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続・新米女将のひとり言/明日へのあゆみ
発行日: 2001/12/16
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■ 「続・新米女将のひとり言/明日へのあゆみ」
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■ ■ ■■■■ ■ 新米から一人前へ向かって歩み始めた女将が綴る
■ ■ つれづれ日記。
■ ■■■■■ 経営の悩み、お客様への思い、社員や家族達との
■ ■ ■ ■ かかわり等など。
■ ■■■■■ 日本初の旅館の女将によるメ−ルマガジンです。
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■ ■■■■■ http://www.monya.co.jp 2001.12.16発行 第57号
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◇ 育ち行く従業員 ◇
今年になって新しい人材が急に増えました。今迄にもちょこちょこ入っては来
ていましたが、たいがいは時々手伝いにくる程度の就業時間で、紋屋の根幹に
なるような働きをする人は、きまって古くからのベテラン達でした。
うちのベテラン達は人それぞれではあるものの、みんなアットホームな田舎の
おばちゃん達でして(おばちゃんは失礼かもですが、、、)マニュアル的でな
い温かさがうけていました。みんなベテランで安心出来る。アルバイトの女の
子みたいな人が居ないところが良いとまで言われていました。そこへ新しい若
い人材が入ってきて、みんなとうちとけるかしら?とかお客様うけはどうかし
ら?と心配したりしました。
ところがまるで手を返したように、最近のお褒めは新人達へのひたむきさに集
中しています。今年25歳になるフロントマンは子供受けが良く、(フロントの
お兄ちゃん)とやんややんやの人気振りです。お子様達がゲームを借りに来た
時に簡単なマジックをしてあげたりして、ほかの人ではお子様の満足に至らな
い様子です(笑)。はじめは内務係り(布団敷きや掃除・皿洗いなどの仕事)
からしてもらったのですが、以前、まだ内務さんが来ない時間に布団を敷いて
欲しいとおっしゃるお客様がいらした時、お部屋にご案内したついでに布団を
敷いて差し上げ、お客様から「あのお兄ちゃんはいい子だったね。」とチップ
をお預かりしたこともございました。なかなか布団敷きをしてチップを頂ける
人は居ないと思います。
また、ごく最近入社した女盛りの彼女も、意識しなくても一生懸命さが出るの
で、ひたむきな姿や誠意が伝わってきて非常に評判が良いのです。客室係をし
たとき以外で、売店に立った時でさえお客様から一緒に映した写真が届いたり
します。それはすごいことだと感心し、本当に良い人材に恵まれたと心から嬉
しさで一杯な気持ちになり本人にも誉めてあげました。彼女はお花も大変良い
センスなので、褒めちぎってお花係にしました。私も鬱病以来余り花活けをす
る時間が取れないのと、母も花活けをするとそれだけで疲れてしまう様子です。
そのため段々花が粗雑になり「花が枯れていた。枯れている花を飾るくらいな
ら飾らない方が良い。」というお声まで出て私も困っていたところでした。彼
女が来てくれてから、何処を見ても満足が行く可愛い花にあふれていて、私が
やっていた時よりずっと満足しています。今でも時々彼女が休みの時にお花を
活けますが、毎日していた時よりとても新鮮な気持ちで取り組めるようにも思
いました。何しろ他の仕事も多いので大助かりです。本当にありがとう!
今春入社した彼女は、私の息子と同い年ということで、社会人として教育する
ことに少々苦労しました。まだまだ社会人としては一人前にはなりきっていま
せん。しかし、持ち前の独特のジョークがお客様の前でも出るほど最近は客室
係にも慣れて、彼女の熱烈なファンが出来るようになってきました。なかなか
やるじゃないの!猫舌のお客様がいらした時、(あーこの方は猫舌なんだなあ)
と気付いてあげて、朝食の時、よけいにひとつ覚まし用のお茶碗を置いてあげ
たのだそうです。(それは、お客様から教えていただいたのです。)そうした
なにげないやさしさこそ本物の心遣いです。そのことを知らない他の従業員が
間違えてひとつ多く出したのだと勝手に思い込んでかたづけてしまい、お客様
はがっかりなさったそうです。せっかくのやさしさも皆に知らされていないと
生きてこないと思います。
接客の仕事の楽しさは自分指名の顧客様が出来てくることにあります。もちろ
んそれは大切なことです。しかし、個人では限界があります。一人だけが素晴
らしいのではなく、みんながそれぞれの個性でしかもいろんなスキルを公開し
合い、質の高いおもてなしが出来ることが理想です。チップを頂いたからと後
になって何か返すのも、悪いことではないかもしれませんが、チップは、お世
話になるからとお客様が気持ちで下さるものなのですから、必ず何かをわざわ
ざ買って返さなければならないものではありませんし、返す人と返さない人が
居るのは、紋屋としては余り喜べない状況です。そうした物と物との関わりで
はなく、心と心の関わりであって欲しい、「こうすれば自分のファンになるだ
ろう」と予測してするものではなく、喜んで頂きたい一心でおもてなしをする
ものであって欲しい。私はそう念じています。チップは、必ず必要なものでは
ありません。あってもなくても一生懸命、心を削っておもてなしに努めて欲し
いのです。
新人の健闘振りも嬉しいですが、少々手厳しいお客様などは、やはりベテラン
で非常に細かいことにまで気がつくルーム長がピカイチです。たまたま小グル
ープさんが多かった日に、カラオケして大騒ぎのお客様のお隣が、静かな家族
連れだったことがあります。話をしたくても聞こえない、と御主人がむっとし
ていると聞いたので、早速私は謝りに行きました。御主人以外の方は怒っては
いらっしゃらないのですが、もう御主人は何を申し上げても聞き入れて頂けな
いご様子でした。一つ大きめの部屋がフリーのお客様が入らずにに空いていた
のを思い出し、もうお料理が出されてしまっていましたけれど5分以内に移動
しますからと、男性従業員総動員でお運びし、結果喜んで頂けたのです。それ
もルーム長が係でしたから出来たことです。普通なら、いやがってなかなか私
の申し出を聞いてはくれないでしょう。その後もルーム長のそつが無いもてな
しと誠意、教養ある話に御客様は満足してくださったのです。そう言うときは
やはりベテランさんが一番なのです。
私が紋屋にきた頃は、お客様よりも働く人の立場で宴会場のセットがなされる
こともしばしばでした。長年同じ職場、同じ仲間同士で働いていると、チーム
ワークはよくなりますが、新しい風が吹きこまれないため悪い癖もつきやすく
なります。初心忘るべからずと言いますが、簡単なようで結構難しいのです。
いろんな経験を積み逞しく成長することも望ましいのですが、時々新鮮な空気
に触れ、初心に返ることも非常に大切なことと言えるでしょう。
私もこの頃、この業界にやや慣れてきたと感じています。辛い思いや苦しい経
験は女将として立派に成長するためには必要な条件でもありますが、いつまで
もお客様の立場に立って考えることが出来る人間でありたいと切に願う気持ち
です。「仕事の為にお客にお世辞使うのはもう疲れちゃった。」と母は言いま
す。私はその方の誉められるところを必ず見つけるので、お世辞は余り言いま
せんが、いつかそうなってしまうのかなあと心配になります。そのかたわらで
お客様に誉められて喜んでいる新人達を見ていると、気持ちが透き通っていく
ような自分を感じます。人間皆慣れてくると、そつなくなんでもこなせるよう
になってしまうので、新人に比べると必死でやっている印象が薄れてくるので
しょうね。ベテラン達には、私と同じように新人達を育てる喜びを味わっても
らい、双方で良い意見交換や見習い合うようにして欲しいと考えます。やはり
新しいことへの取り組みは、若い人のほうが抵抗はないようです。その代わり
ちょっとした経験不足によるミスは、新人さんは多いですね。お互いに良いと
ころを吸収しあって高めていけたらと思います。
このごろ、どうも筆が進まなくて、もうこのメルマガもだめかなあと頭を抱え
込んでいました。私は気分屋で、泉のように言葉が湧いてくるほうですが、泉
が枯れている時は、言葉も干からびてしまいます。社長は「さすがは便秘症だ」
と笑いますが、今なら書けるという時にいつもパソコンに向かっていられない
ので難しいのです。「書けない時はお休みでも良いじゃないですか。」と、あ
る私が尊敬する方がメールを送って下さいました。この場をお借りしてお礼を
申し上げます。無理をせず少しづつ努力してまいりたいと思います。これから
もお見守りくださいませ。
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◆宿屋の雑学◆
和室と洋間/その2
日本の家にある洋間は、厳密には洋間とは言えません。欧米人は家の中でも
靴を脱ぎませんので、床の堅牢さが比べものになりませんし、日本の家のよう
に床下に空洞がある床でもありません。ちなみに、そういった構造を高床式と
言いますが、世界的に見ても日本・韓国・東南アジアなど高温多湿な地域だけ
です。家の中に土足で上がらないというのも、床の上に湿気を持ちこまない為
です。(by aruji)
≪次回予定≫
2001年12月23日は、「皆様からのお声/増刊号」をお届けする予定です
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e-mailエッセー「続・新米女将のひとり言/明日へのあゆみ」(隔週日曜発行)
著 者:高尾葉子 okami@monya.co.jp
発 行 者:高尾憲資 aruji@monya.co.jp
発 行 所:季粋の宿 紋 屋 otazune@monya.co.jp
295-0102 千葉県安房郡白浜町白浜232
TEL 0470-38-3151 FAX 0470-38-3153
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◆素顔の女将◆
客室へ配るテレビ番組表の日付を、フロントの武山君が一日間違えて記入し、
コピーしてしまった。全て作り直す事になるのだが、もったいないと思ったの
か、家内は「明日使えば?」と明るく言い放つ。明日は明日で違う番組なんだ
からね。(by aruji)
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