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Wing-Mel No.1426 アインシュタインと日本(斎藤吉久)

発行日: 2008/4/11

■■■■■■■■■ JOG Wing ■ 国際派日本人の情報ファイル■

                  アインシュタインと日本
            ─美しい自然から生まれた国家制度─
                                                   斎藤吉久
■転送歓迎■ No.1426 ■ H20.04.11 ■ 9,671 部 ■■■■■■■

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    メールマガジン「斎藤吉久の『誤解だらけの天皇・皇室』
    vol.24」より、著者の許可を得て、転載。
    http://www.melma.com/backnumber_170937_4040179/
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▼残された旅日記

     アルベルト・アインシュタインといえば、科学者として世界
    史に名を残す一方、日本の伝統美と日本人の純粋性を深く理解
    した代表的西洋人の1人として知られます。

     大正11(1922)年11月に日本の出版社の招きに応じて来日し、
    九州から東北まで各地をめぐり、大学で相対性理論を講演した
    ほか、明治神宮や日光東照宮などに参詣し、さらに皇后陛下に
    謁見、能楽や雅楽を鑑賞し、有名無名の日本人と交わり、「日
    本のすばらしさ」に魅せられました。

     招請を受けたとき、アインシュタインは「このチャンスを逃
    したならば、後悔してもしきれない」と思ったといいます。世
    界各国を旅したアインシュタインですが、「日本ほど神秘のベ
    ールに包まれている国はない」からです。

     残された旅日記によると、まず感動したのは日本の美しい自
    然でした。

         「日本の海峡を進むとき、朝日に照らされた無数のすば
         らしい緑の島々を見た」


▼「人間と自然との一体化」

     アインシュタインは各地で日本の「光」に惹かれました。京
    都では「魔法のような光が通りや小さな家を照らしていた。……
    下に見える町のほうには光の海が連なっていた。非常に感銘を
    受けた」。展望車に乗って東京に向かう途上では「雪に覆われ
    た富士山は遠くまで陸地を照らしていた。富士山近くの日没は
    この上なく美しかった」。

     自然以上に輝いていたのは、日本人の「顔」です。日本行き
    の船上で出会った日本人客を観察し、「日本人は他のどの国の
    人よりも自分の国と人々を愛している」ことを知ります。彼が
    出会った日本人は、「欧米人に対してとくに遠慮深かった」。
    京都のホテルの給仕は「素朴で、おとなしく、とりわけ感じが
    いい」。東京で、芸者の踊りも見ました。「かかる種類の女性
    を標準にして、その国民性が分かる。日本の芸者は非常に謙遜
    な態度で上品ではないか。……日本国民の上品でゆかしいこと
    がこれ一事で分かる」。

     そうした国民性はどこに由来するのか。アインシュタインは
    自然との共生と見抜きます。「日本では、自然と人間は一体化
    しているように見える。この国に由来するすべてのものは、愛
    らしく、朗らかであり、自然を通じて与えられたものと密接に
    結びついている」。


▼アインシュタインの懸念

     「自然と人間の一体化」を示すものは、日本の民族宗教であ
     る神道と神社建築でした。高松四郎宮司の案内で参拝した日
     光東照宮は、「自然と建築物が華麗に調和している。……中
     央の建物は多彩な木彫りで飾られており、すばらしい。……
     自然を描写する慶びがなおいっそう建築や宗教を上回ってい
     る」。厳島神社では、「優美な鳥居のある水の中に建てられ
     た社殿に向かって魅惑的な海岸を散歩する。……山の頂上か
     ら見渡す瀬戸内海はすばらしい眺めだった」。

     そしてアインシュタインの探求心は天皇にも及びます。熱田
    神宮では「国家によって用いられる自然宗教。多くの神々、先
    祖と天皇が祀られている。木は神社建築にとって大事なもので
    ある」と印象を述べ、京都御所では「私がかつて見たなかでもっ
    とも美しい建物だった。……天皇は神と一体化している」と見
    るのでした。

     美しい自然とその自然に育まれた日本人の国民性を高く評価
    したアインシュタインは、他方で伝統と西洋化の狭間で揺れる
    日本の近代化を熟知していました。であればこそ、旅の途中で
    書いた「印象記」のなかで、「西洋の知的業績に感嘆し、成功
    と大きな理想主義を掲げて、科学に飛び込んでいる」日本に理
    解を示しつつ、「生活の芸術化、個人に必要な謙虚さと質素さ、
    日本人の純粋で静かな心、それらを純粋に保って、忘れずにい
    て欲しい」と訴えることを忘れませんでした。

     それから80年、アインシュタインの心配は現実になっていな
    いでしょうか。


     参考文献=アルバート・アインシュタイン『アインシュタイ
    ン、日本で相対論を語る』(講談社、2001年)など


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