【映画とは、人生を2時間で切り取るものだ】。そんな視点からつづる、1000文字の映画コラム。いろんな映画をきっかけに、生き方について考えてみませんか。ありふれた日常のなかで、答えを探すあなたに、ぜひ。
- 最新号:2008-09-04
- 発行周期:火・金・(木)
- 読んでる人:522人
- 創刊日:2001-03-20
- Score!:96点
- コメント数 : 0
- メルマガID:33635
- バックナンバー:全て公開
- 発行者サイト:あり
- >> 月間ランキング
映画のなかの人生…「フェリクスとローラ」★★
発行日: 2001/11/21━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
☆ ★ ☆ 映画のなかの人生、映画のような人生。 ★ ☆ ★
★ ☆ ★ in Mail Magazine ☆ ★ ☆
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
_ ______________
Vol.42「フェリクスとローラ」★★ 2001.11.21(水)
 ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
【1】STORY
物憂げな女に、惹かれた三十男。
追いかければ追いかけるほどに突き放す、女の正体は…。
【2】Michelin
渋谷ル・シネマの単館上映です。
【3】Review
サスペンスめいているくせに、オチがない。
【4】Column
行き場を見失った愛は、服従にすり替わる。
______________________________________________Felix et Lola
「橋の上の娘」「サン・ピエールの生命」と、
まだまだ人々の「愛」に挑戦し続けるパトリス・ルコント。
その最新作は、かのシャルロット・ゲンズブールを起用し、
また再び、懸命に生きる女性の純粋さと、はかなさに挑戦する、
んじゃないかな?と思って見に行きました。
┳━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃1┃ STORY (観ていないあなたへ)
┻━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
移動遊園地の従業員であるフェリクスは、
30も過ぎて、浮いた話ひとつない。
そこへ現れた、さえない表情の女、ローラ。
その、遊園地とは異質な存在に惹かれ、
フェリクスは迷宮へと迷い込んでいく。
┳━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃2┃ 上映館ミシュラン (観ていないあなたへ)
┻━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
渋谷ル・シネマの単館上映作品です。
ルコントはルシネでやることが多いですね。
たぶんもう空いているころではないでしょうか。
前売券を持っていても、完全引替制なので、
劇場をいったん訪れて、受付を済ませてから、
どこかへ出かけ、時間になったら戻ってくる、
というのがオススメのパターンですね。
ま、何も出かけるところがなければ、
地下の美術館と、喫茶店でも時間をつぶせます。
でもこの季節になると、オープンカフェは寒いんだよね…。
▼渋谷 ル・シネマ 上映中
11:20/1:20/3:20/5:30/7:30〜終9:10
┳━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃3┃ Review (観おわったあなたへ)
┻━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【ポイント】★★
うーん。この映画。
サスペンスなんですよ。最初は。
明らかにサスペンスだと思って観てしまう。
ローラと名乗る女の正体が、明らかに怪しい。
怪しいから、当然観ている方も気になる。
そして、実際に怪しい行動もする。
その怪しさに惹かれ、フェリクスが深入りしてしまう、
そこがこの話のポイントであることは、わかる。
そして実際に、ありそうな話だということもわかる。
でも、それだけじゃ映画にならないのダ。
そこに、何か事件がないと。
そして、主人公たちが<変わら>ないと。
この映画には、中途半端な事件しかなく、
主人公たちは、最後まで変わりきれない。
となると、この映画は単なる日常の切り取りに過ぎない。
そこには、希望も、感動も、発見も見いだせない。
まして最初からあれだけサスペンスっぽく引っ張ったのに、
オチがこれだとは!
こうしてみるとルコントは、
けっこう一点勝負で映画をつくる人なんだと思う。
「これ!」と思ったアイディア1つで映画に挑む。
「橋の上の娘」…「愛とはナイフを投げること」。
これは当たった。大当たり。ボクも感動した。
「サンピエールの生命」…「愛とは行動で示すもの」
これはまあまあ。うーん。どうかな。
そしてこの作品。
「愛は、相手をつなぎとめるだけでは深まらない」
…それって、当たり前ジャン?!
そう。ルコントの1点は、当たりはずれが大きすぎる。
当たればスゴい。でも外れると、かなりキビしい。
そしてこれはきびしー作品なのだ。
シャルロットの華麗なる復活には、感動したんだが…。
┳━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃4┃ Column (観おわったあなたへ)
┻━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
誰かに愛されるということは、とてもつらいことだ。
誰かに愛される理由は、なかなか確かめられないからだ。
この映画のローラも、それを確かめられずにいる。
そして、懸命に確かめる方法を探す。
しかし彼女が見つけたその方法は、
あまりにも哀しいものだった。
たしかに物事の価値は、多くの場合、
失われたときに、初めてわかることが多い。
しかし、だからといって、愛する人を、
わざわざ失うようにしむけることは、
そもそも、「愛」の範疇から逸脱している。
常に危険に身をさらさなければならない愛。
そしてそれに応え続けなければならない男。
女は次々とシチュエイションを変え、
男に愛を証明し続けるよう迫る。
それはほとんど、服従に近い関係であり、
やがて関係は殺伐とし、逆に疑問が湧いてくる。
なぜ、こんなことをしているのか。
こんな関係は、そもそもが間違いではないのか、と。
そして、そんなことは彼女自身もわかっているのだ。
だから彼女の悩みは深い。
では、どうすれば、愛は確かめられるのか。
人は、愛される理由を見つけることができるのか。
この映画は、それ以上の答えは語らない。
しかし、私は思う。
愛される理由を探して、いったい何になるのだろう。
理由がわかれば、本当に安心できるのだろうか。
確実に愛されつづける、完全なる愛。
そんなものは果たして、成立するだろうか。
結局、愛されつづけるには、愛するしかないように思う。
たしかに、あなたが愛される理由はわからない。
ひょっとしたら、あなたが捧げる愛は、
何にも報われずに、終わるかもしれない。
誰にも気づかれないまま、埋もれるかもしれない。
しかし、誰かを愛さなければ、誰にも愛されないと思う。
だって、誰かを愛する人の姿は、どんな人でも美しいと思うから。
きっと相手も、あなたのそんな姿にひかれているのだ。
誰かを愛しつづけようとする、あなたの気持ち。
それをかたちに変えていく、あなたの強さ。
それこそが、いつか、あなた自身が、
あなたを愛する理由になることを願って…。
11/11 渋谷ル・シネマにて。
★次回予告「アメリ」…………………………………………………
「デリカテッセン」「ロスト・チルドレン」と、
グロテスクのなかに滑稽さも悲しさも詰め込んできた、
ジャン・ピエール・ジュネがスクリーンに帰ってくる!
え?その前に何か撮ったか?そんなのはもう忘れましょ。
この映画では、明るいモンマルトルの空の下、
主人公アメリが、「幸せになる」きっかけを求めて獅子奮迅!
楽しくって、哀しくって、とっても希望にあふれたお話です。
この冬、筆者いちばんの注目作なのでした。
で、次回もお楽しみに。
それと、ご質問、ご感想はお気軽に(^^)。
mailto:espoir@lares.dti.ne.jp
あと、このメルマガのサイトもみてねん。
http://www.lares.dti.ne.jp/~espoir/
バックナンバーや今後の掲載予定ほか、
筆者の経歴、近況なども分かります。ええ。
だからって、どうってわけじゃないですけど。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
【映画のなかの人生、映画のような人生。in Mail Magazine】
Vol.42 2001年11月21日
発行者:Ak. espoir@lares.dti.ne.jp
(C)2001 Ak. All rights reserved.
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
このメルマガを読んでいる人はこんなメルマガも読んでいます
- サッカー日本代表ネットワーク・メールマガジン
- 日本代表やJリーグを中心とした国内外のサッカー情報を 毎日お届けします。 WEB版日本代表ニュースを中心に編集します。
- ホントに面白い映画はコレだ! 今週の映画瓦版
- プロの映画批評家が編集発行する週刊メールマガジン。毎週公開される映画を独自の視点からランキング。充実したDVD情報も好評です!
- 週刊アカシックレコード
- 02年W杯サッカー韓国戦の「誤審」を世界で唯一「前日」に誌上予測し、誤審報道を「常識化」した推理作家(金正日の「遺書」で始まる「中朝戦争」後の北朝鮮...
- 宮崎正弘の国際ニュース・早読み
- 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析
- こんな映画は見ちゃいけない!
- 映画批評系メルマガで読者数No.1! プロの編集者が簡潔な文章と的確な表現で書き下ろす「1分で読める新作映画批評」です。映画紹介だけのメルマガにはな...
![メルマガスタンド[メルマ!]](/img/common/backnumber_article/melma_logo.gif)


