【映画とは、人生を2時間で切り取るものだ】。そんな視点からつづる、1000文字の映画コラム。いろんな映画をきっかけに、生き方について考えてみませんか。ありふれた日常のなかで、答えを探すあなたに、ぜひ。
- 最新号:2008-09-25
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映画のなかの人生…Vol.517「ロードオブウォー」★★
発行日: 2005/12/31━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
☆ ★ ☆ 映画のなかの人生、映画のような人生。 ★ ☆ ★
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【映画とは、人生を2時間で切りとるもの】
映画が魅せる、人間のやさしさ、弱さ、強さを、いっそう鮮烈に、
そしてもっと映画を観たくなる、ひと味違うメールマガジン。
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Vol.517「ロードオブウォー」★★ 2005.12.31(土)
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【1】STORY
移民から武器商人に成り上がった男が、美しい妻を手にし、
幸せの絶頂にあったが、ICPOや独裁者は彼を放っておかない。
【2】Michelin
渋谷シネフロントほか。なぜか、それなりに混んでいる。
【3】Review
悪である主人公が、悪になりきれず、ドラマとして甘い。
【4】Column
たとえ武器が無くなっても、戦争はきっとなくならない。
________________________________________________Lord of War
ニコラス・ケイジが、徹底取材した武器商人になりきり、
いまも世界で暗躍する彼らの素顔に迫る社会派ドラマ。
監督は「ガタカ」「トゥルーマン・ショウ」とヒット作をとばし、
「シモーヌ」で嫁さんを見つけてしまったアンドリュー・ニコル。
<オフィシャルサイト>
http://www.lord-of-war.jp/
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┃1┃ STORY (観ていないあなたへ)
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米国でどん底の移民生活をしていた男が、武器商人へと成り上がり、
祖国ウクライナの武器を手に入れ、世界中を合法スレスレで暗躍。
美しい妻を手に入れ、幸せの絶頂にあった彼だが、ICPOは彼を追い、
独裁者は脅迫気味に彼に銃器を要求し、危険は身近に迫っていた。
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┃2┃ 上映館ミシュラン (観ていないあなたへ)
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首都圏では以下の5館で上映しています。
いちばんスクリーンが大きいのはシネコン、
要はとしまえんが図抜けているかなあ。
いいスクリーンと座席を追うならここで。
他はどこも同じようなモノだと思います。
それなりに混んでるようです。
としまえんでも半分埋まってましたから。
▼豊島園 ユナイテッド・シネマとしまえん 上映中
16:45/19:15/22:00〜終0:12
※〈1/1オールナイト〉0:30〜終2:42
▼渋谷 シネ フロント 上映中
10:30/13:15/16:00/18:45〜終21:05
▼有楽町 有楽座 上映中
11:00/13:40/16:20/19:00〜終21:15
▼池袋 池袋HUMAXシネマズ4 上映中
16:40/19:10〜終21:15
▼歌舞伎町 新宿東亜興行チェーン 上映中
11:00/13:30/16:00/18:30〜終20:45
※〈金土・1/2・1/3オールナイト〉21:00/23:30/2:00〜終4:15
※新宿トーアと番組入れ替えの可能性あり。
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┃3┃ Review (観ていないあなたへ)
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【ポイント】★★
<内訳>
テーマ :★★★
ストーリー :★★
キャスト :★★★
スタッフ :★★★
なんだかいまいちだなあ…。
今年は本当に、最後までパッとしない年だった。
綿密な取材に基づいて、武器商人の成り上がった理由、
実際の商談の様子など、再現しているのは面白いでしょう。
移民の彼が、どうして多くの武器を手に入れたのか、までは。
でも、それ以外には全然面白くないんだよなあ…。
もっと武器商人として彼が商売敵を蹴落として、
どのように販路を広げたのかが、具体的ならいいのに。
彼の下克上物語としても、この映画は物足りない。
ならば、反戦を掲げる社会性としてはどうか。
これも、なんだかすっきりしないんだなあ。
武器商人が、兵器をばらまく悪党だというのならば、
ニコラス・ケイジ演じる主人公は悪の権化であるはず。
そのためには、もっと無慈悲で、もっと邪悪で、
富を手に入れるためならば、何でもする人間でないと。
ところが、映画の彼は普通の人間で、商才があっただけで、
ここまでのし上がってきたという設定。そうなのかなあ?
だから、人間のドラマとしても迫力に欠けている。
彼が、何のために働いているのか、よく分からない。
憧れの美女や家庭のため?両親や弟のため?
這い上がってからの彼の目的が見えないから、物語もだるい。
せっかく、いい題材だと思うんですけどねえ。
武器商人とそれを追うICPO捜査官の対決だけでも。
イーサン・ホークは「ガタカ」の縁で出てきたのかな。
ジャレッド・レトはやっぱりヤク中のままですか…。
題材や役者が良くても、切れ味が悪い。
今年のハリウッド映画を象徴するような凡作だなあ。
最後のどんでん返しは、ちょっと面白いんだけど…。
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┃4┃ Column (観おわったあなたへ)
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今年も、何人もの人が殺された。
報道写真展を観にいくと、世界はろくでもないことだらけだ。
イラクだけじゃない。チェチェンも、アフリカも。
どこに行っても、戦争と貧困ばかりがニュースに書かれる。
彼らが戦争をするのは、もちろん、
誰かがそこに武器を流し込んでいるからだ。
その、武器を流し込む役割が武器商人の仕事。
武器が余った旧共産圏から、武器の足りない独裁政権へ。
ニーズがあるから、彼らの「流通業」は成り立つ。
移民からあっという間に成り上がったオルロフ。
冷戦終結の時代の流れに乗って、彼は大もうけをした。
停戦協定や禁輸措置の編み目をかいくぐるように、
船を出し、飛行機を飛ばし、装甲車やヘリも売りつける。
両親にも、弟にも、もう不自由させることはない。
美人の妻と可愛い子どもを手に入れ、私生活も充実。
武器を貧しい国々に売りつけて、商人は幸せになる。
誰かが血を流せば流すほど、金貨が彼に流れ込む。
貧困とは金脈だ。戦争とは採掘だ。混乱が富を生む。
そうして、武器を持たない人々が殺されて、
親のない少年は兵士になり、隣の子どもたちを襲う。
悲劇は繰り返され、歯止めのない悪循環に陥る。
では、彼ら武器商人の輸出を止めればいいのか?
答えはノーだ。
彼ら以外にも、武器を売る連中は大勢いる。
軍需産業を抱えた、先進各国はみな武器商人だ。
では、軍需産業が衰えれば戦争はなくなるのか?
それもまた、答えはノーだ。
戦争を生み出しているのは、武器ではなく貧困だ。
貧困があるかぎり、小さな富や食料のために、
世界中で戦いがおき、武器はなくても人々は殴り合う。
こんなに裕福な暮らしを、僕たちはしているのに。
そんな暮らしを求めるには、他人から奪うしかない。
そういう社会が、この世にはいくらでもあるのだ。
欲望があるかぎり、戦いの種は消えはしない。
それは、一見平和に見えるこの国においてもそうだ。
今年も多くの人々が、つまらないエゴで殺人に見舞われた。
望まぬ死を強いられた、すべての人々よ。
どうかこの世界を許してほしい。
血塗られた世界を変えるために、僕らはまだ、生きていくから。
2005/12/31 ユナイテッドシネマとしまえんにて。
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┃5┃ 次回予告 ほか
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その他、筆者からのお知らせなどなど。
★次回予告「THE 有頂天ホテル」……………………………………
三谷幸喜の監督作には、本当にいい役者が勢揃いします。
役所広司、佐藤浩市、松たか子、オダギリジョー、唐沢寿明、
西田敏行、津川雅彦、伊東四朗、そして麻生久美子まで。
もはや映画界の紅白?といった超豪華布陣のお正月映画。
で、次回もお楽しみに。次回は1/17です。
皆さま、今年も残りわずかですが、よいお年を。
http://www.uchoten.com/
★今後の予定など………………………………………………………
来年は、とにかく観たい映画が、みーんな14日公開。
おーい、どれか1週間くらい早くならなかったの…?
「THE有頂天ホテル」「スタンドアップ」「プライドと偏見」
「カミュなんて知らない」「ホテル・ルワンダ」
「プルーフオブマイライフ」「僕と未来とブエノスアイレス」
というわけで、ちょっと間が空いてしまいますが、
本年もご愛顧いただきまして、誠にありがとうございました。
少しでも映画が気になる皆さまのお役に立てれば何よりです。
それでは、皆さま良いお年をお過ごしくださいませ。
★最新情報はブログにて!!…………………………………………
↓↓↓NewBlog↓↓↓
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ブログなら、かしこまったメールをすることもなく、
小さなコメントや、筆者へのリクエストを書き込めます。
また、筆者が映画を見終わった直後の感想や、休刊情報、
映画とは全く関係ない筆者の近況まで、いろいろ掲載中。
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【映画のなかの人生、映画のような人生。】
Vol.517 2005年12月31日
発行者:Ak. espoir@lares.dti.ne.jp
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