【映画とは、人生を2時間で切り取るものだ】。そんな視点からつづる、1000文字の映画コラム。いろんな映画をきっかけに、生き方について考えてみませんか。ありふれた日常のなかで、答えを探すあなたに、ぜひ。
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映画のなかの人生…Vol.389「恋に落ちる確率」★★★☆
発行日: 2004/12/14
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☆ ★ ☆ 映画のなかの人生、映画のような人生。 ★ ☆ ★
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【映画とは、人生を2時間で切りとるもの】
映画が魅せる、人間のやさしさ、弱さ、強さを、いっそう鮮烈に、
そしてもっと映画を観たくなる、ひと味違うメールマガジン。
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Vol.389「恋に落ちる確率」★★★☆ 2004.12.14(火)
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【1】STORY
ある男が、運命の恋人にめぐり逢い、いまの恋人を捨てる。
翌朝、いままでの友人も恋人も、みな彼を見捨てていた。
【2】Michelin
シネセゾン渋谷での単館上映。なぜか既に空いてます。
【3】Review
男性版「しあわせな孤独」にして、北欧版「2046」。
【4】Column
新しい恋にめぐり逢うと、何もかもが変わり、変わらない。
_____________________________________________RECONSTRUCTION
本誌が今年最初の5つ星に選んだ「しあわせな孤独」。
同じくデンマークから、曰くありげな恋愛映画が登場。
カンヌ映画祭ではカメラドールを受賞し、本国では絶賛、
というクリストファー・ボー監督。果たしてその実力は。
<オフィシャルサイト>
http://www.koi-kakuritsu.jp/
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┃1┃ STORY (観ていないあなたへ)
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ある男が夢の中で、どこかで見たような運命の恋人に出逢う。
ある日、その彼女にめぐり逢った彼は、いまの恋人を捨てる。
すると翌朝、いままでの友人も恋人も、誰もが彼を知らない。
途方に暮れた彼は、新しい恋人と再び待ち合わせるのだが…。
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┃2┃ 上映館ミシュラン (観ていないあなたへ)
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シネセゾン渋谷での単館上映です。
先週末封切だったのですが、すでにすっかり空いています。
平日だったから?それでもちょっと空きすぎだなぁ…。
「しあわせな孤独」の人気を考えると、これは問題だ。
いちおう定員入替制なのですが、お好きな時間にどうぞ。
▼渋谷 シネセゾン渋谷 12/11(土)より
11:00/13:00/15:05/17:10/19:15〜終21:00
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┃3┃ Review (観ていないあなたへ)
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【ポイント】★★★☆
<内訳>
テーマ :★★★★
ストーリー :★★
キャスト :★★★★
スタッフ :★★★★★
何だかよく分からない映画ですね。面白いけど。
原題の通り、物語は、実際に起きた出来事に対して、
すべて後からreconstruction=再構築されているので、
おもだったストーリーというのは、かなりこんがらがっている。
真面目に物語として追おうとすると、観ていて頭痛がしてきます。
これはウォン・カーウァイの映画と同じように、
物語は、見た人が後から考えれば良いのであって、
監督は、「これだ!」と思うシーンを楽しく並べ替えている。
「2046」と同じで、物語としての解釈は不要なのです。
だから男女のどんな恋愛にもありうるシーンを、
どれだけ印象的に描けるかどうかが、この映画の決め手。
そういう意味では、なかなかに成功している。
恋愛には、「出逢い」と「別れ」の2つしかない。
それぞれに至るまでに、さまざまな紆余曲折がある。
それらの紆余曲折を、一人の男と、同じ女優が演じる女に、
何度も何度も繰り返させて、幻想的なタッチで仕上げる。
ドグマのように、光の加減と素朴な映像で勝負する手法と、
1人の男が、複数の女の間で揺れていく様子は、
まさに男性版の「しあわせな孤独」であるとも言えます。
確かにこの監督、ラース・フォン・トリアーの再来、
と言われるだけのことは、あるかもしれませんね。
ただ、惜しむらくは、個々のシーンをつなげる接点かな。
この部分が、ウォン・カーウァイ流ではいちばん難しい。
「2046」よりも「花様年華」が傑作なのはまさにこの点。
この映画も、物語性を無視しているはずなのに、やっぱりどこかで、
「運命の恋人と出逢った男が、何もかもを失って転落する」
という物語の続きを、どうしても期待してしまうところがある。
だから、ラストシーンについても、観ている自分の方で、
無理矢理つじつまを合わせようとすると、何だか分からない。
後になって観ると、じわじわと分かるけど、難しい。
だって本当はこの映画は、そんな話じゃないんだなぁ。
この映画は、出逢いと別れを繰り返す男の孤独な物語なんだよ。
そんなテーマについては、次のコラムに回すとして、
この映画は面白いけれど、仕上げ方にもうひと工夫が必要。
いまはとりあえず3つ半。次作に期待しましょう。
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┃4┃ Column (観おわったあなたへ)
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新しい恋にめぐり逢うと、何もかもが変わりはじめる。
だから人は、時として新しい恋を追い求めている。
いまの関係に飽きてきたとき、不満を感じているとき、
新しい恋が目の前に現れれば、人は足下からふらついてしまう。
新しい恋人にめぐり逢った男は、
いままでの恋人をあっさりと捨てて、
彼女の元へと飛び込んでいく。
彼女こそ、夢に見た運命の人だと信じて。
彼女には、どこかで交わしたような視線を感じる。
彼女の肌には、どこかで触れたような滑らかさがある。
彼女の言葉には、どこかで聴いたような親しみがある。
何かしら、理由をつけて男は新しい恋へと走り出す。
するとどうだろう、いままで築いてきたものが、
住んでいる場所が、仲の良かった友人たちや家族が、
みるみるうちに、自分から離れていってしまう。
「あいつは薄情なヤツだ」とばかりに。
新しい恋にめぐり逢うと、何もかもが変わりはじめる。
それは、新たな恋が素晴らしいからだけではない。
いままでの関係が、すべてなし崩し的に無になるからだ。
そして、ゼロから関係をつくりあげていく二人。
やがて、関係をつくりあげることにつまずく二人。
そして、再び新しい恋を、どこかで探してしまう二人。
やがて、また新たな出逢いにめぐり逢う二人。
だから出逢った瞬間から、別れの言葉は始まっている。
レストランで、また同じ女性に声をかける男。
しかし、彼女は彼のことを再び「何も知らない」。
男は違和感を覚えるが、それでも恋は始まっていく。
そして新しい恋が始まり、そして終わりへと近づいていく。
「運命の人」が、どこかで出逢ったように思えるのは、
彼女が本当は、まるきり同じ誰かだから、なのかも。
同じ女優が演じている、ダブルキャストのように。
だって自分が思い描く理想の相手像は、
何も変わっていないのだから、
ステキだと思える人には、いつだって、
どこかで出逢ったように思えるのは当たり前なのだ!
でも、残念だけど人はそんなことに気がつかない。
だから人は、出逢いと別れを繰り返し、
恋に落ち、恋に破れ、そしてまためぐり逢う。
いまの恋人を捨てても、本当は何も変わらないのに。
そのことに気づかないかぎり、
人は孤独な輪廻を、これからも繰り返していくのだろう。
新しい恋にめぐり逢うと、何もかもが変わりはじめる。
けれども行き着く先は、何もかもが変わらないのだ。
あなた自身が、変わることがないかぎり。
2004/12/14 シネセゾン渋谷にて。
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┃5┃ 次回予告 ほか
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その他、筆者からのお知らせなどなど。
★次回予告「ボンヴォヤージュ」……………………………………
イザベル・アジャーニが、復帰して2作目のフランス映画。
ジェラール・ドパルデューや、ヴィルジニー・ルドワイヤンを
共演させて、豪華キャストで臨む恋愛大作映画なのですが、
最近はフランスらしいフランス映画って、どうなんでしょうね…。
で、次回もお楽しみに。次回は木曜。
http://bonvoyage-cinema.jp/
★今後の予定など………………………………………………………
金曜は塚本晋也監督の待望の新作、「ヴィタール」の予定。
「六月の蛇」では、ちょっとテーマ的に後戻りしましたが、
浅野忠信を主演に迎えた今回はどうなるんでしょうか?
http://www.vital-movie.com/
来週以降では、フレンチアニメの「ベルヴィルランデヴー」、
大谷健太郎がついに豪華キャストを手にした「約三十の嘘」、
あたりが筆者の個人的注目作です。この2作は期待してます。
12/18-24
「ターミナル」http://www.terminal-movie.jp/
「レディジョーカー」http://www.ladyjoker.jp/enter.html
「ベルヴィルランデヴー」http://www.klockworx.com/belleville/
12/25-12/30
「マイボディーガード」http://mybodyguard.jp/
「約三十の嘘」http://www.30uso.com/
「シルヴィア」http://www.sylvia-movie.com/sylvia.html
★連絡先は………………………………………………………………
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これまでの映画タイトルが五十音順で並んでいます。
また、今後の掲載予定や筆者の近況なども、連載中。
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【映画のなかの人生、映画のような人生。】
Vol.389 2004年12月14日
発行者:Ak. espoir@lares.dti.ne.jp
(C)2001-2004 Ak. All rights reserved.
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