トップ > エンターテイメント > 映画 > 映画のなかの人生、映画のような人生。

【映画とは、人生を2時間で切り取るものだ】。そんな視点からつづる、1000文字の映画コラム。いろんな映画をきっかけに、生き方について考えてみませんか。ありふれた日常のなかで、答えを探すあなたに、ぜひ。

  • 最新号:2008-09-04
  • 発行周期:火・金・(木)
  • 読んでる人:522人
  • 創刊日:2001-03-20
  • Score!:96点
  • コメント数 : 0
  • メルマガID:33635
  • バックナンバー:全て公開
  • 発行者サイト:あり
  • >> 月間ランキング



映画のなかの人生…Vol.376「オールドボーイ」★★★

発行日: 2004/11/9

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ☆ ★ ☆  映画のなかの人生、映画のような人生。 ★ ☆ ★
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【映画とは、人生を2時間で切りとるもの】
映画が魅せる、人間のやさしさ、弱さ、強さを、いっそう鮮烈に、
そしてもっと映画を観たくなる、ひと味違うメールマガジン。


_                ____________
  Vol.376「オールドボーイ」★★★     2004.11.9(火)
 ̄                 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  【1】STORY
   15年間監禁された男は、復讐を果たすべく、解放された
   その日から行動に出る。犯人は意外にも見つかるのだが…。

  【2】Michelin
   シネリーブル池袋ほか。渋谷では新しい映画館で来週から。

  【3】Review
   手に汗握るが、悪党が悠然としすぎて、後味が悪すぎる。

  【4】Column
   人はいつか愛を失う。そして、誰かを憎むようになる。

____________________________________________________Old Boy

今週はサスペンス週間です(勝手ながら筆者が決めました)。
奇しくもアジア、アメリカ、ヨーロッパのサスペンスが勢揃い。
第1弾はカンヌのグランプリ(=次点)を獲った韓国映画。
とはいえ審査委員長はタランティーノだったことも、忘れずに。

<オフィシャルサイト>
http://www.oldboy-movie.jp/


┳━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃1┃ STORY (観ていないあなたへ)
┻━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

酒飲みのサラリーマンが、突如15年間監禁される。妻を殺され、
男は犯人への復讐を誓い、解放の日から犯人捜しをはじめる。
途中で彼を助けた料理人の娘とともに、わずかな手がかりから、
彼は犯人にたどり着くが、その口からは意外なセリフが…。


┳━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃2┃ 上映館ミシュラン (観ていないあなたへ)
┻━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

都内では、単館系の映画館で、こぢんまりとやっております。
いちばん新しい映画館は、メディアージュ、シネリーブル。
なのですが、今度渋谷の児童会館下に新たな映画館ができ、
そのこけら落としにこの映画が選ばれているようです。
これを機に、ここを訪れてみるのも面白いかもしれません。

混雑は、意外にもそれほどではありません。
韓国ブームなのに、ねぇ。そんなに地味かなぁ?

▼池袋 シネ・リーブル池袋 11/6(土)より
11:20/13:50/16:10/18:30〜終20:35 

▼有楽町 有楽町スバル座 11/6(土)より
(土日9:30)11:45/14:10/16:35/19:00〜終21:10 

▼お台場 シネマ メディアージュ 11/6(土)より
11/6〜11/12 11:25/14:10/16:50/19:35〜終21:50 
※11/13(土)以降の上映時間は直接劇場へお問い合わせ下さい。 

▼渋谷 アミューズCQN 11/13(土)より
11:30/14:10/16:50/19:30 

▼歌舞伎町 シネマスクエアとうきゅう 11/6(土)より
(日9:00)11:30/14:00/16:30/19:00〜終21:15 


┳━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃3┃ Review (観ていないあなたへ)
┻━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【ポイント】★★★

<内訳>
テーマ   :★★★
ストーリー :★★★★
キャスト  :★★★★
スタッフ  :★★★★

疲れました。
久々に映画を観て、ぐったり来ました。
これだけ陰鬱な気分になったのは久しぶりです。
お腹の中で大きなティンパニが、低音を響かせてる気分です。

物語としては、悪くありません。
15年監禁された男、どうして監禁されていたのか?
犯人は誰で、いったい何が狙いだったのか?

確かに気になります。
そして合点のいく説明があります。
犯人は、とんでもなくイヤな人間です。
悪意と偏見と身勝手に満ちた相手です。

彼に主人公が追いつめられ、苦しむのを観ていると、
こちらの胸までキリキリと締めつけられてきます。
主人公を助ける彼女は、ほぼ「斬られ役」同然なので、
最後までいたぶられます。これもつらいです。

だからこそ、「どうなるだろう?」と観てしまう。
導入こそリズムが悪いですが、犯人の登場後は、
悪と向き合う主人公の姿に、吸い込まれていきます。
これを演じるチェ・ミンシクの鬼気に満ちた振る舞い、
絶望的状況にあるだけに、いっそう哀れを誘います。

廊下でのアクションシーンや、拷問の方法など、
映像的にも斬新なアイディアが詰め込まれていて、
残虐さという意味で、タランティーノが舌を巻いたのは、
容易に想像がつくでしょう。グランプリにも納得です。

じゃあ、なんで4つ星をつけないのか?

4つ星は、本誌として「オススメ」の意味です。
つまり、この映画はオススメできないと思いました。
この映画、コラムに述べるようなテーマを描くのであれば、
肝心なのは「犯人もまた、被害者」であることのハズ。

これが、どうにも腑に落ちない。
だってこれって…逆恨みでしょ?
筆者は彼にどうしても同情できなかった。
これがテーマの成立を、決定的に妨げている。

恐らく、人は誰もが加害者であり、被害者である、
といったキリスト教的原罪の物語を描きたいのでしょうが、
犯人は「加害者であり、加害者である」ように見えると、
どうも悪党が成敗されないという、後味の悪さが残ります。

なので、ちょっとこの映画はオススメしがたい。
たとえ観るとしても、精神的に健康な時をオススメします。


┳━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃4┃ Column (観おわったあなたへ)
┻━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

人は愛する人と、いつか別れなければならない。

どんなにその人を愛していようと、
この事実ばかりは変えられない。
自分が死ぬこともある。相手が死ぬこともある。
突然の事故。予期せぬ裏切り。
別れの時は、誰にでも訪れる。

主人公が襲われた、誘拐と長期の監禁。
何の変哲もない酔っぱらいが、いきなり拉致される。
妻を殺される。娘と生き別れになる。突然の惨事。

すると、そのことに人は理由を探そうとする。
監禁した犯人は誰か。妻を殺した犯人は誰か。
犯人の目的は何か。どうしてこんな目に遭ったのか。

復讐は、失われた愛を探し求める途中で、
誰にでも芽生える感情の1つに過ぎない。
たいていの場合、人は自らを省みず、
愛を失った理由と責任を、他人になすりつける。

そしてその他人を、まずは殺したい衝動に駆られる。
まして15年も監禁されていれば、
その衝動は抑えがたいほどに高まる。
怒りに満ちて行動をはじめる男に、人は同情しよう。

けれども、本当に悪いのは犯人なのだろうか。
自分が愛を失ったのは、全て他人のせいだったのか?
自らは何一つ、過ちを犯したことのない善人なのだろうか。

そんなことはないだろう。
彼もまた、愛する人を傷つけたことがあるだろう。
知らない人を、知らないところで、
苦しめたりもしているだろう。

平凡な人生に見えても、その悪事を挙げへつらえば、
意外にも何冊ものノートが、書きつづられるはずだ。
その報いがいつか、自分に訪れることもあろう。
そんなことはないと、誰が誓って言えようか?

愛する人を失えば、必ず誰かを憎むだろう。
復讐心に駆られるだろう。殺したいと思うだろう。

しかし、そこで人は立ち止まり、
過去を振り返らなければならない。
自らの記憶を思い出せ。思い当たることがあろう。
自分も誰かを傷つけて、誰かの愛を奪ったことが。

たとえ、どんな復讐を果たそうと、相手を苦しめようと。
犯した過ちは消せない。記憶も消すことはできない。
愛する人を失ったなら、自らを見つめなおすことだ。

どこかで誰かを傷つけてきた、自分を省みて、
心の奥底に、哀しみと希望を焼きつけるのだ。
もう二度と同じ過ちを、決して犯すことはするまいと。

2004/11/9 シネ・リーブル池袋にて。


┳━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃5┃ 次回予告 ほか
┻━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
その他、筆者からのお知らせなどなど。


★次回予告「SAW」…………………………………………………

というわけで、次回はアメリカから怖〜い!サスペンス映画が。
こちらは低予算ながらもサンダンス映画祭の絶賛を浴びて、
マニアックなブームとなった「π(パイ)」「CUBE」に続く、
アイディア重視の傑作サスペンスです。本当に怖い。実際。

で、次回もお楽しみに。次回は木曜。
http://sawmovie.jp/


★今後の予定など………………………………………………………

サスペンス週間の締めくくりは、「ユートピア」の予定。
「IF ONLY」では、ちょっとファンタジックなラブコメディを、
楽しく描いたマリア・デポル監督が一転、今度はSFらしい。
http://www.wisepolicy.com/utopia/

来週は、家族について考える、家族映画週間にいたします。
1作目は料理をめぐる家族ドラマ「エイプリルの七面鳥」、
http://www.gaga.ne.jp/april/
ジェニファー・コネリー主演の文藝大作「砂と霧の家」、
ビートたけし他、豪華キャストを揃えた「血と骨」の予定。

再来週は金城武主演の「ターンレフト、ターンライト」、
ウォルター・サレスの前作「ビハインド・ザ・サン」、
そしていよいよ公開、宮崎アニメ「ハウルの動く城」の予定。

今月末も、まだまだ3本ペースが続きます。
「イブラヒムおじさんとコーランの花たち」「青い車」
「スカイキャプテン ワールド・オブ・トゥモロー」
の3本を予定しています。ああ、忙しい。


★連絡先は………………………………………………………………

【メールお待ちしてます!】
今回のメールマガジンはいかがでしたか?
ご意見、ご質問、ご感想などをお気軽にお寄せください♪
メールアドレス:espoir@lares.dti.ne.jp

※ なお、頂いたメールは本誌で紹介することがあります。
  匿名希望の方は、その旨をお書き添えください。よろしくです。

【休刊情報やちょっとしたコメントなど…】
http://blog.melma.com/00033635/
上記のサイトからなら、かしこまったメールにすることなく、
一行だけでもコメントやリクエストを書き込めます。
また、筆者の近況や休刊情報もこちらです。適宜ご確認を。

【他の映画のバックナンバーを探したいな…】
ウェブサイト:http://www.lares.dti.ne.jp/~espoir/

上記のサイトをゼヒゼヒ!訪れてみてください。
これまでの映画タイトルが五十音順で並んでいます。
また、今後の掲載予定や筆者の近況なども、連載中。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
【映画のなかの人生、映画のような人生。】
 Vol.376 2004年11月9日
 発行者:Ak. espoir@lares.dti.ne.jp
 (C)2001-2004 Ak.  All rights reserved.
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
このメルマガの読者になる
規約 
>> メルマ!の会報誌もお届けします

ブックマーク: はてなブックマークに追加del.icio.usに追加Buzzurlにブックマークニフティクリップに追加ライブドアクリップに追加Yahoo!ブックマークに登録My Yahoo!に追加Add to GoogleRSS

このメルマガを読んでいる人はこんなメルマガも読んでいます

サッカー日本代表ネットワーク・メールマガジン
日本代表やJリーグを中心とした国内外のサッカー情報を 毎日お届けします。 WEB版日本代表ニュースを中心に編集します。
ホントに面白い映画はコレだ! 今週の映画瓦版
プロの映画批評家が編集発行する週刊メールマガジン。毎週公開される映画を独自の視点からランキング。充実したDVD情報も好評です!
週刊アカシックレコード
02年W杯サッカー韓国戦の「誤審」を世界で唯一「前日」に誌上予測し、誤審報道を「常識化」した推理作家(金正日の「遺書」で始まる「中朝戦争」後の北朝鮮...
宮崎正弘の国際ニュース・早読み
 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析
こんな映画は見ちゃいけない! 
映画批評系メルマガで読者数No.1! プロの編集者が簡潔な文章と的確な表現で書き下ろす「1分で読める新作映画批評」です。映画紹介だけのメルマガにはな...


この記事へのコメント


コメントを書く
コメントはありません。

おすすめキャンペーン

三井住友銀行カードローン
金利 年6.0%〜12.0%。最高500万円までお借入可能。
最短30分審査、即日カード発行可能。
お申込はこちら⇒

発行者プロフィール

ペンネーム : Ak.

  • 年間100本以上の映画を観ている作家のたまご。良い物語と、生き方を考えさせるテーマを求めて、今日も映画館に足を運びます。もう1000本以上も観ているんですけどね…。

このメルマガの読者になる

規約に同意する



このメルマガの最近の記事


このメルマガの最近のコメント

最新のコメントはありません。

注目情報


新着記事トピックス