トップ > エンターテイメント > 映画 > 映画のなかの人生、映画のような人生。

【映画とは、人生を2時間で切り取るものだ】。そんな視点からつづる、1000文字の映画コラム。いろんな映画をきっかけに、生き方について考えてみませんか。ありふれた日常のなかで、答えを探すあなたに、ぜひ。

  • 最新号:2008-09-04
  • 発行周期:火・金・(木)
  • 読んでる人:522人
  • 創刊日:2001-03-20
  • Score!:96点
  • コメント数 : 0
  • メルマガID:33635
  • バックナンバー:全て公開
  • 発行者サイト:あり
  • >> 月間ランキング



映画のなかの人生…Vol.781「マイブルーベリーナイツ」★★★★

発行日: 2008/3/25

┳━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃1┃ STORY (観ていないあなたへ)
┻━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

恋人が通うらしいカフェに押しかけ、バーテンと話し込む女。
彼の家のカギを預け、カフェに通ううちに、フラれた事実を
受け入れ、彼女はあてもない旅に出る。一方でバーテンの男は、
すっかり彼女に惚れ込んで、何とか捜しだそうとするのだが…。


┳━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃2┃ 上映館ミシュラン (観ていないあなたへ)
┻━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

日比谷スカラ座ほか、もっぱらシネコンでやってます。
東宝系なんですが、シネコンもメジャーになったもので…。
こんな大スクリーンで、ウォン・カーウァイを観るとは。

そんなに混んでませんでしたので、お近くへどうぞ。

▼日比谷 日比谷スカラ座 
11:40/14:00/16:20/18:40〜20:25(終)

▼有楽町 日劇PLEX 
21:15〜23:00(終)

▼新宿 新宿バルト9 
〜3/28(金) 10:20/12:25/14:30/16:55/19:00/21:05/23:10/1:15〜3:00(終)
3/29(土)〜 時間は直接劇場へお問い合わせ下さい

▼豊洲 ユナイテッド・シネマ豊洲 
〜3/28(金) 10:15/12:15/14:15/16:15/18:15/20:15/22:30〜0:15(終)
3/29(土)〜 時間は直接劇場へお問い合わせ下さい

▼六本木 TOHOシネマズ 六本木ヒルズ プレミアスクリーン
〜3/26(水) 11:00/13:30/16:00/18:30/21:00〜22:50(終)
3/27(木)〜3/28(金) 11:00/13:30/16:00/18:30/21:00/23:30/26:00〜27:50(終)
3/29(土)〜 時間は直接劇場へお問い合わせ下さい

(通常スクリーン)
〜3/26(水) 10:00/12:20/14:35/17:00/19:20/21:35〜23:25(終)
3/27(木)〜3/28(金) 10:00/12:20/14:35/17:00/19:20/21:35/24:00/26:25〜28:15(終)
3/29(土)〜 時間は直接劇場へお問い合わせ下さい

▼お台場 シネマメディアージュ 
〜3/28(金) 11:30/13:40/16:00/18:10/20:20〜22:05(終)
3/29(土) 11:30/13:40/16:00/18:10/20:20/22:30/0:40〜2:25(終)
3/30(日)〜 11:30/13:40/16:00/18:10/20:20〜22:05(終)

▼渋谷 渋東シネタワー 
10:30/12:45/15:00/17:15/19:30〜21:20(終)

▼新宿(歌舞伎町) 新宿東亜興行チェーン 
〜3/27(木) 10:10/12:10/14:10/16:10/18:10/20:10〜21:55(終)
3/28(金)〜3/29(土) 10:10/12:10/14:10/16:10/18:10/20:10/22:10/0:10/2:10〜3:55(終)
3/30(日)〜 10:10/12:10/14:10/16:10/18:10/20:10〜21:55(終)

▼池袋 池袋HUMAXシネマズ4 
〜3/28(金) 11:10/13:25/15:45/18:05/20:25〜22:10(終)
3/29(土)〜 時間は直接劇場へお問い合わせ下さい

▼品川 品川プリンスシネマ 
11:40/14:00/16:30/18:40/20:55〜22:40(終)

▼東武練馬 ワーナー・マイカル・シネマズ板橋 
〜3/28(金) 10:10/13:00/17:10/19:15/21:20〜23:05(終)
3/29(土)〜 時間は直接劇場へお問い合わせ下さい

▼豊島園 ユナイテッド・シネマとしまえん 
〜3/28(金) 11:00/13:15/15:15/17:30/19:30/21:30〜23:15(終)
3/29(土)〜 時間は直接劇場へお問い合わせ下さい


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┃3┃ Review (観おわったあなたへ)
┻━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【ポイント】★★★★

<内訳>
テーマ   :★★★
ストーリー :★★
キャスト  :★★★★
スタッフ  :★★★★★

>テーマ ★★★<
全編を覆う深い喪失感は、最後まで晴れないままなのだが、
ひとつひとつの場面とセリフが、共感と感動をつないでいく。

>ストーリー ★★<
3つの物語が、今回ははっきり分かれたオムニバス形式のようで、
展開は分かりやすいが、一方で雑然とした日常感を失っている。

>キャスト ★★★★<
ノラ・ジョーンズより、ジュード・ロウやレイチェル・ワイズの
存在が光り、小さな物語でも大きな想像を引き出す演技を見せる。

>スタッフ ★★★★★<
カメラがドイルから替わっても、徹底的な映像へのこだわり、
ぼやけたガラス越しの感触や、大胆なアングルなどが印象的。

>総評 ★★★★<
久々にウォン・カーウァイが、原点に還ってきた印象。
雑多な日常の場面をつなぎながら、そのなかに潜む、
人間の孤独、絶望、暴力などをちりばめていくのが彼らしさ。

しかし今回は、3つに物語がはっきり分かれているので、
その日常感が切り離され、放浪物語の単純さが目立っている。
なので、物語としての展開を期待してしまう人もいるはずで、
そう考えると、ちょっと肩すかしに思えるかも。

実際、旅は喪失感をめぐる長い考察を成していて、
1つの主題をきちんと検討するという意味では、
今までのウォン・カーウァイらしくない、明確な方向性を感じる。

それだけ、彼には考え、語りたいことが、
この10年の間にあったのかもしれない。
それについては、コラムで考えたいと思います。


┳━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃4┃ Column (観おわったあなたへ)
┻━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

愛する人を失うのは、つらいことである。

勝手に人の家を開けてはいけない世の中で、
愛する人の家は、自由に入れる家である。
愛する人を失うことは、そのカギを失うことである。

どうやって、その事実を受け入れよう?
答えのない問いに、あてもない旅に出る。
目の前の事実を、忘れてしまえる旅へ。

すると、そこでも彼女を待っているのは、
同じように、愛する人を失う人々の姿だ。

それでも、失った人にしがみつく人がいる。
やっぱり、失った人から逃げていく人がいる。
またある人は、誰かを愛しているという、
自分のなかの事実を、否定しようとしている。

帰ってこない人を、待ち続けるのもいい。
酒を浴びるほど飲み、忘れるのもいい。
他の人に乗り換えるのも、誰も信じないのも。

でも、事実が消えることはない。
愛する人がいなくなったことは、変わらない。
どんな方法を使っても、忘れることはできない。

香港返還から、すでに10年が経った。
失われていく「現在」に対する焦燥と孤独が、
ウォン・カーウァイの映画には息づいていた。
暗闇を駆け抜けるぼやけた光と、鳴りやまない時計の音。

そして、愛する香港には期限がやってきて、
あの頃の焦燥や孤独も、いまや「過去」になった。
それから、彼は遠回りを始めたのだと思う。

地球の裏側でも、孤独は同じだと、
彼は「ブエノスアイレス」を撮り、
訣別の覚悟を、「花様年華」で語った。

きっと、それでも割り切れなかったのだろう。
一方で、旅の中での出逢いは彼の視点を変え、
地理的なテーマから、人間へと移りつつあるようだ。

勝手に他人の家を開けていた、金城武から10年。
いまや他人は、主人公を映し出す鏡に変わった。
香港は失われた。愛する人も、愛する故郷も戻らない。

遺されたのは、額縁に飾られた人々の想い出と、
そして傷心から立ち直れない人々の物語である。
けれども、そんな人々が互いに手を取りあえば。

きっとまた、新しい物語が始まるとこの映画は告げる。
長い遠回りを経て、また、あのウォン・カーウァイが、
戻ってこようとしていることに、私も時の流れを感じた。

2008/3/23 ユナイテッドシネマズとしまえんにて。


┳━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃6┃ 次回予告 ほか
┻━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
その他、筆者からのお知らせなどなど。


★次回予告「バンテージポイント」…………………………………

アメリカでも好評らしいサスペンス映画。大統領暗殺事件の捜査を
進めると、目撃者がそれぞれ言い分を言い合って、次第に真実が
分からなくなっていくという推理モノになっているらしい。って、
それはいわゆる「藪の中」であり、「羅生門」だと思いますが…。

で、次回もお楽しみに。次回は金曜の予定。
http://www.sonypictures.jp/movies/vantagepoint/


★今後の予定など………………………………………………………

さて来月以降は、もはや名監督(だと筆者は思ってる)、
スサンヌ・ベアがついにアメリカで撮影したという、
「悲しみが乾くまで」。また凄いのかなあ。
また5を出しちゃったら、どうしましょう。

その他、いまのところ気になる作品を、
下に並べておきました。オスカー候補作目白押し。
まあ、忘れられないうちに公開したいですもんね。

というわけで、これからもお楽しみに。

「悲しみが乾くまで」
http://www.kadokawa-pictures.co.jp/official/things_we_lost_in_the_fire/
「ジェリーフィッシュ」http://www.jellyfish-movie.com/
「モンゴル」http://www.mongol-movie.jp/
「ランジェ公爵夫人」http://www.cetera.co.jp/Lange/
「王妃の紋章」http://wwws.warnerbros.co.jp/ouhi/
「つぐない」http://www.tsugunai.com/
「フィクサー」http://www.fixer-movie.com/
「ジェイン・オースティンの読書会」
http://www.sonypictures.jp/movies/janeaustenbookclub/
「ファクトリーガール」http://www.factorygirl.jp/
「ラフマニノフ ある愛の調べ」http://rachmaninoff.gyao.jp/

 
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ペンネーム : Ak.

  • 年間100本以上の映画を観ている作家のたまご。良い物語と、生き方を考えさせるテーマを求めて、今日も映画館に足を運びます。もう1000本以上も観ているんですけどね…。

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