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映画のなかの人生…Vol.395「約三十の嘘」★★★
発行日: 2004/12/27
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☆ ★ ☆ 映画のなかの人生、映画のような人生。 ★ ☆ ★
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【映画とは、人生を2時間で切りとるもの】
映画が魅せる、人間のやさしさ、弱さ、強さを、いっそう鮮烈に、
そしてもっと映画を観たくなる、ひと味違うメールマガジン。
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Vol.395「約三十の嘘」★★★ 2004.12.27(月)
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【1】STORY
豪華寝台列車で移動中の詐欺師集団。3年前の失敗から、
久しぶりの再結成はしたものの、各自の間にいざこざが…。
【2】Michelin
渋谷シネクイントでの単館上映。けっこう混んでます。
【3】Review
演出もキャストも申し分ないが、物語構成にやや難あり。
【4】Column
嘘よりも真実を告白した方が、きっと誰もが上手くいく。
______________________________________________about 30 lies
今年もいよいよ最後の週、当誌の発行もあと3本です。
今回は、「とらばいゆ」で評価を確立した大谷健太郎監督が、
豪華キャストを擁して描く、詐欺師たちの人間ドラマ。
脚本は「ジョゼと虎と魚たち」の渡辺あやも入り、体制は盤石。
<オフィシャルサイト>
http://www.30uso.com/
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┃1┃ STORY (観ていないあなたへ)
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豪華寝台列車で移動中の詐欺師集団。彼らは3年前の失敗後、
久しぶりの再結成だったが、同時に過去のいざこざが次々浮上。
仕事は成功したものの、売上金の入ったスーツケースをめぐり、
新たな問題が発生して、チームは再び崩壊の危機を迎える。
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┃2┃ 上映館ミシュラン (観ていないあなたへ)
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渋谷シネクイントでの単館上映です。
豪華キャストということもあり、
それぞれのファンが集っているのか、
週末はなかなかの混雑で、ほぼ満席状態でした。
この映画館は、最近の単館系では珍しく、
定員入替制ではないので、並ぶ必要があります。
この時、まともに8階までエレベータでは芸がない。
通は途中までエスカレータ、元気なときは階段を上る。
すると、8階から伸びている行列が階段を伝って、
最後尾は5階や6階くらいにあることが多いのです。
エレベータで8階まで行くと、ずっと降りますからね。
ま、大した違いじゃないのですが(笑)。
そんな混雑がイヤなら、平日や朝1に来るか、
ネットから席を予約することもできるようなので、
これを使ってみるのはいかがでしょうか。
また、朝1だと1000円で入れたりします。
他にもいろんなサービスがある映画館なので、
詳しくはサイトをご参照くださいませ。
座席としては、前の方が段差が極端に緩いので、
この点に気をつけて、後ろ寄りを選ぶのが筆者の好み。
http://www.cinequinto.com/
▼渋谷 シネクイント 上映中
10:30/12:30/14:50/17:10/19:30〜終21:25
※12/31(金)は19:30の回休映、1/1(土)休館。
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┃3┃ Review (観ていないあなたへ)
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【ポイント】★★★
<内訳>
テーマ :★★★★
ストーリー :★★
キャスト :★★★★
スタッフ :★★★★
やっぱり大谷健太郎という監督は、巧いですね。
特に1対1のやりとりにおいては、もはや、
彼の右に出る映画監督はいないんじゃないでしょうか。
誰かと誰かの心がぶつかる、説得する、告白する、
怒る、喜ぶ、悲しむ、そんな感情表現は彼の十八番ですね。
特に、デビュー作以来、涙を使う演出には絶妙なものがある。
涙は女の武器ならぬ、大谷健太郎の最高の武器だと思います。
今回は、そんな彼の得意技を充実したキャストが支える。
もちろん、「とらばいゆ」でも悪くはなかったんですが、
今回は椎名桔平、八嶋智人といった劇団出の役者たちや、
中谷美紀、妻夫木聡といった人気俳優まで、とにかく芸達者。
とりわけ八嶋智人は、逆に浮くくらい目立っていて印象的。
おそらく、出自が違うメンバーとしての演出なのでしょう。
最後に、ほぼアドリブと思えるシーンがあるのですが、
これも全く自然で、違和感を感じない。
何か、その辺の喫茶店での会話に自分も加わっているような、
そんな錯覚に陥るほど、このメンバーの成熟度は素晴らしい。
描かれているテーマも面白い。
3年前に解散した詐欺師のチームが再結成し、
過去の失敗の清算と、新たな旅立ちへの模索を図る。
6人のメンバーの関係は、やがて2つの三角関係に収斂し、
騙す女と、騙される女の対比、
流される男、信念を持った男との対比が浮かび上がる。
そんな「大人同士の関係」を、渋く盛り上げるのは、
クレイジーケンバンドの、伸びのいいメロディ。
うーん、ここまではほぼ完璧だ。非の打ち所がない。
でも、問題があります。
それは、やっぱり物語の構成。
群像劇でいちばん難しいのは、
数多く登場する人物たちの紹介と、
それぞれの関係をどこまで描くか、ということ。
人物紹介を羅列気味にしてしまうと、
物語が平たくなって、間延びしてしまう。
すべての人間関係を克明に描こうとすると、
2時間で収まらず、3時間を超えてしまう。
(特に「巨匠」の映画では、そういう大作が多い)
これらをクリアするには、いろんなやり方が考えられます。
1.人物イメージを簡単に創りあげる導入シーン
2.明確な主人公を設定して、観客の立ち位置を定める
3.最初からテーマを明示して、観客を早めに引き込む
このうち、1.はこの映画ではお見事だったのですが、
2.と3.が、ちょっとはっきりしなかったかな…。
もっと早めに、この映画のテーマを示すためにも、
事件の発生を前バラシするとか、犯人を示してしまうとか、
したってかまわなかったんじゃないのかな、とか。
中谷美紀を最初から主役にしても、悪くなかったかな、とか。
ちょっと考えてしまいます。
前半45分は、個々のやりとりは非常に面白いんだけど、
物語の行方が見えないので、観ていてちょっとつらい。
後半はあっという間なだけに、とても残念でした。
恐らく、大谷健太郎は得意の1対1のやりとりを、
さらに広げて群像劇に仕立てようと挑戦したのでしょうが、
やっぱり、「とらばいゆ」のやり方の延長線上には、
群像劇はないんじゃないかしら、という気がします。
挑戦は買いますが、もう少し、工夫が必要だったかも。
でも、彼は悪いところは、見事に修正する能力の持ち主。
きっと次は、それを確実にクリアして傑作を撮るでしょう。
それと、「アベックモンマリ」も「とらばいゆ」も観ていない!
という人は、この映画をぜひ観てください。
彼の涙のマジックには、必ずあなたも引っかかります。
筆者は彼の実力を知るだけに、評価が辛いかもしれません。
「アベックモンマリ」
http://www.lares.dti.ne.jp/~espoir/shokai/990425.htm
「とらばいゆ」
http://www.lares.dti.ne.jp/~espoir/shokai2002/20020412.htm
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┃4┃ Column (観おわったあなたへ)
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どうしても欲しいものを目の前にすると、
人は時々、嘘をついてしまうことがある。
それは子どもの頃からの、性癖なのかもしれない。
何かを買って欲しい子どもが、大泣きをすると、
たまに、それを買ってもらえることに気づく。
すると今度は、子どもは簡単に泣くようになる。
俗に言う、【嘘泣き】である。
子どもは、大人を騙すことを覚えたのだ。
大人の愛情を逆手にとって、
子どもは欲しいものを手に入れる。
嘘は愛情という前提さえあれば、
意外と簡単に通ってしまうものなのだ。
しかし、大人同士ではこうは行かない。
まずは相手に、愛されるところから始めないと。
そこで詐欺師たちは、1つの嘘泣きのために、
だいたい30の嘘を、まずは積み重ねていくのだ。
例えばナイスバディで、純な言動の女の子という嘘。
これでフツーの男なんて、簡単にいちころである。
この映画でも簡単に、二人の男が引っかかる。
そうやって、カネを手に入れるのは意外に簡単。
けれども、カネだけが目的なら、
彼らはなぜ、わざわざ昔のチームに集まったのか?
それも一度すでに失敗した、因縁のあるチームなのに。
そこには、カネ以上に手に入れたいものがあったのだ。
ある男には、愛していた人との再会があったのだ。
ある女には、いまも好きだった人との再会があったのだ。
そして、屈辱的な過去を省みて、再び確かめ、
最後には洗い流したい、そんな男の欲望もあったのだ。
欲しいもののために、彼らはここでも嘘をつく。
愛する人を忘れるために、裏切るために。
売上金をもらってトンヅラでもすれば、
みんなから恨まれるし、その分の報酬も入るし、
それで過去の失敗もチャラになる、はずだから。
でも、それって本当に過去を清算してるのかな。
うまく他人を騙しているつもりが、
自分を騙しているんじゃないのかな。
本当は、かつていい想い出があったから、
みんなわざわざ集まってきたんだよね。
それをどこかで夢見ていたのが、
みんなの本当の気持ちだったんじゃないのかしら。
最後に勝つのは、本当の気持ちだ。
みんなでやり直したいという、強い信念だ。
どんなに一流の詐欺師でも、
相手の信念までは曲げられない。
誰かを愛する気持ちまでは変えられない。
思い切って、面と向かって本当のことを言えば、
どんな詐欺師だって、実はタジタジなのだ。
そして本当の気持ちに従って、ともに生きる仲間たちは、
どんな詐欺師でも勝ちえない、最高の報酬だったのだ。
どんな親だって、嘘泣きを続けていたら、
いつか親の方が、愛想を尽かしてしまうだろう。
そうなる前に、本当の気持ちで勝負をかけた方が、
人生ではきっと、もっと大きなものを手に入れられるはずだ。
2004/12/26 渋谷シネクイントにて。
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┃5┃ 次回予告 ほか
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その他、筆者からのお知らせなどなど。
★次回予告「マイボディーガード」…………………………………
次回はブライアン・ヘルゲランド脚本の、この映画。
「ペイバック」では、マフィアに単身乗り込む男を
スリリングに、パワフルに、でもクールに描いたヘルゲランド。
今度の主演もデンゼル・ワシントンなので、期待はあるのですが。。
で、次回もお楽しみに。次回も明日、の年末進行です。
http://mybodyguard.jp/
★今後の予定など………………………………………………………
今年一年の締めくくりは、今週水曜発行予定で、
私生活でも母親となったグウィネス・パルトロウが、
多感な女性詩人、一人の女を演じる「シルヴィア」の予定。
http://www.sylvia-movie.com/sylvia.html
そうそう、それと年末なので(?)、
今年1年を振り返らないといけません。
良かった映画、話題作、トンデモ映画などについて、
今年1年を振り返る特集を組みます。
年末年始、寝正月のおともにはDVDだな、
なんて方は、参考にしてみてくださいね。
今年も残り少なくなりましたが、お楽しみに。
★連絡先は………………………………………………………………
【メールお待ちしてます!】
今回のメールマガジンはいかがでしたか?
ご意見、ご質問、ご感想などをお気軽にお寄せください♪
メールアドレス:espoir@lares.dti.ne.jp
※ なお、頂いたメールは本誌で紹介することがあります。
匿名希望の方は、その旨をお書き添えください。よろしくです。
【休刊情報やちょっとしたコメントなど…】
http://blog.melma.com/00033635/
上記のサイトからなら、かしこまったメールにすることなく、
一行だけでもコメントやリクエストを書き込めます。
また、筆者の近況や休刊情報もこちらです。適宜ご確認を。
【他の映画のバックナンバーを探したいな…】
ウェブサイト:http://www.lares.dti.ne.jp/~espoir/
上記のサイトをゼヒゼヒ!訪れてみてください。
これまでの映画タイトルが五十音順で並んでいます。
また、今後の掲載予定や筆者の近況なども、連載中。
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【映画のなかの人生、映画のような人生。】
Vol.395 2004年12月27日
発行者:Ak. espoir@lares.dti.ne.jp
(C)2001-2004 Ak. All rights reserved.
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