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【映画とは、人生を2時間で切り取るものだ】。そんな視点からつづる、1000文字の映画コラム。いろんな映画をきっかけに、生き方について考えてみませんか。ありふれた日常のなかで、答えを探すあなたに、ぜひ。

  • 最新号:2008-09-25
  • 発行周期:火・金・(木)
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  • 創刊日:2001-03-20
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映画のなかの人生…Vol.392「ベルヴィルランデヴー」★★★★☆

発行日: 2004/12/21


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 ☆ ★ ☆  映画のなかの人生、映画のような人生。 ★ ☆ ★
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【映画とは、人生を2時間で切りとるもの】
映画が魅せる、人間のやさしさ、弱さ、強さを、いっそう鮮烈に、
そしてもっと映画を観たくなる、ひと味違うメールマガジン。


_                     _______
  Vol.392「ベルヴィルランデヴー」★★★★☆2004.12.21(火)
 ̄                      ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  【1】STORY
   孫と二人暮らしのおばあちゃん。自転車選手を目指す孫を
   懸命に支えてきたのだが、その孫がレース中に消息を絶つ。

  【2】Michelin
   新宿テアトルタイムズスクエアでの単館上映。ほどよい混雑。

  【3】Review
   アジのあるキャラクタと「ありえない展開」が見事にマッチ!

  【4】Column
   大切なやさしさは、素朴な日常のなかにこそ溢れている。

_______________________________Les Triplettes de Belleville

この冬のアニメ映画といえば「Mr.インクレディブル」ですが、
こちらのフランスアニメも、「ファインディング・ニモ」と
オスカーを争ったという、なかなかの秀作のようです。
奇しくも再びピクサー映画との対決ですが、軍配はどちらに。

<オフィシャルサイト>
http://www.klockworx.com/belleville/


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┃1┃ STORY (観ていないあなたへ)
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おばあちゃんは、同居するひとりぼっちの孫がいつも心配。
ある日、彼が自転車好きだとおばあちゃんは気がつき、
孫が自転車選手になるよう、練習も食事も懸命に支えてきた。
その孫がレース中に忽然と消える事件が起き、おばあちゃんは…。


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┃2┃ 上映館ミシュラン (観ていないあなたへ)
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新宿テアトルタイムズスクエアでの単館上映です。
封切日に行ったのですが、それなりの混雑でした。
平日や、公開からずいぶん経った来週にもなれば、
もっと空いてくるものと思われます。

定員入替制ですし、場所も新宿から行きやすいので、
いちおう早めに整理番号を確保しておくのがオススメです。
ただ、年の瀬ということもあってデパート内部は大混雑。
エレベータは、ほとんど来ません。
エスカレータを使うか、奥の方の明治通り側エレベータなら、
比較的速く12階までたどり着けると思います。

なお、館内は「登山」と言われるほど段差が急で、
しかも見やすい席は上の方、と来ていますから、
歩きやすい靴を履いて行かれることをオススメします。

▼新宿 テアトルタイムズスクエア 12/18(土)より
11:20/13:25/15:30/17:35/19:40〜終21:15 


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┃3┃ Review (観ていないあなたへ)
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【ポイント】★★★★☆

<内訳>
テーマ   :★★★★
ストーリー :★★★★
キャスト  :★★★★★
スタッフ  :★★★★★

面白かったですね。
さながら、昔のジャン・ピエール・ジュネのようです。
ジュネは、いまやすっかり「アメリ」のイメージですが。

何といっても、それぞれのキャラクタがとても魅力的。
元気なおばあちゃん、という意味では「ハウル…」よりも、
よっぽどこちらの方が元気で、親しみが湧いてきます。
一緒に自転車で走ったり、機転を利かせて孫を追う姿、
「がんばれ!」と心から応援したくなる主人公がステキ!

その孫は不自然なほどに鼻が高く、足が太くなり、
愛犬は恐ろしいほどに太り、なお食欲旺盛なまま、
なぜか常に肩をいからせっぱなしのギャングたち、
そのボスはやっぱりチビでどこかのマンガ家のようで、
何てったっておばあちゃんを助ける三つ子の老婆の行動が…。
誰もが容姿は不気味でも、どこか滑稽で、憎めない。

そんな彼らの巻き起こす騒動が、これまた「ありえない」。
何で犬にエサをやるのにそんなに手間をかけるのか、
おばあちゃんの自転車整備はそんなに巧いのか、
パンクしたタイヤを外してチョコレートを塗るとどうなるのか、
南仏で出てくる料理が、異様なモノばかりなのはなぜか、
それよりも何よりも、どうしてこのおばあちゃんたちが、
ギャングを相手にケンカを売ってしまうのかが意味不明!

全編通して「なんで、そーなるんだよ!」と思いますが、
もう、それはそれでOK、と笑うしかありません。
この、奇っ怪でステキなキャラたちのしでかすことだもの。
多少強引でも、リアリティ無視でも、許されてしまうのです。

魅力的なキャラと、強引な展開の奏でる楽しいコメディ。
実際のセリフはほとんどなく、彼らは行動で物語を作るので、
子どもから大人まで、誰もが分け隔てなく楽しめるハズ。

どちらかといえば内省的な「ハウル…」よりも、
手堅い作りで楽しい「インクレディブル」よりも、
多少、物語に無理やたるみはあっても、
強烈なキャラと展開で楽しめるこの映画は、
この冬いちばん鮮烈で、印象的な作品に仕上がっています。

そして最後に、実はハラリとさせられる場面が。
そうなんだな、この映画のテーマはそこだったのだ。
最後の最後に哀しみも織り交ぜて描く脚本の妙。
その辺の陳腐な感動作よりも、全然いいと思います。

実際、エンドロールが始まっても、
ほとんどの人が立ち上がることができませんでした。
こんな傑作の監督、シルヴァン・ショメは今後も注目でしょう。
次への期待を込めて、あえて評価は4.5に留めておきます。

そうそう、エンドロールは最後まで観てくださいね。
あなたを最後まで、待っている人がいますから(笑)。
こういうサービス精神も、フランス流のお茶目なんだよなぁ。


※ ラングドック地方について
この映画、南仏特有の湖沼地帯が舞台になっています。
南仏といえば、太陽サンサンの港町、これぞプロヴァンス!
というイメージがあるかもしれませんが、ちょっと奥地では、
昔からの沼がそこらじゅうにあり、蚊の大量発生も日常的。
私も文献でしか知りませんが、そんな事情を頭に入れておけば、
三つ子の老婆の食生活も、ちょっとは理解してもらえるかな…。


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┃4┃ Column (観おわったあなたへ)
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そびえ立つ高層ビル群。
押しては返す渋滞の波。
港を行きかう巨大なタンカー。
喧噪の大都会、ベルヴィル(良き都市)。

そんな喧噪とは無縁のとある田舎に、
あるおばあちゃんが住んでいた。
おばあちゃんの関心は孫のことだけ。
両親のいない彼は、いつも一人ぼっちだったから。

おばあちゃんは、彼の自転車好きに気がつくと、
必要なモノを買い与えて、懸命に彼をサポートする。
陰に、日なたに、練習に付き合い、器具を整備し、
マッサージも施して、彼の成長を支えていった。

その彼が、突然ベルヴィルにさらわれてしまう。
おばあちゃんは、わき目もふらず大海に飛び込む。
そして三つ子の老婆の、怪しい、そして不自然な?
手助けも得て、彼を見事にギャングたちから解放し、
大都会からたった1つの故郷へ、連れ戻してみせるのだ。

でも、そんなことに孫は気づいていない。
彼は一心不乱に、自転車を漕いでいただけだから。

彼は、何も知らないうちに、
ベルヴィルまで来てしまっていたのだ。
当地の事情なんかそっちのけで敷かれた、
文明という名の既定路線に乗って。

通り過ぎていく列車に、犬は吠えるけれど、
誰もそんなことにかまっていやしない。
彼だけではなく、きっと誰もが知らないうちに、
大都会ベルヴィルまで、流されてしまっているのだ。

そこで「造られた」ヒューマンレースに参戦し、
ちっとも動かない自転車をこぎ続けることが、
本当に、僕たちの幸せだったのだろうか?

こうして振り返れば、孫は何にも知らなかったのだ。
おばあちゃんが三輪車を買ってくれたことも。
おばあちゃんが食事も何もかも用意してくれたことも。
おばあちゃんが大変な想いでベルヴィルに来たことも。
おばあちゃんがギャングにケンカを売って勝ったことも。

本当に大切なものは、文明に華やぐ大都会にはない。
素朴な日常のなかにこそ、大切なやさしさは存在している。
けれども哀しいかな、そんな身近な人々のやさしさに、
人はいつも気づかずに、のうのうと暮らしているのだよ。

この映画は、元気なおばあちゃんによる愛の物語なのだ。
気がつくと、おばあちゃんを応援している私たちがいる。
けれども、その存在の大きさに最後に気づかされるのは、
他ならない、私たち自身だったのである。

2004/12/18 新宿テアトルタイムズスクエアにて。


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┃5┃ 次回予告 ほか
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その他、筆者からのお知らせなどなど。


★次回予告「レディジョーカー」……………………………………

最近、ミステリーやサスペンスを観ていないなぁ。と思って、
高村薫のベストセラー小説が映画化されたものを観にいきます。
私、この小説を読んでないんですよね。だから期待してるんですが。
読んでなくて良かった、といい意味で思えるようにしてほしい…。

で、次回もお楽しみに。次回は木曜。
http://www.ladyjoker.jp/


★今後の予定など………………………………………………………

金曜はトム・ハンクスによる感動作「ターミナル」の予定。
スピルバーグ監督の感動ものは、出来過ぎなモノも多いのですが。
http://www.terminal-movie.jp/

来週の予定は、以下の3本です。
ブライアン・ヘルゲランド脚本、デンゼル・ワシントン主演、
マフィア相手に男が単身乗り込む「マイボディーガード」、
グウィネス・パルトロウが多感な女性詩人を演じる「シルヴィア」、
そして前作「とらばいゆ」が素晴らしかった大谷健太郎の新作、
中谷美紀他、キャストも豪華な「約三十の嘘」の予定。
今年はこれにて、お開きでございます…。

「マイボディーガード」http://mybodyguard.jp/
「シルヴィア」http://www.sylvia-movie.com/sylvia.html
「約三十の嘘」http://www.30uso.com/


★連絡先は………………………………………………………………

【メールお待ちしてます!】
今回のメールマガジンはいかがでしたか?
ご意見、ご質問、ご感想などをお気軽にお寄せください♪
メールアドレス:espoir@lares.dti.ne.jp

※ なお、頂いたメールは本誌で紹介することがあります。
  匿名希望の方は、その旨をお書き添えください。よろしくです。

【休刊情報やちょっとしたコメントなど…】
http://blog.melma.com/00033635/
上記のサイトからなら、かしこまったメールにすることなく、
一行だけでもコメントやリクエストを書き込めます。
また、筆者の近況や休刊情報もこちらです。適宜ご確認を。

【他の映画のバックナンバーを探したいな…】
ウェブサイト:http://www.lares.dti.ne.jp/~espoir/

上記のサイトをゼヒゼヒ!訪れてみてください。
これまでの映画タイトルが五十音順で並んでいます。
また、今後の掲載予定や筆者の近況なども、連載中。

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【映画のなかの人生、映画のような人生。】
 Vol.392 2004年12月21日
 発行者:Ak. espoir@lares.dti.ne.jp
 (C)2001-2004 Ak.  All rights reserved.
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  • 年間100本以上の映画を観ている作家のたまご。良い物語と、生き方を考えさせるテーマを求めて、今日も映画館に足を運びます。もう1000本以上も観ているんですけどね…。

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