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Cinemaの王国 vol.369〜『トゥモロー・ワールド』

発行日: 2006/11/24

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☆   「Cinemaの王国」  vol.369(2006.11.24)
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☆★☆             http://homepage1.nifty.com/pochie/
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このメールマガジンは、自腹で年間100本以上の映画を観るライター(ぽち)が、
映画館で実際に観た映画の感想を書くマガジンです。配給会社など映画関係者
からの便宜供与は一切受けていません。
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発行者が急病(風邪)のため今週は本日のみの発行です。実はまだ全快してい
なくて、今もフラフラしながら発行作業をしています。なので、来週もどうな
るかわかりませんが、できるだけ早く治して発行したいと思います。

話は変わって、先日ロバート・アルトマン監督がお亡くなりになられました。
群像劇の名手で『M★A★S★H』『ショート・カッツ』『 ゴスフォード・
パーク 』など優れた作品が多数あります。発行人はそれほどたくさん観ている
わけではありませんが、好きな監督の一人でした。この機会に作品をご覧にな
られてはいかがでしょうか。

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【INDEX】
◆1.今週のこの1本!
  ―『トゥモロー・ワールド』―
◆2.メールちょうだい
◆3.ぽちのひとりごと
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◆1.今週のこの1本! 〜『トゥモロー・ワールド』〜
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●『トゥモロー・ワールド』(CHILDREN OF MEN)
(2006年 アメリカ)(上映時間1時間49分)
監督:アルフォンソ・キュアロン
出演:クライヴ・オーウェン、ジュリアン・ムーア、マイケル・ケイン、キウ
ェテル・イジョフォー、チャーリー・ハナム、クレア=ホープ・アシティー、
パム・フェリス、ダニー・ヒューストン、ピーター・ミュラン
*日劇1ほかにて全国公開中
ホームページ http://www.tomorrow-world.com/
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<ストーリー>
2027年、人類にはすでに18年間も子供が誕生していなかった。希望を失った世
界には暴力と無秩序が拡大していた。エネルギー省の役人セオ(クライヴ・
オーウェン)は、元妻ジュリアン(ジュリアン・ムーア)率いる反政府組織に
拉致される。その目的は、ある少女を"ヒューマン・プロジェクト"という組織
に引き渡すために必要な"通行証"を手に入れることだった。結局、ジュリアン
に協力するセオだったが……。

<レビュー>
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圧倒的な映像と強力な問題意識を持った出色の近未来SF
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英国を代表する女流ミステリ作家P・D・ジェイムズの『人類の子供たち』を
『天国の口、終りの楽園。』『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』のアル
フォンソ・キュアロン監督が映画化。

舞台となるのは2027年。つまり、今から約20年後の近未来。18年間も子供が生
まれなくなった人類。そこに希望の光となるある少女が現れる。元妻で反政府
組織のリーダーに依頼されて、少女の通行証を手に入れた主人公セオは、彼女
を守る役目を担うことになる……。

近未来の話とはいえ、ここまでリアルなSFも珍しいのではないでしょうか。
なんといっても目を引くのが圧倒的な映像の迫力。手持ちカメラの映像などを
駆使して実に見事な映像を生み出しています。特にワンシーン、ワンカットで
撮影された後半の市街戦下での救出劇はすさまじい迫力。

しかし、それ以上にリアルさを生み出しているのが、舞台となる時代の描き方
です。テロの頻発、不法移民の急増、彼らを排斥する政府……。まさに、今の
時代の問題がそのまま顕在化したような時代なのです。9.11テロの話なども出
して、キュアロン監督自身の現代社会への批判、未来への危惧が明確に打ち出
されています。

とはいえ、小難しい話ばかりしているわけではなく、エンタメ性はそれなりに
確保しています。特に後半、少女を守るために混乱の中を必死で逃れようとす
る主人公たちの行動は、手に汗握るスリリングさ。

主人公と元妻が負った過去の傷、かつて優秀なジャーナリストだった協力者な
ど、それぞれの人物のドラマをさりげなく織り込んでいるところも、ドラマに
厚みを生み出しています。(はっきり語るわけではないので、ボーッとしてい
るとわからないかもしれませんが)

市街戦を切り抜けた主人公セオと少女との逃避行の行方は?
彼らを前にした兵士たちが道を明けるラスト近くのシーンは、神々しく、気高
ささえ感じさせるシーンです。

俳優陣は主人公役のクライヴ・オーウェン(『シン・シティ』『インサイド・
マン』)、その元妻役のジュリアン・ムーア(『ハンニバル』『めぐりあう時
間たち』)など渋いところを押さえています。主人公の協力者役のマイケル・
ケイン(『サイダーハウス・ルール』『バットマンビギンズ』も相変わらずい
い味出してますよねぇ〜。ロン毛だもの。

監督の平和への願いを感じ取らなければ、この映画の本当の価値はわからない
と思います。先ほども述べた現代社会への批判、未来への危惧が全編に貫かれ
ています。ジョン・レノンなどのUK音楽も、そうしたメッセージ性をさらに
高めています。そして、エンドロールのあとに表示される言葉……。そうです。
これはある意味で、近未来SFの形でキュアロン監督自身の平和や自由への思
いを表現した映画だともいえるのです。

もちろん、主人公たちのスリリングな逃避行をながめているだけでもそれなり
に楽しいのですが、何の問題意識もなしに、エンタメ性だけを期待して観にい
くと裏切られるかもしれません。全体を沈うつなムードが包み、とても胸がス
カッとするような映画ではありませんから。

しかし、もしもその沈うつさの中から、わずかな希望の光を見出すことができ
たなら、観終わったあなたの心は深い余韻に包まれることでしょう。

《ぽちのオススメ度》
★★★★☆
(最近のSFの中でも深みは一番かも。エンタメ性のみを求める人よりも、人
類の現在、そして未来について問題意識を持つ人が観るべき映画です)

                            <ぽち>
〔鑑賞データ〕
2006年11月18日(土)ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午後2時30分の回



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◆2.メールちょうだいッ!!
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「Cinemaの王国」は皆さんからのメールを活力に発行を続けておりまッす。

みなさんも「Cinemaの王国」へのメッセージや取り上げて欲しい作品のリクエ
スト、観た映画の感想など、気軽にメールをくださいネ。できれば名前(ハン
ドルネーム可)を本文中に明記してください。(メールは誌面で紹介する場合
もあります。載せて欲しくない方は、その旨を明記してください。)
・メールはこちらまで fwkg4052@mb.infoweb.ne.jp
・ホームページの掲示板もオープン中です。いつも書き込みありがとうござい
ます。

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◆3.ぽちのひとりごと
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*ついに風邪を引いてしまいました。熱はだいぶ下がって少しは良くなったも
のの、体がダルくてフラフラしてます。食欲もあまりないので、チョコレート
や飴でエネルギー補給してます。週末ははたして映画館に行けるのやら。みな
さまもどうかお気をつけください。
                                        (ぽち)

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■週刊「Cinemaの王国」  vol.369 (2006.11.24)
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