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蔵元日記(パストライザー)
発行日: 2003/6/19◇■■■■ 蔵 元 日 記 ■■■■
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■ 旭酒造株式会社 http://asahishuzo.ne.jp/
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■このメールに関するご意見ご感想は→ webmaster@asahishuzo.ne.jp
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■ 2003年6月19日 vol.067
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目 次
◆ 蔵元日記(パストライザー)
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▼蔵元日記(パストライザー)
やっと瓶詰設備の入れ替えが終了し、新設備が稼動し始めました。連絡ミ
スによる工事の遅れなどがあり、一ヶ月の瓶詰休止になってしまい、最も
沢山出荷している主力商品の獺祭50を一週間切らしてしまうという情け
ないご迷惑をかけました。
これも本当は何とか間に合うはずだったんですが、瓶詰後製品が落ち着く
までの期間を計算に入れてなかったもので間に合わなくなってしまいまし
た。(火当て後一週間程度おいておかないと本来の香りが出にくいんで
す。このタイミングを間違えて鑑評会に出品して思ったほど香りがたたず
金賞落ちしたという話もあります)
こんなご迷惑をかけたんですが、特有の高周波音(最初びっくりしましたが
すぐなれました)と共に稼動し始めた二台のパストライザーを中心とする設
備こそ旭酒造のこれから十年の品質管理の一翼を担うものです。お許しく
ださい。
この設備の主たる導入目的はサニタリー性の向上です。案外、醸造産業は
この辺りに鈍感で、ワインの販売で第一人者といわれるある流通業のバイ
ヤーの方も、取り扱っていたワインにハエが入っていたことをフランスの
ワインメーカーに伝えたところ、「そのお客様は当たりでしたね」という返
事が返ってきて唖然としたと言う話をしていました。
しかしフランス人ならともかく潔癖なことにおいては世界に冠たる日本の
お客様を主たる相手とするわけですから、このあたりが「小さな酒蔵が一
生懸命造っています。美味しいんですからそれ以外のことは勘弁してくだ
さい」では通用しない私たちの課題と思っていました。建物から造ってい
たんでは2〜3年先になってしまうから、できることからやろうと設備の
一新から始めたんです。そりゃね、SARS感染者用の病室として有名になっ
た陰圧室の反対に外気の入ってこない陽圧室にしてクリーンルーム化す
る、そこにゆったり瓶詰設備を配置する。ついでに酒蔵の方も木造蔵のま
まで機密性を高めて外気を完全に遮断する。夢は果てしないんですが、お
金という問題がなきゃね。それと都合の良い言い分けを言うとそんなに長
期間製造を連続して止められないという問題もあります。
従来の瓶詰場に無理やり入れた設備は設備メーカーの技術者をして「これ
はユーザーからのレイアウト指定に沿って設計したから収まったんで、自
分たちが設計してたらここに収まらなかったし、第一最初からここにこれ
だけの機材を配置しようという発想そのものがでなかった」とお褒めとも
なんともつかない言葉も頂きました。
具体的には約100平方メートルの瓶詰め場に以下の機材を持ち込んでい
ます。洗瓶機・充填機・パストライザー(熱殺菌用)・打栓機・瓶回転機(瓶
内温度の上下均一化)・パストライザー(冷却用)・ラベラーです。このライ
ンに以前と同じ総勢6人かかって瓶詰をします。「えぇ」って思う人もい
ると思います。通常こういう設備を入れるときは、「以前は6人かかった
瓶詰をこの設備を入れることにより3人で瓶詰できるようになりました」
と説明できるような設備の導入をするはずですから。
私もこんな設備を途中では考えました。洗瓶機・窒素吹込み式自動充填
機・打栓機・パストライザー(熱殺菌冷却連続式)・ラベラーです。これだ
と瓶詰めは3人。設備費も3割は安くなります。だけど、どうしても飽和
状態まで溶け込ました窒素が酒から離れる時に微妙に酒の香りを変える事
が気になったんです。最終ここで品質を劣化させたらここまでの努力が水
の泡ですから、こんな複雑な設備を設置したんです。また、ここで香りが
変化することを想定して仕込みの段階でより香りのある方向に仕込みをす
ればという意見もあります。技術という面から見ればもっともな意見で
す。これも抵抗がありました。仕込みというか醗酵の段階で最高の品質を
目指して造った酒をそのままなるべくバランスを崩さずお客様にお届けす
るのが私どもの仕事と考えるからです。
こんな設備が何とか動き始めました。
(余談その一)
この機材の入れ替えで色々ご意見を頂いているうちに、瓶詰場の建物も何
とか最小限裏山を削れば建て替えられそうだと専門家からご意見を頂きま
した。(裏山を削ることによる地下水の変化が怖いものですから逡巡してい
ました)瓶詰場が建て替えられれば現在木造蔵を侵食している資材置き場を
そちらへ持っていけますから、麹室が広げられます。旭酒造の弱みは狭い
麹室なんです。とはいえ現在でも同規模の酒蔵と比べたら広い麹室です
が、全量大吟麹と同じつくりで麹を作る「単純化による技量の高度化」(カ
ラオケのレパートリーが一曲状態と称しています)を酒造りの「肝」とする
旭酒造にとっては少し狭いんです。贅沢を言えば4倍の広さが欲しい。そ
の理想どおりの麹室が手に入りそうなんです。
と、言うことで三年計画でそちらも始まりました。
(余談その二)
ワインの異物混入でもそうですが、この辺り、こと本質に関係無い商品と
しての欠点には欧米人は鈍感で、充填したビールの液面の一定しないアメ
リカ製の瓶詰機にごうを煮やしたある地ビールメーカーが機械メーカーに
文句をつけたところ、「おまえは何でそんなことを気にするんだ。330ml
以上入っていれば問題無いじゃないか。そんなに気になるならビンの首の
ところに液面が隠れるようにシールを貼れ」と、言われたという実例もあり
ます。
一本でも不良品があったら当該ロットの全商品の回収が当たり前などとい
う昨今の大メーカーの対応を見ても、国際的にいえば少し日本人が不必要
なところまで神経質すぎるかなという気もしています。なぜならこのコス
トは結局お客様が最終的に負担することになるんですから。とはいえこん
な問題起こらないことが最良ですから、設備に血道をあげるんです。25
万キロ走破の天井の剥げたホンダに乗りながら。
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『まぐまぐ( http://www.mag2.com/ )』(ID 000023022)、
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◆発行 山口県玖珂郡周東町獺越2167-4
◆発行人 桜井 博志
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