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映画のなかの人生…Vol.626「ウール100%」★★★
発行日: 2006/11/10
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☆ ★ ☆ 映画のなかの人生、映画のような人生。 ★ ☆ ★
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【映画とは、人生を2時間で切りとるもの】
映画が魅せる、人間のやさしさ、弱さ、強さを、いっそう鮮烈に、
そしてもっと映画を観たくなる、ひと味違うメールマガジン。
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Vol.626「ウール100%」★★★ 2006.11.10(金)
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【1】STORY
双子の老女は、街中からゴミを拾い集め、大切にしていた。
ある日、毛糸の少女が現れ、老女たちの生活は一変する。
【2】Michelin
渋谷ユーロスペースでのレイトショー。特に混んでません。
【3】Review
見る者を毛糸に巻く、シュールな語り口に呆然とする。
【4】Column
想い出の品々はいつまでも、手元においておけない。
__________________________________________________wool 100%
岸田今日子と吉行和子が双子?のおばあちゃんを演じる映画。
怪しいタイトルは、編み物が主役の物語らしいから、なのか?
全くよく分かりませんが、新進気鋭の監督が、突飛な発想で、
トンでもなくファンタジックな世界を生み出す作品のようです。
<オフィシャルサイト>
http://www.klockworx.com/wool/
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┃1┃ STORY (観ていないあなたへ)
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双子の老女は、街中からゴミを拾い集め、大切にして生きている。
ある日、毛糸の山を見つけて持ち帰ると、中から少女が現れて、
次々と拾ってきたゴミを壊していく。やがて老女たちもなぜだか、
自分たちでゴミを捨てはじめると、彼女たちはある発見をする。
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┃2┃ 上映館ミシュラン (観ていないあなたへ)
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渋谷ユーロスペースでのレイトショーのみです。
そんなに混んでません。ほどほどに来ている感じ。
大半は女の子ばかりで、みんな編み物が好きそうでした??
▼渋谷 ユーロスペース
21:10〜23:00(終)
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┃3┃ Review (観ていないあなたへ)
┻━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【ポイント】★★★
<内訳>
テーマ :★★★★
ストーリー :★★★
キャスト :★★★★
スタッフ :★★★
これは恐ろしくシュールな映画ですねぇ。
何が、どんなつながりで、話がつながっているのか、
筆者も途中で訳が分からなくなってしまいました…。
たとえば、最初は双子の老女が主役だったのに、
次第に主役は毛糸の少女に移ったかのようになり、
やがて彼女もまた、主役ではなかったかのように…。
主人公がすり替わっていくとともに、舞台もすり替えられ、
拾いモノだらけの邸宅が、やがてミニチュアへと変わり、
ミニチュアのなかでの物語が、外での物語と同質に語られる。
次々と伸びていく編み物も、謎の母親の存在も、
そもそも毛糸の少女が化け物だったのかさえも、
最後まで、さっぱり訳が分からないままです。
それらはすべて、観客の解釈に委ねられているワケで。
でも、この映画は途中から、
なぜかヤケに物悲しくなります。
次々と拾いモノが棄てられていく世の中に、
何とはなしに、哀しさが漂っているのです。
モノというモノで囲まれた世界の中で、
アイデンティティを確立している老女たちが、
自分の人生を、さまざまなゴミから思いだしていく…。
そう考えればこの映画は、物質文明に裏打ちされた、
「新しい21世紀のプルースト」かもしれません。
まあ、そこまで言うと、ちょっと褒めすぎかもしれませんが。
ともすれば、偏屈な人間の奇妙な物語に終わるモノを、
岸田今日子、吉行和子が、やんわりと人間らしく存在し、
物語を現実から遠ざけすぎていないのも、ポイントでしょう。
この監督はかなり面白い人だと思います。
いま、日本の映画界はトミナガ監督が熱い?!
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┃4┃ Column (観おわったあなたへ)
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そういえば、子どもの頃に遊んだ積み木はどこへ行っただろう?
あの頃、夢中になっていたボードゲームは、どこにあるのだ?
振り返ってみれば、人生には、
忘れられない想い出の品々がある。
大切にしていたお人形や、オモチャ、本、文房具。
さまざまなものを、当時は大切には思っているけれど、
いつの間にか、時が経つとともに人はそれを忘れてしまう。
人は忘れやすい生き物だから、そうして過去を忘れ、
過去に大切にしていたモノさえも、どこかに置き忘れてしまう。
双子の老女たちは、そんな使い捨てを許さない。
彼女たちは、朝の街を闊歩しながら、
想い出の詰まっていそうなゴミたちを、
拾いモノとして、いつまでも大切に家で育てる。
まるで自分たちの、想い出とともに暮らすように。
いや、ひょっとしてそれは、自分たちの想い出では?
彼女たちの家を、毛糸の少女アミナオシが襲う。
アミナオシからすれば、この家の拾いモノは皆オバケだ。
途中で消えていくべき想い出が、いまも双子に巣くっている。
彼女は片っ端から、拾いモノを壊し、追い出していく。
退屈な想い出なんて要らない。大切な想い出はただ1つ。
アミナオシのゴミ掃除に、老女たちも手を貸していく。
自分以外の想い出は要らない。自分の想い出はただ1つ。
それは、失われてしまった母親との絆だ。
彼女がずっと編み続けていた、赤い毛糸の編み物だ。
この家とそっくりのミニチュアを見つけて、
そこで遊んでいた頃を振り返ると、すべての想い出が溶けていく。
ミニチュアのようなこの家のなかで、
ミニチュアのように小さかった自分たち。
その家の小さな窓から、遠くに眺めていた母親の姿。
「あれは、何を編んでいるのだろう?!」
ああ、あの日を思い出すには私たちも編むしかない。
いつまでも、いつまでも、川のせせらぎが流れるように。
たくさんのモノに囲まれ、想い出に囲まれ、人は生きる。
けれどもすべてを、とっておくことはできない。
そんなゴミの山で、人は生きることができないけれど、
本当に大切な想い出だけは、美しいままにとっておきたい。
愛する人たちのまなざしが、そこからいまも思い出せるように。
2006/11/8 渋谷ユーロスペースにて。
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┃5┃ 次回予告 ほか
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その他、筆者からのお知らせなどなど。
★次回予告「Unknown」…………………………………………………
いつの頃からか、これまで「Cube」や「Saw」などの成功もあって、
予測不能なサスペンスは、インディーズ映画界において注目を
浴びるようになってきました。今回はジム・カヴィーゼルに、
バリー・ペッパーらの若手役者たちが集結。果たして予測不能?
で、次回もお楽しみに。次回は水曜の予定。
http://www.movie-eye.com/unknown/
★今後の予定など………………………………………………………
来週は金曜に、「明日へのチケット」を予定しています。
エルマンノ・オルミ、アッバス・キアロスタミ、そして、
今年のカンヌグランプリを獲得したケン・ローチによるオムニバス。
http://www.cqn.co.jp/ticket/
それ以降は、以下のような予定のつもり。
いよいよ年末には大作映画も待ち受けています。
注目はケン・ローチのカンヌ受賞作「麦の穂をゆらす風」。
同じくカンヌをにぎわせた、今敏監督の「パプリカ」。
渡辺謙が主役を演じる硫黄島の2本目も、凄そうですね。
アメリカ人が日本の精神を描くと、いったいどうなる?
「麦の穂をゆらす風」http://www.muginoho.jp/
「ウィンターソング」http://www.winter-song.jp/
「プラダを着た悪魔」
http://movies.foxjapan.com/devilwearsprada/
「パプリカ」http://www.sonypictures.jp/movies/paprika/
「007カジノロワイヤル」
http://www.sonypictures.jp/movies/casinoroyale/
「武士の一分」http://www.ichibun.jp/
「硫黄島からの手紙」
http://wwws.warnerbros.co.jp/iwojima-movies/
「王の男」http://www.kingsman.jp/
「こまねこ」http://www.komaneko.com/feature/
「あるいは裏切りという名の犬」
http://www.eiga.com/official/aruinu/
というわけで、今後ともお楽しみに。
★最新情報はブログにて!!…………………………………………
ブログには過去掲載作などがまとめて載っています。
http://filmandlife.seesaa.net/
※ 実はケータイからも同じアドレスでみられます。要Check!
ブログなら、かしこまったメールをすることもなく、
小さなコメントや、筆者へのリクエストを書き込めます。
また、筆者が映画を見終わった直後の感想や、休刊情報、
映画とは全く関係ない筆者の近況まで、いろいろ掲載中。
ぜひぜひアクセスしてください!!
★これまでのバックナンバー…………………………………………
バックナンバー、メルマガの紹介や登録関係などについては、
それぞれ以下のページをご参照くださいませ。
http://www.mag2.com/m/0000197069.html(まぐまぐ)
http://www.melma.com/backnumber_33635/(メルマ)
メルマのバックナンバーは、第1号から掲載されています。
ただし検索機能がついておりませんので、
ここ1年については、ブログの方が探しやすいと思います。
http://filmandlife.seesaa.net/(筆者のブログ)
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【映画のなかの人生、映画のような人生。】
Vol.626 2006年11月10日
発行者:Ak. http://filmandlife.seesaa.net/
(C)2001-2006 Ak. All rights reserved.
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