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【映画とは、人生を2時間で切り取るものだ】。そんな視点からつづる、1000文字の映画コラム。いろんな映画をきっかけに、生き方について考えてみませんか。ありふれた日常のなかで、答えを探すあなたに、ぜひ。

  • 最新号:2008-09-25
  • 発行周期:火・金・(木)
  • 読んでる人:482人
  • 創刊日:2001-03-20
  • Score!:96点
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映画のなかの人生…「千と千尋の神隠し」★★★

発行日: 2001/8/3

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 ☆ ★ ☆  映画のなかの人生、映画のような人生。 ★ ☆ ★
 ★ ☆ ★      in Mail Magazine       ☆ ★ ☆
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  Vol.26 千と千尋の神隠し★★★      2001.08.03(金)
 ̄                ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  【1】STORY
   ふとしたことから、異世界に迷い込んだ少女、千尋。
   そこでは生きることもつらい世界が、彼女を待ち受けていた。

  【2】Review
   宮崎アニメの集大成、というよりは、ごった煮。

  【3】Michelin
   間違いなく、DLPシネマ上映館を選択しましょう!
   これは日比谷スカラ座で観るべき映画なのです。

  【4】Column
   振りかえると、想い出すこと。

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ほんっとうに人が入っていますね。
今夏、いちばん売れている映画になってしまいました。
やっぱりそこは宮崎ブランド、ってヤツなのでしょうか。
一方で私はといえば、実に「魔女の宅急便」以来、
彼の映画をさっぱり観ていないのです!

久々に劇場で観た宮崎アニメ、そこは不思議の国でした…。。。


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┃1┃ STORY (観ていないあなたへ)
┻━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ふとしたことから、異世界に迷い込んだ家族。
ただ一人、正気を保った少女、千尋を待ち受けていたのは、
異世界のびっくりするような生き物たちばかり。

しかし彼女は、そのなかでも頼れる人に出逢い、
運命に導かれるようにして、この世界で生きる決意をするが…。


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┃2┃ Review (観ていないあなたへ)
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【ポイント】★★★
この映画は、きっと何だかよくわからない映画だと思います。
全体を通して、個々のシーンは何だかわかるような気もするし、
エンターテイメントとしては、笑いあり、涙あり、
対決あり、迫力ありで、いろんな要素てんこ盛りです。

でも、じゃあこの映画はいったい何なの?
と訊かれたら、あなたは答えられるでしょうか。
何がテーマだったの?共存?繁栄?自然保護?

きっと、答えは見つからないでしょう。
で、そういう映画なんだと思います。
かのコミック版「風の谷のナウシカ」に至っては、
終わるまでに何年もかかった宮崎さん。

彼はおそらく、(私にとっては恐るべきことなのですが)
「答えを考えないうちに、ストーリーを進めてしまう」
そんな人なのかもしれないな、とこの映画を観て思いました。
いいじゃん。楽しければ。こういうことがあったんだよ。
で、そのことに対して、いろいろオレは思うことがあるんだよ。
でも、どーしたらいいか、よくわからないんだよ。

そのことをして「深遠なテーマを…」とまあ、
よくも一般誌はつらつらと書き立てていると思いますが、
言ってしまえば、「何だかよくわからないけどいいジャン」
というのがこの映画なんだな。
答えはない。伝わらない。
でも「そうなんだよな」と思うこと多数。

「ま、いっか」これが現代の生き方で。
たしかに肩肘張って、答えを探しまくったナウシカより、
肩の力が抜けていて、その分楽しめることは間違いなし。
それでいいんだよ、と思って、楽しんできてください。
しゃちほこばったフルコースよりは、
ちょっと和風なごった煮が食べたい、アナタのための映画デス。


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┃3┃ 上映館ミシュラン (観ていないあなたへ)
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日比谷スカラ座でしょう、何といっても。
日本初のDLPシネマ、すなわちデジタルデータを、
そのまま映画館でスクリーンに映し出しているのです。

従来のフィルム版で多くの劇場が上映しているなか、
今回はスカラ座だけは別格だと思います。
(あんまし実感はできないかもしれませんが)
音も6.1チャンネルで楽しめるんだそうで、
スカラ座は指定席が2200円(休日は2500)。
ぜひ劇場の真ん中で、この映画は観てしまいましょう。
大変混雑しているので(指定もすぐ埋まります)、お早めに。


▼日比谷 
みゆき座 8/10(金)まで
(土日8:50)11:30/2:10/4:50/7:30〜終9:50 
日比谷スカラ座 上映中
8:20/11:00/1:40/4:20/7:00〜終9:20
※8/11(土)以降は2館での上映。
もう1館の上映時間は直接劇場へお問い合わせ下さい。
劇場変更の可能性あり。 

▼渋谷 
渋東シネタワー 上映中
8:00/10:45/1:30/4:15/7:00〜終9:20
※オールナイトについては直接劇場へお問い合わせ下さい。 
シネ フロント 上映中
7:30/10:15/1:00/3:45/6:30〜終8:50
※土曜レイトショーについては直接劇場へお問い合わせ下さい。 

▼歌舞伎町 
新宿東亜興行チェーン 上映中
9:30/11:50/2:20/4:50/7:20〜終9:35 
※〈金土オールナイト〉21:50/24:20/2:50〜終5:05 

▼新宿三丁目 
新宿ビレッジ 上映中
10:25/1:00/3:35/6:10〜終8:25(金土20:40〜終22:55) 
新宿文化シネマ 上映中
9:25/11:50/2:25/5:00/7:30〜終9:45 

▼池袋 
シネマサンシャイン 上映中
8:20/10:50/1:20/3:50/6:20/8:50〜終11:00 
※〈土曜オールナイト〉20:50/23:20/1:50〜終4:00 
池袋HUMAXシネマズ4 上映中
8:30/11:10/1:55/4:40/7:25〜終9:40(日〜金20:10〜終22:15)
※土曜オールナイトあり、上映時間は直接劇場へお問い合わせ下さい。 


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┃4┃ Column (観終わったあなたへ)
┻━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

目を閉じて、振りかえると、
人生にはいろいろなことがあった。

学校で友人と知り合った。仲が悪いヤツもいた。
イジメもあった。友情もあった。
世話になった先生がいた。気にくわない教師もいた。

中学からずっと水泳部で泳ぎ続けていたが、
さっぱりタイムが伸びずに、ぼろくそに言われたりもした。
かと思えば、最後の大会で優勝したりもした。
受験勉強してるうちに、視力を落として、
いまではすっかり眼鏡がないと生活できない。
合格発表の日は冷たい雨が降っていた。

それからは、勉強だけがすべてじゃなくなった。
社会に出る人はいろいろだなぁとも思った。
妙に熱い教授もいた。
おかしな元・社会人たちにも逢った。
そこには奇妙な幻想が渦巻きながらも、
懸命に自分らしさを追いかけている、
人々の姿があったのかもしれない。

けれども夢を追いかけるだけじゃ、
人は生きていけない。
入りたくもない会社に入った。
したくもない仕事もした。
逢いたくない人々もいたし、
逢うべきではなかった人もいた。

自己欺瞞に埋もれる人々の世界、
カネが睨みを利かし、それに誰もが踊るなか、
戸惑いながらも、働く自分の姿があった。

そんなこんなで。
見せかけの友情も、本当の信頼も、
楽しい想い出も、いやなエピソードも、
ものすごい努力の日々も、
その結果、つかみ取ったさまざまなことも、
何もかもごた混ぜになって、いまのボクがいる。

さて、それでは、このなかで、
いちばん大事なものは何だったのでしょう?

そういわれると、どうも何だかわからない。
けれども、きっと人生には始まりがあって、
忘れがたい「事件」があればこそ、いまの自分がいる。
何か、わからない、耐えがたい出来事のジレンマに対し、
答えを見つけようとしたそのときから、
初めてボクの人生は始まったのだ。

そして、最後にそれを想い出したときには、
きっとボクは、再び両親の元に帰るのだろう。
その日が来るときまで、ずっと自分は彷徨うのかもしれない。

とまあ、ボクが生きてきた四半世紀でさえ、
これだけいろいろなことがあったのだから、
半世紀以上を生きた宮崎駿の生涯には、
もっと多くの出来事があったに違いないのだ。

それでも、自分の名前を決して忘れず、
自分らしく、彼はこの世界を生き抜いた。
そしてようやく振り返ったときも、
彼はまるで子どものときのままで、
いままでの人生は、ほんの一瞬の夢にも思えたに違いない。

そうして人は人生を歩み、再び大地へと帰っていくのだ。
そう、それはまさに、不思議の国の想い出のように。
まさしく、この映画のなかの人生のように。


7/24 日比谷スカラ座にて。


★次回予告「猿の惑星」………………………………………………

「スリーピー・ホロウ」で鬼才の名を確立したティム・バートン。
アンドリュー・ケビン・ウォーカーの脚本を娯楽映画にする、
という無理難題を見事にクリアした彼が、次に挑んだのは、
「猿の惑星をリヴァイヴァルして、もっと面白くする」という、
よくもまあ、考えるなぁというさらなる難題であった。

そんなに彼に何もかも期待しなくても…と思うが、
でもやっぱりティム・バートンには期待してしまう。
前作を越える衝撃のラストは、果たして描かれるのか?

で、次回もお楽しみに。


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【映画のなかの人生、映画のような人生。in Mail Magazine】 
 Vol.26 2001年8月3日 発行者:Ak.

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ペンネーム : Ak.

  • 年間100本以上の映画を観ている作家のたまご。良い物語と、生き方を考えさせるテーマを求めて、今日も映画館に足を運びます。もう1000本以上も観ているんですけどね…。

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