせしました。
12月11日に上記の諮問委員会が最終報告書を大統領あてに提出しました。
結論は次の3点。
1.フランス国内におけるすべての差別は撤廃すべきものである。
2.公共の場における宗教的なシンボルを禁止する法律の制定が望ましい。
3.ユダヤ教、イスラム教の宗教的な祭日それぞれ1日を、学校休日に追加す
ることが望ましい。
この報告書を受けて、12月17日の演説で、大統領が自身の考え方を発表しまし
た。要旨は次のとおり。
1.公共の場において、自らの宗教的立場を表明するための着衣やシンボルは
禁じられるべきだ。
ここで想定されているのは、大きくて目立つ十字架(キリスト教)、キッパ
(ユダヤ教の男子が被る帽子)、ヒジャブ(イスラム教の女性のスカーフ)な
ど。
2.そのためには法の整備が必要である。
3.しかしながら、控えめな宗教的シンボルは認められてよい。
ここで想定されているのは小さな十字架(キリスト教)、ダビデの星(ユダ
ヤ教)、ファティマの手(イスラム教)など。
4.学校休日の増設には反対である。
報告書や大統領の演説を受けて、イスラム教徒がデモを行ない、法律化には反
対だとアピールしています。最近では1月17日、次回は2月7日に全国の複数
の都市でデモが予定されています。
さて、閣僚の中にはこの法律に否定的な人もいましたが、1月28日の閣議に法
案(の案)が提出される予定です。大統領はこの法律が今年9月の新学期から
適用されることを望んでいるので、法案が閣議を通ったら、国会では他の法案
よりも優先的に審議されると思います。
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メールマガジン紹介「三面記事でフランス語」
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三面記事でフランス語を読みフランスの世相も知ろう、というのが目的。一日
一文でレベルは初心者から中級。フランス語を知らなくても読める、単語も増
強というのを目標にします。
http://www.mag2.com/m/0000120649.htm より紹介文抜粋。
http://www.kehjiban.com サイトはこちら。
愛読マガジンの一つです。とは言っても、フランス語の部分は飛ばして、日本
語の試訳だけ読むことも多いです。世間でいろんなことが起きていますが、な
かなかニュースについていくことができません。このマガジンはほぼ毎日発行
されるので、ニュース速報代わりにさせてもらっています。
こんな邪道な読み方ではなく、解説部分もしっかり読めば、仏語の基礎力がつ
きそうです。事件の背景や専門用語の解説もあるので、気負わずさらっと読め
ますよ。
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最近のニュース「県知事の自家用車の爆破事件」
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この話、書くか書かないでおくか迷ったのですが、結局書くことにしました。
1月18日(日)未明、任命されたばかりの県知事の自家用車が爆破される事件
がありました。幸いなことに県知事本人は無事でした。このニュースは、日本
でもいくつかのメディアが報道したと思います。
車の持ち主は、フランス東部スイスを国境を接するジュラ県の知事として2月
に就任予定。自宅はフランス西部、大西洋岸のナントにあり、事件はナントで
起きました。
県知事は内務相(と首相)の推薦を受けて、大統領が任命します。そして、サ
ルコジ内務相は新知事を「移民系知事」として推薦したことを隠していませ
ん。
この事情をもう少し詳しく説明してみます。
適当な語を思いつかないので「移民系」を使いますが、祖父母や両親の代でフ
ランスに移民してきた家庭に生まれ育ったフランス国籍者や、フランスに帰化
した元外国籍者を指すと思いながら読んでください。
内務相は、移民系の人の社会進出を促すために、警察や治安部隊の選抜に際し
てこれらの人の優遇措置を取る計画を長い間練ってきました。これは、アメリ
カで実施されているマイノリティの優遇策に近い考え方です。内務相の考える
優遇措置とは、例えば採用試験前の準備クラスを優先的に受講する権利です。
内務相は優遇措置をもっと広い範囲で実施することも考えていたらしく、昨年
11月に上級公務員(例えば知事)の人事に際しても、移民系の人を優遇する考
えがあると発表しました。移民系の若者のロールモデルとしての役割を期待す
るからです。この時は「移民出身の知事」のアイデアを発表し、知事任命権の
ある大統領や、他の政治家からの反発を受けたりしました。なぜなら、仮にそ
れが対象者の利益になるとしても、出自を基準に人事を行なうことが法の下の
平等の原則に反すると考えられるからです。フランス式の考え方は、「平等を
実現するための優遇」を積極的に行なうアメリカ式の考え方とは異なります。
さて、優遇措置を取り入れる考えがあると発表した内務相は、国営テレビの討
論番組に出演してイスラム学者であり哲学者のラマダン氏と激論しました。そ
の際に内務相が表明したのは、宗教的シンボル着用を禁じる法律に反対する立
場、これまでのフランスの移民政策は失敗だとする評価、移民の成功例が少な
すぎる(サッカーのジダン選手だけでは不十分)ので移民出身で社会的に成功
している人をもっと取り上げるべきだという考え、そして「イスラム教徒の知
事」を近いうちに推薦する予定などでした。
この「イスラム教徒知事」があちこちで非難されました。今度は出自ではな
く、宗教を基準に人選するというのですから。こうした非難に対して、能力の
ない人を宗教だけを理由に知事として推薦するわけではない、と内務相は釈明
していますが、手続上の平等を是とするフランス式の考え方はこうした優遇措
置そのものにアレルギーを持っているのです。
内務相がわざわざ優遇措置などと言わなくても、移民系で社会的に「成功」し
た人はいます。現内閣には移民系女性の大臣補佐(トキア・サフィ)がいま
す。教育界を見れば移民系の学区長、大学の学長や学部長がいます。移民系の
知事だってすでにいます。「出自や宗教に基づく人選」がこれまでなかったた
めに、そういう人たちのリストも存在せず、名前と外見から判断するしかない
のですが・・・。
話が大きく逸れましたが、爆発事件の発端である新知事のデルムーシュ氏は今
月14日に任命されました。大統領は「優遇措置」による人選をずっと拒否して
いたのですが、彼本人の能力を評価し、彼を任命することになりました。ご本
人は、どういう経緯で任命されたにしろ共和国のために働く、とコメントして
います。
さて、デルムーシュ氏が「初の」「移民系」「イスラム教徒」知事として任命
されたと大々的に発表、報道された直後の爆破事件だったので、即座に各方面
から犯人に対する怒りの声が寄せられました。ほとんどの人がイスラム教徒や
移民系の人に対する差別行為を許せないと言いました。ルペンはこの事件を
「治安悪化の証拠の一つ」と見なしているようですが、こういう事件が起きる
ほど国民の間に差別感情が広がっていると考えたのか、今年の選挙を憂える論
調の新聞記事もありました。
しかし、この事件の続報を追ってみると、必ずしも差別主義者による犯行とは
言い切れなくなってきました。警察の発表によると、これまでに事情聴取を行
なった人数は3人で、いずれも知事や家族と交流のある(あった)人たちでし
た。差別主義者による犯行、内務相の優遇措置に反対する者による犯行の可能
性が0になったわけではないのですが、個人的な理由(家族の問題または第三
者のいわれのない妬み感情)による犯行ではないかという見方が強まっていま
す。
2002年の大統領選挙前は、治安に対する不安をかきたてるニュースが多いよう
な気がしたものですが、今年はイスラム教関連のニュースが目立つように思い
ます。気のせいなのかなあ。
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あとがき
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長いのにここまで読んでくださって、ありがとうございます。
あまりに遅れたので、いっそこのまま欠刊にしようかと目論んでいたのです
が、知事の事件について書きたくなったので、発行することにしました。
時間的な余裕も気持ちの余裕もなくて、いただいたメールへの返信ができてい
ません。ありがたく読ませていただいてはいるのですが。本当にすみません。
メールどころか、年賀状もいただいた年賀状に対する返事も何もできていなく
て、そのことを考えると気が滅入ります。
冬休みはグループ課題(2つ)に振り回されていました。グループのメンバー
はそれぞれ離れた場所に住んでいるので、彼らに会うための小旅行を何回もし
ました。私と組んだ人たちは、過労で倒れたり交通事故に遭ったり大変なこと
が続き、休み明けに彼らが元気に登校したのを見た時は本当に嬉しかったで
す。
さて、2月は予定どおり休刊です。
3月は「EUの拡大」を取り上げます。
皆様、風邪やインフルエンザにはくれぐれも気をつけてくださいね。
------------------------------------------------------------------
フランスの片隅から(ほぼ月刊)
発行者 Olivier
転載、引用の際は本誌を出典として明記してくださるよう、お願いいたします
-------------------------------------------------------------------
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メール: olivier_katasumi@yahoo.co.jp
掲示板:http://bbs8.otd.co.jp/katasumi/bbs_tree
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