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映画のなかの人生…Vol.384「ハウルの動く城」★★★☆

発行日: 2004/11/26


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 ☆ ★ ☆  映画のなかの人生、映画のような人生。 ★ ☆ ★
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【映画とは、人生を2時間で切りとるもの】
映画が魅せる、人間のやさしさ、弱さ、強さを、いっそう鮮烈に、
そしてもっと映画を観たくなる、ひと味違うメールマガジン。


_                 ___________
  Vol.384「ハウルの動く城」★★★☆   2004.11.26(金)
 ̄                  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  【1】STORY
   平凡を自負する街の女。魔法使いハウルとともにいた所を
   見られ、その宿敵の魔女に恐ろしい呪いをかけられる。

  【2】Michelin
   日本で最も公開スクリーンが多い映画。どこでもどうぞ。

  【3】Review
   壮大なファンタジーのはずが、いつの間にか内面の物語に…。

  【4】Column
   自分自身にかけた呪いは、自分自身が解いていくしかない。

_______________________________________Howl's Moving Castle

宮崎アニメの新作は、ヴェネツィアでも公開され、
日本でもオープニングの動員数は過去最高という鳴り物入り。
それでは早速、解説しましょ。

<オフィシャルサイト>
http://www.howl-movie.com/


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┃1┃ STORY (観ていないあなたへ)
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平凡を自負する街の女。ばったり、魔法使いハウルと出逢った
ばかりに、その宿敵の魔女に、老婆になる呪いをかけられる。
街を捨てる決意をした彼女は、途中でハウルの動く城に拾われ、
ともに住むうちに、次第にハウルの苦しみを理解するようになる。


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┃2┃ 上映館ミシュラン (観ていないあなたへ)
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とにかく、そこらじゅうでやってます。
やってないシネコンはないと思います。
シネコン以外では、日比谷スカラ座がいいかなぁ。

どこでもいちばん大きいスクリーンでやってるはずです。
だからお好きなところへ、とにかく早めにどうぞ。
こんなに混んでる映画も、日本では珍しいですから…。

▼日比谷 日比谷映画 上映中
9:30/11:55/14:35/17:15(土20:00〜終22:15) 

日比谷スカラ座1 上映中
8:45/11:10/13:50/16:30/19:10〜終21:25 

▼六本木 VIRGIN TOHO CINEMAS 六本木ヒルズ 上映中
〜11/26 9:00/11:55/14:50/17:45/20:40/23:35/2:30〜終4:45 
〜12/3 9:45/12:40/15:35/18:30/21:25(木金土0:20/3:15〜終5:30)
※2館での上映。

〜12/3 9:00/11:55/14:50/17:45/20:40(木金土23:35/2:30〜終4:45)
※プレミアスクリーンでの上映。12/2(木)は17:45の回休映。

▼池袋 池袋HUMAXシネマズ4 上映中
(〜11/26・土日9:15)11:45/14:30/17:15/20:00〜終22:10 
※〈土曜オールナイト〉22:30/1:00/3:25〜終5:35
※12/4(土)オールナイトの有無は直接劇場へお問い合わせ下さい。 

▼渋谷 渋東シネタワー 上映中
8:30/11:10/13:50/16:30/19:10〜終21:25 

シネ フロント 上映中
(土日8:00)10:40/13:20/16:00/18:40〜終20:55 

▼歌舞伎町 新宿東亜興行チェーン 上映中
(土日9:20)11:35/14:00/16:25/18:50〜終21:00 
10:00/12:15/14:40/17:05/19:30〜終21:40 
※〈金土オールナイト〉21:15/21:50/23:40/0:10/2:05/2:30〜終4:40
※2館での上映。番組変更の可能性あり。 

▼新宿三丁目 新宿スカラ 上映中
9:10/11:45/14:20/16:55/19:30〜終21:45 
※〈11/27オールナイト〉22:00/0:15/2:30〜終4:30

新宿文化シネマ 上映中
10:25/13:00/15:35/18:10(土日水20:40〜終22:40)

▼品川 品川プリンスシネマ 上映中
〜12/3 11:00/13:35/16:10/18:45/21:20〜終23:30
※12/4(土)以降の上映時間は直接劇場へお問い合わせ下さい。 

品川プリンスシネマ 上映中
〜12/3 (土日水9:25)12:00/14:35/17:10/19:50〜終22:00
※プレミアスクリーンでの上映。
12/4(土)以降の上映時間は直接劇場へお問い合わせ下さい。 

▼お台場 シネマ メディアージュ 上映中
11/25〜12/3 11:00/11:50/13:45/14:45/16:30/17:40/19:15/20:35〜終22:50 
※〈11/27オールナイト〉22:00/23:30/0:45/2:25〜終4:40 
※2館での上映。12/4(土)以降の上映時間は直接劇場へお問い合わせ下さい。 

※12/3(土)まで〈日本語字幕付き〉での上映あり
11:25/14:10/16:55/19:45〜終22:00 
※〈11/27オールナイト〉22:35/1:20〜終3:35


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┃3┃ Review (観ていないあなたへ)
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【ポイント】★★★☆

<内訳>
テーマ   :★★
ストーリー :★★★★
キャスト  :★★★★
スタッフ  :★★★★★

当然、「千と千尋…」くらいを期待して観にいきました。
すると何だか、ちょっと肩すかしをくらったな…。
ちょっと長くなりますが、解説しましょう。
お時間のある時にでも、お読み下さいな。

これ、つまらない映画ではありません。
ジブリの最新技術によるアニメーション、
宮崎駿の描くファンタジックな風景美、
魔法使いから、カカシや犬まで魅力的なキャラたち、
次々と飛び出す魔法や、空を飛ぶ鳥、飛行機の数々、
心をくすぐる久石譲の音楽、いずれも素晴らしい。
片時たりとも目が離せない、楽しい映画ではあります。

でも、「千と千尋…」以上に、何だかよく分からない。
この映画、物語の基本線というものが存在しないのだ。

元々、宮崎アニメには2つの基本線があったと思う。
1つは、こうしたファンタジーの場合、
「たどり着けない夢の場所」みたいなものがあり、
そこに子どもたちが挑戦していく、というラインだ。

「未来少年コナン」のインダストリアに始まって、
「ナウシカ」の腐海、「ラピュタ」の天空の城、
見えない世界に次第に迫り、その謎が解き明かされ、
あっと驚くような結末が最後に待っている…。
壮大な社会の構造に迫っていくストーリーがこちらだ。

もう1パターンが「トトロ」のような童話的物語で、
これは田舎や自然界のこぢんまりとしたいい話を、
そのまんま、茶目っ気たっぷりにのんびりと描く。
こちらは社会全体ではなく、個人の視点が中心だ。

ところが、そうした物語の「基本線」は、
前回の「千と千尋…」では、あっさり放棄されてしまう。
この前作は、本当は「個人の視点」を描くパターンのはず。
しかし、この映画では、最初から物語なんて存在しない。
なぜ湯屋に迷い込んだのか、そこに何があるのか、
結末はどこにあるのかすら、さっぱり分からない。

不可解に観ていると、最後に「名前」にたどり着いたところで、
人々はようやくこれが「物語だったこと」を「発見」する。
そうだよ、人生は1つの物語だったのだ、という気づき。
この非常に難解で巧妙なオチを納得させるのだから、
「千と千尋…」がいかにすごい映画だったか、よく分かる。

が、これがうまくいった理由は、おそらく、
原案が「個人の視点から描くパターン」だったことだ。
このラインでは、舞台となる空間が非常に狭く、
描かれるエピソードは非常に個人的で、限られている。

中心となる主人公は、少女ただ一人で、
彼女の物語であることは明白だ。
だから何だかんだと言って、最後まで軸がぶれないので、
最後に物語が発見されることに、説得力が生まれるのだ。

遠回りしたが、さて、この「ハウルの動く城」。
この映画は実は、個人ではなく社会を視野に入れた、
実に壮大な物語として、もともと用意されている感がある。

出てくるのは小さな湯屋ではなく、
1つの街であり、1つの国であり、1つの世界だ。
出てくるイベントやキャラも、湯屋の客と使用人、
といった日常生活からは、遠くかけ離れている。
飛行機、軍艦といった文明の利器が飛び交い、
そこに魔法が入りみだれて舞台が成り立っている。

つまり、これは「トトロ」ではなく、
「コナン」や「ナウシカ」の正統な後継作のはずなのだ。
味方である魔法使いがいて、敵となる魔法使いがいて、
この広い国の山々を、海を、大地を舞台に物語がある。
これは社会と人間の関係性を描く、壮大なパターンになるはずだ。

登場人物も多彩で、物語そのものが多軸的に動いていく。
主人公はソフィーだが、魔法使いハウルがいて、
その師であり敵となる存在がいて、それぞれに因縁がある。
当然、ハウルと仲間は敵とぶつかり、敵と戦い、
そして最後に、意外な事実と和解を迎えるだろう…。

…え?違うの??

これがびっくりなんですねぇ。
こんな「ナウシカ」や「ラピュタ」みたいな舞台で、
実は内容は「千と千尋…」を再現して見せるんです。
えーっ!これはソフィーとハウルの物語だったの?
愛と家族の物語だったんだ!そんなのありかよ!
じゃあこの舞台はいったい何?戦争は何だったの?

ただでさえ、いろんな物語の見方ができる話なのに、
そこで物語の基本線を、最初から放棄して、
最後に見事に組み立て直してみせるという、
「千と千尋…」同様の荒技を宮崎駿はここでもやる。

でも、人々のスペクタクルへの期待をくすぐって、
最後にこれではちょっと、無理があるんでないかい…?
「ナウシカ」の腐海で始まった映画が、
最後に「トトロ」の大団円で終わったら、
そりゃあびっくりするだろ、誰だって。

映画自体は面白いけれども、このテーマは全く腑に落ちない。
それこそ狐につままれた、じゃなかった、
ハウルの魔法にかけられた気分だよ、こりゃ…。


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┃4┃ Column (観おわったあなたへ)
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誰もが、自分の心に魔法をかけることができる。
誰もが、自分の心に呪いをかけることもできる。

この映画のソフィーは、自分に呪いをかけている。
自分は平凡で、何の取り柄もないと信じている。
まるで、人生を全て悟りきってしまった老婆のように。

でもソフィーは、やさしい心の持ち主だ。
通りかかったカカシにだって、やさしくする。
見ず知らずの火の悪魔や、魔女や老婆にだって。
心臓を奪い取ってしまうという、魔法使いハウルでも。

そのハウルもまた、自分に呪いをかけている。
彼は魔女も嫌いだし、偉そうな先生も嫌いだ。
戦争もイヤだし、自分が怒られるのももっとイヤだ。
ずっとイヤなことから逃げ出して、彼は動く城を作った。

どちらかというと、彼は城に閉じこもりがちな男だ。
だから外に出るときは、見てくれに人一倍気を遣う。
髪の毛の色ひとつで、気分はとんでもなく落ち込む。
彼は、誰からも自由でいたい魔法使いでいたいのに、
いつの間にか、自分で自分の居場所を束縛してしまった。

老婆のような、若い女と。
自由を夢見る、自閉症気味の魔法使い。
本当になりたいものから、自分自身で、
自分自身を遠ざけている、「複雑」な呪いの犠牲者たち。

そんな二人が出逢って、みるみる呪いは解けていく。
閉じこもりがちなハウルを見て、
ソフィーがとても可愛そうに思えるのは、
そこに、自分で自分を縛っていた自分自身の姿を見るから。

老婆になってしまったソフィーを見て、
ハウルが彼女に惹かれていくのは、
そこに、自分で自由を束縛してしまった、
自分自身の姿を見るから、かもしれない。

彼のためにも、しっかりしなくちゃ。
ハウルを弁護するソフィーはみるみる若返る。
彼女のために、平和な世界を取りもどそう。
ソフィーのために戦うハウルは、最高の魔法使い。

きっと、二人が出逢うことは、
ずっとずっと昔、子どものときから、
定められていた宿命のようなものだった。

そういう出逢いを、ソフィーは、ハウルは、
いち早く見つけなくちゃいけなかったのに、
いままでずっと逃げ出して、閉じこもって、
勝手に自分に呪いをかけて、ここにたどり着くまでに、
何年も、何年も、大切な時をムダにしてしまったのだ。

でももう、二人は迷うことはない。
二人は出逢い、呪いは解けた。
そして彼らの前には、明るい空と希望が待っている。

ほんの小さな出逢いひとつで、人は自分の呪いを解ける。
それどころかこうして、遙かに美しい未来を描く、
ステキな魔法を、自分自身にかけることさえ、できるのだ。
さあ自分も、運命を信じて、新たな出逢いへと飛びだそう!

2004/11/25 ヴァージン東宝シネマズ六本木ヒルズにて。


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┃5┃ 次回予告 ほか
┻━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
その他、筆者からのお知らせなどなど。


★次回予告「イブラヒムおじさんとコーランの花たち」…………

最近、イスラム教というのは何かと問題視されていますが、
その本当の教えの中身、考え方は、理解されているのでしょうか。
この映画では、あるイスラム教徒のおじさんが、私たちを、
何も知らない少年のようにして、その価値を説いてくれるらしい。

で、次回もお楽しみに。次回は火曜。
http://www.gaga.ne.jp/ibrahim/


★今後の予定など………………………………………………………

来週はその他、日本の若手映画作家、
俳優たちが集結した「青い車」http://www.aoikuruma.com/
そしてウォルター・サレスの前作「ビハインド・ザ・サン」の予定。
http://www.gaga.ne.jp/behindthesun/


12月はとりあえず以下の作品を掲載する予定です。
手堅いPIXARアニメや、トム・ハンクスの大作に始まって、
ジュネっぽいフランスのアニメ「ベルヴィルランデヴー」、
大谷健太郎がついに豪華キャストを手にした「約三十の嘘」、
塚本晋也の最新作「ヴィタール」など、いずれも注目作ですねぇ。

「Mr.インクレディブル」http://www.disney.co.jp/incredible/
「恋に落ちる確率」http://www.koi-kakuritsu.jp/
「ヴィタール」http://www.vital-movie.com/
「ボンヴォヤージュ」http://bonvoyage-cinema.jp/
「レディジョーカー」http://www.ladyjoker.jp/enter.html
「ターミナル」http://www.terminal-movie.jp/
「ベルヴィルランデヴー」http://www.klockworx.com/belleville/
「マイボディーガード」http://mybodyguard.jp/
「約三十の嘘」http://www.30uso.com/
「シルヴィア」http://www.sylvia-movie.com/sylvia.html


★連絡先は………………………………………………………………

【メールお待ちしてます!】
今回のメールマガジンはいかがでしたか?
ご意見、ご質問、ご感想などをお気軽にお寄せください♪
メールアドレス:espoir@lares.dti.ne.jp

※ なお、頂いたメールは本誌で紹介することがあります。
  匿名希望の方は、その旨をお書き添えください。よろしくです。

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http://blog.melma.com/00033635/
上記のサイトからなら、かしこまったメールにすることなく、
一行だけでもコメントやリクエストを書き込めます。
また、筆者の近況や休刊情報もこちらです。適宜ご確認を。

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ウェブサイト:http://www.lares.dti.ne.jp/~espoir/

上記のサイトをゼヒゼヒ!訪れてみてください。
これまでの映画タイトルが五十音順で並んでいます。
また、今後の掲載予定や筆者の近況なども、連載中。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
【映画のなかの人生、映画のような人生。】
 Vol.384 2004年11月26日
 発行者:Ak. espoir@lares.dti.ne.jp
 (C)2001-2004 Ak.  All rights reserved.
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