トップ > エンターテイメント > 映画 > 映画のなかの人生、映画のような人生。

【映画とは、人生を2時間で切り取るものだ】。そんな視点からつづる、1000文字の映画コラム。いろんな映画をきっかけに、生き方について考えてみませんか。ありふれた日常のなかで、答えを探すあなたに、ぜひ。

  • 最新号:2008-09-04
  • 発行周期:火・金・(木)
  • 読んでる人:522人
  • 創刊日:2001-03-20
  • Score!:96点
  • コメント数 : 0
  • メルマガID:33635
  • バックナンバー:全て公開
  • 発行者サイト:あり
  • >> 月間ランキング



「あの頃ペニー・レイン

発行日: 2001/4/2

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ☆ ★ ☆  映画のなかの人生、映画のような人生。 ★ ☆ ★
 ★ ☆ ★      in Mail Magazine       ☆ ★ ☆
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
(すいません、金曜分ですが本日送ります…)

_        _____________________
  Vol.2 あの頃、ペニー・レインと★★★★   2001.04.02(月)
 ̄         ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

  【1】STORY
   若くしてロック批評家に成長していく主人公の成長記。
   バンドとの同行や切ない青春の想い出が散りばめられる。

  【2】Review
   自叙伝らしからぬ過程がいい。
   得てしてドロドロになりがちな展開を、
   微妙にそらしながら、小さな感動にスポットをあてる。

  【3】Column
   芸術を、語るということ。

次回は水曜:「花様年華」
___________________________________________________________

「あの頃ペニー・レインと("Almost Famous")」は今年のオスカー脚本賞。
話のスジを聴いても、予告を観てもいまいちパッとしなかったのですが、
ケイト・ハドソンの好演や脚本のよさなどの前評判だけ聴かされて、
まあ、いいものはいいのだろうと、何となく観に行ってしまいました。


┳━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃1┃ STORY 
┻━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ある天才少年が、幼くして姉からもらった、
たくさんのロックアルバムは、彼を音楽の世界へ導いた。
若くして批評家となった少年は、
ある中堅バンドのツアーに同行するなかで、
音楽の生まれる現場、人々の姿を目の当たりにする。
友だちの少なかった天才にとって、
それは初めてのヒューマンな体験の数々だった…。

<公開劇場ガイド>
筆者としてはやっぱ日比谷スカラ座かなぁ…。
でもこの映画は1ではなくて2なんですよね。(1は「スナッチ」)
2はいまいち(1も1でいまいちだけど)。
小さめのシネコンスクリーンだと思ってください。
でもできたばかりなので、きれいなのは確かです。
ここも席は若干後ろ目に。階段より前にいってはいけません。


┳━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃2┃ Review 
┻━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ロックミュージシャンやグルーピーの話になると、
どうしても話がどろどろしてしまいがち。
「ブギー・ナイツ」よろしく、ヤクの話とかあって、
人間関係がこじれたりとか、あまり気が進まない。

でもこの映画はそういうところはサバサバして、
「そういうモノだ」と割り切ったところがある。
たぶん、そのへんの善悪判断もあまりつかない少年が、
主人公として、比較的冷静&客観的に話を語るからだと思う。

この映画の論点は、このとってもクールな少年が、
ミュージシャンたちのどろどろとした世界や、
グルーピーたちの奔放、というか自堕落な生活、
そして厳しい母子家庭での圧迫、姉と母の不和、
最後に待ち受けている強烈な裏切りと再生、
といった経験を経て、「感情」を手に入れるところに、実はある。

だから本当は「ストーリー」で示したような、ロックンロールな話ではない。
でも話の展開からは、自然とそこに目がいってしまうので、
なんだか、ストーリー全体でみると、腑に落ちない気がしてしまう。
もっと論点を最初の方で、明確に見せたほうがよかったのでは?
姉の「いつか目を覚ますわ」という発言だけでは弱かった、と思う。

邦題はなおさら。
この映画は、実際には監督の自叙伝なんだそうだが、
むしろそんな「特別な想い」みたいなものを断ち切って、
妙にサバサバしてるところが、持ち味の映画。
「クールな人間→感情ある人間」がこの映画の主体なんだが。

ところが「あの頃、ペニー・レインと」というタイトルは明らかに回顧録。
ましてラブストーリーめいたりすらしていて、
感情がありありとしたタイトルである。これはどうみても失敗。
作品の意義をぶち壊すような邦題で、興行成績が上がると思ってんのかなぁ…。
単に邦訳して「名もなきスターダム」みたいなタイトルでいいと思うんだけど。
もう少し考えてほしかった。


┳━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃3┃ Column 
┻━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ボクが映画について、語るようになってから、まる2年にもなる。
長いような気もするし、短いような気もする。

書きはじめは、ひょんなところから起きるもので、
この少年も、大好きなロック雑誌の編集長から、
お声がかかったように、ISIZEのコラム担当者から、
話がきたのがきっかけだった。

1000文字。どうしようか、けっこう考えた。
何を、どう書いたらいいか、わからないからだ。
だから、この映画のなかで少年が、
「こんなにたくさん、書いたことがないよー!」と、
叫び、焦る気持ちはよくわかる。

それでも彼は、大手専門誌のトップを飾る。
音楽に染まり、仲間に交わるなかで、
いったい彼は何を得たのだろうか。

母子家庭で、愛情は過剰気味ながらも、
友情とは切り離されたところにいた少年。
だからロックバンドのツアーに同行しても、
酒乱、淫乱、波乱といった乱交の数々に、
びっくりするだけで、怒ったり、諫めたりすらしない。

たぶんそれは、どういうふうに、
人と接したらいいか、わからなかったからだ。
ところが、ずっとツアーをともにして、
ミュージシャン、グルーピーとかかわっていくうちに、
気がつき始める、大切なこと。人々の想い。

そしてただのロックファンだった少年が、
メロディの裏側にあるものを知った。
誰かに傷ついたり、傷つけられたりして、
そのことが、音楽に込められていく。

耳をすまさなければならないものは、メロディじゃない。
その後ろにある、人々の息づかいや心の動き、
哀しみ、怒り、葛藤、それらを感じ取ったとき、
初めて感動が、こころにこみ上げる。

そんな耳の傾け方を、言葉にしたとき、
そのテクストは初めて価値を持つ。
そして映画は、音楽は、あらゆる芸術は、新しい感動を生み出す。
見逃しがちな何かを、もう一度、届けてくれる。
だから、彼の記事は、トップを飾ったのだ。
そして、いつか私も。


★次回予告「花様年華」………………………………………………
ようやく、ようやく待ちに待った王家衛の新作がやってくる。
トニー・レオンの相手役に、今度はマギー・チャン。
間違いなく傑作の予感。水曜をお楽しみに!


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
【映画のなかの人生、映画のような人生。in Mail Magazine】 
 Vol.2 2001年4月2日 発行者:Ak.
 ○ご意見、ご感想など、お待ちいたしております。
   <espoir@lares.dti.ne.jp>
 ○PC版のサイトはこちらへどーぞ。
   <http://www.lares.dti.ne.jp/~espoir/
  Copyright (C)2000 Ak. All rights reserved.
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
このメルマガの読者になる
規約 
>> メルマ!の会報誌もお届けします

ブックマーク: はてなブックマークに追加del.icio.usに追加Buzzurlにブックマークニフティクリップに追加ライブドアクリップに追加Yahoo!ブックマークに登録My Yahoo!に追加Add to GoogleRSS

このメルマガを読んでいる人はこんなメルマガも読んでいます

サッカー日本代表ネットワーク・メールマガジン
日本代表やJリーグを中心とした国内外のサッカー情報を 毎日お届けします。 WEB版日本代表ニュースを中心に編集します。
ホントに面白い映画はコレだ! 今週の映画瓦版
プロの映画批評家が編集発行する週刊メールマガジン。毎週公開される映画を独自の視点からランキング。充実したDVD情報も好評です!
週刊アカシックレコード
02年W杯サッカー韓国戦の「誤審」を世界で唯一「前日」に誌上予測し、誤審報道を「常識化」した推理作家(金正日の「遺書」で始まる「中朝戦争」後の北朝鮮...
宮崎正弘の国際ニュース・早読み
 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析
こんな映画は見ちゃいけない! 
映画批評系メルマガで読者数No.1! プロの編集者が簡潔な文章と的確な表現で書き下ろす「1分で読める新作映画批評」です。映画紹介だけのメルマガにはな...


この記事へのコメント


コメントを書く
コメントはありません。

おすすめキャンペーン

三井住友銀行カードローン
金利 年6.0%〜12.0%。最高500万円までお借入可能。
最短30分審査、即日カード発行可能。
お申込はこちら⇒

発行者プロフィール

ペンネーム : Ak.

  • 年間100本以上の映画を観ている作家のたまご。良い物語と、生き方を考えさせるテーマを求めて、今日も映画館に足を運びます。もう1000本以上も観ているんですけどね…。

このメルマガの読者になる

規約に同意する



このメルマガの最近の記事


このメルマガの最近のコメント

最新のコメントはありません。

注目情報


新着記事トピックス