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続・新米女将のひとり言/明日へのあゆみ
発行日: 2006/11/12~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
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■ 「続・新米女将のひとり言/明日へのあゆみ」
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■ ■ ■■■■ ■ 新米から一人前へ向かって歩み始めた女将が綴る
■ ■ つれづれ日記。
■ ■■■■■ 経営の悩み、お客様への思い、社員や家族達との
■ ■ ■ ■ かかわり等など。
■ ■■■■■ 日本初の旅館の女将によるメ−ルマガジンです。
■ ■ ■
■ ■■■■■ http://www.monya.co.jp 2006.11.12発行 第180号
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◇病との闘い◇
紋屋に嫁に来てから、さまざまな病に見舞われ、そのたびに大変な思いをして
きました。普段からもうそのような事にならないよう注意し、仕事も大分セー
ブしてきたつもりでした。
今回、整形外科で臼蓋形成不全(変形性股関節症の前段階)という病名が私に
下されました。聞きなれない病名。それは何?
先生は「今日来て良かったね。大学病院行きだよ。」と私に言います。もしか
したら手術かもしれないそうです。「ガーン」と何かに頭をたたかれたように、
その後の先生の言葉が頭に入ってきません。
何回も病名を復唱し、凍りついた気持ちで「大学病院行き、手術かもしれない」
と。心のなかでつぶやきました。これが命に関係ある病だったら、どうなって
しまうのだろうと想像しました。
その後、大学病院の先生に問い合わせをして下さった担当医から連絡があり、
「今は手術をしないほうが良い。人工関節を入れる手術がもっとも安全で治癒
力が高いが、今の年齢では若すぎて、人工関節の耐久年数が足りない。」と言
うことでした。
私は、ついこの前まで普通に歩けたのです。それが急に、階段・早歩き・駆け
足厳禁、重い荷物を持つ事はダメ。なるべく安静にして、筋肉トレーニングを
続けるようにと言う指示でした。
紋屋は4階建て、エレベーターはありません。お客様のところへ行く事のほか
に、館内の見まわりも重要な仕事でした。
私がこの仕事を愛せる唯一の理由が、お客様との心の交流だったのに、それが
出来なくなってしまいます。お客様と心をつないで心の和(輪)を作り上げる
ことだったのに.....。
目の前は真っ暗で、いまここに横たわっている現実にどのように対処したらい
いのか、まだ心の整理がつきません。
この世に起きることには必ず意味がある、と私の哲学上はそうなっています。
今回の病が私に何を教えようとしているのか、今はまだ暗闇の中で見えてきま
せん。
少し無理をすると、次の日はかなり痛みが強く、掃除機を掛けることも、布団
を干すことも何も出来ない。仕事も家事も出来ない奥さんなんていても、仕方
がないのではないか.....。
主人は、「そばにいてくれるだけで良い、そばにいてくれるだけで嬉しいんだ
よ。」と言ってくれます。だけど私の存在価値、私自身が納得する存在価値が
なければ、「私がいるだけで良い」なんて、私はたやすく思えません。
余り暗くなって、また心の病が再発したらなお一層困ります。なるべく落ち込
まないようにしよう。そう思っても、無理な心の作用はどつぼにはまるだけな
のです。
風に耳を傾け、抜けるような青空を仰ぎ、天の声を聞こうとしても、今はまだ
聞こえてきません。
でも、きっと何かを私にさせようとして、この病気が私の元にやってきたのな
ら、それを受け入れていくしかない。
現実に杖を突きながらの生活は、もう始まっています。2,3日で杖を突くの
が多少うまくなりました。
会社の従業員達も業者さん達も私の姿に驚き、その都度説明をするのもつらい
のですが、きっとそうしていくうちに、自分自身で何かが見えてくるに違いな
い。
私は単純に筋力トレーニングをしながら、家でボーっと過ごすなんて出来ない。
これから先10年、今まで出来なかった仕事、もしくはなかなか時間が取れなか
った仕事に重きを置き、今までとは違った何かを築いていきたい。
一番やりたかったことを単純にこのまま諦めてしまうのではなく、何らかの方
法で模索してみよう。
今はそこまでしか思えませんが、何か遠くで響いている音のようなものを感じ
ます。
どんな苦境が訪れようと、そこから生まれる何かがある。今現在の自分に出来
うる何かをたずねて、私は仕事をしながらしばらくは心の旅をしようと思って
います。
私に訪れた苦境は、周りの人達のやさしさを呼び、今の苦しみに負けてならな
いと私に教えています。
家族だけでなく、書道の教室の方々や友人。仕事で接するさまざまな人のいた
わりや励まし。それに甘え過ぎずに自分に厳しく律していこう。そう思ってい
ます。
こういう体になってきてみて、はじめて分かる日常の不便。車椅子の方はどう
しているでしょう?
JRの駅は、今ではかなりエレベーターやエスカレーターが設置されるように
なってきています。でも良く見ると、改札を出てからが階段のみと言うことが
多くあります。
地下鉄はほとんどエレベーターがありません。私がアレルギー外来で通ってい
る上野の病院も、駅を出てからが大きな歩道橋となっています。
バスなども都内ではノンステップバスもかなり多く見られますが、田舎では見
たことがありません。
こうなる前から東京へ行くと、白い杖をついた人を見かける度に心配していま
した。周りの人達が全然気にしていないからです。突き飛ばされたり、杖を蹴
飛ばされることも多くあるのではと。
シルバーシートに座っている人もほとんどが健常者。エレベーターも同様です。
あるバスの中、高校生達がどやどやと乗ってきて、シルバーシートに座りまし
た。奥の段差があるシートはたくさんあいていました。
その後お年寄りが乗ってきて、学生達の前に立ちました。私の友人がそのバス
に乗っていたのですが、余りの事に耐え切れず、大きな声で「運転手さん、シ
ルバーシートはお年寄りや、体が不自由な方が座るものですよね。運転手さん、
それを運転手さんが教えてあげるべきですよね」と。
高校生達は、いっせいに後ろの席に移動したそうです。
今の世の中は、そう言う注意をするとナイフで刺されて殺されてしまう時代で
す。まだまだ日本では、基本的な弱者へのケアが遅れている。意識そのものも
非常に薄い。
人間としての温かい気持ちややさしさ。自分に関係がない人へであっても、持
ちつづけてほしいですね。私自身の意識も薄かったのかもしれない。だからこ
んな風になったのかもしれない。
日頃の行いを振り返り、いつも自分自身を律して行きたい。
まだ暗闇の中の私ですが、どうか神様お見守りください。
いつかきっと私にきらりと光る一筋の希望が見えてくるはずだから。
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≪次回予定≫
次号は、2006年11月26日に届けする予定です
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e-mailエッセー「続・新米女将のひとり言/明日へのあゆみ」(隔週日曜発行)
著 者:高尾葉子 okami@monya.co.jp
発 行 者:高尾憲資 aruji@monya.co.jp
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◆素顔の女将◆
病院に行った日の夜。「こんな体じゃ、私、生きていても意味が無い」と涙目
で私に訴えた家内。数日たって書いたこのメルマガでは、少し心が落ち着いた
みたいだが、涙をこぼしながらキーボードを打っていた。かわいそう......。
でもきっと、彼女なりの女将スタイルをいつか作り出していくんじゃないか、
そう信じてこれから支えて行くから、頑張ろうね。(by aruji)
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