【映画とは、人生を2時間で切り取るものだ】。そんな視点からつづる、1000文字の映画コラム。いろんな映画をきっかけに、生き方について考えてみませんか。ありふれた日常のなかで、答えを探すあなたに、ぜひ。
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映画のなかの人生…Vol.381「血と骨」★★
発行日: 2004/11/19
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☆ ★ ☆ 映画のなかの人生、映画のような人生。 ★ ☆ ★
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【映画とは、人生を2時間で切りとるもの】
映画が魅せる、人間のやさしさ、弱さ、強さを、いっそう鮮烈に、
そしてもっと映画を観たくなる、ひと味違うメールマガジン。
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Vol.381「血と骨」★★ 2004.11.19(金)
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【1】STORY
戦前、韓国から来た男が、持ち前の腕力と身勝手さで、
女とカネを思い通りに集め、一方で家族を苦しめていく。
【2】Michelin
丸の内プラゼールほか。それなりに入っている、らしい。
【3】Review
凶暴な男を描く大河ドラマ仕立てだが、意図が不明瞭。
【4】Column
貧しさは家族への愛を歪め、歪んだ愛は悲劇しか生まない。
_____________________________________________Blood and Bone
ビートたけし、鈴木京香、オダギリジョー、新井浩文、松重豊…。
豪華なキャストがそろった崔洋一監督の新作は、
韓国系日本人の男が、戦後の混乱期からのし上がってくる、
怒りと暴力と欲望に満ちた、壮絶な物語。
<オフィシャルサイト>
http://www.chitohone.jp/
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┃1┃ STORY (観ていないあなたへ)
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戦前、韓国から来たある男は、持ち前の腕力と身勝手さで、
女を襲い、蒲鉾工場を開き、家族や部下をこき使って、
女とカネを思い通りに集めていく。しかしこき使われる側の
家族の苦しみもまたすさまじく、次々と悲劇が彼らを襲っていく。
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┃2┃ 上映館ミシュラン (観ていないあなたへ)
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丸の内プラゼール他、松竹系の映画館中心にやってます。
実は今回、事情があって大阪で見てしまったために、
東京でどれくらい人が入っているのかは、あまり分かりません。
大阪はこの映画の舞台でもあり、東京より混んでると思います。
それを考えると、少しだけ混んでる程度、ではないかと…。
▼有楽町 丸の内プラゼール 上映中
10:10/13:00/16:05/19:10〜終21:50
▼渋谷 渋谷シネパレス 上映中
10:30/13:30/16:30/19:30〜終22:05
▼歌舞伎町 新宿ジョイシネマ2 上映中
10:00/12:50/15:40/18:30〜終21:05
▼新宿 新宿松竹会館 上映中
10:15/13:10/16:05/19:00〜終21:40
▼品川 品川プリンスシネマ 上映中
〜11/26 (土日祝水10:25)13:25/16:50/20:00〜終22:35
※プレミアスクリーンでの上映。
▼お台場 シネマ メディアージュ 11/26(金)まで
14:00/17:10/20:15〜終22:55
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┃3┃ Review (観ていないあなたへ)
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【ポイント】★★
<内訳>
テーマ :★
ストーリー :★★
キャスト :★★★★
スタッフ :★★
よく分からない映画ですね。
内容的にはともかく、意図が分からない。
戦後の混乱と、韓国人であるという差別を、
とんでもなく利己的な男が切り抜けていくのだが、
一方でその家族は、彼にヒモづけられた奴隷であり、
彼の欲望を満たすための道具として扱われる。
その男の暴力と家族の苦難、両者の葛藤を、
延々と韓国系日本人社会の戦後史のように描き出す。
これはほとんど大河ドラマです。だから飽きはしない。
でも、だからどうしたんでしょう?
筆者には、その意図がよく分からなかった。
ビートたけし演じる主人公は、世紀の怪物として、
比類なき人物のように描かれていますが、
実際には、きっとこういう人物は当時ごまんと居たはず。
それにいまでも、こういう利己的な人物はよくいる。
ヴェンチャー起業の社長たちを見てると、よく分かる。
家族を足蹴にして金集めに奔走する人は、いつでもいます。
最大の問題は、そのひどい人物である主人公が、
最初からひどい人物として、描かれている点では。
冒頭から独り身の女を襲う場面で幕を開けるのですが、
彼のそうした横暴は、かつてさまざまな事件と苦難があり、
いよいよ彼の根性がねじ曲がって至った結論のハズ。
しかし、そこがすっぽり抜けてしまっているので、
彼は最初から最後まで、怪物のままで終わり、
家族からすれば、ただのひどいヤツで終わる。
両者は訣別したまま、ドラマはそれ以上に展開しない。
この2時間半で、何がやりたかったんでしょうね?
得てして、こういう「伝記」や「歴史」は、
単なる日記、事実の羅列に終わることがよくあります。
監督の思い入れが深ければ深いほど、そうなる可能性も高い。
思い入れが激しいほど、その自身の思い入れを、
作品のなかで説明することを忘れてしまうからです。
これも何だか、その類ではないか、と…。
彼の結末は悲劇のはずなのに、よっぽど深く読まないと、
ただ、わがまま男が、至るべくして至った結末にしか見えない。
豪華キャストの熱演も、これではちょっと浮いてるなぁ。残念。
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┃4┃ Column (観おわったあなたへ)
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他人のことを思いやることができるのは、
自分の生活に、余裕がある証である。
人間、自分の生活に余裕がなくなってくれば、
なかなか他人のことまで、面倒を見てはいられない。
せいぜい家族や、子どものことくらいまでだろう。
しかし、それすらも省みなかった男がいた。
ビートたけし演じる男は、韓国から裸一貫で大阪に来て、
おそらくはさまざまな差別と酷使に出逢ったに違いない。
その屈辱と経験をバネにして、男ははい上がる。
生き残るためには、腕力と才覚が必要だと気づく。
手に入るものは全て、腕力で手に入れていく。
言うことを聞きそうな女を、力ずくで襲う。
部下を増やし、子どもを増やし、無賃で働かせる。
人手と元手さえあれば、カネは簡単に増えるものだ。
さらに才覚を絞っていけば、カネはますます無限大だ!
とにかくカネが必要なのだ。
男は確信していた。
自らの欲望を満たし、何より、家族を守るためには。
男はむしろ、異常なほど家族思いだったのだ。
家族を満たすためには、まず自分が満たされなければ。
だから彼は誰にもカネを渡さず、全て自分でしまい込む。
そしてそのカネは、いくら貯めても使わない。
常に、差別と貧困の中にある彼らにとって、
カネ=血液は、いつ必要になるか分からないからだ。
彼は我慢しているのだ。ムダなカネも使わず。
故に、家族も働くべきだ。彼は家族を殴り、叫ぶ。
「人にせびるくらいなら、自分で稼げ!」
文句があるなら、出て行けばいい。
しかし、ともに暮らす以上、文句は言わせない。
それでも反発するなら、徹底的に殴り、痛めつける。
こんなに家族思いの自分に、いったい何の文句がある!
だが、そんなねじ曲がった家族愛は、
当の家族たちには、決して通じるはずもない。
カネは貯めるためにあるのではない。
必要なものを、手に入れるためにあるのだ。
ともに生きる者たちの、笑顔のためにあるものなのに。
若い時代の苦難と差別が、ねじ曲がった男の愛を生み、
それに家族は翻弄され、暴力に耐える日々を送った。
ひとりの男に、自らの手足=骨として扱われた日々。
その屈折した愛情に、多くの家族が悲劇とともに死んだ。
そのくせ、男の家族への愛は、何一つ満たされないまま!
貧しさは愛のかたちを、かくも愚かに歪めてしまうものなのか。
一方的な家族愛の壮絶な敗北に、ただ嘆息せざるをえない。
普通に人を愛せることは、それほど幸せなことなのか、と。
2004/11/19 梅田ピカデリーにて。
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┃5┃ 次回予告 ほか
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その他、筆者からのお知らせなどなど。
★次回予告「砂と霧の家」……………………………………………
家族映画週間の4本目にして、いちばん家族映画らしい文藝大作。
主演はジェニファー・コネリーと、ベン・キングスレー。
タイトルに「家」とあるように、家をめぐる家族の物語であり、
誰もが感涙の大作らしいんですが…暗いんだろうなぁ、文藝だし。
で、次回もお楽しみに。次回は火曜が祝日なので、水曜に。
http://www.sunatokiri.jp/
★今後の予定など………………………………………………………
来週は他、金城武のラブコメディ「ターンレフト、ターンライト」
そしていよいよ公開、宮崎アニメ「ハウルの動く城」の予定。
http://www.howl-movie.com/
再来週もまだまだ3本ペースが続きます。
再来週は「イブラヒムおじさんとコーランの花たち」「青い車」
そしてウォルター・サレスの前作「ビハインド・ザ・サン」、
の3本を予定しています。年末までこのペースかも…。。。
★連絡先は………………………………………………………………
【メールお待ちしてます!】
今回のメールマガジンはいかがでしたか?
ご意見、ご質問、ご感想などをお気軽にお寄せください♪
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匿名希望の方は、その旨をお書き添えください。よろしくです。
【休刊情報やちょっとしたコメントなど…】
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上記のサイトからなら、かしこまったメールにすることなく、
一行だけでもコメントやリクエストを書き込めます。
また、筆者の近況や休刊情報もこちらです。適宜ご確認を。
【他の映画のバックナンバーを探したいな…】
ウェブサイト:http://www.lares.dti.ne.jp/~espoir/
上記のサイトをゼヒゼヒ!訪れてみてください。
これまでの映画タイトルが五十音順で並んでいます。
また、今後の掲載予定や筆者の近況なども、連載中。
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【映画のなかの人生、映画のような人生。】
Vol.381 2004年11月19日
発行者:Ak. espoir@lares.dti.ne.jp
(C)2001-2004 Ak. All rights reserved.
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