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蔵元日記(ランナーズハイ)

発行日: 2003/4/3

◇■■■■        蔵 元 日 記         ■■■■

■ 旭酒造株式会社  http://asahishuzo.ne.jp/

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■          2003年4月3日 vol.064


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  目  次

 ◆ 蔵元日記(ランナーズハイ)

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▼蔵元日記(ランナーズハイ)

酒は麹の持つ酵素作用がお米を溶かしてブドウ糖を造り、そのブドウ糖に
酵母が取り付いてアルコールと二酸化炭素に分解するという二つの作用の
結果お酒になります。そうするとそのブドウ糖を最適な量だけ適当なタイ
ミングに合わせて酵母に提供してやる役割は麹が担うわけです。特に最近
の吟醸造りのようにもろみ日数が30日をはるかに越えて35日とか40
日になってくると、麹はこの長期間の醗酵期間中ずっとブドウ糖を適当に
小出しすることにより酵母を半飢餓状態でしかもバランスを崩さず元気な
酵母である状態を維持させ続けるという大変な役割を担っております。
その大変な役割を担う麹の育成は酒造りの技術の中で最も重要で「酒造技
術の華」と言える部分です。

よく酒蔵の作業を映した写真などの中に蔵人が上半身裸で米に手を入れて
いる姿が映されていると思いますがあれです。(もっとも今のうちの連中は
やっぱり時代が違いますからTシャツを着て作業していますけどね。誰が見
るわけでもないんですが)

旭酒造の麹は全て鑑評会の出品酒クラスの酒と同じ、自動車レースでいえ
ば最高峰のF1的な理想経過をたどらせようとするところに特徴がありま
す。つまり造る酒のランク等によって麹の製造工程上の差をつけないんで
す。(立派そうに話していますが、本当は経験不足の若い社員ばかりなん
で今回のこの麹は価格の安い酒だから手抜きしても良いからなんてできな
いんです。毎回全速力で走らせるしかないんです。ただそれだけのことな
んですが。もっとも、それだけに成長も早いと思っています。)

ということは酒造りに詳しい方はご存知のとおり、必ず深夜の作業が毎回
発生します。ここで担当者の緊張の糸が切れると一巻の終わりなんで三人
の担当者がローテーションを組んで交代で深夜の作業をする様にしていま
す。

この三人の中に私も入っております。(私自身は週に一回ぐらい休肝日が
あった方が良いという不純な動機も大いにあるんですが)

で、その深夜の作業が終わる時間なんですが、これが朝7時程度までかか
るとさすがにもうすぐ会社も始まりますから、そのまま朝の支度というか
日常の繁忙に突入してしまいます。

ところが5時前に終わってしまうと、中途半端な時間ですから仮眠をとる
かどうするかと言うことになります。

ここで自身の精神状態に直面するんです。これが異様な興奮状態にあるん
ですね。何でもできるんじゃないかと自分自身が思える。で、こういう状
態の時、酒屋はどういうわけか酒が飲みたくなるんです。何時かこれだけ
高揚している気分を壊すことないと思ってわが蔵のビールを一本飲んでみ
たことが有りました。(何せ旭酒造はビールメーカーでもありますからね、
オッターフェストビール!!)

深夜から早朝に変わる頃のビールというのはうまいんです。細胞が活性化
し始めるときでもありますから、早く酔うのも酔うんですが、その分、新
鮮な細胞の中にアルコールがジュンと浸透していくような感じがしてそ
りゃうまいんです。

その結果はご想像のとおり軽度の二日酔いと言うか、飲むときのあの昂揚
感はなんだったんだろうと言う午前中を経験しました。

話が横にそれておりますが、ここでお話したいのはその麹作業がすんだ後
の昂揚感です。

室温36度以上の部屋で作業をしてたっぷり汗もかいてそれと共に体内の
余分な脂肪も燃やして、体内が活性化されている、その結果人間の原始的
な生理作用として起きるんじゃないかと思えるんです。(原始が呼んでい
る?!)昔、ジョギングをしていた頃感じた昂揚感とそっくりなんです。
(ジョギングに使う事に許される時間は早朝しかないし、当時は今のように
社員が造るんじゃなしに杜氏制度のもと蔵人が酒造りに来ていましたか
ら、早朝から作業している彼らの手前優雅にジョギングしていることがは
ばかられて三日坊主でしたが)

つまり言うところの「ランナーズハイ」なんですね。しかも昔のように蔵
人の手前と言う罪悪感も無しの、反対に仕事をした達成感付きの。しかも
休肝日付き。こりゃあ気分がいいですよ。

すいません仕事で遊んでいて。だけど面白いんですよ、酒を造るという事
は。一生足は洗えないですね。




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『まぐまぐ( http://www.mag2.com/ )』(ID 000023022)、
を利用しています。

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 ◆発行    山口県玖珂郡周東町獺越2167-4
 ◆発行人   桜井 博志
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