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Wing-Mel No.1452 四川省災害復興でますます増える手抜き工事(泉幸男)

発行日: 2008/6/13

■■■■■■■■■ JOG Wing ■ 国際派日本人の情報ファイル■

         四川省災害復興でますます増える手抜き工事

                                                     泉幸男
■転送歓迎■ No.1452 ■ H20.06.13 ■ 9,879 部 ■■■■■■■


    --------------------------------------------
    国際派時事コラム「商社マンに技あり!」
    http://www.f5.dion.ne.jp/~t-izumi/
    第229号(平成20年5月27日発行)より、
    著者の許可を得て、転載
    --------------------------------------------


  ◆ 配信誌「商社マンに技あり!」の読者の集い ◆  


(主催:配信誌主宰・泉幸男、協力:株式会社フェザード)

1.日時:7月19日(土)午後4〜6時(3時40分開場)

2.場所: 学士会館 203号室
      東京都千代田区神田錦町3−28
      (地下鉄「神保町」駅A9出口から徒歩1分)
   http://www.gakushikaikan.co.jp/info/access.html
      
3.会費: おひとり 1,500円(会場代・資料代等)
      当日、会場でお支払いください。

4.プログラム:

第1部 語学のコツ講座 
    「英語のキモは句動詞 (phrasal verb) だ」

   (原稿が仕上がりました。けっこうタメになるはず)

第2部 「現代詩の瞬間」
    6篇の詩の朗読をミュージカルふうに行う試み

   (吹田市のイベントでも 吉野 弘さんの「夕焼け」を
        朗読朗誦、解説して、ご好評をいただけました。)

第3部 トーク 「17の質問」(ゲスト:香坂夏希さん)

ゲストの香坂夏希(こうさか・なつき)さんは、声優や舞台
のお仕事で活躍しているタレントです。

その舞台を拝見しブログでほめたのがきっかけで、所属プロ
ダクションさんとご縁ができました。

(香坂夏希さんのサイト↓)
http://www.feathered.com/talent/natsuki_k/

5.小学生およびそれ以下の児童の参加は、保護者の同伴が
  あっても一律にお断りします。ご了承ください。

6.参加申込み:

参加のお申し込みは以下のアドレスに、お名前(本名)と
お住まいの都道府県をお知らせください。定員は96名です。
mailto:t-izumi@f5.dion.ne.jp

(↑クリックするとメール画面がひらきます。
ないしは、この配信メールに単純に返信する形で送っていた
だいても、当アドレスに届きます。)


= = = =


 四川省大地震で、鉄筋ぬきの手抜き建築の悲劇が世界中に
知れ渡り、数多くの家族を涙の河に突き落としたからには、
今後はこれを教訓に手抜き工事の取り締まりが強化されて、
次なる災害に備えることだろう……

 ……と、日本人なら考えるのだが、それが通用しない異文
明の地こそ中国であることを、ある新聞記事が改めて思い知
らせてくれたので、ご紹介したい。


■ もういちど大地震が起きるまで ■


 いわく、

 被災地復興で手抜き工事は激増するだろう。

 今回手抜き工事が明らかになっても、誰も罰せられていな
いから。

 大地震がいちど起きれば、そのあと相当の期間は同じ大地
震は起きまいと、業者は達観している。

 手抜き工事は、もういちど大地震が起きない限り発覚しな
いのだから、被災地復興は手抜きをしても大丈夫。

 復興建設こそ、質より量が優先されてしまうのだ ――


 そんな、驚きのインタビュー記事を、中国・広東省の『珠
江晩報』紙が5月26日に配信していた。

 長い記事ではないので、全文を訳してご紹介する。
 (中見出しはコラム子がつけた。原文にはありません。)

 記者名は「潘多拉(はん・たらつ)」とある。
 おそらくペンネームだ。


= =


≪   すすむ災害復興  工務店社長が警告


地震救済作業が急がれるなか、復興建設も計画実施の段階と
なった。

わたしの知り合いの工務店社長もおかげで仕事にありついて
いる。

さっそく質問してみた。

「今回の地震で倒壊した建物の多くは学校で、たくさんの生
徒たちが悔しい思いを残して死んでいった。

あれはやはり、世に言われる <豆腐渣工程(おから工事 =
手抜き工事)> だったのでしょうか」


■「正直、無理だね」■


工務店の社長の答えはあっさりしたものだった。

「倒壊した建物のプレハブ建材には鉄筋が1本も入ってなか
ったろう。訊くまでもないことだろうよ。

べつに工務店のおやじでなきゃ分からぬものでもあるまい。
バカでも一目見りゃすぐ分かることさ」

そこでわたしは言葉を継いだ。

「それなら今後の復興建設では、業者さんたちはこれを教訓
にして <おから工事> の根絶に努力することでしょうね」

工務店社長は苦々しそうな笑いをうかべた。
「正直、無理だね」

わたしは仰天した。

「よりによって災害復興というのに、また <おから工事> 
をやるだなんて!
報いが怖くないんですか?」


■ 賄賂の連鎖でうまれた「裏ルール」■


「報いだって? 地震そのものだろ、報いって。
地震以外に、何の報いがあるってんだよ」

工務店社長いわく、耐震基準を下回る工事をするのが土建業
界の「裏ルール」になっているという。

建設業者、デベロッパー、オーナー会社から、計画・開発・
入札・建設・監督に何らかのかたちで関わる人たちまで、

それぞれ気がついては いても あえて口には出さず、
それぞれの段階で賄賂を貰い受けさえすれば、誰も追及など
しない。

工務店社長が心配しているのは、災害復興にあたって手抜き
工事がさらに増えるだろうということ。

広い面積にわたり大規模の工事を、限られた時間内に集中し
て仕上げなければならない。

計画・入札・管理監督のそれぞれの局面が繁忙化し、仕事量
もふえて、いきおい管理監督も行き届かなくなる。

そうなれば、建設業者・デベロッパーが手抜き工事をしても
見つかるリスクは低い。


■ 建設業者の確率論 ■


そして、建設業者・デベロッパーからすると、そもそも或る
場所で大地震が起こる確率というのは低いのだから、

ましてや同じ場所で短期間の間に再び大地震が起きる可能性
はもっと低い。

そう判断して 一部の建設業者・デベロッパーは なにはばか
ることなく安心しきって「手抜き」のやりたい放題なのだ。

工務店社長の分析は、たしかに論理が一貫していて、まさに
建設業界の実情を反映したものだった。

そらおそろしいばかりだ。

わたしは絶望の思いでたずねた。

「もう、どうしようもないのでしょうか」


■ 目の前にある手抜き工事の厳正処罰が先だ ■


工務店社長は表情をやや和らげて言った。

「なんとかならんわけでもない。
取り締まりが本気で行われるかどうかだな」

工務店社長いわく、1998年の洪水のとき、江西省の九江
で長江(揚子江)の堤防が決壊し、朱鎔基総理が激怒して堤
防工事の「手抜き」ぶりを非難したことがあった。

ところがそのときも、誰かが責任を追及されたなどという話
は聞こえて来なかった。

今年はじめの中国南部の雪害でも、電線関連の「手抜き」が
見つかったが、責任追及の話は聞こえてこない。

過去の失敗に懲りないかぎり、それを教訓にして慎重になる
わけもない。

もし今回の復興工事でさらに手抜きを増やしたくなければ、
先ず初めに地震によってさらけ出された手抜き工事の数々を
厳正に処罰するしかないな。

それ以外に方法はないな……。


■ 目覚めよ! ■


復興工事で手抜きがさらに増えるだろう、とは!

これは、良心がまだ残っている工務店社長の警告だ。

施策策定部門・管理監督部門の官僚・事務官諸氏には、この
声が聞こえているか? 目が覚めてくれたろうか?≫


= = 


 以上が『珠江晩報』紙の記事である。


 地方レベルの目をおおうべきモラルの低さを、高い理想を
掲げて取り締まってくれる存在としての都の皇帝。

 これが、中国の代々の王朝の存立を支えた中国人民の幻想
だった。

 だから、地方役人の悪辣に苦しむ民が、皇帝に訴え出るた
めに上京するという伝統は、中国で脈々として今日まで受け
継がれている。

 今日の北京の中央政府は、苦しみの日常からの突破口を求
める地方の人民から救い主に見立てられ、幻想を抱いてもら
うことで成り立っているところがある。


■ 幻想が崩れるとき ■


 しかし悲しいことに共産党の北京政府もまた、賄賂の連鎖
にからめとられ、地方の隅々にまで張り巡らされた親分・子
分関係の頂点に位置しているに過ぎない。

 毒入り餃子の件にせよ、数多くの手抜き工事にせよ、処罰
らしい処罰が一向に行われない。

 それは、数え切れないほどの人々が賄賂に絡めとられてい
るからだし、犯人らが親分のまた親分のまた親分の共産党幹
部の庇護をしっかり受けているからだ。

 子分を救ってやるのが親分の甲斐性(かいしょう)。

 子分をいかに救ってやれるかということもまた、中国では
権力闘争の一形式なのである。
(そしてたまに捨て石になる子分もいる。)

 親分・子分関係の頂点、賄賂の連鎖の頂点に中国共産党の
中央組織が君臨していることが人民の目に明らかになったと
き、中華人民共和国を支える幻想ががらがらと音をたてて崩
れる。

(それがこわいから中国ではメディアへの規制が激しい。)

 崩れるのは、学校の建物だけではないのだ。

 『珠江晩報』の潘多拉(はん・たらつ)さんの声を聞け。
 工務店のおやじの声を聞け。


===


▲ 後記 ▼


 5月25日に大阪府吹田市で行われた伊勢雅臣さんの講演会
にゲスト出演させていただきました。

 前日夕方にご案内したにもかかわらず、当誌をみて来てく
ださったかたも5〜6名おられたそうです。ありがとうござ
いました。

 全体では定員30名を超えるかたが来られました。

 後半に登場したわたしは、前半に参加者が伊勢雅臣さんに
出した質問に答えることから始めて、最初から脱線し、その
後も準備していた脱線ネタにつなげてしまったので、

 いわば鉄道車輌で一般道を走り続けるみたいなことをして
しまいました。

 参加者アンケートを拝見すると、脱線なりにいささかのお
役に立てたようなのでほっとしています。

 論題のためにもともと準備して線路は、きょうの配信の後
半に書いたようなことです。

 論題について話を聞くつもりで吹田市の講演会に来られた
方へのおわびもこめて、配信させていただきました。


  さいきんのコラム子のブログ記事から ――


中国・深センの「スイス」テーマパークの破綻の構造  
http://plaza.rakuten.co.jp/yizumi/diary/200805210000/

 スイスのインターラーケンの景観をコピーしたテーマパー
クが中国・深センにある。

 その投資額と採算について、TIME誌の平成19年12月24
日号に書いてあるのを今ごろ読んだ。

 890 ヘクタールの敷地に人工湖をつくり「湖畔」の建物群
を整えた。
 部屋数300室の5つ星クラスのホテルもつくった。

 従業員は 3,000名という。たぶん融資を得るための条件と
なった地元雇用貢献ですね。

 投資額は4億5千万ドル(470億円)。

 ところが入場客は1日わずか 2,000名で、のっけから破綻
へまっしぐらなのだ。


バイオ燃料用の代替作物がかかえる怖さ。暖竹、南洋油桐… 
http://plaza.rakuten.co.jp/yizumi/diary/200805230001/

 人間や家畜の口に入るべき玉蜀黍(とうもろこし)や砂糖
黍(さとうきび)を、車輌のエンジンで燃やす材料に使う今
日の「バイオ燃料」のありかたは、偽善的で嫌いだ。

 ところが、その代替作物(?)としてもてはやされている
植物も、そらおそろしい問題を抱えているという。

 ダンチク、ナンヨウアブラギリ、って知ってましたか?


==


<泉 幸男 著>


   『中国人に会う前に読もう  第一線商社マンの目』 

『日本の本領(そこぢから)  国際派商社マンの辛口メモ』

               通 信 販 売 も 受 付 中
         http://homepage2.nifty.com/sai/mart/


==

■主宰   泉 幸男(いずみ・ゆきお)

http://www.f5.dion.ne.jp/~t-izumi/
(旗艦ウェブサイト。これまでの号もここで見られます)
http://plaza.rakuten.co.jp/yizumi/
(週に3回ほど更新しているブログ)

■発行者への通信は mailto:t-izumi@f5.dion.ne.jp
 いただいたメールは、引用することがあります。
  引用内容が政治性を強く帯びたものについては、掲載につ
いて ご本人の事前了解をいただくつもりですが、 この辺の
采配は発行者にお任せいただくしかありません。
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