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個性派ライターによる映画レビューのマガジン。毎週1〜2本、新作映画を中心に言いたい放題で斬りまくります。

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Cinemaの王国 vol.377〜『イカとクジラ』

発行日: 2006/12/22

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☆   「Cinemaの王国」  vol.377(2006.12.22)
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☆★☆             http://homepage1.nifty.com/pochie/
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このメールマガジンは、自腹で年間100本以上の映画を観るライター(ぽち)が、
映画館で実際に観た映画の感想を書くマガジンです。配給会社など映画関係者
からの便宜供与は一切受けていません。
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いよいよ3日連続発行の最終日。最終日を飾るのだからド派手な大作かと思い
きや、ミニシアター系の映画です。その名も『イカとクジラ』。といっても、
『いかレスラー』とか『コアラ課長』あたりと似た映画ではありませんので
(笑)。なお、次号は来週水曜発行予定です。

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【INDEX】
◆1.今週のこの1本!
  ―『イカとクジラ』―
◆2.メールちょうだい
◆3.ぽちのひとりごと
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◆1.今週のこの1本! 〜『イカとクジラ』〜
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●『イカとクジラ』(THE SQUID AND THE WHALE)
(2005年 アメリカ)(上映時間1時間21分)
監督:ノア・バームバック
出演:ジェフ・ダニエルズ、ローラ・リニー、ジェシー・アイゼンバーグ、
オーウェン・クライン、ウィリアム・ボールドウィン、アンナ・パキン
* 新宿武蔵野館ほかにて公開中。順次全国公開予定
ホームページ http://www.sonypictures.jp/movies/thesquidandthewhale/
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<ストーリー>
1986年のブルックリン。落ち目の作家である父親バーナード(ジェフ・ダニエ
ルズ)と「ニューヨーカー」誌での作家デビューを控えた母親ジョーン(ロー
ラ・リニー)の間に生まれた16歳の兄ウォルト(ジェス・アイゼンバーグ)、1
2歳の弟フランク(オーウェン・クライン)は、ある日両親から離婚することを
告げられる。兄弟は共同監護という形で父母の家を行き来するが、2人ともス
トレスから学校で問題を起こすようになる……。

<レビュー>
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夫婦の離婚に翻弄される子供たちの迷走をシニカルに描写
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『ライフ・アクアティック』でウェス・アンダーソン監督と共同脚本を手掛け
たノア・バームバックが監督・脚本を手がけた自伝的映画。アカデミー脚本賞
にノミネートされるなど、アメリカではけっこう話題になった映画です。

早い話が家族の崩壊劇。両親の離婚によって、両方の家を行き来するようにな
った兄弟が、だんだんコワれていくお話です。

とはいうものの、涙、涙の大悲劇というわけではありません。子供たちが泣き
叫ぶような場面はほとんどナシ。むしろユーモラスなところも多く、登場人物
の言動を淡々とそしてシニカルに、独特のテンポとともに描いていきます。

どこまでがフィクションなのかは知りませんが、キャラクターがよくつくり込
まれています。特にジェフ・ダニエルズ演じる父親バーナードのヘンクツぶり
はケタはずれ。難解な作品を書くため出版社から見向きもされず、大学講師を
しているものの稼ぎは低く、そのくせ偉そうなことばかり言う。かと思えば教
え子に手を出したり……というバカ父親。

一方、父親とは正反対に売れっ子作家の道を前にした母も、子供を思う気持ち
はタップリだけれど、男性関係は激しくて……。

こんな両親だから、子供たちは苦労のし通しです。父宅と母宅を行ったり来た
りしながら、不安定な毎日を過ごすうちに、どんどんコワれていきます。その
あたりの微妙な心理描写がとても巧みです。兄弟それぞれのキャラクターもう
まく描かれています。

オープニングのテニスシーンを見ただけで、まだ離婚前だというのに、家族が
バラバラなことが一発でわかってしまうんですよ。そのへんもなかなか見事。

80年代が舞台ということで、当時の音楽もふんだんに出てきます。特にピン
ク・フロイドの曲が兄の迷走のキー・ポイントになっているあたりは、実にユ
ニークな仕掛け。

そして、兄にはもう1つ。タイトルの「イカとクジラ」に関わる秘密がありま
す。ラストに登場するのですが、とてもシュールなシーン。あれはやっぱり両
親の格闘を投影しているのでしょうか。

2人とも年齢が年齢だけに、セックスがらみのネタも多いのですが、これも
淡々とシニカルに描くので、そんなにイヤらしい感じはしません。

元夫が元妻に、ゴダールの『勝手にしやがれ』のラストシーンのセリフを言う
ところとか、細かなところまでアレコレ工夫された脚本です。

配役もビッグスターはいないけれど、シブいところを押さえていて、ジェフ・
ダニエルズ(『グッドナイト&グッドラック』)、ローラ・リニー(『ミステ
ィック・リバー』)の夫婦が良い味を出しています。子供役の2人もいいし、
元妻の恋人役でウィリアム・ボールドウィンが出ていたり、長男の彼女役でア
ンナ・パキン(『ピアノ・レッスン』)が出ていたりと、けっこうおもしろい
顔ぶれです。

考えてみたら、こういう崩壊家族って今の時代はどこにでもあるもの。だから
といって、「こんな両親を持ってもたくましく生きろ!」と子供たちにメッ
セージを発しているわけでも、「子供を悲しませちゃダメ!」と夫婦に釘を刺
しているわけでもないのですが、それがかえって心に余韻を残します。悲しい
話ではあるけれど、けっしてネガティブな気分にはならないはず……。

《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆(+1/2★)
(ジミだし、一般受けする映画ではありませんが、巧みな脚本で一見の価値は
ありそう。家族問題で悩んでいる人にはオススメかな?)
                            <ぽち>
〔鑑賞データ〕
2006年12月18日(月)新宿武蔵野館にて。午後3時40分の回



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◆2.メールちょうだいッ!!
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「Cinemaの王国」は皆さんからのメールを活力に発行を続けておりまッす。

みなさんも「Cinemaの王国」へのメッセージや取り上げて欲しい作品のリクエ
スト、観た映画の感想など、気軽にメールをくださいネ。できれば名前(ハン
ドルネーム可)を本文中に明記してください。(メールは誌面で紹介する場合
もあります。載せて欲しくない方は、その旨を明記してください。)
・メールはこちらまで fwkg4052@mb.infoweb.ne.jp
・ホームページの掲示板もオープン中です。いつも書き込みありがとうござい
ます。

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◆3.ぽちのひとりごと
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*あさってはクリスマス・イヴ。今年もロマンチックなクリスマスとは程遠く。
都内某ライブハウスで暴れてくるのだ!

*今週末は、東京国際映画祭三冠の『リトル・ミス・サンシャイン』、友近と
ユースケ・サンタマリアが夫婦を演じる『酒井家のしあわせ』、桃井かおり初
監督作品『無花果の顔』、アニメ『鉄コン筋クリート』、そして『大奥』、
『シャーロットのおくりもの』など話題作が一気に登場です。何を見ますか?
                           (ぽち)

〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜
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