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Cinemaの王国 vol.486〜『ラスト、コーション』
発行日時: 2008/2/8
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今週末、東京はまたしても雪の可能性があるとか。早く春が来ないかなぁ〜。
本日取り上げるのは、『ブロークバック・マウンテン』のアン・リー監督によ
る久々の中国語の作品。個人的には、タイプは違うとはいえ、前号で取り上げ
た『アメリカン・ギャングスター』と甲乙つけがたい作品でした。
なお、次週は発行人多忙につき、水曜または金曜1回のみの発行になるかもし
れません。
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【INDEX】
◆1.今週のこの1本!
―『ラスト、コーション』―
◆2.メールちょうだい
◆3.ぽちのひとりごと
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◆1.今週のこの1本! 〜『ラスト、コーション』〜
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●『ラスト、コーション』(LUST, CAUTION/色・戒)
(2007年 中国・アメリカ)(上映時間2時間38分)
監督:アン・リー
出演:トニー・レオン、タン・ウェイ、ワン・リーホン、ジョアン・チェン、
トゥオ・ツォンホァ、チュウ・チーイン、チン・ガーロウ
*シャンテシネ、Bunkamuraル・シネマほかにて全国公開中
ホームページ http://www.wisepolicy.com/lust_caution/
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<ストーリー>
1938年、日本軍占領下の香港。女子大生のチアチー(タン・ウェイ)は、大学
生クァン(ワン・リーホン)に誘われて、抗日運動のための演劇に加わる。や
がて演劇部の仲間たちは、日本の傀儡政府に協力する特務機関のリーダー、
イー(トニー・レオン)の暗殺を計画する。彼らは身分を偽ってイーに接近し、
チアチーもイー夫人に接近するのだが……。
<レビュー>
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アン・リー監督の妥協のないこだわりがつくりあげた禁断の愛の物語
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『ブロークバック・マウンテン』でアカデミー監督賞を獲得したアン・リー監
督の新作。日本軍占領下の上海と香港を舞台に、女スパイとそのターゲットと
なった高官との禁断の愛を描きます。
まあ、このテの話はよくありますが、リー監督の妥協を許さないこだわりの演
出によって、繊細かつ濃密な人間ドラマに仕上がっています。
映画のスタートは、1942年、日本軍占領下の上海。日本の傀儡政権の特務機関
幹部イーの夫人とその友人たちが麻雀をしています。その中には、マイ夫人と
呼ばれる若い女性もいます。いったい彼女は何者なのか?
ということで、そこからドラマは4年前にさかのぼります。中国本土から香港
にやってきた女子学生のチアチーは、抗日を説く男子学生クァンに憧れて、募
金集めの演劇に参加します。その後、彼らはイーの暗殺計画を立案。チアチー
も参加し、身分を偽ってマイ夫人となって、イー夫人に接近します。ところが、
この計画は思わぬところから失敗に終わり、最後にはとんでもないことになっ
てしまいます。
禁断の愛の物語とはいうものの、前半は「暴走する青春群像」という感じです。
抗日に燃える学生たちが、若さだけで理想に向かって突進し、そして夢破れる
ドラマ。学生運動で敗北した、かつての日本の若者を連想させたりもして……。
最初は舞台で芝居を演じていた学生たちが、やがて実生活でも芝居を演じて暗
殺計画を遂行する構図も効果的です。
禁断の愛のドラマの幕開けはそこからです。暗殺計画が悲劇的結末を迎えてか
ら2年後。上海で普通の生活を送っていたチアチーは、クァンと再会します。
その時、彼は本格的な暗殺部隊の一員となってイー暗殺を計画しており、チア
チーを組織に誘います。チアチーは誘いに応じて女スパイとなり、再びマイ夫
人となって自らの肉体を武器にイーに接近していきます。
女スパイとして危険な日々を送るチアチー。敵対者を容赦なく葬り去りながら、
暗殺の危機に脅えるイー。そんな尋常でない2人は逢瀬を重ねるうちに心惹か
れていきます。しかし、やがてついに決断の時がやってきます……。
全編を通して感じられるのがハンパではないこだわり。無駄なシーンは1つも
ありません。役者のセリフ、行動、表情はもちろん、セットや小道具まで、す
べてが隅々まで計算され、意味を持って描かれます。特に目につくのが登場人
物の視線。まさに「目は口ほどにものを言う」で、チアチーとイーをはじめ、
すべての人物が視線で多くの会話をしています。
そんな繊細で精密な心理描写が、チアチーとイーの内面を浮き彫りにしていき
ます。ただし、白黒をはっきりさせる描き方ではありません。チアチーはイー
に惹かれているのかそうでないのか。イーはチアチーを信じているのか疑念を
持っているのか。微妙な描写によって観客自身に解釈の余地を残します。それ
がよけいに2人のギリギリの心理戦をリアルに見せてくれるのです。
トニー・レオンの含蓄のある演技はさすがですが、驚かされたのは女スパイを
演じたタン・ウェイ。幼さの残る表情で、女スパイのいくつもの表情を演じ分
ける演技力は、とても新人とは思えませんでした。
そして、いよいよ事態が緊迫して、哀しく、切ない結末へ。余韻が残るラスト
も文句ナシによくできています。
この映画の話題の一つが過激なベッドシーン。確かにR−18が当然の過激さで、
局部のボカシも全開。でも、あそこまでいくと、かえってエロくないですヨ。
それより何より、リー監督はベットシーンにも、ちゃ〜んと意味を持たせてい
るんです。2人の人間性やその時々の心理状態を的確に表現しようとしている
から、ああいう激しいシーンになるのは自然な流れ。まあ3回ぐらいだしネ
(笑)。
暗殺計画を担う女スパイのサスペンスという側面もありますが、そちらには期
待しないこと。前半は暴走する青春群像、そして中盤以降は、まともでない状
況で出会い惹かれ合い、そして悲劇に至る男女の愛の物語として観れば、きっ
と心を揺さぶられるはず。
《ぽちの満足度》
★★★☆☆(+1/2★)
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆(+1/2★)
(隅々にまで感じられるこだわり、繊細な心理描写。どれをとっても完成度の
高いドラマ。好き嫌いはあれど、観る価値は十分にあります。)
(ぽち)
〔鑑賞データ〕
2008年2月2日(土)シネ・リーブル池袋にて。午後1時5分の回
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◆2.メールちょうだいッ!!
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「Cinemaの王国」は皆さんからのメールを活力に発行を続けておりまッす。
みなさんも「Cinemaの王国」へのメッセージや取り上げて欲しい作品のリクエ
スト、観た映画の感想など、気軽にメールをくださいネ。できれば名前(ハン
ドルネーム可)を本文中に明記してください。(メールは誌面で紹介する場合
もあります。載せて欲しくない方は、その旨を明記してください。)
・メールはこちらまで fwkg4052@mb.infoweb.ne.jp
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◆3.ぽちのひとりごと
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*明日から3連休か……。でも、仕事なんですよねぇ。しかも、来週は取材と
原稿書きでいっぱいいっぱい。
*明日からは『L change the World』『チーム・バチスタの栄光』『潜水服は
蝶の夢を見る』『団塊ボーイズ』などが公開スタートです。
(ぽち)
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