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在日中国人動態20060726★『「氷点」停刊の舞台裏』刊行特集之二★
発行日: 2006/7/26━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
日本僑報電子週刊 第576号 2006年7月26日(水)発行
http://duan.jp 編集発行:段躍中(duan@duan.jp)
■段躍中日報 http://duan.exblog.jp/■
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★『「氷点」停刊の舞台裏』刊行特集之二★
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■目次■
中国言論界の生々しいドキュメント/高原明生(東京大学教授)
日本経済新聞の書評
元時事通信社北京支局局長、東洋大教授信太謙三先生の書評
元読売新聞北京支局長、北海道大教授高井潔司先生の書評
李大同氏のメッセージ「日本の読者の皆様へ」
本書の目次(再)
書誌データと注文方法http://duan.jp/item/037.html
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『氷点』停刊の舞台裏 [著]李大同
[掲載]2006年07月16日
[評者]高原明生(東京大学教授・東アジア政治)
■中国言論界の生々しいドキュメント
中国のメディアというと、独裁を維持するための宣伝装置を思い浮か
べる人も多いだろう。確かに共産党の情報統制システムは健在だ。党の
政策方針を逸脱した言説がないか、新聞や雑誌のみならずインターネッ
トにも当局の目が光っている。しかし様々な通信手段が発達し経済や文
化のグローバル化が進んでいる今日、いつまで人々の本音を抑え込むこ
とができようか。
本年一月、有力な全国紙の一つである『中国青年報』の週刊付属紙
『氷点』が停刊を命じられた。そのきっかけは広州の中山大学の教授に
よる中国の歴史教科書批判を掲載したことだった。教科書が義和団の残
忍な犯罪行為を非難しないことを取り上げ、中国と外国との紛争では中
国が必ず正しく、反列強、反西洋人すなわち愛国だと教えることは非理
性的な排外主義をもたらすと喝破した論文だ。本書は、同文の掲載から
停刊、そして関係者の処分と復刊までの顛末(てんまつ)を前編集主幹
が赤裸々に語った記録である。
10日間で一気に書かれた本書には、残念ながら中国の統治機構など
日本の読者向けの背景説明がやや不足し、それが故の誤訳も散見される
(本書には中国語の原文が付く)。しかし問題の本質は明瞭(めいりょ
う)だ。40年前の文革開始との類似性を突かれて共産主義青年団の第
一書記が絶句するなど、数々の生々しい会話記録には圧倒的な迫力があ
る。本書は中国での発行を禁止されたというが、メディアの実情を内側
から明らかにした衝撃はそれほど大きいとも言えよう。
中でも興味深いのは、統制する側も報道する側もネット上に現れる反
応に敏感であることだ。言論の自由がない状況で民意を知るには、匿名
の書き込みに頼らざるをえない面がある。だが激しくなりがちなネット
上の言説が「世論」とみなされるのならば、その危うさは言うまでもな
い。
今回、憲法と党規約に書かれた権利を楯(たて)にした著者の抵抗は
実らなかったが、世界に向けた発信力はもはや抑圧されえない。狭い地
球の大きな国で、自由を求める言論人と権力とのあつれきは今後一層激
化することだろう。
◇
三潴正道監訳/り・だいどう 52年生まれ。ジャーナリスト。前『氷
点』編集主幹。
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■日本経済新聞の書評 『氷点』停刊の舞台裏/李大同著
中国の人気週刊誌『氷点週刊』が一月末、当局に突然停刊を命じられ、
編集主幹の李大同氏らが免職となった言論弾圧事件は内外で大きな関心
を集めた。李氏は本書で事件のいきさつと、弾圧の不当さを強く訴えて
いる。李氏らが中国の歴史教科書の偏向を指摘した学者論文を掲載した
ことが共産党の規律に背いたというのが処分の理由だった。しかし世論
の強い反発で当局は一カ月後に復刊を余儀なくされた。中国の言論統制
の実態を赤裸々に描いている。三潴正道監訳、而立会訳。(日本僑報社
2500円)
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■元時事通信社北京支局局長、東洋大教授信太謙三先生の書評
タイトル 偏狭ナショナリズムと戦う良識派−中国
日本僑報社の最新刊である『「氷点」停刊の舞台裏』(李大同著、三潴
正道監訳、而立会訳)は25日付の 「チャンネルJ」のブログに紹介さ
れた。書評のタイトルは『偏狭ナショナリズムと戦う良識派』 です。評
者は元時事通信社北京支局長で、現在東洋大学教授の信太謙三先生。
全文は以下の頁にあります。
http://blogs.yahoo.co.jp/blognews2005/39652090.html
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■元読売新聞北京支局長、北海道大教授高井潔司先生の書評
上
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2006&d=0627&f=column_0627_001.shtml
下
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060704-00000004-scn-cn
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※2006.6.14の『「氷点」停刊の舞台裏』出版報告会に寄せられた著者メ
ッセージです。原文は中国語、日本僑報社が翻訳しました。
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日本の読者の皆様へ
尊敬する日本の読者の皆様、メディアの皆様、
訳者の皆様、日本僑報社の段躍中様
私が執筆した『地獄の入り口−氷点週刊停刊騒動始末記』が翻訳され
日本で正式に出版されたこと(訳注:日訳タイトル『「氷点」停刊の舞
台裏』)を知り、大変光栄に存じます。周知の理由で本書は中国で真っ
先に出版する事ができず、内容もまだ公表されておりません。ですから
日本の皆さんが本書の最初の読者となります。
日本での刊行記念セレモニーへの招待を受け是非出席したかったので
すが、あいにく、期限の迫った執筆作業があり、北京を離れられません。
非常に残念ですが書面を以って所感と謝意を述べたいと思います。
今年の1月24日に始まった中国青年報『氷点』週刊停刊事件は世界
中の主要メディアの関心を集め多数報道され、その中には日本の著名な
メディアも含まれています。事件そのもののニュース性以外に、日本の
メディアや民衆にとってこの事件はもう一つ別の要素を含んでいるよう
です。表面的に見ると、この事件は中国歴史教科書に対する批判が引き
金となりました。ここ何年か、中国政府や世論は日本の一部の団体が編
纂した歴史教科書に対して厳しい批判を展開し、外交問題にまで発展し
たこともあります。中国でもにわかに“歴史教科書問題”が発生し、一
国の主要メディアの週刊紙面の停刊を引き起こしました。これは非常に
興味深いことでありましょう。
しかし私は歴史学者でもなければ教材の編集者でもありません。私や
中国の大部分の読者にとってこの事件の性質はやはり“言論の自由”な
のです。これは本書のテーマでもあります。勿論、今回の事件の発生原
因、即ち、中山大学袁偉時教授の論文が中国近代史教科書を批判したこ
とにより発表後確かに読者の間に論争を巻き起こしたこと、に触れない
わけにはいきません。本来この手の論争はごく正常なことで、各種資料
の認定や異なった見解を闘わせることを通じて新しい認識に到達し、討
論するほど真理は明らかになっていきます。しかし中国の報道を規制す
るごく一部の役人はこれを利用し、違憲かつ違法なやり方で『氷点』を
停刊にし国際的な悪影響を醸成しました。ただ、彼らが予期できなかっ
たことは、弾圧行為によって袁偉時教授の論文はより広範に紹介され、
袁偉時氏を支持し独自の見解を進んで発表する人がますます増えたこと
です。
歴史とは何か、いかに歴史と向き合うか、これはたしかに興味深い問
題です。歴史学界では「すべての歴史は現代史である」(イタリア人歴
史学者クローチェの言葉)という学者たちに公認された名言があります。
どういう意味でしょうか。素人の私の理解では歴史とは決して過去の資
料の総括のみではなく、現代人の過去に対する分析・認識であり、どの
ような歴史観をもっているかによってどんな歴史となるかが決まります。
文化の本質から言って、歴史とはこれまでもすべてが新しいものであり、
旧いものではありません。たぶん、歴代の歴史学者が常に新しい歴史書
を書き続けていたことによるのでありましょう。
したがって我々は次のように述べて差し支えないと思います。歴史観
は歴史の著述や歴史教科書がどんな資料を選択するかを決定し、いかに
それらの資料を評価するかを決定し、それらの歴史書の傾向と価値をも
決定する。同じ資料に対して、民族主義的或いは排外主義的、専制的、
侵略・略奪的観点と、世界主義的、自由民主主義的、相互平和的観点と
は明らかに相反する解釈を生むでしょう。しかしながら、いかなる解釈
も時間の流れ及び人類の発展の潮流の試練を受けるでしょう。
歴史教科書は一国の人民が民主制度をうち立て整えることに役立ち、
その民族と国家の不備や歴史的教訓に反省を加えることに役立ち、国民
が他国や他の文化を理解する手助けになるべきです。同時に、歴史教育
を通じて国家と国家、人民と人民の疑惑や誤解を解消していくべきです。
このようにして初めて世界の恒久的平和が根本的に保障されるのです。
中日両国の政界や歴史学界の有識者たちはこういった方向で最大限の
努力をすると信じています。両国の若い世代の認識は日増しに国際化し
ています。両国間の歴史問題が引き起こした摩擦は次第に収まり、解消
されていくでしょう。
今回の事件で私は初めて日本の方とお話をし交流する機会が持てまし
た。新聞記者の方やその他の業界の方もいらっしゃって、非常に興味深
い様々な話をしました。私は相互の間に食い違いよりもはるかに多くの
共通点があることに気づきました。私の携帯には日本のあるテレビ局が
取材に来た後、翻訳して送ってくださった以下のようなメールがまだ残
っています。「昨日は取材に応じていただきありがとうございました。
日本の記者たちは言葉が通じず思うように感想を述べられなかったよう
です。今日、私が全文を翻訳してあげたところ、彼は、同じ報道マンと
してより一層あなたの心中が察せられました、と言って感極まって目に
涙を浮かべていました」。パソコンにも多くの日本の記者から寄せられ
た個人的感想が保存されていますが、これらのメールには本当に感動さ
せられました。言葉の違いを除いて、我々の間に国の違いなど少しも感
じられず、人類共通の価値観にたって十分に互いを理解しあいました。
以上のことから、中日両国のメディアが客観的に、事実に即して、全
面的に両国の実情、特に両国民のありのままの生活や考え方を報道する
ことを願います。十分に理解し互いに尊敬しあう人民の下では過去のツ
ケは清算され、むしろ二度とこのような過ちは犯すまいという有益な教
訓が得られるでしょう。人民は両国の政治家が和解と協力の方向へ向か
うよう誘導すべきで、逆であってはならないのです。
同じく光栄なことに、昨年11月に中国で出版した『氷点故事』が久
保井真愛さん(訳注:久保井さんは現在、北京留学中のジャーナリズム
専攻の大学院生)の翻訳により、今秋日本僑報社から出版されることと
なりました。この本では過去十年間の中国一般人の実際の生活や考え、
変化に富んだ人生及び彼らの奮闘振り・闘いぶりを描いています。『氷
点故事』が中日両国民の相互理解増進に役立つことを願うとともに、日
本の皆様お一人お一人に読み物としても楽しんでいただけることを願っ
ております。
皆様に心より感謝いたします。
前中国青年報『氷点週刊』編集主幹
李 大 同
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【本書の目次】
はしがき
一 問われて久しい中国の教科書問題
二 文章の発表が困難に。総編集長との論争
三 袁偉時論文が引き起こした様々な激しい反響「大風」は青萍の末よ
り起こる
四 総編集長は言った。 『報道批評』は示唆によって書かれたのだ、と
五 台風の目の静けさ
六 生きるべきか死ぬべきか、それが問題だ
七 「私が地獄に落ちなければ、誰が落ちる」
八 「あなたは絶対に捕まったと思っていました!」
九 「胡錦涛様、「文明」(開明的識見)で私を説得してください」
十 陽はまた昇る!
十一 私たちは決して孤独ではない
十二 事態の進展
十三 「畜生、こうなったら正月返上だ」
十四 最後の結着
十五 結び、終わりのない終わり
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書誌データと注文方法
書名 『氷点』停刊の舞台裏
著者 李 大同(り だいどう)
監訳 三潴正道
訳者 而立会
発行 日本僑報社
判型 A5判300頁
定価 2500円+税
発売 2006年6月28日 初版発行
2006年7月28日 再版発行
注文 171-0021東京都豊島区西池袋3-17-15日本僑報社
TEL 03-5956-2808 FAX 03-5956-2809
インターネット注文先 http://duan.jp/item/037.html
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日中関係・華僑華人情報専門誌・毎週水曜日発行 編集発行:段躍中
1998年8月創刊・無断転載禁止。
著作権は日本僑報社またはその情報提供者に帰属します。
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