映画のなかの人生…Vol.773「君のためなら千回でも」★★★★
発行日時: 2008/2/19┳━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃1┃ STORY (観ていないあなたへ)
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アフガンから移住した若者に、故国から帰還を促す電話が入る。
少年時代、そこでは召使いの息子が、たった1人の親友だった。
しかし彼は、ある挫折をきっかけにして、彼と疎遠になっていく。
その後、時代に翻弄された2人が出逢うことは、なかったが…。
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┃2┃ 上映館ミシュラン (観ていないあなたへ)
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シネスイッチ銀座、恵比寿ガーデンシネマでの2館上映。
まだ公開直後なのに、けっこう空いていますねえ。
シネスイッチ銀座のレディースデーは金曜なので、お間違えなく。
▼銀座 シネスイッチ銀座
11:10/13:50/16:30/19:15〜21:35(終)
▼恵比寿 恵比寿ガーデンシネマ
11:00/13:40/16:20/19:00〜21:25(終)
▼東武練馬 ワーナー・マイカル・シネマズ板橋
〜2/22(金) 10:50/13:35/18:55〜21:15(終)
2/23(土)〜 時間は直接劇場へお問い合わせ下さい
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┃3┃ Review (観おわったあなたへ)
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【ポイント】★★★★
<内訳>
テーマ :★★★
ストーリー :★★★★★
キャスト :★★★
スタッフ :★★★
>テーマ ★★★<
若者の半生記だが、少年時代の友情、難民としての移住、家族、
アフガンの現実と、いろいろテーマがあるのに絞りきれない。
>ストーリー ★★★★★<
演出が半端だが、物語そのものは、さまざまな伏線をおいて、
実際に良くできていると思う。涙もろい人は、号泣必死のはず。
>キャスト ★★★<
演出がボケても、演技で引っ張れたりすればいいのだが、主役も、
脇役も、子役も、そこまでのインパクトは残していない。
>スタッフ ★★★<
どこに焦点を当てて盛り上げるのかが見えず、だらだらしている。
原作物にありがちなミス。最後のアフガンでの展開は本当に必要?
>総評 ★★★★<
すごい悩みましたが、4つ星をつけました。
映画としての、出来はあまりよくありません。
本当は少年時代の、赦されない罪について、
贖罪を求める物語のハズなのに、なぜか、
家族物語や、アフガンの現実まで詰め込まれ。
だいぶ総花的で、焦点が定まらないのは、
映画にした側に問題があるような気がします。
でも原作は、なかなか面白いのでは?
随所に張りめぐらされた伏線と秘密が、
皆さんの涙腺をきちんとゆるめてくれるはず。
もう、家族が死ぬとか、恋人が不治の病だとか、
ワンパターンな感動物語に飽き飽きしてる人には、
充分、新鮮な驚きと感動をもたらしてくれるでしょう。
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┃4┃ Column (観おわったあなたへ)
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30年も生きていると、人は多くの罪を犯す。
私も多くの罪を犯し、償えないままである。
とりわけ、少年時代の罪は拭いがたい。
幼稚園や小学校の頃の、クラスメイトや、
教師たちを見つけることは、すでに難しい。
あの頃、ずっと永遠だと思っていた仲間たちは、
進学とともに、ひとり、またひとりと消え、
もはや、永遠に逢うことのない者の方が多いだろう。
一方で記憶は、いまもなお遺りつづけている。
忘れてもいいはずの失敗や、後悔だけがなお、
心のどこかで、くすぶっているのを感じる。
それから時が経ち、大人になってみれば、
あの時、何をしていれば良かったかが分かる。
しかし、その時にはすでに子どもには戻れず、
そして、謝るべき仲間たちも、ここにはいない。
主人公の男が振り返る、大きな後悔。
守るべき親友を、守れなかった屈辱。
どうしてあの時、自分は逃げてしまったのか。
より後悔すべきなのは、その屈辱を、
見なかったことにしようと、記憶はおろか、
屈辱を想い起こさせる親友まで遠ざけたこと。
どうして、あのとき素直に謝れなかったのか。
どうして、あのとき友だちに戻れなかったのか。
不可解な結末に、狼狽する父の姿も。
去り際の彼の、あの哀しそうな顔も。
何もかもが、彼の少年期に暗い烙印を押す。
そしていつしか、故国アフガンそのものが、
彼のなかで、忌まわしいものになっていた。
誇り高き父と、何も出来なかった自分。
ソ連から、敵から、罪から、自分は逃げてきた。
アフガンにあるのは絶望だけ。そうして忘れてきた。
それから、幾年もの時が流れ。
彼は再び、その罪に直面する。
あの時、逃げ出した想い出に直面する。
あれから、見たくなかった記憶が甦る。
そこにいたのは、文字どおり絶望的な故国と。
遥かに恵まれ、幸せだった自分の存在と。
自分と同じように罪を犯してきた父の姿と。
そして何より、忘れがたい友情の存在だった。
あの時、きっと謝っていたならば。
彼は、私を赦していたに違いない。
なぜならそれが、彼の友情だからだ。
あの時、どうして友を信じられなかったのか。
せめてもの贖罪を果たして、彼は戻ってくる。
そして、ひとまわり大きくなって、彼は戻る。
人間が試されるのは、誰もが触れたくない、
忌まわしい過去や、悲劇に直面した瞬間である。
彼は、その瞬間と向き合い、そして試練に勝った。
例え、赦しを請うべき相手に、もう逢えないとしても。
自らの過ちを認めることで、
人は新たな一歩を踏み出すことができる。
彼はようやく、その新たな一歩を、踏み出したのだ。
2008/2/18 シネスイッチ銀座にて。
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┃6┃ 次回予告 ほか
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その他、筆者からのお知らせなどなど。
★次回予告「エリザベス・ゴールデンエイジ」……………………
ケイト・ブランシェットの出世作といえば、やはり「エリザベス」。
絶対国王にして1人の女性という、究極の矛盾と苦しみを演じ、
彼女は「恋に落ちたシェイクスピア」とオスカーを争いました。
今回はその続編で、監督も主演も引き続きなので、期待できそう。
で、次回もお楽しみに。次回は金曜の予定。
http://www.elizabeth-goldenage.jp/
★今後の予定など………………………………………………………
来週以降は、とりあえず以下のような予定。
お気づきのとおり、例によってこの時期は忙しく、
あまり映画を観る時間がないのですが、話題作はいっぱい!
何てったって、ウォン・カーウァイ監督の新作、
「マイ・ブルーベリー・ナイツ」が公開されます!
アメリカでの撮影!主演はノラ・ジョーンズ!
新たなるウォン・カーウァイの挑戦が楽しみです。
他にも、コーエン兄弟がまたも殺人鬼を描いて、
オスカー戦線に生き残っている「ノーカントリー」や、
スサンヌ・ベアがついにアメリカで撮影したという、
「悲しみが乾くまで」など、面白そうな映画だらけ。
というわけで、これからもお楽しみに。
「いつか眠りにつく前に」http://www.itsunemu.jp/
「アニー・リーボヴィッツ レンズの向こうの人生」
http://annie.gyao.jp/
「地上5センチの恋心」http://www.chijou.jp/
「4ヶ月、3週と2日」http://www.432film.jp/
「ライラの冒険」http://lyra.gyao.jp/
「スルース」http://www.sleuth.jp/
「ノーカントリー」http://www.nocountry.jp/
「ジェリーフィッシュ」http://www.jellyfish-movie.com/
「マイ・ブルーベリー・ナイツ」
http://www.blueberry-movie.com/
「悲しみが乾くまで」
http://www.kadokawa-pictures.co.jp/official/things_we_lost_in_the_fire/
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