トップ > エンターテイメント > 映画 > 映画のなかの人生、映画のような人生。

【映画とは、人生を2時間で切り取るものだ】。そんな視点からつづる、1000文字の映画コラム。いろんな映画をきっかけに、生き方について考えてみませんか。ありふれた日常のなかで、答えを探すあなたに、ぜひ。

  • 最新号:2008-09-25
  • 発行周期:火・金・(木)
  • 読んでる人:482人
  • 創刊日:2001-03-20
  • Score!:96点
  • コメント数 : 0
  • メルマガID:33635
  • バックナンバー:全て公開
  • 発行者サイト:あり
  • >> 月間ランキング



映画のなかの人生…Vol.381「血と骨」★★

発行日: 2004/11/19


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ☆ ★ ☆  映画のなかの人生、映画のような人生。 ★ ☆ ★
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【映画とは、人生を2時間で切りとるもの】
映画が魅せる、人間のやさしさ、弱さ、強さを、いっそう鮮烈に、
そしてもっと映画を観たくなる、ひと味違うメールマガジン。


_           _________________
  Vol.381「血と骨」★★         2004.11.19(金)
 ̄            ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  【1】STORY
   戦前、韓国から来た男が、持ち前の腕力と身勝手さで、
   女とカネを思い通りに集め、一方で家族を苦しめていく。

  【2】Michelin
   丸の内プラゼールほか。それなりに入っている、らしい。

  【3】Review
   凶暴な男を描く大河ドラマ仕立てだが、意図が不明瞭。

  【4】Column
   貧しさは家族への愛を歪め、歪んだ愛は悲劇しか生まない。

_____________________________________________Blood and Bone

ビートたけし、鈴木京香、オダギリジョー、新井浩文、松重豊…。
豪華なキャストがそろった崔洋一監督の新作は、
韓国系日本人の男が、戦後の混乱期からのし上がってくる、
怒りと暴力と欲望に満ちた、壮絶な物語。

<オフィシャルサイト>
http://www.chitohone.jp/


┳━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃1┃ STORY (観ていないあなたへ)
┻━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

戦前、韓国から来たある男は、持ち前の腕力と身勝手さで、
女を襲い、蒲鉾工場を開き、家族や部下をこき使って、
女とカネを思い通りに集めていく。しかしこき使われる側の
家族の苦しみもまたすさまじく、次々と悲劇が彼らを襲っていく。


┳━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃2┃ 上映館ミシュラン (観ていないあなたへ)
┻━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

丸の内プラゼール他、松竹系の映画館中心にやってます。

実は今回、事情があって大阪で見てしまったために、
東京でどれくらい人が入っているのかは、あまり分かりません。
大阪はこの映画の舞台でもあり、東京より混んでると思います。
それを考えると、少しだけ混んでる程度、ではないかと…。

▼有楽町 丸の内プラゼール 上映中
10:10/13:00/16:05/19:10〜終21:50 

▼渋谷 渋谷シネパレス 上映中
10:30/13:30/16:30/19:30〜終22:05 

▼歌舞伎町 新宿ジョイシネマ2 上映中
10:00/12:50/15:40/18:30〜終21:05 

▼新宿 新宿松竹会館 上映中
10:15/13:10/16:05/19:00〜終21:40 

▼品川 品川プリンスシネマ 上映中
〜11/26 (土日祝水10:25)13:25/16:50/20:00〜終22:35
※プレミアスクリーンでの上映。

▼お台場 シネマ メディアージュ 11/26(金)まで
14:00/17:10/20:15〜終22:55 


┳━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃3┃ Review (観ていないあなたへ)
┻━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【ポイント】★★

<内訳>
テーマ   :★
ストーリー :★★
キャスト  :★★★★
スタッフ  :★★

よく分からない映画ですね。
内容的にはともかく、意図が分からない。

戦後の混乱と、韓国人であるという差別を、
とんでもなく利己的な男が切り抜けていくのだが、
一方でその家族は、彼にヒモづけられた奴隷であり、
彼の欲望を満たすための道具として扱われる。

その男の暴力と家族の苦難、両者の葛藤を、
延々と韓国系日本人社会の戦後史のように描き出す。
これはほとんど大河ドラマです。だから飽きはしない。

でも、だからどうしたんでしょう?
筆者には、その意図がよく分からなかった。

ビートたけし演じる主人公は、世紀の怪物として、
比類なき人物のように描かれていますが、
実際には、きっとこういう人物は当時ごまんと居たはず。

それにいまでも、こういう利己的な人物はよくいる。
ヴェンチャー起業の社長たちを見てると、よく分かる。
家族を足蹴にして金集めに奔走する人は、いつでもいます。

最大の問題は、そのひどい人物である主人公が、
最初からひどい人物として、描かれている点では。
冒頭から独り身の女を襲う場面で幕を開けるのですが、
彼のそうした横暴は、かつてさまざまな事件と苦難があり、
いよいよ彼の根性がねじ曲がって至った結論のハズ。

しかし、そこがすっぽり抜けてしまっているので、
彼は最初から最後まで、怪物のままで終わり、
家族からすれば、ただのひどいヤツで終わる。
両者は訣別したまま、ドラマはそれ以上に展開しない。

この2時間半で、何がやりたかったんでしょうね?
得てして、こういう「伝記」や「歴史」は、
単なる日記、事実の羅列に終わることがよくあります。

監督の思い入れが深ければ深いほど、そうなる可能性も高い。
思い入れが激しいほど、その自身の思い入れを、
作品のなかで説明することを忘れてしまうからです。

これも何だか、その類ではないか、と…。
彼の結末は悲劇のはずなのに、よっぽど深く読まないと、
ただ、わがまま男が、至るべくして至った結末にしか見えない。
豪華キャストの熱演も、これではちょっと浮いてるなぁ。残念。


┳━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃4┃ Column (観おわったあなたへ)
┻━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

他人のことを思いやることができるのは、
自分の生活に、余裕がある証である。

人間、自分の生活に余裕がなくなってくれば、
なかなか他人のことまで、面倒を見てはいられない。
せいぜい家族や、子どものことくらいまでだろう。

しかし、それすらも省みなかった男がいた。
ビートたけし演じる男は、韓国から裸一貫で大阪に来て、
おそらくはさまざまな差別と酷使に出逢ったに違いない。

その屈辱と経験をバネにして、男ははい上がる。
生き残るためには、腕力と才覚が必要だと気づく。
手に入るものは全て、腕力で手に入れていく。

言うことを聞きそうな女を、力ずくで襲う。
部下を増やし、子どもを増やし、無賃で働かせる。
人手と元手さえあれば、カネは簡単に増えるものだ。
さらに才覚を絞っていけば、カネはますます無限大だ!

とにかくカネが必要なのだ。
男は確信していた。
自らの欲望を満たし、何より、家族を守るためには。

男はむしろ、異常なほど家族思いだったのだ。
家族を満たすためには、まず自分が満たされなければ。
だから彼は誰にもカネを渡さず、全て自分でしまい込む。

そしてそのカネは、いくら貯めても使わない。
常に、差別と貧困の中にある彼らにとって、
カネ=血液は、いつ必要になるか分からないからだ。

彼は我慢しているのだ。ムダなカネも使わず。
故に、家族も働くべきだ。彼は家族を殴り、叫ぶ。
「人にせびるくらいなら、自分で稼げ!」

文句があるなら、出て行けばいい。
しかし、ともに暮らす以上、文句は言わせない。
それでも反発するなら、徹底的に殴り、痛めつける。
こんなに家族思いの自分に、いったい何の文句がある!

だが、そんなねじ曲がった家族愛は、
当の家族たちには、決して通じるはずもない。
カネは貯めるためにあるのではない。
必要なものを、手に入れるためにあるのだ。
ともに生きる者たちの、笑顔のためにあるものなのに。

若い時代の苦難と差別が、ねじ曲がった男の愛を生み、
それに家族は翻弄され、暴力に耐える日々を送った。
ひとりの男に、自らの手足=骨として扱われた日々。
その屈折した愛情に、多くの家族が悲劇とともに死んだ。

そのくせ、男の家族への愛は、何一つ満たされないまま!
貧しさは愛のかたちを、かくも愚かに歪めてしまうものなのか。
一方的な家族愛の壮絶な敗北に、ただ嘆息せざるをえない。
普通に人を愛せることは、それほど幸せなことなのか、と。

2004/11/19 梅田ピカデリーにて。


┳━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃5┃ 次回予告 ほか
┻━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
その他、筆者からのお知らせなどなど。


★次回予告「砂と霧の家」……………………………………………

家族映画週間の4本目にして、いちばん家族映画らしい文藝大作。
主演はジェニファー・コネリーと、ベン・キングスレー。
タイトルに「家」とあるように、家をめぐる家族の物語であり、
誰もが感涙の大作らしいんですが…暗いんだろうなぁ、文藝だし。

で、次回もお楽しみに。次回は火曜が祝日なので、水曜に。
http://www.sunatokiri.jp/


★今後の予定など………………………………………………………

来週は他、金城武のラブコメディ「ターンレフト、ターンライト」
そしていよいよ公開、宮崎アニメ「ハウルの動く城」の予定。
http://www.howl-movie.com/

再来週もまだまだ3本ペースが続きます。
再来週は「イブラヒムおじさんとコーランの花たち」「青い車」
そしてウォルター・サレスの前作「ビハインド・ザ・サン」、
の3本を予定しています。年末までこのペースかも…。。。


★連絡先は………………………………………………………………

【メールお待ちしてます!】
今回のメールマガジンはいかがでしたか?
ご意見、ご質問、ご感想などをお気軽にお寄せください♪
メールアドレス:espoir@lares.dti.ne.jp

※ なお、頂いたメールは本誌で紹介することがあります。
  匿名希望の方は、その旨をお書き添えください。よろしくです。

【休刊情報やちょっとしたコメントなど…】
http://blog.melma.com/00033635/
上記のサイトからなら、かしこまったメールにすることなく、
一行だけでもコメントやリクエストを書き込めます。
また、筆者の近況や休刊情報もこちらです。適宜ご確認を。

【他の映画のバックナンバーを探したいな…】
ウェブサイト:http://www.lares.dti.ne.jp/~espoir/

上記のサイトをゼヒゼヒ!訪れてみてください。
これまでの映画タイトルが五十音順で並んでいます。
また、今後の掲載予定や筆者の近況なども、連載中。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
【映画のなかの人生、映画のような人生。】
 Vol.381 2004年11月19日
 発行者:Ak. espoir@lares.dti.ne.jp
 (C)2001-2004 Ak.  All rights reserved.
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
このメルマガの読者になる
規約 
>> メルマ!の会報誌もお届けします

ブックマーク: はてなブックマークに追加del.icio.usに追加Buzzurlにブックマークニフティクリップに追加ライブドアクリップに追加Yahoo!ブックマークに登録My Yahoo!に追加Add to GoogleRSS

このメルマガを読んでいる人はこんなメルマガも読んでいます

サッカー日本代表ネットワーク・メールマガジン
日本代表やJリーグを中心とした国内外のサッカー情報を 毎日お届けします。 WEB版日本代表ニュースを中心に編集します。
ホントに面白い映画はコレだ! 今週の映画瓦版
プロの映画批評家が編集発行する週刊メールマガジン。毎週公開される映画を独自の視点からランキング。充実したDVD情報も好評です!
週刊アカシックレコード
02年W杯サッカー韓国戦の「誤審」を世界で唯一「前日」に誌上予測し、誤審報道を「常識化」した推理作家(金正日の「遺書」で始まる「中朝戦争」後の北朝鮮...
宮崎正弘の国際ニュース・早読み
 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析
こんな映画は見ちゃいけない! 
映画批評系メルマガで読者数No.1! プロの編集者が簡潔な文章と的確な表現で書き下ろす「1分で読める新作映画批評」です。映画紹介だけのメルマガにはな...


この記事へのコメント


コメントを書く
コメントはありません。

おすすめキャンペーン

■三菱東京UFJ銀行系 モビット■
【1】ネットで自動審査・来店不要!
【2】限度額300万円
【3】年利9.8%-18.0%(実質年率)

急な出費にモビット!

発行者プロフィール

ペンネーム : Ak.

  • 年間100本以上の映画を観ている作家のたまご。良い物語と、生き方を考えさせるテーマを求めて、今日も映画館に足を運びます。もう1000本以上も観ているんですけどね…。

このメルマガの読者になる

規約に同意する



このメルマガの最近の記事


このメルマガの最近のコメント

最新のコメントはありません。

注目情報


新着記事トピックス