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映画のなかの人生…Vol.362「父、帰る」★★★
発行日: 2004/9/27━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
☆ ★ ☆ 映画のなかの人生、映画のような人生。 ★ ☆ ★
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【映画とは、人生を2時間で切りとるもの】
映画が魅せる、人間のやさしさ、弱さ、強さを、いっそう鮮烈に、
そしてもっと映画を観たくなる、ひと味違うメールマガジン。
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Vol.362「父、帰る」★★★ 2004.9.27(月)
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【1】STORY
12年ぶりに帰ってきた父。待望の父にごまをする兄。
不審に見つめる弟。3人の行方もしれぬ旅路の果て。
【2】Michelin
日比谷シャンテ、新宿武蔵野館での2館上映。
【3】Review
その結末には、もう少し説明があってもいいような…。
【4】Column
憎まれるのも、敬われるのも、父親の永遠の役割だ。
_________________________________________________The Return
昨年度のヴェネツィア映画祭グランプリに輝くこの映画。
いまではトンと聴かなくなったロシア映画、なんですね。
内容は「父、帰る」。失踪したはずの家族が戻ってくる、
って物語は、いろんな設定で他にも試みられていますが、さて。
<オフィシャルサイト>
http://chichi-kaeru.com/
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┃1┃ STORY (観ていないあなたへ)
┻━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
12年ぶりに帰ってきた父。息子二人を連れて、ドライブに出る。
兄は待望の父にゴマをするが、弟は父を素直に受け入れられない。
1泊旅行だったドライブは途中で変更され、行方も知らぬまま、
兄弟は父親の粗野な言動と命令に、次第に翻弄されていく…。
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┃2┃ 上映館ミシュラン (観ていないあなたへ)
┻━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
日比谷シャンテ、新宿武蔵野館での2館上映です。
まあ、人は入っていますが、座れないほどではありません。
日比谷の方が、格段にスクリーンが大きいはずですから、
日比谷シャンテの方をオススメします。
指定席の前後あたりに座っておけば、いいと思いますが、
ここは観客席側の傾斜がとても急なスクリーンですから、
ちょうど自分の足の位置に、前列の人の頭が来ます。
自分の前後の列には人がいないよう、気をつけた方がいいでしょう。
▼日比谷 シャンテ・シネ 上映中
10:35/1:10/3:45/6:20〜終8:30
▼新宿 新宿武蔵野館 上映中
11:50/2:10/4:30/6:50〜終8:55
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┃3┃ Review (観ていないあなたへ)
┻━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【ポイント】★★★
<内訳>
テーマ :★★★★
ストーリー :★★
キャスト :★★★★
スタッフ :★★★★
おとーさん!
見終わった後、叫びたくなるはずです。
何だったのよ、いったい!アンタは誰なの?と。
この映画は、ロードムービーです。
「父」であるハズの父親だが、全然父親らしくなく、
幼い兄弟二人を連れて、楽しい一泊旅行のハズが、
行方もしれない強行軍のドライブとなり…と、
次第にサスペンスフルになって、見る側も引き込まれる。
いったいこの男の正体は何だったのか?
二人の兄弟は、実は拉致されたのか?
本当の目的は、いったいどこにあるのだろう?
…分かりません。
結論をあえて述べておきます。分かりません。
この映画、何の種明かしもありません。
最後に、いちおう驚くべき事件が起きますが。
でも、真相は何一つとして、分からないんだな…。
だから「おとーさん!」と叫んでしまったのですが。
(もちろん、心のなかでですが)
ここまでサスペンス調に仕立てて、
「あとは自分で考えなさい」ってのはどうなんでしょう。
まあ、そういう目的なんでしょうが…うーむ。
ロシア映画ということですが、映像は斬新。
地平線や水平線など、くっきりとしたコントラストで、
スクリーンの背景を広く見せる映像美が際だちます。
被写体は、常に真ん中に置いて存在を大きくアピール。
その辺はフランソワ・オゾンに似てます。流行なのかな?
子役の二人のけなげな様子や葛藤も、
謎の男の、正体不明ぶりもなかなかの名演です。
全体として、とてもいい映画にまとまっていると思います。
それだけに、物語としても結末がとても気になる。
でも、分からない。考えるしかない。
出そうで出ないクシャミのような映画。
たぶんおおかたの人は狐につままれたような思いでしょう。
しかたがないので、結論は自分で出すしかありません。
筆者の意見を、以下に述べますからご参考までに…。
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┃4┃ Column (観おわったあなたへ)
┻━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
父親というのは、さまざまな役割を持っている。
父親は、息子を指導し、評価する役である。
息子は父親に憧れ、父親を見習い、評価を受ける。
「よくやった」と褒められれば嬉しい。
「何をやっているんだ」と怒られれば哀しい。
父親は、息子にとっての尊敬の対象である。
だから、この映画に出てくる兄は、
父親に刃向かわず、言うことをよく聴き、
教えられたことに従って、褒められようと願う。
何といっても、12年ぶりに現れた父親だ。
口うるさいだけの母親は、憧れの対象ではない。
クルマを運転し、カネも稼いでいる父親の存在は、
彼にとって、ずっと待ち望んでいたものであったのだ。
一方で父親は、息子にとってのライバルでもある。
息子は父親を乗り越えようとして、
父親を批判し、評価をはねのける。
子どもの危機を助けなかったり、要望に無関心だったり、
言動が粗野だったり、体罰を振るうような父親はダメだ。
弟は、ずっと自分を守ってくれる親を望んでいた。
彼にとって母親は、自分を包んでくれる理想の親だった。
それと同じものを求めていた彼は、「父」を憎む。
父は、泣いていてもかまってくれない。
助けてくれない。欲しいものを与えてくれない。
彼にとって父親は、最後まで批判の対象でありつづけ、
否定されるべき父親の姿として、敵意を浴びせ続けた。
時には尊敬され、時には批判される父親の姿。
この3人が旅をすると、父親が何をしても、
兄には敬意を払われ、弟には不満げに蔑視される。
父親という役割の、いかに難しいことか。
しかし、それでも彼らにとってはただ一人の、
文字どおり、かけがえのない父親でもあった。
どんなに敬おうと、どんなににらみつけようと。
だから再び、父親がいなくなれば、
その存在の大きさに気がつくはずだ。
そして振り返るはずだ。
人生という長い旅路のなかで、
ほんのわずかな旅程をともにした父親。
彼はいったい、僕たちに何を伝えたかったのか?
真実の箱は、人知れず海の底に沈んでいく。
父親が、いったいどんな仕事をしていたのか。
どんな過去を持ち、どんな願いを抱いていたのか。
いまとなっては、息子たちには知るよしもない。
そして父親は、彼らの心のなかで大きくなっていく。
ともに過ごした、いくつものシーンが蘇っていく。
やはり、父親は偉大だったと胸を張る時もあろう。
やはり、父親は尊大だったと歯ぎしりする時もあろう。
けれども、その父親はもういない。
見習うべき対象も、超えるべき存在も、
いまでは自らの心のなかに、訪ねてみるより他にない。
そしてそうして、父親というものは、
息子たちの人生を最後まで、見守り続けていくのだ。
2004/9/27 日比谷シャンテ・シネにて。
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┃5┃ 次回予告 ほか
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その他、筆者からのお知らせなどなど。
★次回予告「アイ、ロボット」………………………………………
ウィル・スミスは、とにかくSF系のアクション物に頻出。
いままでも「MIB」や「エネミー・オブ・アメリカ」など、
なぜか知らないけれども、最新兵器が登場するようなネタには、
いつも現れるんです。今回も全米では大ヒットだったそうですが…。
で、次回もお楽しみに。次回は木曜。
http://www.foxjapan.com/movies/irobot/
★今後の予定など………………………………………………………
今週の金曜は「モンスター」の予定。
シャーリズ・セロンが美貌をかなぐり捨てて増量し、
特殊メイクで、凶悪な殺人犯を演じてオスカーを獲得した話題作。
http://www.gaga.ne.jp/monster/
来週は、久々にやってきたフレンチコメディの
「世界でいちばん不運で幸せな私」、
一方でシリアスな刑事ドラマ「二重誘拐」、
ジャン・ジャック・アノーの「トゥー・ブラザーズ」、
といったあたりになる予定。
「世界でいちばん不運で幸せな私」
http://www.albatros-film.com/movie/sekai/index.html
「二重誘拐」
http://www.foxjapan.com/movies/clearing/
「トゥー・ブラザーズ」
http://www.herald.co.jp/official/two_brothers/
★連絡先は………………………………………………………………
【メールお待ちしてます!】
今回のメールマガジンはいかがでしたか?
ご意見、ご質問、ご感想などをお気軽にお寄せください♪
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※ なお、頂いたメールは本誌で紹介することがあります。
匿名希望の方は、その旨をお書き添えください。よろしくです。
【休刊情報やちょっとしたコメントなど…】
http://blog.melma.com/00033635/
上記のサイトからなら、かしこまったメールにすることなく、
一行だけでもコメントやリクエストを書き込めます。
また、筆者の近況や休刊情報もこちらです。適宜ご確認を。
【他の映画のバックナンバーを探したいな…】
ウェブサイト:http://www.lares.dti.ne.jp/~espoir/
上記のサイトをゼヒゼヒ!訪れてみてください。
これまでの映画タイトルが五十音順で並んでいます。
また、今後の掲載予定や筆者の近況なども、連載中。
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【映画のなかの人生、映画のような人生。】
Vol.362 2004年9月27日
発行者:Ak. espoir@lares.dti.ne.jp
(C)2001-2004 Ak. All rights reserved.
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