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彼の声 2008.5.6

発行日時: 2008/5/7

今から何をやろうとしているのか。
やることは決まっていて、
それはいつもの作業だ。
文学でも芸術でもなく、
ただ言葉を並べて文章もどきを記すことだ。
近頃は考えるのが面倒くさいから、
そういうことにしてある。
別にやけくそ気味になっているのではないが、
何となくそんな風にしか感じられず、
その作業がすばらしいなどと思ったことはなく、
無感動を常として、
まったく幻想を抱けなくなっている。
それがなんなのかわからないが、
少なくとも馬鹿げていることは確かだろうか。
何が馬鹿げているのだろう。
君は自殺する人の気持ちをわかってあげられるだろうか。
近親者が自殺すると人は動揺するだろう。
想像できるのはそういうことだ。
たぶん自殺する人は孤独なのだろう。
誰かは冗談でそんなことを思っている。
本気になれないのだ。
絶望すれば誰でも自殺を考えるものか。
そうだとしたら君はどうするべきなのか。
絶望して自殺してみればわかるというものか。
そういうことでしかない。
自殺も暇つぶしのたぐいでしかない。
やはり冗談でそんなことを述べているのだろうか。
君は思い詰めることができないほど絶望しているわけか。
それはどういうことなのだ。
思い詰めたら自殺するしかないかもしれないが、
絶望しても自殺する危険性があるのではないか。
たいていの場合、
たぶん自殺したら家族が悲しむだろう。
それだけのことでしかない。
他人の自殺を笑うほどの状況ではないのだろう。
誰を憎んでいるわけでもなく、
蔑んでいるわけでもないが、
感情を表に出してもつまらない。
では自殺の何がつまらないのか。
時にはおもしろがって支離滅裂なことを述べたくなり、
それに成功したつもりになって高笑いの最中だろうか。
誰が何を述べているのかわからない。
それも冗談のたぐいなのだろう。
人は進んで絶望すべきであり、
悩みに悩んで思い詰めるべきなのだろう。
些細で瑣末なことに一喜一憂すべきなのだ。
馬鹿げているかもしれないが、
馬鹿げていて結構なのだろう。
自殺してもかまわないが、
それは馬鹿げている。
末期がん患者なら真剣に自殺を考えるべきか。
机上の空論以前に
どうでもいいようなことを述べているらしい。
冗談でそんなことを述べるべきではないが、
そんな正論はここでは通用しない。
では君は誰に向かって、
死んでしまえ、
と言い放つべきなのか。
心当たりは何もない。
対象を絞り込めず、
困ったふうを装い、
最後の一撃にすべてをかけているわけでもないだろう。
空手の試合ではない。
ならば何が冗談から生じているのだろう。
これを読んだら自殺を思いとどまってくれるだろうか。
冗談でそんなことを述べているので、
真に受けてもらっては困るか。
どうやら誰かは親身になって
他人の悩みを聞いてやるほど暇ではないようだ。
ただ正論を吐きたくない。
自殺するほどの価値があるような者は
世界中探しても誰もいはしないか。
誰もが中途半端ながらくた人間なのかもしれず、
愚かなまま生きて死んでゆく定めにあるらしい。
そんなくだらぬ人間が世界中にはびこり、
わけもなくうごめいているだけか。
君たちはそこで何をやっているのか。
スポーツを眺めているのがそんなに楽しいか。
また冗談でそんなことを述べているのだろう。
クイズ番組で珍回答を連発するタレントを見て
笑い転げていても仕方がない。
それほど心が純真ではないはずだ。
わざとらしい演技が透けて見える。
君は何に対して無関心なのだろう。
簡単に考えるなら、
自殺は社会的な損失なのだろう。
働き手がなくなり、
その穴埋めのために残された者たちが苦労を背負い込む。
それだけのことでしかないか。
自殺する理由とは何か。
生きていても周りに迷惑がかかるから自殺すれば、
死んだ後にも後始末などで周りに迷惑がかかりそうだ。
そういう場合はどうすればいいのだろう。
人知れず旅にでも出るべきなのか。
そうなると周りの人々が捜しまわらなければならなくなり、
結果的に迷惑がかかるだろう。
要するに生きても死んでも行方知れずになっても、
どのみち周りに迷惑がかかりそうだ。
そういう場合はどうすればいいのか。
そういう状況は落語の題材にでもなるかも知れない。
また冗談に逃げたくなっているようで、
本気になれないらしい。
君にとっては自殺などどうでもいいことか。
その気になってみれば身近な問題とはなりそうだが、
たぶんそこにたどり着くまでに
気の遠くなるような回り道と迷路を
抜けて行かなければならず、
そんなことをやっているうちに
自殺のことなど忘れてしまうのかもしれない。
現状ではそんな終わりにはたどり着けそうもない。
確か芥川龍之介や川端康成や三島由紀夫などは
自殺した有名人だろうが、
彼らには自殺する理由があったのだろうか。
それぞれに自殺に至る経緯がありそうで、
十把一絡げに考えるのもいい加減きわまりないだろうが、
君はそこからどんな結論を導きだそうとしているのか。
彼らにはユーモア精神が欠如していたのかもしれない。
心に余裕がなかったのだろう。
それは結論ではなく、
何だろう。
何でもないのではないか。
ただ君は笑っているようだが、
そこで何を軽んじているのだろうか。
生きることに絶望しているのに、
ユーモア精神も何もあったものではなく、
心に余裕があったら自殺など考えないか。
ただ当たり前のことを当たり前のように述べて、
一通り笑い転げたふりをして、
それで今回は終わりとしておこう。

 
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