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在日中国人動態20071031◇許金竜・楊逸両氏受賞特集◇

発行日時: 2007/10/31

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    日本僑報電子週刊 第689号 2007年10月31日(水)発行
    http://duan.jp 編集発行:段躍中(duan@duan.jp)
       ■段躍中日報 http://duan.exblog.jp/
   ◆「ミニ僑報」http://mini.mag2.com/pc/m/M0068337.html
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         ◇許金竜・楊逸両氏受賞特集◇
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読者の皆様

 10月25日、許金竜氏が第4回魯迅文学賞・全国優秀文学翻訳賞を受賞
されました。大江健三郎氏の小説「さようなら、私の本よ!」を訳した
『別了我的書』が受賞作ですが、中国文学界でもっとも権威があるとさ
れる同賞が、日本関連の作品に授与されるのは初めてです。

 この反響は大きく、中国のみならず、日本の各新聞で取り上げられま
した。授賞理由について、中国作家協会は「原作を忠実に翻訳し、大江
文学の創造的な文体を正確に中国に伝えた」と受賞理由を述べています。

 また同じ収穫の季節である10月、18日には、在日中国人女性・楊逸氏
の『ワンちゃん』が第105回文学界新人賞を受賞されました。石原慎
太郎氏『太陽の季節』が第1回の受賞作である同賞で、在日中国人の受
賞者は初めてのことです。

 日本関係の文学賞授賞は、他国の華人受賞及び中国での受賞に比べ、
少ない傾向があるのではないでしょうか。まだまだ情報を調べきれてい
ないのですが、二人の中国人による文学賞受賞を記念して、特集号を配
信いたします。

 中国での日本語訳書の受賞、外国語(日本語)での中国人受賞、彼ら
は日中相互理解促進を結びつける存在です。本当に素晴らしいことです。
改めておめでとうございます。

 在日中国人(華僑華人)の受賞実績をまとめて皆さんに紹介します。
これらの受賞作品を一度展示でもやりたいですが、関心のある有志、協
力してくれる読者がいらっしゃいましたら、ぜひご連絡下さい。中国人
留学生の皆さんに、これらの作品を修士論文、博士論文の研究テーマと
して研究されることを勧め致します。


 段躍中@2007.10.31

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◆特集目次◆

◇許金竜氏
 ◎プロフィール
 ◎受賞スピーチ(和訳)
 ◎関連報道(日本語)

◇楊逸氏
 ◎プロフィール
 ◎関連報道(日本語)

◇在日中国人(華僑華人)の文学賞受賞

◇華僑華人の文学賞受賞

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◇許金竜氏
 ◎プロフィール
 中国社会科学院外国文学研究所教授 許金竜(55)
 
 昨年9月に大江健三郎氏が訪中、また12月には芥川賞作家の中村文則
氏をはじめとする20代、30代の若手作家が北京で中国の同世代の作家と
交流。
 その「中日青年作家対話会」の企画者の一人であり、大江氏の訪中で
は通訳を務め、数々の大江健三郎作品の中国語翻訳者でもある。
(『人民中国』許金竜氏インタビュー記事
 http://www.peoplechina.com.cn/maindoc/html/200704/32tebie.htmより)

 ◎『さようなら、私の本よ!』紹介
 絶望からはじまる希望
 国家の巨大暴力に対抗するため、個の単位の暴力装置を作る繁と、人類
 の崩れの「徴候」を書きとめる古義人——「おかしな二人組(スウード・
 カップル)」は静かに立ち向かう。
 (講談社http://shop.kodansha.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=2131129
 より)

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◎受賞スピーチ(和訳)
 …原文は中国語、日本僑報社和訳。 

 我が国の「大江文学は空白の研究領域」という状態の改善に期待

                             許金龍

 魯迅文学賞を受賞したことは意外でしたが、同時にうれしく、また、
若干の期待もあります。意外であったというのは、本賞が我が国の外国文
学の訳書に与えられる最高の賞であるためです。私は自分が本当に「その
名に恥じない」とは、いまだに思うことができません。なぜなら、日本文
学の研究や翻訳界にはその道の権威である、葉渭渠、唐月梅といった大先
輩がいらっしゃり、私は諸氏の学識、業績、人柄、全てを大変尊敬してい
るからです。ですから、今回の受賞は、ほんの偶然と幸運によるものだと
いう意見に私は賛成です。ただ、それは審査委員の方々を尊重していない
という意味ではもちろんありません。

 偶然や幸運のためであったとしても、やはりこのような栄誉を得てとて
もうれしく、自分の苦労が報われたような気がします。去年の3月中旬、
『さようなら、私の本よ!』を半分近く翻訳したとき、突然声が出なくな
り、親友の雪屏に引っ張られて中日友好医院へ行き、検査を受けました。
すると、声帯に2つの「異物」があるというのです。ひとつは良性の「嚢
腫」なので切除すれば済むというのですが、もうひとつの方をみると医者
があわてて、すぐ入院して手術するようにと言いました。一刻の猶予もな
らないと。実感の湧かないまま入院してようやく、周りに同じような病気
の患者がいることがわかりました。多くは悪性で、手術で気管を切除され、
余命半年ばかりだというのです。

 しかしここで悲しみにくれても仕方が無いと、私は気持ちを奮い立たせ、
病室という世間に煩わされない得難い状況を利用して、全力で『さような
ら、私の本よ!』を訳しました。王中忱、董炳月などの友人が病院に見舞
いに来てくれたときには、翻訳原稿や辞典などを没収されてしまい、私は
心底恐れました、大江先生の9月の訪中までに翻訳が終わらないことを恐
れたのです。さらに怖かったのは、永遠にこの作品の翻訳が完成しないか
もしれないということでした

 ……ありがたいことに、『さようなら』の翻訳は完成し、病院の御陰で、
私がこの世界と「さようなら」することもありませんでした。

 それから、期待について述べなくてはなりません。私は、『さようなら』
の訳書の受賞をきっかけに、学界で大江先生と大江文学に対する関心が高
まることを期待しています。それは一過性の流行的なものでなく、心を落
ち着けて真剣に関連作品を読んでもらい、皆さんと一緒に「我が国では大
江文学は基本的に空白の研究領域である」(葉渭渠先生の言葉)という苦
境を改善していけたらと思います。(日本僑報社和訳)

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◎関連報道(日本語)

【新聞報道】

中国の魯迅文学賞、大江氏の翻訳小説が受賞(日経新聞10月25日付)
「人々が目を背けるような現実に正面から向き合う文学的態度が素晴らしい」
「受賞を機に、大江文学の研究が中国で広がっていけば」
http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20071025AT1G2502Y25102007.html

大江健三郎氏の翻訳本が魯迅文学賞 日本作品で初(朝日新聞10月26日付)
http://www.asahi.com/culture/update/1026/TKY200710260048.html

【ブログ・段躍中日報】
許金龍獲魯迅文学奨・優秀翻訳文学奨 中国新聞社より配信
http://duan.exblog.jp/6448456/

朝日新聞夕刊 許金龍さん受賞を報道  
http://duan.exblog.jp/6448651/

許金竜氏、魯迅文学賞受賞 段躍中記事・写真にて人民網日本版で報道
http://japan.people.com.cn/35467/35498/6292452.html
http://duan.exblog.jp/6470106/

中国新聞社の報道記事
http://www.chinanews.com.cn/tp/kjxw/news/2007/10-26/1060637.shtml

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◇楊逸氏
 ◎プロフィール
 中国ハルビン市出身。
 87年に留学生として来日し、日本語学校で学び、お茶の水女子大学
 で地理学を専攻した。卒業後、在日中国人向けの新聞社に勤務し、現
 在は中国語教師。

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◎関連報道(日本語)
 【ブログ・段躍中日報】
 文学界新人賞、中国人女性が初受賞 読売新聞報道
 http://duan.exblog.jp/6402557/

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◇在日中国人(華僑華人)の文学賞受賞〔順不同〕/段躍中収集整理

◎陳舜臣氏
『枯草の根』 
●第7回江戸川乱歩賞 1961

短編「青玉獅子香炉」1969
●第60回直木賞 

『玉嶺よふたたび』『孔雀の道』 
●第23回日本推理作家協会賞 1970

『実録・アヘン戦争』
●毎日出版文化賞 1971

『敦煌の旅』 
●第3回大佛次郎賞 1976

『諸葛孔明』 
●第26回吉川英治文学賞 1992
●日本芸術院賞 1994
●第3回井上靖文化賞 1994

(新潮社http://www.shinchosha.co.jp/writer/2116/より)

◎田原氏(下記参照)
「ボヤン賞」受賞

(以下、『中国人の日本語著書総覧』http://duan.jp/item/04.htmlより)
◎王敏氏
『謝々!宮沢賢治』(河出書房新社 1996)
●岩手日報文学賞・賢治賞 1997

◎黄  宋
『流通空間構造の動態分析』(千倉書房 1992)
●日本商業学会学会賞 1993

◎厳安生
『日本留学精神史』(岩波書店 1991)
第19回大仏次郎賞 1992

◎厳善平
『中国経済の成長と構造』(勁草書房 1992)
●地域農林経済学会賞 1994

◎朱建栄
『毛沢東の朝鮮戦争』(岩波書店1991)
●第4回アジア・太平洋賞特別賞 1992

◎孫久富
『万葉集と中国古典の比較研究』(新典社1991)
●第九回上代文学会賞 1992

◎張  競
『近代中国と「恋愛」の発現』(岩波書店1995)
●サントリー学芸賞 1995

◎張   競
『恋の中国文明史』(筑摩書房 1993)
●読売文学賞 1995

◎唐亜明
『ナージャとりゅうおう』(講談社 1990)
●第22回講談社出版文化賞 1991

◎唐亜明
『西遊記』(講談社 1994)
●第42回産経児童出版文化賞 1995

◎梅蘭氏
『ワタシ 頑張るです』(日新報道 1993)
●文部大臣特別賞 1994

◎班忠義氏
『曾おばさんの海』(朝日新聞社1992)
●ノンフィクション朝日ジャーナル大賞 1992

◎李春利氏
『現代中国の自動車産業』(信山社出版 1996)
●国際ビジネス研究学会学会賞 1997

◎劉傑氏
『日中戦争下の外交』(吉川弘文館 1995)
●大平正芳賞 1996

◎劉岸偉氏
『東洋人の悲哀−周作人と日本』(河出書房新社 1991)
●サントリー学芸賞 1992

◎劉岸麗氏
『風雲北京』(河出書房新社 1998)
●第四回蓮如賞1997

◎劉香織氏
『断髪−近代東アジアの文化衝突』(朝日新聞社 1990)
●アジア・太平洋賞特別賞 1991
●サントリー学芸賞 1991

◎聶莉莉氏
『劉堡−中国東北地方の家族とその変容』(東京大学出版会 1992)
●渋沢賞 1993 

◎李仲生氏
『中国の人口変動—人口経済学の視点から』http://duan.jp/item/29.html
●第一回華人学術賞受賞(日本僑報社)                   
 
◎朱慧玲氏
『日本華僑華人社会の変遷』http://duan.jp/item/50.html
●第二回華人学術賞受賞(日本僑報社)

◎王学群氏
『現代日本語における否定文の研究』http://duan.jp/item/54.html
●第二回華人学術賞受賞(日本僑報社)              

◎楊艦
『近代中国における物理学者集団の形成』http://duan.jp/item/56.html  
●第三回華人学術賞受賞作品(日本僑報社)
  
◎陳海権
『日本流通企業の戦略的革新』http://duan.jp/item/80.html  
●第三回華人学術賞受賞作品(日本僑報社)  
 
◎康鴻音氏
『近代の闇を拓いた日中文学』http://duan.jp/item/019.html    
●第四回華人学術賞受賞作品(日本僑報社)                    
 
◎呉懐中氏
『大川周明と近代中国』http://duan.jp/item/060.html
●第五回華人学術賞受賞作品(日本僑報社)

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◇留学生文学賞

◎外国人留学生のための日本語文学新人賞
日本留学から生み出された日本語による文学作品をできるだけ多くの人
に知ってもらい、日本で学ぶ留学生を激励しようというものです。

●1999年暮れ、帰国を間近にした一人の中国人留学生が「記念に」と
周囲に残した日本語による文章が高い文学性と、異文化から見た新鮮な
日本を表現で知人たちを感動させました。
●その作品は作家や詩人に知られ、さらにインターネットを通じて紹介され、
「ファンド」として一般から募集された出版費用約300万円が集まり、
2000年4月には本として異例のスピード出版となりました。
●その留学生ボヤン氏によって寄付された印税数十万円を基に、日本人
有志が協力して誕生したのが、最初の留学生の作品を対象とした文学賞
でした。
●当時 「ボヤン賞」と名付けられたこの賞には全国の留学生から短編小
説や詩文など100余編の応募があり、関西在住の中国人詩人・田原さんが
受賞しました。
●もとより賞となった印税といっても「基金」というほどの金額ではない
ので、その一回だけで終わったのですが、応募作品のレベルは高く、外国
人留学生の日本語は、学習の領域を超えて目をみはるほどに成熟し、その
表現力も高いレベルに達していることは、多くの関係者に新鮮な感動をあ
たえました。
●その志を受け継ぎ、「留学生の間に可能性として眠る文学性を作品とし
て育てよう」と誕生したのが、今回の「留学生文学賞」です。
(留学生文学賞http://www.ryu-bun.org/より)

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◇華人の文学賞受賞

◎高行健・華人最初のノーベル文学賞
http://aonoken.osaka-gaidai.ac.jp/zjcidian/zuojia3/g/gao/xingjian/gaoxingj.htm

◎ゴンクール賞最優秀新人賞などの文学賞受賞、パリ在住の中国人作家
シャンサさん
http://book.asahi.com/clip/TKY200709120240.html

◎周勍氏・ドイツ・ユリシーズ国際報告文学賞
http://jp.epochtimes.com/jp/2007/07/html/d42136.html

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 日中関係・華僑華人情報専門誌・毎週水曜日発行 編集発行:段躍中
          1998年8月創刊・無断転載禁止。
   著作権は日本僑報社、またはその情報提供者に帰属します。
     情報のご提供・お問い合わせはduan@duan.jpへどうぞ
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sinpenzakki許金竜のもうひとつのプロフィール
2006年10月11日付『中華読書報』の5面全体は許金竜の「秋天里留在北京的故事:大江健三郎第五次訪華側記」であり,そこでは「他動情地対我表示,“我是一個没有信仰的人,不信任何宗教。但我心里有一尊神,那就是毛沢東主席,他是我永遠的神(彼=大江は感情を込めて私に“私は信仰のない人間で,いかなる宗教も信じていません。それでも,私の心には神がいて,それはまさに毛沢東主席です。彼は私の永遠の神です)」と書かれている。しかし,大江が毛沢東を「永遠の神」としていることは考えられない。中国大陸で言論統制を批判し,抵抗している知識人は,毛沢東の偶像化とそれによるイデオロギー統制を重大な問題と見ており,これを大江は承知しているはずである。ところが,このような文章を許金竜は発表している。
全文:
http://www.gmw.cn/01ds/2006-10/11/content_490874.htm
日時:2007年12月15日


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