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映画のなかの人生…Vol.382「砂と霧の家」★★
発行日: 2004/11/25
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☆ ★ ☆ 映画のなかの人生、映画のような人生。 ★ ☆ ★
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【映画とは、人生を2時間で切りとるもの】
映画が魅せる、人間のやさしさ、弱さ、強さを、いっそう鮮烈に、
そしてもっと映画を観たくなる、ひと味違うメールマガジン。
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Vol.382「砂と霧の家」★★ 2004.11.24(水)
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【1】STORY
安い競売物件を買ったイラン人の男は、それを転売して、
生計を立てようとしていたが、前の居住者の女は諦めず…。
【2】Michelin
丸の内ピカデリー他。そろそろ終わるのでお早めに。
【3】Review
人物描写のミス。悲劇には、憎まれる悪役は要らない。
【4】Column
誰かを頼るとしても、決してその家にまで入ってはならない。
______________________________________House of sand and fog
「今世紀最大の悲劇」を掲げるハリウッドの大作、感動ドラマ。
ジェニファー・コネリー、ベン・キングスレーという演技派を揃え、
しかも原作はベストセラーの文藝作品という、堅い狙いなのですが。
<オフィシャルサイト>
http://www.sunatokiri.jp/
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┃1┃ STORY (観ていないあなたへ)
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ある亡命イラン人の家族。夫は安い競売物件を買い、転売して、
生計を立てようとしていたが、その家の居住者だった女は、
差し押さえに抗して自治体を訴え、彼らの家をたびたび訪れる。
彼女と恋仲に落ちた警官は、さらに強引に立ち退きを迫り…。
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┃2┃ 上映館ミシュラン (観ていないあなたへ)
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東京では、丸の内ピカデリーほかで上映しています。
ご紹介が遅れたこともあり、そろそろ終了しそうです。
そんなわけで、もう空いているわけですが、
観にいく予定の方は、お早めにどうぞ。
▼有楽町 丸の内ピカデリー2 上映中
〜11/26 11:00/13:30/16:15/19:00〜終21:20
11/27 11:00〜終13:05
11/28 14:15/16:40/19:00〜終21:20
▼渋谷 渋谷シネパレス 上映中
10:40/13:15/15:50/18:25〜終20:35
※11/27(土)休映。
▼新宿 新宿松竹会館 上映中
11:30/14:05/16:40/19:15〜終21:35
※11/27(土)は14:05以降の回、11/28(日)は11:30の回休映。
▼品川 品川プリンスシネマ 上映中
〜11/26 13:05/15:50〜終18:10
▼お台場 シネマ メディアージュ 11/26(金)まで
11:10〜終13:30
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┃3┃ Review (観ていないあなたへ)
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【ポイント】★★
<内訳>
テーマ :★★
ストーリー :★
キャスト :★★★★
スタッフ :★★
これ、ほとんど「血と骨」と同じ問題を抱えてます。
ひとえに人物描写に足りない点がある、ということ。
筆者には、主人公の女が最後までよく分からなかった。
わずかな滞納で家を差し押さえられたのは同情するとして、
その後の彼女の行動が、どうにも腑に落ちない。
だって、周りが行くな、というのに家に押しかけ、
妻子ある人を誘惑し、最後には当てつけにはじまり、
周囲の皆さんに飛んだ迷惑を…。
人によっては、彼女に同情する人もいるとは思う。
そこまでヒステリックになってしまう理由が、
きっと彼女の背景にはあるんだろうけれども、
それらは電話一本で描かれてしまって、
何だかますます、私にはイヤな女に見えた。
そんな、アンタも自分で働けばいいじゃない…!
別に、それに対応するイラン人の男も善人ではない。
彼女の味方をする警官も、善人にも悪人にも見えよう。
そういう普通の人々が、ほんの小さなミスから、
将棋倒しのように、次々と悲劇に巻き込まれていく、
というあたりがテーマのハズなのだが…。
だいたい悲劇は、悪党を作ってしまうと負けです。
悪いことをしでかしてしまう人がいる、それならいい。
でも、最後まで憎まれるような「悪党」を作ると、
「こいつが悪いんじゃねえか!」とイライラするので、
「オールドボーイ」もこの映画も、ちっとも涙が出ない。
また、身勝手な女を描くのか、巻き込まれた側を描くのか、
その区別もイマイチ、はっきりしていない。
この辺も「血と骨」に通じるところがある。
観ていて、物語の行方と落としどころがつかみづらい。
それでも、筆者が感動したシーンがある。
ベン・キングスレーが、最後に地に伏して祈るシーンだ。
たったそれだけなのに、観客を泣かせることができるなんて。
やはりキングスレーにせよ、デンゼル・ワシントンにせよ、
卓越した演技力というのは、メロドラマでは飛び道具。
物語の前後は一切不要で、観る人の心を揺さぶるのだから。
他にも彼のセリフはいくつも、心に残るものが多かった。
それがいちばんの収穫。
ジェニファー・コネリーもいいんだけど、
今回は役どころが悪かったので、残念。
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┃4┃ Column (観おわったあなたへ)
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時々、他人の気持ちを先回りして考えてしまう。
それは、気配りをするためには、大切なことだ。
相手は傷ついているかも、と思えることは、
他人へのやさしさの源泉である。
しかし、小さいときから、そんなことに慣れていると、
どんどん先へ、先へと他人の気持ちを考えてしまう。
こんなことをすれば、悪く思われるんじゃないか。
こんなことをしたら、みんなの迷惑になるかも。
そんな先回りを続けていくと、いつの間にか、
自分の人生を、自分自身で縛りつけてしまうことに。
他人の気持ちを恐れるあまり、自分では何一つできない。
一方で他人はおろか家族にも、何一つ助けも借りられない。
そのプライドの高さ。そして、内面のもろさ。
相反する二つの気持ちを抱えた人間が、そこに生まれる。
そうしているうちに、みるみる周囲は離れていく。
もう子どもではない、自立した大人だと認められるからだ。
けれども実際は、何もできない大きな子どもがそこにいる。
待って、置いていかないで、と叫びたいのに、
哀しいかな、そんなふうに叫ぶこともできない。
そうして、この映画の主人公の女は一人になったのだろう。
家族とも離れ、夫とも離れ、何一つしない生活に陥り。
それが、自治体のミスでついに家まで追い出されることに。
何もかもを失って、初めて彼女は自分を認める。
自分は家ひとつ守れない、何もできない人間なのだ、と。
こうなればイヤでも、誰かを頼るしかない。
家を取りもどすには、弁護士を頼るしかない。
当座の住まいのためには、男を誘惑もしよう。
そして家を「乗っ取った」家族のやさしさにもすがろう。
ところが、他人をそうして頼りはじめた途端、
頼られた人々には、次々と災難が襲いかかる。
誰にも頼らずに生きてきた彼女は、
誰かに頼るときの我慢を知らない。
他人を頼るときに、やってはいけないことがある。
それは、相手の良心につけ込むことだ。
相手の家のなかにまで、ドカドカと乗り込み、
他人を自分のペースに巻き込んではいけないのだ。
けれども、彼女にはそれができなかった。
そうして他人を初めて頼り、突き落としてみて、
初めて彼女は、自分の過ちに気がついたのだ。
「ここは、他人の家だったのだ」と。
他人へのやさしさにつながるはずの、心の先読みが、
いつの間にか、他人への恐れにつながり、
やがて、アンバランスな関係と悲劇に陥ってしまう。
それは、何という矛盾に満ちた結末だろうか。
彼女のそんな一面を描くことができれば、
この映画の評価も一転したのだが…。
2004/11/24 渋谷シネパレスにて。
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┃5┃ 次回予告 ほか
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その他、筆者からのお知らせなどなど。
★次回予告「ターンレフト、ターンライト」………………………
久々に中国映画を観てきます。「2046」もそうだったか…。
金城武とジジ・リョンの組み合わせは、「君のいた永遠」で、
息の合っていた二人の再現。その映画はベタベタの恋愛もの、
でしたが今回は意外にも、少しコミカルな内容らしい。
で、次回もお楽しみに。次回は明日。
http://www.warnerbros.jp/tltr/
★今後の予定など………………………………………………………
金曜はいよいよ、宮崎アニメ「ハウルの動く城」の予定。
それ以上、何も言うことはありますまい。
http://www.howl-movie.com/
来週は少年に人生の価値を優しく説いていく
「イブラヒムおじさんとコーランの花たち」、
http://www.gaga.ne.jp/ibrahim/
日本の若手映画作家、俳優たちが集結した「青い車」、
http://www.aoikuruma.com/
そしてウォルター・サレスの前作「ビハインド・ザ・サン」の予定。
http://www.gaga.ne.jp/behindthesun/
12月はとりあえず以下の作品を掲載する予定です。
手堅いPIXARアニメや、トム・ハンクスの大作に始まって、
ジュネっぽいフランスのアニメ「ベルヴィルランデヴー」、
大谷健太郎がついに豪華キャストを手にした「約三十の嘘」、
塚本晋也の最新作「ヴィタール」など、いずれも注目作ですねぇ。
「Mr.インクレディブル」http://www.disney.co.jp/incredible/
「恋に落ちる確率」http://www.koi-kakuritsu.jp/
「ヴィタール」http://www.vital-movie.com/
「ボンヴォヤージュ」http://bonvoyage-cinema.jp/
「レディジョーカー」http://www.ladyjoker.jp/enter.html
「ターミナル」http://www.terminal-movie.jp/
「ベルヴィルランデヴー」http://www.klockworx.com/belleville/
「マイボディーガード」http://mybodyguard.jp/
「約三十の嘘」http://www.30uso.com/
「シルヴィア」http://www.sylvia-movie.com/sylvia.html
★連絡先は………………………………………………………………
【メールお待ちしてます!】
今回のメールマガジンはいかがでしたか?
ご意見、ご質問、ご感想などをお気軽にお寄せください♪
メールアドレス:espoir@lares.dti.ne.jp
※ なお、頂いたメールは本誌で紹介することがあります。
匿名希望の方は、その旨をお書き添えください。よろしくです。
【休刊情報やちょっとしたコメントなど…】
http://blog.melma.com/00033635/
上記のサイトからなら、かしこまったメールにすることなく、
一行だけでもコメントやリクエストを書き込めます。
また、筆者の近況や休刊情報もこちらです。適宜ご確認を。
【他の映画のバックナンバーを探したいな…】
ウェブサイト:http://www.lares.dti.ne.jp/~espoir/
上記のサイトをゼヒゼヒ!訪れてみてください。
これまでの映画タイトルが五十音順で並んでいます。
また、今後の掲載予定や筆者の近況なども、連載中。
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【映画のなかの人生、映画のような人生。】
Vol.382 2004年11月24日
発行者:Ak. espoir@lares.dti.ne.jp
(C)2001-2004 Ak. All rights reserved.
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