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「萬晩報」 080122 プロ野球の利敵行為、再び
発行日: 2008/1/22 プロ野球の利敵行為、再び
2008年01月22日(火)萬晩報通信員 成田 好三
MLBと日本のプロ野球は、明らかにライバル関係にある。
プロ野球からすれば、MLBはイチローや松井秀喜らスター選手を超高額年俸
で次々と引き抜くばかりか、シーズン中ほぼ連日中継するNHK・BSをはじめ
とするメディアへの大きな露出によって、プロ野球人気を奪い取る存在である。
MLBにしてみれば、優秀な選手を輩出するうえ、世界第2位の経済大国で、1
億2千万人の人口をもつ日本は、極めて魅力的なマーケットである。
ある社会的集団に所属する構成員が、彼の属する集団と敵対関係、あるいはラ
イバル関係にある他の集団を利する行為、利敵行為を行った場合、彼は彼の属す
る集団からどんな処置を受けるだろうか。大概の場合は、その集団を律する規定
によって彼の行為は非難され、彼は処罰される。彼の犯した行為が極めて悪質で
あると認定されれば、その集団からの「永久追放」処分さえ下されるだろう。
これが一般社会の常識である。しかし、プロ野球にはこの常識はまったく通用
しない。
プロ野球の盟主と自認する球団の実質的な親会社が、プロ野球の開幕に合わせ
て、MLBの前年度優勝球団とその対戦相手の球団を日本に招待して、MLBの
開幕戦を主催する。公式戦開幕時にMLB開幕戦をぶつけられるプロ野球の球団
が、興行的に大きな損失を被ることは明らである。これが利敵行為ではないとし
たら、利敵行為など他にありようもない。しかも、この利敵行為には、プロ野球
を統括する団体が主催者に名を連ねている。
MLBの日本開幕戦は、以下の日程、カードで、いずれも東京ドームで開催れ
る。
前年度にワールドシリーズを制した、松坂大輔と岡島秀樹の日本人選手を擁す
るレッドソックス(ボストン)とアスレチックス(オークランド)とのアメリカ
ン・リーグ開幕2連戦は、3月25、26日に開催される。これに先立つ22、2
3日には、セ・リーグの巨人、阪神の2球団とレッドソックス、アスレチックス
とのオープン戦4試合がやはり東京ドームで組まれている。
MLB開幕2連戦と巨人、阪神とのオープン戦4試合を主催するのは以下の4
団体である。
MLB、MLB選手会、(社)日本野球機構、読売新聞社である。日本野球機
構はプロ野球を統括する団体である。プロ野球の利益を守るべき最大の当事者で
ある。読売新聞社は、組織的にはグループ本社の下に並列にぶらさがる形態には
なっているが、実質的には巨人軍の親会社である。
巨人軍や阪神が所属するセ・リーグの開幕は3月28日である。
だから、セ・リーグの開幕戦はMLBの日本開幕戦によっては、興行的には直
接の影響は受けない。しかし、日本野球機構が統括するもうひとつの組織である
パ・リーグは3月20日に開幕している。巨人、阪神がMLBの2球団とオープ
ン戦を行う22、23日も、MLB開幕戦を行う25、26日も、パ・リーグは
公式戦を開催する。
MLB開幕2連戦、その前のオープン戦もTVで全国生中継されることは間違
いない。それに対して、パ・リーグの公式戦は全国中継の機会を奪われることに
なる。「MLB 日本上陸」とメディアが大々的に報じるなかで、パ・リーグの
6球団は注目度が極端に低下したなかで、「地方興行」を強いられることになる。
巨人と実質的な親会社である読売新聞社は、こうしたあからさまな利敵行為を
どう釈明するのだろうか。その片棒を担いだ阪神はどう説明するのだろうか。我
々が所属するリーグはセ・リーグだから、パ・リーグの損害など関係ないとで
も言うのだろうか。
日本野球機構はどう弁解するのだろうか。自らが統括する組織に対する利敵行
為、もっと言えば営業妨害的行為に自らが加担するという批判に、どう答えるつ
もりなのか。しかし、彼らはそんな弁解を強いられることはない。プロ野球界や
それをチェック、批判すべき立場にあるメディア界からは、批判的な発言、行動、
記事、論評とも伝わってこない。
MLBの日本開幕戦は今回が始めてではない。
2004年にも、やはり同じ主催者によってヤンキース(ニューヨーク)とデ
ビルレイズ(現レイズ、タンパベイ)との開幕2連戦が、今回の同様に日程、会
場で開催されている。この年は球界再編騒動が起きた年である。巨人がプロ野球
界で圧倒的な存在感と地位を占めていた時期である。だから、前回はプロ野球界
も主要メディアも利敵行為に「沈黙」を強いられたことは、それなりには理解で
きる。
今回は再編騒動の後のことである。プロ野球人気のかげりがあからさまに表れ、
TVの全国中継が大幅に削減されるシーズンである。しかし、プロ野球界からも、
TVや新聞など主要メディア界からも、MLB日本開幕戦に対する批判がまった
く伝わってこない。
プロ野球界とメディア界の対応は前回とまったく同じである。ただ、「口を閉
ざしている」だけである。社会常識からいって、極めてまっとうな意見や批判さ
え口に出来ない社会は衰退する道しか残されてはいない。
(2008年1月20日記)
成田さんにメールは mailto:narinari_yoshi@yahoo.co.jp
スポーツコラム・オフサイド http://blogs.yahoo.co.jp/columnoffside
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