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[chronique:00196] 師の哲学から兄弟の哲学へ、その一
発行日: 2001/9/17┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏
哲学クロニクル 第196号
(2001年9月17日)
師の哲学から兄弟の哲学へ、その一
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またご無沙汰してしまいました。ADSLへの切り替えと新しいマシンへの
切り替えを同時にしたら、トラブルの山(笑)
それに言葉を失うような出来事もありました……。
久しぶりの哲学クロニクルは、フランスの哲学の現状についてのエッセー。
エクスプレス誌が哲学特集をからです。かなり辛口の哲学エッセーで、数回にわ
けてご紹介しましょう。今回登場しているラポルトは、ル・モンドで哲学関連の
書評を一手に引き受けているひとですね。『日常の哲学』は発行当時から好評で
した。
オンフレーは『哲学者の腹』や『シニック哲学』などの著書のあるニーチェ主義
者の哲学者で、なかなかユニークな視点をもった(まだ若い)哲学者です。どち
らもお勧めかも。
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師の哲学から兄弟の哲学へ、その一
エクスプレス、2001年8月30日号
フランソワ・ビュスネル
現在では哲学は、仲間内しかわからない言葉遣いをやめて、友好的で、すべての
ひとが近付けるものになった。哲学はもやは世界を変えようとはしない。わたし
たちを幸福にしようとするのである。昔の哲学者たちは師としての思想家だった
が、今では兄弟のような思想家になっている。
ヴァカンスも終わったが、グッドニュースがある。フランスじゅうがロフト・ス
トーリーのヒーローに目を奪われていたあいだに、そしてインターネットでは除
き趣味の広告が流行しているあいだに、図書館では着実に書籍を購入していた。
たとえばロジェ・ポル・ラポルトの『日常哲学の百一の経験』とミシェル・オン
フレーの『反哲学マニュアル』は、どちらも五万部も売れているのである。そし
てこれも手始めにすぎない。わたしたちに「善く生きる」ことを教えてくれる哲
学が、力を取り戻しているのである。
実は哲学はこの役割を放棄したことはなかった。しかし哲学はすっかり退屈にな
っていたし、メディアに力をいれて、人々に媚びるようになっていた。哲学は真
の読者を求めていたが、間違った方向に進んでいたために、読者をみつけられな
かったのである。
一方で、概念についての厳密な検討を行って、大学のエリート向けのわかりにく
い書物を刊行する哲学者にたいする批判がある。師としての哲学者たちは体系と
理論の巨大な砦である象牙の塔に逃げ込んでいながら、それでも世界、経済、政
治を変えるのだと自称していた。他方で1970年代末に登場したヌーヴォー・フィ
ロソーフたちはといえば、ほんとうの意味での仕事をしなかった。前の世代の哲
学者たちを批判しながら、ユートピアの終焉を訴え、「インテリ」になったので
ある。
カレチェ・ラタンのビストロから、この攻撃的な台詞を吐く哲学者たちは、地球
のすべての問題を解決する責務があると思い込んで、うまく使えるとなれば、大
義を人質のように活用し、テレビで道徳の教訓を垂れ、結局やったことといえば、
自分の自伝を書くことくらいだ。1990年代の始めからは、モラリストが前面に登
場して、人々に媚びたような口当たりのよいレシピを乱発した。「自己の発見」
とやらを唱え、悪しき世紀の悪をふせぐ奇蹟のワクチンであるかのように、服用
を勧めるのだった。
この方式は、あまりにやすやすと成功できたので、エピゴーネンのうちには、街
に降りて、哲学カフェとやらを開き、飲み物なども手しながら、商売を始めるや
からも現れた。仕事、哲学、ねんね(笑)。世界でもトランキライザーの消費量
のもっとも多い国であるフランスは、処方を濫用しすぎたのは明らかだ。
しかしこうした哲学者たちは、もう古くなっている。現在では新しい哲学のしか
たが登場している。古代哲学の精神を再発見するために、ほんとうの意味での哲
学へと復帰しようとているのだ。しかし古代哲学との違いのニュアンスはおおき
い。古代哲学は、甘く、友好的で、役にたち、断固として現在へと向かっていた。
「能動的な」哲学であり、「学問分野」としての哲学ではなかった。ドグマや専
門用語などとは縁のない哲学だった。
オンフレーは、ドゥルーズは哲学とは、概念を作ることだと語っていたが、これ
はどうも還元しすぎではないと皮肉っている。セネカ、ルクレティウス、マルク
ス・アウレリウスのもとで概念を探しても、そんなものはみつからない。でもこ
れらの人々を哲学者でないというひとがいるだろうかと。
この新しい哲学が目指しているのは、より善き生の条件を発見することである。
この哲学は、わたしたちは望むように世界を変えることはできないのだから、人
間を変えるようにしよう、人間にこのままの世界でより善く生きることを教えよ
うと考える。この哲学の方法論は、わたしたちを苦しめる問題の原因について話
しながら、わたしたちを力づけようとすることにある。師の哲学者のあとで、兄
弟の哲学者が登場したわけである。
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ポリロゴス事務局
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(c)中山 元
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哲学クロニクル
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