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映画のなかの人生…Vol.638「あるいは裏切りという名の犬」★★★☆
発行日時: 2006/12/22
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☆ ★ ☆ 映画のなかの人生、映画のような人生。 ★ ☆ ★
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【映画とは、人生を2時間で切りとるもの】
映画が魅せる、人間のやさしさ、弱さ、強さを、いっそう鮮烈に、
そしてもっと映画を観たくなる、ひと味違うメールマガジン。
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Vol.638「あるいは裏切りという名の犬」★★★☆
2006.12.22(金)
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【1】STORY
情報屋にも部下にも信頼が厚い刑事と、その隣にある部署で、
出世ばかりを望む辣腕刑事。二人はやがてライヴァルに…。
【2】Michelin
銀座テアトルシネマでの単館上映。なぜかやたらと混んでる。
【3】Review
ノワールの渋みはないが、物語はオリジナルで面白い。
【4】Column
警察は常に矛盾を抱え、最後には良心に頼らざるを得ない。
_______________________________________36 Quai des Orfevres
ジェラール・ドパルデューに、ダニエル・オートゥイユという、
フランスで最もダンディ、かつクドい?二人が豪華共演の本作。
内容は実在の事件をベースに、悪徳刑事と仁義を優先する刑事が、
組織の中で綱引きをするというもの。ノワール本流の復活なるか?
<オフィシャルサイト>
http://www.eiga.com/official/aruinu/
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┃1┃ STORY (観ていないあなたへ)
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仁義に厚く、情報屋からも部下からも一目置かれている刑事。
しかし隣接部署には、出世ばかりが目標の強欲な刑事がいた。
ある日、彼らは懸案の重大事件について犯人情報を掴んだが、
強欲な刑事は隣接部署からしゃしゃり出て、大胆な行動に出る。
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┃2┃ 上映館ミシュラン (観ていないあなたへ)
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銀座テアトルシネマでの単館上映です。
なぜかやたらと混んでます。みんな意外と刑事物が好き?
平日の昼間から混んでいたので、週末は推して知るべし。
定員入替、整理番号順なので、お早めに番号を確保してください。
▼銀座 銀座テアトルシネマ
11:30/14:05/16:40/19:15〜21:25(終)
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┃3┃ Review (観ていないあなたへ)
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【ポイント】★★★☆
<内訳>
テーマ :★★★
ストーリー :★★★★
キャスト :★★★★
スタッフ :★★★★
なかなか見応えがある映画だったと思います。
観客が観たいものの、期待に応える内容ではあったでしょう。
物語としては、オリジナリティはあると思います。
実際にいた刑事と事件をモデルにしながら、
物語も人物像も作っているので、リアリティが感じられ、
事件が連続しているうちは、物語もよく走っています。
途中、オートゥイユがいなくなってしまうと、
途端に物語が沈滞して、行方が分からなくなりますが、
最終的にどう決着がつくのか、興味が湧いているので、
最後まで、内容を楽しむことは出来るでしょう。
仁義に厚い刑事を演じるオートゥイユはもちろんですが、
ただひたすらに出世を求める、ごうつくばりな刑事を、
ドパルデューがいかにも不幸な人物として演じます。
人望がなく、実力もなく、それでも出世しか夢がない。
ただ、本来はそういう彼の立場をもう少し深く描いて、
実力主義に放り込まれた、実力のない人間の顛末として、
しみじみ感じなければならないのに、ちょっと悪役過ぎたかな。
彼が悪役になってしまうと、自然とオートゥイユが善人で、
組織のなかで悪と戦う、善なる主人公の物語になってしまい、
そんな「チャングム」みたいな話は、本来の目的ではないはず。
ちょっとここを落としすぎたのが、悔やまれる点でしょうか。
演出的にも、冒頭のタイトルに標識を重ねる場面から、
凶悪事件や犯人逮捕時の銃撃戦、ちょっとしたカーチェイス、
いろいろリアリティを出そうと工夫していて、いいのですが。
葬儀の場面で、娘だけが一歩、道ばたに駆け出す場面は、
たったワンシーンではありますが、ナイスアイディアでしたし。
あと一歩、警察にまつわる人々の苦闘と哀しみを描ければ、
「警察官=裏切りという名の犬」という背中合わせの構図に、
うまく絞り込めたと思います。
確かに物語的には面白いものの、4つ★まではあともう少し。
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┃4┃ Column (観おわったあなたへ)
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警察は本来、必要悪である。
それゆえに、もともと矛盾を抱えている。
もともと、街には犯罪がない方がいいはずだ。
しかし、犯罪がなければ警察は必要がなくなる。
むしろ、犯罪が多い方が、仕事が増えて活躍できる。
犯罪がない方がいいのに、警察は犯罪を求めている。
必要悪であるが故の矛盾が、つねに警察にはつきまとう。
しかも、その警察内部には競争原理が働いている。
当然、検挙が多い刑事の方が、有能だと見なされる。
すると平和な街では、なぜか警察官は無能と評価されよう。
犯罪がない方がいいのに、刑事も犯罪を求めている。
必要悪であるが故の矛盾が、つねに刑事にもつきまとう。
しかも、犯罪を検挙するため、刑事は裏社会に近づく。
犯罪を検挙する者は、裏社会と親密にならねばならない。
情報屋を確保し、犯罪者の根城を察知し、手柄につなげる。
裏社会と対立する刑事が、裏社会の最大の庇護者だ。
その力が強いほど活躍できるのも、警察の大きな矛盾だ。
そんな矛盾と背中合わせの警察に、この映画は切り込む。
フランスの首都、パリの警視庁で起きる人間模様。
有能な刑事は、有能であるが故に、人望に厚く、
裏社会の人々にも厚く、人を裏切れない男だった。
情報屋に近づきすぎた彼は、凶悪事件の解決と引き替えに、
高い代償を払わなければならない事態に巻き込まれる。
無能な刑事は、無能であるが故に、出世を望み、
人々を裏切りながらも、次々と権力を手に入れる。
最高の権力を握りしめた彼は、権力と引き替えに、
人々の信頼を完全に失い、ついには報いを受けることになる。
しかし、社会に犯罪があるかぎり、警察は必要だ。
犯罪がなくならない以上、警察は永遠に不滅だろう。
警察が目的にしているのは、究極の正義のはずだ。
しかし、そのための競争原理と、裏社会との接触が、
時には誤った方向へ組織を導き、目的を見失ってしまう。
警察官は、裏切りという名の犬に成り下がることがある。
では、どのように警察を評価すればいいのか?
警察は情報屋と、裏社会をどこまで黙認できる?
すべては、ひとりひとりの警察官の心が決めるしかない。
何が、誰のためになるのかを心に、行動するしかない。
組織の矛盾を、ひとりひとりが受け止め、
現実に向き合うしかないという、過酷な責務。
どこまで自分をただせるのか、今日も彼らは、
社会の悪とともに、自らの中に潜む矛盾と戦う。
2006/12/21 銀座テアトルシネマにて。
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┃5┃ 次回予告 ほか
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その他、筆者からのお知らせなどなど。
★次回予告「犬神家の一族」…………………………………………
「金田一」といえば、まずは「少年」が出てくるご時世ですが、
本家の金田一は日本語学者で、小説の金田一なら、やはり耕助。
市川崑監督が、自作の傑作を自らリメイクすることでも話題です。
石坂浩二、松嶋菜々子、富司純子、仲代達也らキャストは超豪華。
で、次回もお楽しみに。
次回は来年1月5日(金)の予定。
http://www.inugamike.com/
★2006年を振り返って……………………………………………
今年は、いい映画や印象に残った映画が多かったですねえ。
120本中、31本が4つ星以上を獲得しました。
昨年は15本で、本当に不作の年だったわけですが、
今年は大当たりで、実に倍以上にいい評価を出しました。
特にこの年末にかけて、お正月映画がこんなに面白く、
いい映画が揃った年は、創刊以来ほとんど記憶にありません。
今年の年末は、ぜひ映画を観にいって欲しいと思います。
ハズレがほとんどないので、おおかた満足して頂けるのでは。
さて、例によって本誌が選ぶ今年のベスト10です。
今年は戦争の悲劇が多かったですね…ルワンダから硫黄島まで。
911テロからアフガン、イラクという戦争の時代が、
ようやく振り返りに、きている段階なのかも知れません。
他にも「記憶の棘」や「ナイロビの蜂」など、
ミステリ風の映画も面白かったですし、
「うつせみ」や「リバティーン」のように、
実に深い人間ドラマで印象に残った作品もあります。
また、「PROMISE」や「SPIRIT」は、
チャイニーズ・アクションの底力を見せてもらいました。
いずれもDVD化が進んでいることと思いますので、
映画館に行けない方も、ぜひご覧になっていただきたく。
1.「紙屋悦子の青春」http://filmandlife.seesaa.net/article/22801681.html
2.「上海の伯爵夫人」http://filmandlife.seesaa.net/article/27662637.html
3.「記憶の棘」http://filmandlife.seesaa.net/article/24553384.html
4.「ホテルルワンダ」http://filmandlife.seesaa.net/article/12619479.html
5.「麦の穂をゆらす風」http://filmandlife.seesaa.net/article/28183851.html
6.「うつせみ」http://filmandlife.seesaa.net/article/14763391.html
7.「PROMISE」http://filmandlife.seesaa.net/article/13730042.html
8.「SPIRIT」http://filmandlife.seesaa.net/article/16200756.html
9.「リバティーン」http://filmandlife.seesaa.net/article/16983603.html
10.「ナイロビの蜂」http://filmandlife.seesaa.net/article/18215438.html
その他、以下の作品が今年の4つ★でした。
レンタルショップなどでの、ご参考までに。
「プライドと偏見」
「白バラの祈り」
「転がれ!たま子」
「クラッシュ」
「ヒストリーオブバイオレンス」
「Vフォーヴェンデッタ」
「ニューワールド」
「嫌われ松子の一生」
「初恋」
「カサノバ」
「プルートで朝食を」
「太陽」
「ユナイテッド93」
「弓」
「カポーティ」
「幸福のスイッチ」
「トンマッコルへようこそ」
「父親たちの星条旗」
「プラダを着た悪魔」
「武士の一分」
「王の男」
今年もいろいろありましたが、なかなか楽しめた1年でした。
いい映画を届けてくださった映画関係者の皆さま、
有り難うございました。来年もこの調子でお願いします(笑)。
もちろん本誌も、来年もまだまだ頑張りますので、
読者の皆さま、今後ともよろしくご愛顧のほどを。
それでは、メリークリスマス&よいおとしを。
Joyeux Noel et Bonne Annee!
★今後の予定など………………………………………………………
今年はこれでおしまいですが、年末年始も映画を観ます。
いまのところ、掲載予定作品は以下のとおり。
何てったって塚本晋也監督の最新作「悪夢探偵」に注目!
エンターテイメント重視の新機軸らしいですが、本当に面白い?
「犬神家の一族」http://www.inugamike.com/
「愛されるために、ここにいる」http://www.cetera.co.jp/tango/
「長い散歩」http://www.nagai-sanpo.com/
「ヘンダーソン夫人の贈り物」http://mrshenderson.jp/
「シャーロットのおくりもの」
http://www.charlotte-movie.jp/
「みえない雲」http://www.mienaikumo.jp/
「悪夢探偵」http://www.akumu-tantei.com/
というわけで、これからもお楽しみに。
★最新情報はブログにて!!…………………………………………
ブログには過去掲載作などがまとめて載っています。
http://filmandlife.seesaa.net/
※ 実はケータイからも同じアドレスでみられます。要Check!
ブログなら、かしこまったメールをすることもなく、
小さなコメントや、筆者へのリクエストを書き込めます。
また、筆者が映画を見終わった直後の感想や、休刊情報、
映画とは全く関係ない筆者の近況まで、いろいろ掲載中。
ぜひぜひアクセスしてください!!
★これまでのバックナンバー…………………………………………
バックナンバー、メルマガの紹介や登録関係などについては、
それぞれ以下のページをご参照くださいませ。
http://www.mag2.com/m/0000197069.html(まぐまぐ)
http://www.melma.com/backnumber_33635/(メルマ)
メルマのバックナンバーは、第1号から掲載されています。
ただし検索機能がついておりませんので、
ここ1年については、ブログの方が探しやすいと思います。
http://filmandlife.seesaa.net/(筆者のブログ)
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【映画のなかの人生、映画のような人生。】
Vol.638 2006年12月22日
発行者:Ak. http://filmandlife.seesaa.net/
(C)2001-2006 Ak. All rights reserved.
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