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続・新米女将のひとり言/明日へのあゆみ

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続・新米女将のひとり言/明日へのあゆみ

発行日: 2005/5/1

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     ■       「続・新米女将のひとり言/明日へのあゆみ」
■■■■■■■■■■  
■  ■  ■■■■ ■  新米から一人前へ向かって歩み始めた女将が綴る
  ■   ■     つれづれ日記。
 ■  ■■■■■   経営の悩み、お客様への思い、社員や家族達との
■ ■ ■   ■      かかわり等など。 
  ■ ■■■■■   日本初の旅館の女将によるメ−ルマガジンです。
  ■ ■   ■
  ■ ■■■■■   http://www.monya.co.jp 2005.5.1発行 第142号
                           
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◇ ほっとできるもの ◇

私が紋屋に嫁に来たときは、殆ど皆無に近かったお馴染み様も、お蔭様で直接
のお客様だけでも、10パーセントを超えるようになりました。エージェント
経由でも、何度も利用くださるお客様を含めれば、もっとパーセンテージがあ
がるでしょう。

最近は、小さいお子様連れが多くなって尚のこと、リピーターが早いサイクル
でお越しになるようになりました。とてもありがたいことです。

何時もご夫婦でいらしていて、なにやらエピソードがあり、アンケートを残し
ていかれると、こちらも覚えやすいです。回数が増えるたびに、親しみがわき
ますし、お客様のほうでも、売店の○○さんとか、客室係の誰々さんと名指し
でお褒め頂くこともあります。

また、はじめは単純に料理が美味しいとか、子連れに優しいからとお越しいた
だき、人間対人間の特別な心の交流が無くても、段々にお客様が紋屋自体やお
もてなし、従業員を覚えてくださり、いろんな世間話に花を咲かせられるよう
になることが出てきます。お客様のほうから「おかみさん」と話し掛けてくだ
さり、いろいろなコミュニケーションを交わせるようになります。

単なる普通のお客様から、再度来館のお客様、再々度のお客様へと昇格し、そ
してお馴染み様へと移行していきます。もちろん中には、何度いらしても誰と
も必要最低限のことしか話さず、心を開いていただけないお客様もいらっしゃ
います。こちらも人間なので、やはり親しくお話ししていただけるお客様のほ
うが、尚嬉しいという気持ちはします。

私が、ご不便が無いかどうかお部屋へ伺っても、「何しにきたの?」というリ
ラクションだった方が、「こんにちは、又来ました!」とニコニコしてくださ
るようになると、やっとお馴染み様になってくださったのですから、内心「や
ったね!」と、嬉しくなります。


今のお馴染み様の中にも、私にどんな息子がいて、どんな趣味があるとか、昨
年秋は何所へ旅行したかなどを知って覚えていてくださるお客様もあります。
紋屋の従業員の誰々さんは、私のお友達、今日はいなかった。また他のお馴染
み様も、今日は何時もいるフロントのお姉さんがいなかった、フロントの優し
い人もいなかった。と寂しがってくださる。皆さんそれぞれの紋屋の従業員に
会うのを楽しみにして下さる。

私も、一度いらしただけでお互いに意気投合して、それ以来メール友達的なお
客様もあり、そのような心のふれあいのある状態こそ、お馴染み様だと思うの
です。

やはりはじめは普通のお客様だったのが、何回かお越しになるにつれ、そのお
客さまが私を宿屋に嫁いだ娘のようにかわいがってくださるようになったお客
様もあります。私もそのお客様がいらっしゃると、お越しになるまでの間に起
きた事件や家族の話しなど、長々とお話しします。本当にお目にかかるのを首
を長くして待っているお客様なのです。

そのようなお客さまは皆さん、紋屋が忙しいと「今日はいっぱいね。良かった
わね。」と自分のことのように喜んでくださいます。何か特別な日は紋屋、と
決めてくださっていて、全国にたくさんある宿屋の中から、施設の豪華さでは
なく、人のぬくもりのようなものを求めてお越しいただいています。

このような紋屋への親近感が、私や社長だけでなく、従業員のみんなにまで波
及しているところが、紋屋の強みです。本来は、それでこそ接客業を選んでい
る意味があります。


先日、ホームページで私やarujiのこだわりと思い入れをご覧になって、高級
な宿屋のようなおもてなしを期待していらした方がありました。その方がおっ
しゃっていることは、もちろんその通りと思えることでした。

料理は、温かいものはきちんと温かく出す。大きな運びで客の前に持ってこな
いで、お盆で出す。お客の様子を見て、ご飯を持ってくる時間を推し量るよう
に。もっといい器にする。などなど。しかし、施設上や経営上出来ない事が多
く、私も本来はそのお客様がおっしゃるようなおもてなしをやりたいので、非
常に残念です。

バリ島の高級リゾートホテルのように多くの従業員がいて、それとなくお客様
を見守っている。お客様が何も言わなくとも、欲しいものがやって来る。そん
なおもてなしは確かに理想です。もっと優雅に心の余裕のある接遇を、少しづ
つでも心掛けていきたいと思います。

お越しになる皆様に心に残るちょっとしたメッセージをお届けできる宿屋であ
りたい。それを出来る宿屋は、たぶん高級宿であってもそう多くないはずだと
思います。おなじみ様の中には、紋屋に一歩入ったとたんに、「条件反射で癒
されてしまう。一年に一度、紋屋にくる事が自分へのご褒美」とおっしゃって
下さるお客様もあります。なにか魔法にかかったように、紋屋のファンになっ
て下さるお客様は、きっと出来る範囲でこつこつとやっているもてなしの積み
上げに、気付いて下さるからなのだと思います。


先日のお客様は、「ここも建てなおしたらまた来るよ。」とおっしゃっていま
した。建てなおせないので、多分もういらっしゃらないと思いますが、期待に
添えないおもてなしだったにもかかわらず、建てなおしたらとおっしゃって下
さったのは、少しは何かを感じて下さったからなのかなと私は思っています。

当たり前かもしれませんが、温かさとか優しさ、アットホームな雰囲気とそれ
でいて気持ちのいい接待。できる範囲での精いっぱいさ。お客様の気持ちに懸
命に近づく気持ちのようなもの。お客さまがほっとできるようなおもてなしを
ご提供できたら、きっとそれだけでも紋屋の財産です。

今現在紋屋のありがたいお馴染み様は、なんとなく漂っている紋屋の空気をさ
りげなくご理解いただいている方々です。これからも、そうした何やらほっと
できるものをお届けできる旅館でありつづけたいと思います。


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

◆宿屋の雑学◆

さしみ/その4

切り身なのに「さしみ」という語源は、鎌倉・室町などの武家社会で「切る」
という言葉を嫌ったためで、関西で「お造り」というのも同じ理由といわれま
す。他にも、切り身に何という魚なのか解るように、魚のヒレを一緒に刺して
添える風習(式三献)が出来た時に「刺身:さしみ」と言う言葉が誕生したと
いう説や、お客が指差したから「指し身」という説もあります。(by aruji)


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≪次回予定≫
次号は、2005年5月15日に届けする予定です  
               
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e-mailエッセー「続・新米女将のひとり言/明日へのあゆみ」(隔週日曜発行)
           著  者:高尾葉子  okami@monya.co.jp
          発 行 者:高尾憲資  aruji@monya.co.jp
          発 行 所:季粋の宿 紋 屋  otazune@monya.co.jp
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◆素顔の女将◆

家内と車で出かけた折り、ライトを点けたまま走ってきた対向車を見た家内は、
「トンネルのまま点けてる!」と叫う。私が“せかちゅう”と言うと、「ちゃ
んと“世界の中心で愛を叫ぶ”と言いなさい」とたしなめるのだから、あなた
も『トンネルでライトを点けたまま消さずに走ってる!』と言いましょう。
(by aruji)

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