【映画とは、人生を2時間で切り取るものだ】。そんな視点からつづる、1000文字の映画コラム。いろんな映画をきっかけに、生き方について考えてみませんか。ありふれた日常のなかで、答えを探すあなたに、ぜひ。
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映画のなかの人生…Vol.368「モーターサイクル・ダイアリーズ」★★★
発行日: 2004/10/15━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
☆ ★ ☆ 映画のなかの人生、映画のような人生。 ★ ☆ ★
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【映画とは、人生を2時間で切りとるもの】
映画が魅せる、人間のやさしさ、弱さ、強さを、いっそう鮮烈に、
そしてもっと映画を観たくなる、ひと味違うメールマガジン。
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Vol.368「モーターサイクル・ダイアリーズ」★★★
2004.10.12(火)
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【1】STORY
若者二人が、南米大陸のバイクでの南北縦断に挑戦する。
オンボロバイクとヒッチハイクの果てに彼らが見たのは…。
【2】Michelin
恵比寿ガーデンシネマでの単館上映。とても混んでます。
【3】Review
いい旅物語なんだけど、意外性やインパクトには欠ける。
【4】Column
誰かを愛し、愛されることから、世界は変わりはじめる。
_____________________________________Diarios de motocicleta
「セントラル・ステーション」のウォルター・サレス監督の新作。
あれから6年ですか。久しぶりの日本での新作公開です。
この映画までにも、いろいろ撮っていたようなんですが…。
なんで日本ではやらなかったんでしょうねぇ。謎だ。
<オフィシャルサイト>
http://www.herald.co.jp/official/m_cycle_diaries/
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┃1┃ STORY (観ていないあなたへ)
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若者二人が、南米大陸のバイクでの南北縦断に挑戦する。
オンボロバイクに二人乗り、無一文ながら医者の肩書きを生かし、
何とか二人は食いつなぐが、やがてバイクは壊れヒッチハイクに。
その途中で、彼らは先住民たちの貧困を目の当たりにしていく。
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┃2┃ 上映館ミシュラン (観ていないあなたへ)
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恵比寿ガーデンシネマでの単館上映です。
平日3回目に行ったところ、満席になりました。
なかなか混んでいます。
朝1以外は、30分以上前は必須でしょう。
定員入替制だし、周囲には暇をつぶせる施設もあるので、
早めに来て一服するのも、いいレジャーになると思います。
ここはどの辺に座っても、それなりによく見えます。
あんまり前に行きすぎると、よくありませんが。
個人的には、入って後ろから5−6列目によく座ります。
▼恵比寿 恵比寿ガーデンシネマ 上映中
11:00/1:40/4:20/7:00〜終9:25
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┃3┃ Review (観ていないあなたへ)
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【ポイント】★★★
<内訳>
テーマ :★★★★
ストーリー :★★
キャスト :★★★
スタッフ :★★★
悪くはありません。
でも、取り立てて傑作、でもなかったな…。
期待がちょっと、大きすぎたかな?
お題がバイク旅行、ということで、
当然、バイクならではの苦労や楽しさが、
けっこう満ちあふれてるのかと思いきや、そうでもない。
それどころか、バイクは途中で壊れてしまいます。
ありゃ。バイクはあんまり物語の主軸じゃないのね…。
むしろ、バイクが壊れた後の後半部が、
この映画の主眼である、といってもいい。
徒歩とヒッチハイクを繰り返して北上する彼らが、
南米の街並み、インカの遺跡を見てまわりながら、
貧しい人々と触れあい、過酷な現実を目の当たりにする。
そして、医師の卵でもある二人が、
各地の医者たちと出逢い、ハンセン病の施設で、
患者たちと友好を深め、人生に大切なモノを見極める。
という3部構成になっているのが、この映画です。
かといって、主人公であるゲバラが、
この過程のなかで突然、革命に目覚めるでもない。
彼の中での変化は、もっと沸々とわき起こるもので、
何らかのドラマティックな要素をはらんではいない。
それは確かに、そのとおりだと思うんだけれども。
そうなっちゃうと、やっぱり若者たちの放浪記として、
どっかのTV番組の無賃放浪と同じように、
出逢いと別れを繰り返す旅物語の良さ、しか伝わらない。
難しいんだけれども、ゲバラ青年がつかんだものが、
いったい何だったのかを、もっと明示してもよかったのでは。
そしてそのために、相棒である年上の男が配されているはずで、
彼との意見の相違や、立場の違いをもっと争わせる、
というのが、ロードムービーのセオリーだった気がするんですが。
まあ、別にそんなカタルシスを呼び起こさなくても、
旅物語にはそれはそれとしての、良さがあるとは思いますが…。
「セントラル・ステーション」が良すぎるだけに、ね。
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┃4┃ Column (観おわったあなたへ)
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キーを回し、エンジンをかけたときのあの振動。
いざ、またがり、動き出していくときの浮揚感。
そしてスピードを上げ、全身に風を受けるときのあの感触。
バイクには、乗った者にしか味わえない感動がある。
安全・快適な四輪車とは、全く別のポリシーで造られた、
現代文明が誇る「鋼鉄の馬」は、ただのドライブさえ、
よりその土地や、大地と一体になる経験を与えてくれる。
もちろん、それは安全や便利さとは裏腹でもある。
この映画の彼らは、南米大陸を縦断しようとしている。
しかも二人乗りで。たくさんの荷物を積んで。
当時の道路事情も考えれば、かなり向こう見ずだったろう。
それでも、彼らにはバイクしかなかったのだから仕方ない。
悪路に阻まれ、牛に阻まれ、天気に阻まれようと、
彼らが頼れるものは、このバイクだけだった。
壊れれば何とか直そうとするが、それもなかなか一苦労。
やがて、いよいよそのバイクも失ってしまう時が来る。
頼れるマシンを失って、彼らは途端に心細くなる。
安全で快適な都会から抜け出してきた彼らは、
バイク旅行でさまざまな土地を駆け抜けてきたあげく、
いよいよ終いには、徒歩旅行となってその土地に溶け込んでいく。
知人もいない、カネもない彼らにとって、
異国の土地で頼れるのは、自分の身体と医学の知識、
そして何より、現地の人々の暖かいやさしさだけだ。
全てを失ってみれば、自分を愛してくれた家族のまなざし、
そしていま、目の前で助けてくれる人々のやさしさに、
この上なくヴィヴィッドに反応する自分に気づくのだろう。
それが放浪の旅であり、それは他人への感謝の旅でもある。
しかし、一方で彼らは気づいてしまう。
そんな彼らの優しさに対して、何一つできない自分たちに。
文明の繁栄に酔いしれて、貧しき人々の存在には、
まるで目を向けてこなかった事実に。
そしていまもまだ、多くの人々はそのことに気づいていない。
ハンセン病患者の施設でもまた、
彼らは患者がそこに「幽閉」されていることを思い知る。
手袋を通して扱われる彼らに、差別の視線を感じとる。
彼らも同じ、人間なんだ。
貧しい人も、病気の人も、同じ人間として愛するべきだ。
自分だって、彼らにどれだけ助けられてここまで来たことか。
主人公ゲバラは、人一倍、その感受性が強かったのだろう。
誰かに愛されていることを実感してきたこの旅で、
彼はいよいよ、虐げられている人々への愛を果たそうと誓う。
別に、偉い人の本を読んだからではない。
革命家の理論や、経済の論理に、気がついたからではない。
彼は誰かを愛し、愛されたいと思ったからこそ、
いつか、自分がこの世界を変えてやると、心に決めたのだ。
「これは決して偉業の物語ではない」。
革命もまた、彼にとっては決して偉業ではなかったはずだ。
それはただ、目の前にいる「誰か」に対して、
彼が彼なりの愛を、示そうとしたからに過ぎないのだから。
2004/10/14 恵比寿ガーデンシネマにて。
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┃5┃ 次回予告 ほか
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その他、筆者からのお知らせなどなど。
★次回予告「ピエロの赤い鼻」………………………………………
またフレンチコメディか、と思いますが内容はちょっと重い。
道化役として、笑わせることに喜びを見いだす父親に、
反抗する息子が、笑われている父親の第二次大戦における、
過酷な過去に気がついていく、ちょっと人情の物語、らしい。
で、次回もお楽しみに。次回は火曜。
http://www.wisepolicy.com/effroyables_jardins/
★今後の予定など………………………………………………………
来週のもう1本は「恋の門」http://www.koinomon.com/の予定。
松尾スズキの初監督作。松田龍平主演、オタクのラブコメ物語。
10/23-(再来週の予定)-----------------------------------
「2046」http://www.2046.jp/
いよいよウォン・カーウァイの新作が劇場公開!!!!
「シークレットウィンドウ」
http://www.sonypictures.jp/movies/secretwindow/
ジョニー・デップがスティーヴン・キング原作作品に主演。
10/30-(再々来週の予定)---------------------------------
「みんな誰かの愛しい人」http://www.gaga.ne.jp/dare-ai/
「ムッシュ・カステラの恋」の監督によるカンヌ脚本賞受賞作。
「春夏秋冬そして春」http://www.kimki-duk.jp/spring/
韓国映画の伝統を覆す奇才、キム・ギドク監督作品がまた劇場公開。
「隠し剣、鬼の爪」http://www.kakushiken.jp/
「たそがれ清兵衛」に続く、山田洋次の時代劇映画シリーズ2作目。
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これまでの映画タイトルが五十音順で並んでいます。
また、今後の掲載予定や筆者の近況なども、連載中。
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【映画のなかの人生、映画のような人生。】
Vol.368 2004年10月14日
発行者:Ak. espoir@lares.dti.ne.jp
(C)2001-2004 Ak. All rights reserved.
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