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哲学クロニクル 第436号
(2004年11月13日号)
ハーバーマス京都賞受賞
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稲垣財団の京都賞のページによると、今年の京都賞にハーバーマスが選ばれました。
http://www.inamori-f.or.jp/KyotoPrizes/contents_j/laureates/kp_thisyear.html
以下はこのページから引用します。
======
ユルゲン・ハーバマス教授 (ドイツ、1929年生まれ)
〔Professor Jurgen Habermas〕
哲学者・思想家、フランクフルト大学名誉教授
「コミュニケーション行為論、討議倫理学など、社会哲学理論の構築および公共
性に根ざした理想社会実現への実践的活動」
現代を代表するドイツの哲学者であり思想家であるハーバマス教授は、著書『公
共圏の構造転換』(1962)のなかで、近代ヨーロッパで成立した市民の言論の場(公
共圏)が、やがて専門家と大衆の二極分化によって変質し、現代においては形式的
な大衆民主主義に堕していると鋭く批判し、一躍有名になりました。 20世紀の社
会科学の金字塔とも言われる『コミュニケーション行為の理論』(1981)では、人
間には暴力・抑圧に支配されずに対話を交わし、相互理解に到達するコミュニケー
ション的理性の力があるとし、衰退した公共圏を取り戻す鍵はコミュニケーショ
ンにあると説きました。こうしたコミュニケーション論の観点から、普遍的な社
会規範の構築を基礎づけしようとしたのが「討議倫理学」であり、自由で自律的な
人間の共生関係を樹立しようというのが、教授の一貫した姿勢です。激動する現代
にあって、ハーバマス教授は世界の政治・社会の実際問題に関しても、自らの哲
学を基軸に据えて積極的に発言しながら、人類の未来の肯定的展望を探り続けて
います。
=====
引用ここまで
ディ・ヴェルト紙によると、ハーバーマスは京都でスピーチをしたらしいです。
http://www.welt.de/data/2004/11/13/359430.html
アメリカについて尋ねられて、「国連決議なしに派兵したのは違法だって」と答えたとか。
また、幼年期に「ある手術によるトラウマのような経験」をしてから発話に障害がでて
小学校でクラスメートが自分の話をうまく理解できないことに気づいたと回想しています。
そしてそのために言語哲学に深い関心をもったとか。
次はゾラの研究会と社会科学基礎論研究会の会合のおしらせです。
ゾラの講演、とくに「「ものさし」の彼方――19世紀末の「測定狂」について」は
聞いてみたいです。
====
●「科学技術社会論研究会」では、来る2004年12月4日(土)に、以下
のワークショップを行います。
ご関心をお持ちの方にご案内いたします。
準備の都合上、参加の方はお手数でも、10日前までに下記の参加
登録用ページよりご登録ください。
http://nmasaki.com/stsws_44th.html
会の1週間前には、発表梗概などの資料をお送りします。定員が
あります。ご承知おきください。
本研究会は、焦点の特定テーマを巡るone-day workshopであり、
講演会ではありません。今回のテーマに関して、ご自身の課題、
また発言されたいことなど、一言お書き添え下さい。参加者内で
公開し、討議の際の資料にさせていただきます。
また、終了後、同会場で簡単な懇親会(会費約1000円)があります。
研究交流を深められたらと思います。参加の方はこの点も10日前
までにお知らせください。
この案内は、転送自由ですので、ご関心の向きにお知らせください。
事務局では、随時、研究会企画の提案を受け付けています。
詳しくは、ご相談ください。
事務局
__________________________________________________________________________
第44回「科学技術社会論研究会」ワークショップ
「エミール・ゾラの自然主義 と当時の科学文化」
2004年12月4日(土)9:45-17:30
東京大学先端科学技術研究センター13号館 109号室
1. ワークショップの目的
科学技術社会論が、もしほぼ同時代の科学政策的決定過程の対象化だけに専念
するようなことになれば、それは科学技術社会論にとって、マイナスにはなっ
てもプラスにはならないだろう。科学技術の社会への関わり方は、あまりに多
様で複層的なものなので、科学政策の場面で問題化・主題化されるものは、そ
れらのごく一面を切り取ったものであるにすぎない。それに特化することは
STSをむしろ貧困にするものだ。
この基本的な認識のもとで、われわれは、もちろん科学政策的志向性自体の価
値を貶めるということではなく、違う切り口を探した。そして、科学・技術が
社会、ないしは一般市民の間でどのようにイメージされ、どのように利用され
ているのかを知るということも、極めて重要な話題なのだという認識に到達し
た。それは科学的知識の科学性とは若干異なる、科学的知識の一般社会への流
通、流用、濫用、通用自体の様態を、記述的に見るという作業を基礎にしてい
る。それは一般的位相において、それ自体の興味深さをもつことは間違いない。
ただ、今回の研究会では、その種の一般的位相での議論は避ける。そしてある
特定の具体的話題に絞りながら、科学・技術的概念が、或る文化的局面に浸透
していく様態を個別的にみることを目標とした。それは主に二つの主題に分け
られる。まず一つは、小倉・金森による、十九世紀フランス自然主義の大作家、
エミール・ゾラの文学的世界の分析である。ゾラは積極的に遺伝学を援用した
ので、当時の遺伝学と、ゾラの文学的世界の間の分析を金森が行う。
小倉は、生理の描出のされ方の具体的検討の過程で、主にゾラの身体表象に注
目した分析を行う。
もう一人の、菅野は上記の二人とは若干異なるアプローチをする。そして十九
世紀に何度か見られた、測定癖に焦点を当てる。測定という、客観的作業その
ものであるかのような切り口自体が、時代・文化拘束性のなかで、どのような
形姿をもって現れるのかを具体的に論じる。
この三つの報告を通して、大きく十九世紀フランスの文化における、科学性の
表象の在処を探る。このような主題をも科学技術社会論の一環に組み込むこと
は、その射程や奥行きを広げることだ、とわれわれは信じている。
2. ワークショップの時間割
9:45-10:00 趣旨説明
10:00-11:15 話題提供1(討論35分を含む。以下同)
小倉孝誠(慶應義塾大学・文学・文化史)
「ゾラと身体の表象」
自然主義文学にとって、身体は特権的なテーマの一つである。そのことはとり
わけ『ルーゴン=マッカール叢書』の作者に当てはまる。ゾラは病理、遺伝、
セクシュアリティー、感覚など身体にまつわる現象を徹底的に描いた作家であ
る。そのなかで三つの主題に焦点を絞って論じることにしたい。第一に身体の
政治性。社会の諸集団の欲望と利害が衝突する空間として自分の作品を構想し、
農民、労働者、職人、商人、ブルジョワ、貴族などあらゆる階級を登場させる
ゾラは、そうした人々の営みを異なる身体文化として表象し、身体そのものが
階級性を強く刻印されていることを示した。第二に身体の生理学的な規定性。
ゾラにおいて、女性とりわけ若い女性の身体は生理学的なドラマが展開する場
にほかならず、そこではジェンダーの力学がはっきりと露呈する。そして第三
に見つめられる対象としての身体。ナナのような女優=娼婦が男によって見られ、
値踏みされることによってのみ存在しうるのは当然として、堅気の女性たちも
またしばしば裸身をさらす。そしてその時、男たちは欲望すると同時にたじろ
ぎ、不安に駆られる。
11:15-12:30 話題提供2
金森 修(東京大学・教育・科学思想史)
「ゾラの遺伝学」
ゾラの『ルーゴン=マッカール叢書』は、プロスペル・リュカなど、当時存在し
た遺伝学者が奉じていた遺伝学を参考に作られた一種の強い遺伝的決定論を背景
にもっていた。ただ、周知のように、1860年代に行われたメンデルの作業は
科学的に回収されることはなかったので、その後に展開された遺伝学は、現代的
な離散的な遺伝子概念にまったくかけており、遺伝の様態も、混合遺伝の伝統に
則したものだった。まずはその限界がある。にもかかわらず、ゾラの「遺伝学」
は、多くの点で興味深い。まず、遺伝学史の流れのなかで、影響遺伝のように興
味深い概念がある。それに何より、その遺伝学的前提の際どさにもかかわらず、
それを無にするほどに豊かな、彼の文学的世界がある。私は、当時の遺伝学、そ
れとの関係におけるゾラ、そして彼の文学的想像力自体を相関的に見ることで、
当時の科学文化の一端を回顧することを目指したい。
昼食
13:30-14:45 話題提供3
菅野賢治(都立大学・人文・文学/文化史)
「「ものさし」の彼方――19世紀末の「測定狂」について」
なにがしかの事象を把握する目的をもって「ものさし」を持ち出す時、人間の科
学的思考の内部では一体何が起こっているか? 18世紀、ジュネーヴの自然史学
者シャルル・ボネは人間の心的事象にあてがう「ものさし」として早くも「心理
測定器」を夢想し、19世紀、ベルギーの数学者アドルフ・ケトレは「人間の知的
組織を直に測定するための手段」として「人体測定法」を提唱した。ほどなく、
パリ警察のアルフォンス・ベルティヨンの手によって「実用化」に漕ぎ着けた司
法人体測定は、ドレフュス事件のうちに途方もない錯乱ぶりを呈することとなる。
ここでは、ドレフュス事件発生前夜、医師エドゥアール・トゥールーズが作家エ
ミール・ゾラの身体にあてがった「ものさし」を検証しながら、19世紀末のヨー
ロッパを席巻した「測定狂」の実像を浮かび上がらせたい。
休憩
15:00-15:30 レスポンス1
菅谷憲興(立教大学・文学・文化史)
15:30-16:00 レスポンス2
隠岐さや香(東京大学・総合文化・科学史/文化史)
休憩
16:15-17:30 総合討議
司 会 金森 修
17:30-18:30 懇親会
____________________________________________________________________________
10日前迄に以下のページより参加登録下さい。http://nmasaki.com/stsws_44th.html
科学技術社会論研究会・事務局
国士舘大学・木原英逸 kihara@pem.kokushikan.ac.jp
東京大学・中村征樹
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●社会科学基礎論研究会2004年度第3回研究会のお知らせ
本年度第3回研究会として、著者をお招きした合評会を下記のよ
うに開催します。
当研究会の「合評会――著者を招いて」の企画は、今回で12回
めになります。この企画では一貫して、評者に忌憚のないコメント
をいただき、それをもとに著者・評者・参加者のあいだで学的に真
摯な議論が行なわれることをめざしてきました。
ぜひ、対象書を通読のうえ、多数ご参加くださいますようにお願い
いたします。
また、お近くに対象書に関心をおもちの方がいらっしゃいました
ら、ぜひお誘いください。事前連絡は不要です。
みなさまのご参加をお待ちしております。
記
1.日時:12月18日(土) 13:00〜18:00
2.会場:東京学芸大学(国分寺)
東京学芸大学20周年記念館(正門すぐ)
3.プログラム
【合評会――著者を招いて(第12回)】
対象書:佐藤嘉一著
『物語のなかの社会とアイデンティティ』 晃洋書房、2004.
司会 宇都宮京子(東洋大学)・寺田喜朗(東洋大学大学院)
著者 佐藤嘉一(立命館大学)
評者 張江洋直(稚内北星学園大学)
尾形泰伸(武蔵大学大学院)
浅野智彦(東京学芸大学)
参加費:300円 学生200円
会場の最寄駅はJR中央線「武蔵小金井」/「国分寺」です。
教室変更の場合は、正門付近に掲示します。
*著者・評者の報告概要を研究会1週間まえをめどに研究会サイト
に掲載する予定です。ぜひ、ご覧ください。
*当日は、本研究会機関誌『年報社会科学基礎論研究』(ハーベスト社)
第1号(特集:社会学の根柢を問い直す)・第2号(特集:社会調
査の知識社会学)・第3号(特集:〈危機の時代〉の行為論)を会
場で頒布いたします。
* 研究会のご案内は、会員に加えて、過去に研究会にご参加いた
だいた方、『年報』をご購入くださった方などにお送りしています。
案内のご送付がご迷惑の場合は、お手数でも下記アドレスまで
お知らせくださいますようお願いします。
事務局
〒170-8470 豊島区西巣鴨3−20−1
大正大学人間学部社会学研究室(井出)気付
e-mail eichi.otani@nifty.ne.jp
世話人 井出裕久・佐野正彦・張江洋直
HP:http://wwwsoc.nii.ac.jp/ssst/index.html
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ポリロゴス事務局
chronicle@nakayama.org
(c)中山 元
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哲学クロニクル
http://nakayama.org/polylogos/chronique/
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