日本僑報電子週刊(旧:在日中国人動態) |
この記事の発行者<<前の記事
|
次の記事>>
|
最新の記事
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
日本僑報電子週刊 第452号 2005年2月9日(水)発行
http://duan.jp 編集発行:段躍中(duan@duan.jp)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■耿碩宇著書『陸游・陸詩に関する研究』刊行特集■
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■目次■
●特別転載★久武哲也先生が本書に寄せられた序文
内容紹介
目次
著者紹介
書誌データ
●編集後記★耿碩宇先生は22日東京で記者会見する予定
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
●特別転載★久武哲也先生が本書に寄せられた序文
耿さんが中国から日本へ来られて間もない頃に、私の教えていた学生
とともに、松江へ行く機会がありました。晩秋の荒れる日本海の波を見
ながら、「これが海ですか。水に香りがあります」という耿さんの言葉
に、私は潮の香りに対する新しい経験を得た思いがしました。松江の雨
の中、静かに降り下る雨滴を見上げながら、「雨が町を掃除しています
」という耿さんの言葉によって、松江の町は、突然に美しい詩的な世界
へと変わっていったのです。
それは、おそらく私にとって、中国の言葉の世界と日本の言葉の世界
とが出会った時の、不安定な結びつき方のゆえに感じとることの出来た
新しい別世界の感覚だったのかも知れません。世界が新しく創られた、
としかいいようがありませんでした。自分の言葉が新しい言葉に触れた
時に起こる、自然の発酵とでもいうのでしょう。
私は、文学を志す者でもなく、また中国語を充分に学んだ者でもあり
ません。一介の地理学徒にすぎませんが、異なった世界を旅した時に出
会う不思議な感覚と興奮にも似た、別世界の香りを、耿さんの発する言
葉の中に感じとることができたのです。正確な翻訳というものが、おそ
らくあり得ないように、言葉の持つエネルギーは、時に、その勢いに乗
って、正しい言葉を突きぬけていくようです。しかし、この言葉の持つ
エネルギーは、それを発するひとの持つ心のエネルギーに支えられてい
るのではないでしょうか。
中国の文化大革命の最中に、河南省の地で、黄河の洪水防止用の堤防
づくりに、毎日、裸足でかり出される中で手にした毛沢東選集の中の陸
游の一編の詩句が、耿さんの心のエネルギーの源泉なのかも知れません。
松江で発せられた詩的にも聞こえる耿さんの言葉の生まれ故郷は、黄河
の堤防の上で出会った陸游の言葉の世界であったのかも知れません。
私は、耿さんのこの著作が持つ言葉の底にあるエネルギーに、一種、
圧倒される思いでした。日本語としての正しさというレベルを超えて、
それを突きぬけていく言葉の勢いでした。十年以上にわたり、耿さんの
言葉との戦いを傍で見てきたもののひとりとして、それを証言したいと
いう思いから、この序文を書いています。そして、この間、耿さんのお
かげで、私自身も陸游の世界の一部に触れることが出来ました。心から
有難く思います。
遠い旅から帰って、野帳にはさんだ葉の一片を眺めながら、その葉を
採取した土地のことを思います。じっとそこに座って見ていた時の植物
の存在感が、私の身体の中に住みついていることを感じとるためです。
根のあった場所の、そこで得た葉っぱの魂を思うためです。
この著作が、耿さんの言葉との戦いの結果であり、また、その戦いを
見守ってきたのが陸游であったということを、読まれる方々が感じとっ
ていただけたらと願っています。陸游をめぐる研究が、また耿さんの言
葉との戦いが、多くの先学あるいは同学の人びとによって支援され、時
に批評されながら、新しい次元へと進んでいくことを心から願っていま
す。
平成十六(二〇〇四)年十月三日
久武 哲也
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
●特別転載★【内容紹介】
本書は、中国南宋以来八百年間、日本の江戸時代から始まり、近代台
湾、韓国に至る漢文学界における中国「最大」の詩人―陸游の評価、と
くに「閑適説」「憤激説」の二種類の性質をめぐる評論について、全面
的に調査し総括を行ったものであり、陸游・陸詩の「閑適説」・「憤激
説」の根源、秘密を探り、明らかにしようとするものである。八百年の
中国・日本・韓国の漢文学界における陸游・陸詩論争の「謎」を解く。
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
●特別転載★目次
凡例
はしがき
第一章 「閑適」説の検討
はじめに
第一節 南宋
第二節 元
第三節 明
第四節 清
第五節 日本
まとめ
第二章「憤激」説の検討
はじめに
第一節 南宋―元初
第二節 元―清前期
第三節 清―民国
第四節 現代中国
第五節 日本
まとめ
第三章 詩作に対する陸游の主張・態度から見た「閑適」説と「憤激」説
はじめに
第一節 陸游と江西派の関係
第二節 陸游の詩論
まとめ
第四章 陸游の人格から見た「閑適」説と「憤激」説
はじめに
第一節 陸游をめぐる「晩節」説の解説
第二節 「晩節」説の真因
まとめ
第五章 陸游の再評価
はじめに
第一節 陸游の思想形成の根源
第二節 陸詩の思想的価値
第三節 陸游の詩作をめぐる態度と道徳的倫理観について
第四節 陸游の後世への影響について
あとがき
【注】
【研究拾遺】陸游「蔭補登仕郎」年歳考
【添付資料】A
【添付資料】B
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
●特別転載★著者略歴
耿 碩宇(こう せきう)
1955年中国河南省の農村に生まれる。1987年まで農民として(農業技
術員・農業機械師)田畑を耕しながら文学に励んだ。1987年北京人文函
授大学卒業。1988年より襄城県機械廠にて農用機械製造に従事。1991年
来日。2000年桃山学院大学修士課程修了、文学修士の学位を取得。現在、
甲南大学博士後期課程に在学中。
主要論文 「父が語った花岡事件」(墨面訳、『花岡鉱泥の底から』
第7集、中国人強制連行を考える会、1966年6月)、「花岡事件と戦後日
本」(『社会文化研究』第3号・社会文化学会・2000年2月)、「中国に
おける親族呼称と親族観念」(『甲南大学紀要』文学編、社会科学特集、
2003年度、131号)、「中原農民にとっての『城』と『寨』」(『甲南大
学紀要』文学編、社会科学特集、2004年度、136号)。
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
●特別転載★書誌データ
陸游・陸詩に関する研究
2005年3月28日初版第1刷発行
A5判、上製、360頁 定価8800円(税別)
著 者 耿碩宇
発行者 張景子
発行所 株式会社 日本僑報社
333-0866川口市芝5-6-6
電話048-432-7332 FAX048-432-7335
http://duan.jp
振替 00140−3−583886 日本僑報社
ISBN 4-86185-002-9
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
●編集後記★耿碩宇先生は22日東京で記者会見する予定
耿碩宇先生は私より3歳上のお兄さんである。もちろん、学問の面でも
私の手本である。今回の大著である『陸游・陸詩に関する研究』は、多
くの方々に推薦したい。
耿碩宇先生は、今月22日の東京で行う予定の記者会見に参加される予
定である。第四回日本僑報社新刊発表会の一冊として、マスコミの方々
に『陸游・陸詩に関する研究』を紹介する予定。
学生時代、私も陸游の詩を良く暗誦した。多くの中国人も陸游の詩を愛
していると思う。特に毛沢東の詩の中に、陸游の詩を受けた影響もある
と聞いている。日本語で360頁のスペースで、陸游と陸詩をどのよう
に分析しているのか、本当に興味津々である。
専門書であるため、発行部数が限られている。ぜひ図書館に推薦・リク
エストして頂きたく、多くの方々に活用してもらえれば、と考えている。
耿碩宇先生の博士論文も楽しみに期待している。
段躍中@2005.02.09・農歴正月初一
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
日中関係・華僑華人情報専門誌・毎週水曜日発行 編集発行:段躍中
1998年8月創刊・無断転載禁止。
著作権は日本僑報社またはその情報提供者に帰属します。
情報のご提供と問い合わせはduan@duan.jpへどうぞ
●中国研究書店e-shop→http://duan.jp●
■登録・解除http://www.mag2.com/m/0000005117.htm■
◇掲示板http://bbs.melma.com/cgi-bin/forum/m00026085/◇
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
この記事の発行者<<前の記事
|
次の記事>>
|
最新の記事
