【映画とは、人生を2時間で切り取るものだ】。そんな視点からつづる、1000文字の映画コラム。いろんな映画をきっかけに、生き方について考えてみませんか。ありふれた日常のなかで、答えを探すあなたに、ぜひ。
- 最新号:2008-09-04
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映画のなかの人生…Vol.376「オールドボーイ」★★★
発行日: 2004/11/9━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
☆ ★ ☆ 映画のなかの人生、映画のような人生。 ★ ☆ ★
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【映画とは、人生を2時間で切りとるもの】
映画が魅せる、人間のやさしさ、弱さ、強さを、いっそう鮮烈に、
そしてもっと映画を観たくなる、ひと味違うメールマガジン。
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Vol.376「オールドボーイ」★★★ 2004.11.9(火)
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【1】STORY
15年間監禁された男は、復讐を果たすべく、解放された
その日から行動に出る。犯人は意外にも見つかるのだが…。
【2】Michelin
シネリーブル池袋ほか。渋谷では新しい映画館で来週から。
【3】Review
手に汗握るが、悪党が悠然としすぎて、後味が悪すぎる。
【4】Column
人はいつか愛を失う。そして、誰かを憎むようになる。
____________________________________________________Old Boy
今週はサスペンス週間です(勝手ながら筆者が決めました)。
奇しくもアジア、アメリカ、ヨーロッパのサスペンスが勢揃い。
第1弾はカンヌのグランプリ(=次点)を獲った韓国映画。
とはいえ審査委員長はタランティーノだったことも、忘れずに。
<オフィシャルサイト>
http://www.oldboy-movie.jp/
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┃1┃ STORY (観ていないあなたへ)
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酒飲みのサラリーマンが、突如15年間監禁される。妻を殺され、
男は犯人への復讐を誓い、解放の日から犯人捜しをはじめる。
途中で彼を助けた料理人の娘とともに、わずかな手がかりから、
彼は犯人にたどり着くが、その口からは意外なセリフが…。
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┃2┃ 上映館ミシュラン (観ていないあなたへ)
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都内では、単館系の映画館で、こぢんまりとやっております。
いちばん新しい映画館は、メディアージュ、シネリーブル。
なのですが、今度渋谷の児童会館下に新たな映画館ができ、
そのこけら落としにこの映画が選ばれているようです。
これを機に、ここを訪れてみるのも面白いかもしれません。
混雑は、意外にもそれほどではありません。
韓国ブームなのに、ねぇ。そんなに地味かなぁ?
▼池袋 シネ・リーブル池袋 11/6(土)より
11:20/13:50/16:10/18:30〜終20:35
▼有楽町 有楽町スバル座 11/6(土)より
(土日9:30)11:45/14:10/16:35/19:00〜終21:10
▼お台場 シネマ メディアージュ 11/6(土)より
11/6〜11/12 11:25/14:10/16:50/19:35〜終21:50
※11/13(土)以降の上映時間は直接劇場へお問い合わせ下さい。
▼渋谷 アミューズCQN 11/13(土)より
11:30/14:10/16:50/19:30
▼歌舞伎町 シネマスクエアとうきゅう 11/6(土)より
(日9:00)11:30/14:00/16:30/19:00〜終21:15
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┃3┃ Review (観ていないあなたへ)
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【ポイント】★★★
<内訳>
テーマ :★★★
ストーリー :★★★★
キャスト :★★★★
スタッフ :★★★★
疲れました。
久々に映画を観て、ぐったり来ました。
これだけ陰鬱な気分になったのは久しぶりです。
お腹の中で大きなティンパニが、低音を響かせてる気分です。
物語としては、悪くありません。
15年監禁された男、どうして監禁されていたのか?
犯人は誰で、いったい何が狙いだったのか?
確かに気になります。
そして合点のいく説明があります。
犯人は、とんでもなくイヤな人間です。
悪意と偏見と身勝手に満ちた相手です。
彼に主人公が追いつめられ、苦しむのを観ていると、
こちらの胸までキリキリと締めつけられてきます。
主人公を助ける彼女は、ほぼ「斬られ役」同然なので、
最後までいたぶられます。これもつらいです。
だからこそ、「どうなるだろう?」と観てしまう。
導入こそリズムが悪いですが、犯人の登場後は、
悪と向き合う主人公の姿に、吸い込まれていきます。
これを演じるチェ・ミンシクの鬼気に満ちた振る舞い、
絶望的状況にあるだけに、いっそう哀れを誘います。
廊下でのアクションシーンや、拷問の方法など、
映像的にも斬新なアイディアが詰め込まれていて、
残虐さという意味で、タランティーノが舌を巻いたのは、
容易に想像がつくでしょう。グランプリにも納得です。
じゃあ、なんで4つ星をつけないのか?
4つ星は、本誌として「オススメ」の意味です。
つまり、この映画はオススメできないと思いました。
この映画、コラムに述べるようなテーマを描くのであれば、
肝心なのは「犯人もまた、被害者」であることのハズ。
これが、どうにも腑に落ちない。
だってこれって…逆恨みでしょ?
筆者は彼にどうしても同情できなかった。
これがテーマの成立を、決定的に妨げている。
恐らく、人は誰もが加害者であり、被害者である、
といったキリスト教的原罪の物語を描きたいのでしょうが、
犯人は「加害者であり、加害者である」ように見えると、
どうも悪党が成敗されないという、後味の悪さが残ります。
なので、ちょっとこの映画はオススメしがたい。
たとえ観るとしても、精神的に健康な時をオススメします。
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┃4┃ Column (観おわったあなたへ)
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人は愛する人と、いつか別れなければならない。
どんなにその人を愛していようと、
この事実ばかりは変えられない。
自分が死ぬこともある。相手が死ぬこともある。
突然の事故。予期せぬ裏切り。
別れの時は、誰にでも訪れる。
主人公が襲われた、誘拐と長期の監禁。
何の変哲もない酔っぱらいが、いきなり拉致される。
妻を殺される。娘と生き別れになる。突然の惨事。
すると、そのことに人は理由を探そうとする。
監禁した犯人は誰か。妻を殺した犯人は誰か。
犯人の目的は何か。どうしてこんな目に遭ったのか。
復讐は、失われた愛を探し求める途中で、
誰にでも芽生える感情の1つに過ぎない。
たいていの場合、人は自らを省みず、
愛を失った理由と責任を、他人になすりつける。
そしてその他人を、まずは殺したい衝動に駆られる。
まして15年も監禁されていれば、
その衝動は抑えがたいほどに高まる。
怒りに満ちて行動をはじめる男に、人は同情しよう。
けれども、本当に悪いのは犯人なのだろうか。
自分が愛を失ったのは、全て他人のせいだったのか?
自らは何一つ、過ちを犯したことのない善人なのだろうか。
そんなことはないだろう。
彼もまた、愛する人を傷つけたことがあるだろう。
知らない人を、知らないところで、
苦しめたりもしているだろう。
平凡な人生に見えても、その悪事を挙げへつらえば、
意外にも何冊ものノートが、書きつづられるはずだ。
その報いがいつか、自分に訪れることもあろう。
そんなことはないと、誰が誓って言えようか?
愛する人を失えば、必ず誰かを憎むだろう。
復讐心に駆られるだろう。殺したいと思うだろう。
しかし、そこで人は立ち止まり、
過去を振り返らなければならない。
自らの記憶を思い出せ。思い当たることがあろう。
自分も誰かを傷つけて、誰かの愛を奪ったことが。
たとえ、どんな復讐を果たそうと、相手を苦しめようと。
犯した過ちは消せない。記憶も消すことはできない。
愛する人を失ったなら、自らを見つめなおすことだ。
どこかで誰かを傷つけてきた、自分を省みて、
心の奥底に、哀しみと希望を焼きつけるのだ。
もう二度と同じ過ちを、決して犯すことはするまいと。
2004/11/9 シネ・リーブル池袋にて。
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┃5┃ 次回予告 ほか
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その他、筆者からのお知らせなどなど。
★次回予告「SAW」…………………………………………………
というわけで、次回はアメリカから怖〜い!サスペンス映画が。
こちらは低予算ながらもサンダンス映画祭の絶賛を浴びて、
マニアックなブームとなった「π(パイ)」「CUBE」に続く、
アイディア重視の傑作サスペンスです。本当に怖い。実際。
で、次回もお楽しみに。次回は木曜。
http://sawmovie.jp/
★今後の予定など………………………………………………………
サスペンス週間の締めくくりは、「ユートピア」の予定。
「IF ONLY」では、ちょっとファンタジックなラブコメディを、
楽しく描いたマリア・デポル監督が一転、今度はSFらしい。
http://www.wisepolicy.com/utopia/
来週は、家族について考える、家族映画週間にいたします。
1作目は料理をめぐる家族ドラマ「エイプリルの七面鳥」、
http://www.gaga.ne.jp/april/
ジェニファー・コネリー主演の文藝大作「砂と霧の家」、
ビートたけし他、豪華キャストを揃えた「血と骨」の予定。
再来週は金城武主演の「ターンレフト、ターンライト」、
ウォルター・サレスの前作「ビハインド・ザ・サン」、
そしていよいよ公開、宮崎アニメ「ハウルの動く城」の予定。
今月末も、まだまだ3本ペースが続きます。
「イブラヒムおじさんとコーランの花たち」「青い車」
「スカイキャプテン ワールド・オブ・トゥモロー」
の3本を予定しています。ああ、忙しい。
★連絡先は………………………………………………………………
【メールお待ちしてます!】
今回のメールマガジンはいかがでしたか?
ご意見、ご質問、ご感想などをお気軽にお寄せください♪
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匿名希望の方は、その旨をお書き添えください。よろしくです。
【休刊情報やちょっとしたコメントなど…】
http://blog.melma.com/00033635/
上記のサイトからなら、かしこまったメールにすることなく、
一行だけでもコメントやリクエストを書き込めます。
また、筆者の近況や休刊情報もこちらです。適宜ご確認を。
【他の映画のバックナンバーを探したいな…】
ウェブサイト:http://www.lares.dti.ne.jp/~espoir/
上記のサイトをゼヒゼヒ!訪れてみてください。
これまでの映画タイトルが五十音順で並んでいます。
また、今後の掲載予定や筆者の近況なども、連載中。
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【映画のなかの人生、映画のような人生。】
Vol.376 2004年11月9日
発行者:Ak. espoir@lares.dti.ne.jp
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