| >> 記事トピックス一覧 |
Cinemaの王国 vol.489〜『潜水服は蝶の夢を見る』
発行日時: 2008/2/20
///////////////////////////////////////////////////////////////////////
アカデミー賞の発表が近づいてきました。今年は何が受賞するのでしょうか。
個人的には、コーエン兄弟の『ノーカントリー』に期待しているのですが。
本日取り上げたのは、そのアカデミー賞で、監督賞などにノミネートされた作
品です。
なお、今週は本日1回のみの発行になりそうですので、よろしくお願いいたし
ます。次号は1週間後の予定です。
///////////////////////////////////////////////////////////////////////
〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
【INDEX】
◆1.今週のこの1本!
―『潜水服は蝶の夢を見る』―
◆2.メールちょうだい
◆3.ぽちのひとりごと
〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆1.今週のこの1本! 〜『潜水服は蝶の夢を見る』〜
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
● 『潜水服は蝶の夢を見る』(LE SCAPHANDRE ET LE PAPILLON)
(2007年 フランス・アメリカ)(上映時間1時間52分)
監督:ジュリアン・シュナーベル
出演:マチュー・アマルリック、エマニュエル・セニエ、マリ=ジョゼ・ク
ローズ、アンヌ・コンシニ、オラツ・ロペス・ヘルメンディア、ジャン=ピ
エール・カッセル、マリナ・ハンズ、マックス・フォン・シドー
*シネカノン有楽町2丁目、シネマライズほかにて公開中
ホームページ http://www.chou-no-yume.com/
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
<ストーリー>
ELLE誌の編集長として順調な人生を送っていたジャン=ドミニク・ボビー(マ
チュー・アマルリック)は、ある日脳梗塞で倒れ、脳は正常なのに全身が麻痺
する「ロックト・イン・シンドローム」になってしまう。絶望するジャンだっ
たが、やがて言語療法士らの協力で、左目のまばたきでコミュニケーションを
取れるようになり、本を書き始めるのだが……。
<レビュー>
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ユニークな詩情あふれる映像で綴った「生」への讃歌
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
働き盛りに脳梗塞で倒れ、意識は正常なのに全身が麻痺してしまった雑誌編集
長が、わずかに意思表示できる左目のまぶたを使って、本を書き上げるという
実話に基いたお話。
まあ、これを聞いただけで大変な感動物語です。しかし、『夜になるまえに』
『バスキア』のジュリアン・シュナーベル監督は、直接的な感動とは無縁な映
画にしてしまいました。
冒頭は、倒れた後、意識が回復した主人公のシーン。とはいえ、カメラは主人
公を写すのではなく、主人公の周囲を曇りがちで頼りなげな映像で捉えます。
そうです!これは主人公ジャンの視界。この映画における映像の中心は、ジャ
ンが左目で見た世界をそのまま映し出しているのです。病室、医師、言語療法
士、家族や友人たちなどジャンが見たままを描き、彼が感じていることをモノ
ローグで綴っていきます。
おかげで、観客はまるで本人になったかのように、正常な意識と不自由な体と
のギャップに身悶え、いら立ち、絶望するジャンの気持ちをリアルに体験しま
す。ジャンの視覚の映像の間に、時々挿入される潜水服のイメージ映像が切な
く感じられます。それはジャンの現在の状態を象徴した映像です。
しかし、やがて言語療法士のアンリエットのサポートで、まばたきでコミュニ
ケーションをとるようになると、彼の気持ちは劇的に変化します。過去の記憶
と想像の世界に自らの意識を解放して、健康な時にもなかったような心の自由
を獲得するのです。
ここでカメラはこれまでのジャンの視覚を離れて、客観的な映像を織り交ぜ始
めます。ジャンの過去の回想、時間や空間も越える自由な想像を、美しく、生
き生きと焼き付けていきます。
こうしてジャンの視覚の映像と、そこを離れた映像を巧みに使い分けているの
がこの映画の素晴らしいところ。撮影のヤヌス・カミンスキーは、『宇宙戦
争』『ミュンヘン』をはじめスピルバーグ作品でおなじみの撮影監督です。
本来なら重たいドラマのはずなのに、あちらこちらにユーモアがちりばめられ
ているのもユニーク。主人公のキャラが皮肉屋なので、へらず口のモノローグ
が飛び出します。エッチな視線なども登場して……。
全体を通して、ドラマ的には平板で盛り上がりに欠けます。ストレートな感動
がないことを物足りなく思う観客もいることでしょう。しかし、個人的には、
それを上回る魅力を持った映画だと思います。
観終わって伝わってくるのは、押し付けでないごく自然な「生」への讃歌。短
かったとはいえ、きっちりと自分の人生を全うした男への大きな拍手が聞こえ
てきます。
涙涙のベタベタな感動映画にはない、静かな感動が味わえる映画。詩情あふれ
る映像が心に残ります。
《ぽちの満足度》
★★★★☆
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆(+1/2★)
(見事な映像で綴られた「生」への讃歌。ドラマ性が薄いので、誰でも楽しめ
るわけではありませんが、観る価値は十分にあります。ちなみに、『エクソシ
スト』のマックス・フォン・シドーが渋い演技を見せています。)
(ぽち)
〔鑑賞データ〕
2008年2月16日(土)新宿バルト9にて。午後4時10分の回
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆2.メールちょうだいッ!!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「Cinemaの王国」は皆さんからのメールを活力に発行を続けておりまッす。
みなさんも「Cinemaの王国」へのメッセージや取り上げて欲しい作品のリクエ
スト、観た映画の感想など、気軽にメールをくださいネ。できれば名前(ハン
ドルネーム可)を本文中に明記してください。(メールは誌面で紹介する場合
もあります。載せて欲しくない方は、その旨を明記してください。)
・メールはこちらまで fwkg4052@mb.infoweb.ne.jp
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆3.ぽちのひとりごと
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
*初めて、新宿のシネコン「バルト9」に行きました。さすがに週末だけにかな
りの混雑ぶり。やっぱり便利なシネコンには人が集まりやすいようですね。
(ぽち)
このメルマガを読んでいる人はこんなメルマガも読んでいます
- 当たる懸賞 TOKUTOKU
- 豪華商品を当てた人はみんな読んでる?。毎日、厳選したお徳懸賞・プレゼント情報を探し出してき、それをメールマガジンでお届けする。ひと目で分かりやすいの...
- 宮崎正弘の国際ニュース・早読み
- 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析
- 楽得・納得 ケロッチのグータラ便
- 懸賞・プレゼント・季節のお買い物・グルメ情報・旅の情報などをお届けする総合情報誌です。
- こんな映画は見ちゃいけない!
- 映画批評系メルマガで読者数No.1! プロの編集者が簡潔な文章と的確な表現で書き下ろす「1分で読める新作映画批評」です。映画紹介だけのメルマガにはな...
- 欧州映画紀行
- ヨーロッパ映画専門マガジン。フランス映画を中心に、レンタルビデオで見られる欧州各国の秀作を紹介します。作品中の町並みや物語を通して、家にいながら欧州...
![メルマガスタンド[メルマ!]](/img/common/melma_logo.gif)







