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群馬中国医療研究協会の最新情報と群馬よみうりダイジェスト・上毛上毛新聞掲載の<心と身体にやさしい>漢方の知恵をメールにて配送。
- 最新号:2008-08-04
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群馬よみうり「あみーご」&上毛新聞「漢方の知恵」2008年3月号
発行日: 2008/3/3題:手足の冷え
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バレンタインデーで、手を握り合ったカップルには、手足の冷えは無縁かもしれませんが、そういう相手がいないと心まで寂しくなってしまいますね。
患者さんの中には、「こおりんぼぉ」になったような指先の人もいますし、足先がしもやけになってしまう人もいます。
漢方では、体の芯が冷える場合には、五臓六腑の腎臓を温める力が足りないといって、シナモンを勧めます。無毒化したトリカブトを使って頻尿を改善する漢方薬が、八味地黄丸(はちみじおうがん)です。不思議なことに、この薬は頻尿ばかりでなく尿量減少にも効果があるといわれています。これは、漢方がバランスを整える医療だからです。
夏には足がほてるのに、冬には汗をかいて冷えてしまう場合には、夏には六味丸を冬には八味地黄丸を勧めます。こういう人がしもやけになるので、いつも乾かすように気を付けて下さい。
手が冷える場合、日本では当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)などを勧めます。利尿効果もあって、ダイエットを助ける効果や水肥りによる冷えが原因の生理痛を和らげる効果も期待できます。中国では、芎帰調血飲(きゅうきちょうけついん)を勧めます。血液循環を改善する働きがあるので、生理の血の中に3センチもあるような塊りがあって色が黒く粘る場合の生理痛を和らげる効果も期待できます。
関節が冷えて痛いときには、大防風湯(だいぼうふうとう)を勧めます。四肢の冷えの他、むくみもある場合、真武湯(しんぶとう)を勧めます。ストレスからの四肢の冷えには四逆散(しぎゃくさん)を使い、体力低下からの四肢の冷えには四逆湯(しぎゃくとう)を使います。
冷えを改善する食べ物の第一は、羊の肉です。最近、前橋にラム料理とジンギスカンのステキなお店を発見しました。馬のさしみをニンニクのしょうゆで食べたり、鹿や牛のシチューを食べると、体は火照ります。でも、恋人がいないと冷えているほうがマシかもしれませんね。
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続いて、上毛新聞「漢方の知恵」です。
●上毛新聞 <心と身体にやさしい>漢方の知恵
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玉米鬚(ぎょくべいしゅ)
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昨年、中国の河南省から河北省へ列車で5時間の旅をしたときのことです。車窓からは見渡す限りのトウモロコシ畑がひろがります。「こんなに食糧がとれているのに、中国も食糧を輸入する国になってしまったのか?」とか「このトウモロコシは、エフワンかな?」などと考えていましたが、もうひとつ、疑問が出てきました。「これだけの作物を手で収穫してロバに引かせて運んで、いったいいつになったら収穫作業が終わるのかな?」中国は不思議な国で、飽きさせてくれません。
トウモロコシは、原産はマヤ文明のあたりといわれています。「とう」も「もろこし」も日本から見た中国のことです。中国では「小米(シャオミー)」が「アワ」、「大米(ダーミー)」が「うるち米」、「玉米(ユイミー)」が「トウモロコシ」、もうひとつおまけに「海米(ハイミー)」が「小エビの干したもの」です。
メタボリックシンドロームが話題になっています。漢方では、精白された単純な穀物を食べるよりも、精白されていないいろいろな雑穀を食べる方が良いと考えています。最近は、普通のご飯を炊くときに混ぜるだけで雑穀ご飯が炊けるセットも注目されています。最近の中国の研究では、アワやヒエばかりでなくさまざまな豆類やトウモロコシを合わせることで、中性脂肪やコレステロール・尿酸値・血糖値が安定して、高血圧症・動脈硬化症が予防できて、脳梗塞・心筋梗塞の危険性を下げることができるとのことです。
トウモロコシの鬚は、むくみや尿量減少に対して効果があります。特に脚のむくみに良いとされています。ただし、キササゲやカキドオシ・ヤーコン同様、カリウム塩を多く含んでいます。慢性腎炎の末期や透析をしている患者さんにはお勧めできません。
玉米鬚(ぎょくべいしゅ)イネ科トウモロコシの花柱と柱頭。日本では、通称「ナンバの毛」ですが、南蛮黍(なんばんきび)の毛からきていると思われる。
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赤小豆(せきしょうず)
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三十年前に中国の漢方薬剤師の劉先生は、シルクロードを何ヶ月もかけて歩きました。昔から言い伝えられてきた食生活をする貧しい遊牧民たちのたくましさに驚いたといいます。
先生は、肝炎や腎臓病に赤小豆を使った処方を紹介しています。ある患者さんが重症の肝炎による腹水で、当時の中国でできる限りの西洋医学の治療がされましたが、効果が見られませんでした。窮余の策として、鯉と小豆と落花生とニンニクと唐辛子を入れたスープを試してみまると、七日間大量の排尿があって腹水が治まったというのです。
こうお話しすると、どんなむくみや腹水にも赤小豆が効くように読まれてしまいそうです。しかし、私の考えでは、効果があるのは一定程度の病状のむくみや腹水までであって、基本的には予防的に使うものなのだろうと思います。
患者さんのなかには、民間療法に関心をもっている人が少なからずいらっしゃいます。「キササゲを使えば、どんな糖尿病でも腎臓病でも治りますよね」と聞かれると、答えに困ってしまいます。アケビ・連銭草・トウモロコシの毛・ヤーコンなどはカリウム塩を多く含んでいます。重症の腎機能障害の患者さんやすでに透析を受けている患者さんには、カリウムやリンの制限が必要です。昔は民間療法で治らない人は手遅れとされていましたが、今は透析という技術ができたので、生き続けることができるようになりました。
腎臓の専門医から、透析患者さんの手足の冷えや皮膚の乾きに対する漢方薬の相談を受けることがあります。そういう時は、かならずカリウムやリンなどのデータを参考にしながら、漢方薬を提案するようにしています。
赤小豆(せきしょうず)マメ科ツルアズキやアズキの成熟種子。むくみや黄疸を解消する。料理の時に茹でこぼす汁に効果がある。
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閑話休題「がんばれ!仏教」
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先日、タイにあるスカトー寺(でら)の副住職、ナラテボー・プラユキさんのお話を聞きました。ナラテボーさんは、本庄出身の45歳の日本人で、20年前に現地で得度をいただいたタイのお坊さんです。
ナラテボーさんによると、世界の仏教は大きく三つに分けられます。ひとつは、ダライラマ十四世率いるチベット密教、ひとつが日本や中国に伝わった大乗仏教、最後に、タイ・ミャンマー・スリランカに伝わる上座(小乗)仏教です。
日本で、小乗仏教というと、民衆を置き去りにして修行僧だけが悟りにいたるというようなイメージがあります。ところが、実は「自灯明(じとうみょう)」といって、自らが発する光をよりどころにして、あらゆる悩みや苦しみから解放され安らげる意識の置き方を学ぶ、哲学のように感じました。
現在、日本では、オーラや前世が見えるとかスピリチュアルの世界が騒がれています。その一方、適応不安やゆううつ感で悩んでいる人が大変増えています。わがままな夫が毎日家にいるので、いらいらして眠れない人もいます。学校に行こうとするとお腹が痛くなる人もいます。子どもさんを亡くして気持ちの整理がつかない人もいます。がんの治療は受けていますが、心の安定が得られない患者さんもいます。
ナラテボーさんは、感情に振り回されない受容力を高める方法として、言葉からだけの悟りではなく、具体的な瞑想法を教えてくれました。まるで、仏陀というひとりの人間が洞察の末にたどり着いた、認知行動療法にも通じる心理療法を、教えてもらっているようでした。
私のところに漢方相談においでになる患者さんの多くが、肉体の不調だけでなくこころの悩みや苦しみを訴えています。願わくば、日本のお寺でも、仏陀の智恵を教えて、物や金・地位などに執着しないこころのやすらぎを広めて欲しいと思いました。
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