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【映画とは、人生を2時間で切り取るものだ】。そんな視点からつづる、1000文字の映画コラム。いろんな映画をきっかけに、生き方について考えてみませんか。ありふれた日常のなかで、答えを探すあなたに、ぜひ。

  • 最新号:2008-09-04
  • 発行周期:火・金・(木)
  • 読んでる人:522人
  • 創刊日:2001-03-20
  • Score!:96点
  • コメント数 : 0
  • メルマガID:33635
  • バックナンバー:全て公開
  • 発行者サイト:あり
  • >> 月間ランキング



映画のなかの人生…Vol.788「つぐない」★★★★☆

発行日: 2008/4/19

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┃1┃ STORY (観ていないあなたへ)
┻━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

使用人の青年に片想いの少女は、姉と彼の微妙な関係に気づく。
満たされない想いと嫉妬に駆られ、彼女はある許し難い嘘をつき、
彼を陥れてしまう。やがて戦争がはじまり、その後の二人を
待ち受けていた悲劇を目の当たりにして、彼女は償いを願うが…。


┳━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃2┃ 上映館ミシュラン (観ていないあなたへ)
┻━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

新宿テアトルタイムズスクエアでやっています。
他で観るよりは、ここの大きなスクリーンがいいでしょう。
週末は満席に近いと思いますので、早めに席を確保しましょう。
全席指定。毎週水曜は男女問わず1000円です。

▼新宿 テアトルタイムズスクエア 
10:30/13:05/15:40/18:15/20:50〜23:00(終)

▼日比谷 シャンテ シネ 
〜4/25(金) 10:15/12:55/15:35/18:15〜20:35(終)

▼有楽町 有楽町スバル座 
4/26(土)〜 10:30/13:10/15:50/18:30〜20:50(終)

▼池袋 シネ・リーブル池袋 
4/26(土)〜 10:45/13:15/15:45/18:15/20:40〜22:50(終)


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┃3┃ Review (観おわったあなたへ)
┻━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【ポイント】★★★★☆

<内訳>
テーマ   :★★★★★
ストーリー :★★★
キャスト  :★★★★
スタッフ  :★★★★

>テーマ ★★★★★<
離別をテーマに、繰り返されていく人々の別れの場面が続き、
現実の悲惨さから、最後まで目を背けさせない緊迫感がある。

>ストーリー ★★★<
どのようにして、二人が悲劇に陥っていくのかという前半や、
ラストの展開には息を呑むが、戦闘場面の位置づけが不明瞭か。

>キャスト ★★★★<
ナイトレイもマカヴォイもいいが、一番目立ったのは主役の少女。
子どもの純粋さと怖さが、いぶかしげな表情に同居していて怖い。

>スタッフ ★★★★<
全体にクラシックなテイストのラブストーリーに仕立てており、
懐かしさを感じる演出だが、そのせいで戦闘場面が浮いたかな。

>総評 ★★★★☆<
なかなか素晴らしい映画だったと思います。
全編に漂う絶望的な状況のなかで、
最後には、「つぐない」の意味が明かされる。

テーマも素晴らしいし、昔風のラブストーリーが、
観ていて涙を誘うことも、間違いないでしょう。
主役の少女とともに、キャスティングも良かった。

ただ、戦闘場面だけが浮いてしまったんだな…。
あの展開は唐突だし、なぜこんな場面があるのか、
ちょっと物語全体での位置づけが不完全だったような。

そこさえなければ、完璧だったんだけどなあ。
個人的にはとてもいいと思う。オスカーも獲れたかも。
残念な気持ちを☆1つとして加えておきます。


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┃4┃ Column (観おわったあなたへ)
┻━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

どんな物語も、必ず真実は前提にある。

どんな架空の世界も、自分の経験から、
「こんな世界があったら」と空想するもので、
どんな架空の人物も、自分の経験から、
「あの人とこの人を混ぜたら」と描くものだから。

最近では、「真実の物語」と銘打って、
ドキュメンタリーと物語の境目が、
見えない映画も増えてきてはいる。
伝記映画や、歴史映画の論評では、
「これは事実じゃない」という批評もある。

事実じゃないのだ。
物語は、物語なのだから。

誰かに伝えたい物語にとっては、
現実をそのまま描くというのは、
あまりにも厳しいものである。

大きな戦争は、あまりにも多くの人々を引き裂く。
誰かのエゴが、見えない人々の小さな幸せを壊す。
ひとりの人間から、見えている世界の外では、
どれだけ多くの人々が、厳しい現実に直面しているか。

しかし、多くの人々はそんなことに気づかない。
そして、だから幸せでいられるのだ。
どんな戦争でも、ニュースは歓喜しか伝えない。
だからこそ、何も知らない世界で生きられるのだ。

子どもが、純粋で無垢なのは、
そんな現実の世界を知らないからだ。
小さな世界で、幸せな妄想を繰り返すから、
子どもは何も知らず、時に恐ろしいことをする。

だが、誰もが次第に気がついていく。
理解できる世界が広がれば広がるほど、
この世に起きている恐ろしい事実を知る。

看護師になり、絶望的な患者を診て、
撤退していく軍隊と、脱出を待つ人々を見て、
そして、幸せになれない家族のことを眺めて。

知れば知るほど、現実は悲しい。
そして、その現実に打ちひしがれるのも、
さらに、その現実を作り出すのも、自分である。

救われる人間は、ごくわずかしかいない。
多くの人々は、悲しみのうちに人生を終える。
しかしだからこそ、物語には力があるのだ。

ごくわずかな救いを、物語は作り出せるから。
得られないはずの赦しを、物語は得られるから。
報われないはずの人々にも、ありったけの幸せを、
物語のなかには詰め込んで、贈りとどけることが、できるのだから。

2008/4/19 新宿テアトルタイムズスクエアにて。


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┃6┃ 次回予告 ほか
┻━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
その他、筆者からのお知らせなどなど。


★次回予告「フィクサー」……………………………………………

前評判を覆し、ティルダ・スウィントンが助演女優賞を受賞。
彼女のクールな表情は、ちょっと人間離れしていて印象的です。
肝心の内容は、ジョージ・クルーニーが悪事をもみ消す弁護士に。
しかし、次第に巨大な陰謀に巻き込まれていく社会派サスペンス。

で、次回もお楽しみに。次回は火曜の予定。
http://www.fixer-movie.com/


★今後の予定など………………………………………………………

さて、そろそろゴールデンウィークですね。
皆さんのご予定はいかがでしょうか。
筆者は特に何もなく、ようやく映画館に行く時間がとれる…?

というわけで、ゴールデンウィーク公開映画が、
いろいろ待ちかまえております。
最大の話題作は「There Will Be Blood」でしょうね。
ダニエル・デイ=ルイスの、主演男優賞受賞作です。

でも個人的には「I'm not there」に期待だな。
クリスチャン・ベイルやケイト・ブランシェットら、
実力派俳優がボブ・ディランを交互に演じるのが面白そう。

というわけで、これからもお楽しみに。

「譜めくりの女」http://piano.cinemacafe.net/
「I'm not there」http://www.imnotthere.jp/
「紀元前1万年」http://wwws.warnerbros.co.jp/10000bc/
「There Will Be Blood」http://www.movies.co.jp/therewillbeblood/


 
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ペンネーム : Ak.

  • 年間100本以上の映画を観ている作家のたまご。良い物語と、生き方を考えさせるテーマを求めて、今日も映画館に足を運びます。もう1000本以上も観ているんですけどね…。

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