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段躍中(日本僑報社編集長・日中交流研究所長)が執筆し、選んだ豊富な情報を毎週水曜日お届け。98年創刊以来、700号以上を無料で発行し、日中交流・在日中国人情報を知る上で欠かせないと自負。【まぐまぐ大賞2006ノミネート】 




在日中国人動態  【号外】

発行日: 2003/6/11

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 日本僑報電子週刊 第311号【号外】 2003年06月11日(水)発行
   http://www5b.biglobe.ne.jp/~duan/編集発行:段躍中
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  ■朱慧玲著『日本華僑華人社会の変遷』ダイジェスト特集■
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読者のご要望により、朱慧玲博士の著書である『日本華僑華人社会の変
遷』の第八章の第一節「現代日本華僑華人社会の変遷と展望」の主な内
容を配信致します。なお、全書の目次について、5月14日に配信され
た第304号日本僑報電子週刊をご覧ください。

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■目次■
 
●特別転載★第八章 第一節 現代日本華僑華人社会の変遷と展望

      一、日中関係と在日華僑華人社会の変遷
        1.日中関係の変遷
        2.在日華僑華人社会の境遇の変化
        3.日本華僑華人社会の「外在」変化と「内在」変化

      二、人口移動のプッシュ・プル理論と先進国の華僑華人社会

      三、日本華僑華人社会変遷の歴史学的・社会学的位置付け
         と予見的考察
        1.人口と構成の変遷についての歴史学的位置付け
        2.華人化についての社会学理論による位置付け
        3.発展についての予見的結論

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第一節 現代日本華僑華人社会の変遷と展望

一、日中関係と在日華僑華人社会の変遷

1.日中関係の変遷(略)
2.在日華僑華人社会の境遇の変化――日本社会の多元化と国際化(略)

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3.日本華僑華人社会の「外在」変化と「内在」変化

 「量」の「外在」変化を見ると、この20〜30年で、日本の華僑華人及
びその他のビザを持つ在日中国人の総数は、1972年の日中国交正常化当
時に比べて8倍になった。特にこの20年間は、ほぼ10年ごとに4倍になっ
ている。この伸び率は、米国やカナダなど典型的な移民国家の華僑華人
社会と比べても遜色がない。

 「質」の「外在」変化では、新華僑華人が絶対的な優勢を占め、中華
文化の息づかいを濃厚に残した新華僑華人社会が形成されつつあること
や、年齢及び知識レベル別の構成において日本の関連政策が移民に対し
て能力に基づいた選択を行うため、日本の華僑華人社会で急速に知識化、
低年齢化が進んでいることがわかる。在日中国人というグループで見る
と、65歳以上はわずか8438人で総数の2.5%だが、20〜44歳の青・壮年
労働人口は24.5万人を超え、73.0%を占める。中国の対外開放の拡大
と日本の関連法規の緩和に伴い、日本の新華僑華人の主要な「源泉」
である留学生、就学生、研修生が大量に流入、居住し、日本の華僑華人
社会全体の教育レベルを大幅に押し上げ、知識型移民を主体とする新華
僑華人社会が形成され始めている。

 「質」の「内在」変化(アイデンティティの変化)とは、日本社会の
外国人に対する「包容力」が高まるにつれ、また、華僑華人社会自身の
世代交代につれて、華僑華人社会はより日本社会に近づきつつあるとい
うことであり、それは政治的アイデンティティと文化的アイデンティティ
との急速な華人化に表れている。

 日中国交正常化という大きな枠の中で、また、日中両国が様々な分
野において人的交流をますます活発にする中で、日本の華僑華人社会
には内面外面ともに大きな変化が起こり、また今後も続いてゆくだろ
う。人口は大幅に増え、急激に低年齢化し、教育レベルが急速に上が
り、社会的影響力や経済力や科学技術力も絶えず強まっている。また、
アイデンティティが急速に華人化(現地化)し、新・老の華僑華人社
会は急速に、「同工異曲」ながら自然かつ穏やかに、日本社会に融合
・同化するという華人化の過程にある。

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二、人口移動のプッシュ・プル理論と先進国の華僑華人社会

(略)

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三、日本華僑華人社会変遷の歴史学的・社会学的位置付けと予見的考察

1.人口と構成の変遷についての歴史学的位置付け

 前述のとおり、近代において、中国人の日本への合法的な大量流入は、
日中両国の「開国」の産物であった。1840年のアヘン戦争後、清国政府
が「開国」を迫られ、その結果、合法的に且つたくさんの中国人の出国
が可能になった。1858年の日本の「安政の開国」によっても、中国人が
合法的に日本に渡ることが可能となった。1871年、日中両国は「日中修
好条約」を締結して正式に外交関係を築き、中国商人が合法的かつ自由
に日本の開港都市に出入りし、商業貿易活動に従事することが許される
ようになった。これ以降、在日華僑の「量」は増加の一途をたどり、「
質」的には商人が主体となった。日本の中国侵略戦争期、華僑は「敵国
民」として政治経済ないしは日常生活に到るまで厳しい制限を受けた。
そのため大量の華僑が中国への帰国を迫られ、華僑華人社会は壊滅的な
打撃を受けた。第二次世界大戦は日本の敗戦を以って終わりを告げ、台
湾は中国に戻り、数万人に上る、日本「臣民」として日本に渡り定住し
ていた台湾出身者が、法令に基いて自己の意思の下に中国国籍を回復し、
在日華僑の仲間に加わった。これは在日華僑の「量」を2万人から4万人
近くに急増させただけでなく、台湾省籍の人々が主体となったことで華
僑華人社会の構成、つまり「質」にも変化を与えた。新中国の成立から
1972年の日中国交正常化までの間は、日中の国家関係は不正常な状態に
あり、中国大陸から日本に渡り定住できる人はほとんどいなかった。こ
の二十数年の間、在日華僑華人の人数は5〜6万人の間を上下し、そのう
ち台湾出身者数が常に50%前後を占めていた。1972年に日中の国交が正
常化すると、両国の各分野における交流はかつてないほどに密接かつ頻
繁になり、華僑華人及び各種のビザを持つ合法的な在日中国人の総「量
」は、四十数万人まで急増した。その「質」もまたかつてないほど多様
になった。一群の活力に溢れた新華僑華人たちが、今既に生まれ育ちつ
つある。

 日中関係の変化はほぼその都度、華僑華人社会の「量」と「質」に大
きな変化をもたらしている。日中関係の前進後退もその度毎に、在日華
僑華人社会に深い時代の「烙印」を残している。一方でこれらの変化は、
現代の日本華僑華人社会を新と老の二大グループにはっきりと区分して
いる。もう一方で、それらは老華僑華人社会にアイデンティティの巨大
な「ジェネレーションギャップ」を産み出し、老華僑華人社会に「戦前
世代」、「日中国交正常化前世代」、「日中国交正常化後世代」という、
明らかにアイデンティティの異なる三つの「世代」によるグループを作
り出した。上述のような異なる世代、異なる時代の新・老華僑華人は、
各自の社会化の過程において日中関係発展史の深い「烙印」を押され、
今日のような「多種多彩」な在日華僑華人社会を形成している。

 日本の華僑華人の歴史は日中関係史を構成する一部分であり、日中関
係のバロメーターでもある。日本の華僑華人社会の発展史は常に日中関
係史の制約を受けてきた。日本の華僑華人の歴史には数回にわたる大き
な「量」及び「質」的激変が見られたが、これはすべて日中関係の激変
に直接起因するものであった。日本の華僑華人社会発展の前途は、日中
関係と切り離せないものである。日中関係がかつてない発展を見せた時
期、それは即ち在日華僑華人社会がかつてない発展を見せた時期と重な
っている。日中関係が緊張あるいは対立した時期には、華僑華人社会も
萎縮、後退している。

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2.華人化についての社会学理論による位置付け

 日本の新・老華僑華人社会は共に、「同工異曲」の急速な動態的変化
――即ち華人化の過程にある。華人化には二つの概念が含まれている。
即ち政治的な華人化と文化的な華人化である。

 老華僑華人社会は、四、五世代にわたる長い歳月の中で、一部の個人
について言えば、すでに完全な「世俗的同化」(完全同化)を果たして
いる。しかし老華僑華人社会全体から見れば、同化の最終地点に到って
いるとはいえず、まだゴードンの言った「文化、婚姻、アイデンティテ
ィ、組織、意識」等の同化段階に止まりつつ、「世俗的同化」に向けて
急速に歩を進めている過程にある。即ち政治的アイデンティティと文化
的アイデンティティが「同時進行」の華人化過程にあるのである。

 一方、一世を主体とする在日新華僑華人の華人化過程は、老華僑華人
とは異なり、政治的アイデンティティの華人化が文化的アイデンティテ
ィのそれよりも先行する傾向である。老華僑華人社会が自然に華人化し
た状況と比べると、新華僑華人が華人化する過程にはより多くの不自然
な要因が含まれている。

 日本の新・老華僑華人の同化が進むには、かなりの段階的相違や「質」
及び「量」的な違いがあるものの、両者はともに「同工異曲」ながら急
速に完全同化へと向かう過程にあり、この点では共通しているのである。

 ゴードンの同化理論を参照すると、本論で述べた日本の華僑華人社会
の華人化は、同化全過程中の、ある動態的変化段階にあり、完全同化に
は到っていないが絶えずいずれかの同化段階にある。現在は正に、中国
人でもなく日本人でもないという、どちらでもない「境界人」の段階に
ある。各段階で異なるレベルの同化により、彼らの持つ「境界性」は徐
々に消失していき、最終的には「異なる文化を持つ集団が一つの共通の
文化(即ち日本文化)を持つに到る過程」――「世俗的同化」(完全同
化)を完成することになるだろう。

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3.発展についての予見的結論

 日中両国の国家関係と、多方面にわたる交流や協力が安定的かつ健全
に発展するにつれ、また、日本の関連政策や法規が緩和されるにつれ、
日本の新華僑華人の主要な「源泉」である留学生、就学生及び研修生等
の数が飛躍的に増加し、「日本人の配偶者等」やその他の身分で日本に
渡り定住する中国人も大幅に増加するだろう。また、日本の科学技術面
の人材不足に伴い、「技術移民」等に類似する身分で日本に渡る中国人
も激増すると思われる。1995年以降、在日中国人や華人が年平均3万人
(華僑等2万、華人1万)の割合で増えていることから、ひかえめに予測
しても、今後10年間に在日中国人や華人が年平均5〜10万人増える可能性
が高い。これに鑑み、21世紀初めの10〜20年間は、華人、華僑、及びそ
の他の合法的な在日中国人の総数は100万に迫り、あるいはそれを超え
る勢いとなるだろう。

 日本の新・老華僑華人は、「同工異曲」ながら急速に華人化しつつあ
るが、その一方で、よりたくさんの新しい新華僑華人(論述の便のため
以下本論では21世紀以降に形成される華僑華人を「新・新華僑華人」と
呼ぶ)の一群が静かに興隆し、そして、「老、新、新・新」の三者が並
存する日本の華僑華人社会が、新世紀の到来と共に生まれ、発展してい
くだろう。

 前述したの人口移動の「プッシュ・プル理論」に基づけば、「人口の
移動(流出)には往々にして逆流が伴う」。日本に「流出」する中国人
の激増に伴い、「逆流」(恒久的な、あるいは暫時帰国を含む)する人
々や日中間を「往復流動」する華僑華人も大幅に増えるだろう。日中両
国間を行き来する、華僑華人の空前の「大流動」時代が訪れようとして
いる。日本の華僑華人社会のかつてない発展の時代が到来しようとして
いるのである。

 21世紀における日本の華僑華人社会の空前の大発展は、日中両国の多
方面にわたる協力や交流に未曾有の好機をもたらすだろう。と同時に、
両国政府の関係部門や、華僑華人社会自身にも、一連のかつてない課題
が突きつけられることだろう。

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『日本華僑華人社会の変遷』書誌データ

書誌データ
ISBN 4-931490-50-6 C0039
書 名:日本華僑華人社会の変遷――日中国交正常化以後を中心として
著 者:朱慧玲
監修者:段躍中
訳 者:高橋庸子
発行者:張景子
発 行:日本僑報社
定 価:本体9800円+税【限定発行】
判 型:上製A5版288ページ

詳しくはhttp://www5b.biglobe.ne.jp/~duan/へどうぞ

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 日中関係・華僑華人情報専門誌・毎週水曜日発行 編集発行:段躍中
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無断転載禁止。著作権は日本僑報社またはその情報提供者に帰属します。
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