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Cinemaの王国 vol.337〜『花よりもなほ』『デイジー』

発行日: 2006/6/9

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☆   「Cinemaの王国」  vol.337(2006. 6. 9)
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☆★☆             http://homepage1.nifty.com/pochie/
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このメールマガジンは、ほとんど自腹で年間100本以上の映画を観るライター
(ぽち)が、観た映画の感想を書くマガジンです。
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最近気になる日本映画が多くて、日本映画をたくさん取り上げるようになって
います。とはいえ、たまたまそうなっているだけで、日本やアジア映画中心に
シフトしたわけではありませんので。念のため。などといいつつ、今週も日本
映画と韓国映画という組み合わせでお届けですが……。

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【INDEX】
◆1.今週のこの1本!
  ―『花よりもなほ』―
◆2.今週のもう1本!
  ―『デイジー』―
◆3.メールちょうだいッ!!
◆4.ぽちのひとりごと
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◆1.今週のこの1本! 〜『花よりもなほ』〜
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●『花よりもなほ』
(2006年 日本)(上映時間2時間7分)
監督・脚本・原案・編集:是枝裕和
出演:岡田准一、宮沢りえ、古田新太、中村嘉葎雄、浅野忠信、原田芳雄、田
畑智子、夏川結衣、石橋蓮司、上島竜兵、木村祐一、千原靖史、加瀬亮、平泉
成、絵沢萠子、寺島進
*丸の内ピカデリー2ほか松竹系にて全国公開中
ホームページ http://www.kore-eda.com/hana/
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<ストーリー>
元禄15年、徳川5代将軍綱吉の時代。父の仇を討つために信州松本から江戸に
出てきた若い武士、青木宗左衛門(岡田准一)は、貧乏長屋に住み着き、仇で
ある金沢十兵衛(浅野忠信)を捜し回るもののいまだ見つからず、使命を果た
せずにいた。しかも、この男ときたら、武士とは名ばかりで、剣の腕はまるで
ダメ。そんな宗左衛門は、やがて向かいに住む美しい未亡人、おさえ(宮沢り
え)に恋心を抱くのだが……。

<レビュー>
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
是枝裕和監督による人情時代劇は仇討ちのない反戦映画!?
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前作『誰も知らない』が大きな話題となった是枝裕和監督。これまではドキュ
メンタリータッチの作品を送り出してきただけに、新作が時代劇とはちょっと
意外。

ただし、時代劇といっても、痛快活劇のようにスカッとする映画ではありませ
ん。何しろ仇討ちをテーマにしながら、仇討ちシーンがないのです。そのあた
りを十分に覚悟のうえでご鑑賞を。

仇討ちのために江戸に出てきた若い武士と、彼が住み着いたオンポロ長屋の住
人たちを描いた、おかしくて、ポカポカ温かな人情コメディー時代劇です。

時は元禄15年。将軍綱吉の時代。生類憐れみの令が出され、赤穂浪士が浅野内
匠頭の仇を討つかどうかが大きな話題になっていた。そんな中、青木宗左衛門
という若い武士が父の仇を討つべく、必死で敵を探し求める……。

見た目はいかにも強そうな主人公・宗左衛門には、大きな秘密があります。な
んとムチャクチャに弱い武士なのです。しかも、優しい心の持ち主で、敵を見
つけても、相手の妻子を思いやってなかなか手が出せないという情けなさ。

コメディーとして笑いの中心になるのは、主人公よりはむしろ周囲の人々です。
古田新太、上島竜兵、木村祐一、千原靖史、平泉成らが演じる長屋の住人たち
は、みんな超個性的。おかげで、爆笑の連続とはいかなくても、全編を通して
クスクスと笑えるはず。

そうした人々と触れ合ううちに、仇討ちを目指す宗左衛門の心には次第に変化
が現れます。さらに、同じく長屋の住人である未亡人おさえへの恋心も、彼に
とって大きなターニングポイントとなります。

クライマックスに用意されているのは、意表を突いたある仕掛け。リアリテ
ィーにはやや欠けるものの、実に愉快な仕掛けです。その後に描かれる赤穂浪
士の寺坂吉右衛門のエピソードも、気がきいてますよねぇ〜。

貧しくても、明るく、たくましく生きる人々を見ているうちに、なんだかポカ
ポカと暖かくなってくる映画。悲惨な境遇に置かれながら、たくましく生きる
子供たちを描いた『誰も知らない』と共通するポジティブさがあるように思え
ます。

そして、何よりも印象に残ったのが、仇討ち、つまり報復の連鎖を明確に否定
する視点。「お父上の人生が残したものが憎しみだけだったとしたら、寂しす
ぎます」。おさえが言ったその言葉が、宗左衛門はもちろん観客の胸にもジワ
リと染みます。

むやみに武力に頼る武士階級のむなしさや、身分制度の愚かさなども批判しつ
つ、仇討ちという報復の連鎖を否定する是枝監督の視点は、もしかしたら9.11
後の世界情勢を見据えたものかもしれません。だとしたら、これって反戦平和
時代劇なのか?

とはいえ、それはあくまでも人情コメディーの枠の中でのこと。押し付けがま
しいところはまったくありません。そのへんも、問題意識を持ちつつも、最後
は観客に判断を委ねる是枝監督の姿勢がよく現れています。

とにかくキャラが立っているので、役者はみんな存在感があります。ただし、
主人公を演じる岡田准一はややカッコよすぎかも。それにしても宮沢りえの相
変わらずの美しさよ……。

観終わって是枝監督と時代劇という取り合わせの違和感は消えていました。最
後は人間を信じる温かさと、今の時代に対する問題提起が込められた、あと味
の良い映画でした。

《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆
(普通のコメディーとしてもそれなりに楽しい映画ですが、それ以上に報復を
否定する姿勢に大いに共感できました。)
                             <ぽち>
〔鑑賞データ〕
2006年6月3日(土)ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午後2時30分の


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◆2.今週のもう1本! 〜『デイジー』〜
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●『デイジー』(DAISY)
(2005年 韓国)(上映時間2時間5分)
監督・撮影:アンドリュー・ラウ
出演:チョン・ジヒョン、チョン・ウソン、イ・ソンジェ、チョン・ホジン、
デヴィッド・チャン
*有楽座ほか東宝系にて全国公開中
ホームページ http://www.daisy-movie.com/
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
<ストーリー>
オランダ・アムステルダムに住む画家の卵ヘヨン(チョン・ジヒョン)は、デ
イジーの花を贈り続けてくれる男性に想いを寄せていた。そんなある日、広場
で肖像画を描く彼女の前に客として現われたジョンウ(イ・ソンジェ)を見た
瞬間、彼こそが想い続けてきた運命の相手と確信する。だが、ジョンウの正体
はインターポールの刑事で、張り込みのために客に成りすましていたのだった。
そして、本当のデイジーの贈り主は、プロの暗殺者パクウィ(チョン・ウソ
ン)だった。やがて3人は思わぬ形で交差する……。

<レビュー>
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
香港フィルムノワールと韓流恋愛映画が合体!?
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
『猟奇的な彼女』のチョン・ジヒョンと『私の頭の中の消しゴム』のチョン・
ウソンに、『ほえる犬は噛まない』のイ・ソンジェが加わったサスペンスタッ
チのラブストーリー。変わっているのは、韓国映画なのに、全編オランダを舞
台にしていること。それに、監督が『インファナル・アフェア』シリーズでお
なじみの香港のヒットメーカー、アンドリュー・ラウだということ。

お話は、画家の卵である女性ヘヨンと、彼女を愛する刑事ジョンウ、そして彼
女に想いを寄せる暗殺者パクウィという、皮肉な運命に翻弄される男女3人を
めぐる愛の物語です。

何より素晴らしいのが映像です。『インファナル・アフェア』でも観られたキ
レまくった映像が見事。鮮烈で、独特の雰囲気を持った映像が、アクション
シーンはもちろん、3人の愛の物語でも効果を発揮します。特に、刑事ジョン
ウがある事件をきっかけに消えてしまってからのヘヨンの落胆ぶり、あるいは
好きなのに立場上ヘヨンに接近できないパクウィのつらさ。そのあたりを映像
で見せていくところが印象的。タイトルにあるデイジーの咲く野原の美しさも
格別で、まるで印象派の絵画のようです。

オランダという舞台も効果的に使われていて、良い雰囲気を醸し出します。韓
国を舞台にしていたら、これほど魅力的な映画にはならなかったことでしょう。

前半のヘヨンとジョンウが知り合うあたりも、自然な描き方でいいですよねぇ
〜。チョン・ジヒョンはカワイイけどスバ抜けた美人ってワケでもないし、イ
ン・ソンジェも超美形じゃないから、なおさらリアリティーがあってよいので
す。

しかし、途中から暗殺者パクウィが加わると、何だかリアリティーに欠けたと
ころが目につきます。たとえば、彼がヘヨンとの食事中に暗殺の仕事をすると
ころ。ありえねぇ〜!!そして彼女とともに警察に足を運ぶところ。いくら惚
れてるからって、殺し屋がそんな無防備なことはせんでしょう〜。

そういえば、テレビで誰かに「リアリティーがない」と言われたおすぎさんが、
「映画にリアリティーなんか求めないで!」と逆ギレしてましたが、この映画
には途中まで、それなりのリアリティーが欲しいのよねぇ。

クライマックスから結末に至るあたりも、バタバタしてまとまりが悪い。だい
たい、この映画、3人それぞれの独白によって物語を組み立てていく構成で、
誰が主人公なのかよくわからん。冒頭からしばらくはヘヨンが主人公の感じな
のに、最後はパクウィが主人公になってしまう。なので、3人の心理がうまく
伝わってこないのです。もっと焦点を絞って描いたほうが、より観客に伝わる
ものがあったと思うんですよねぇ〜。

そのあたりを中心に、もったいないところがたくさんあるように思えました。
ネタといい、ストーリー展開といい、まずまずおもしろいだけに、もう少し何
とかして欲しかった気がします。

《ぽちのオススメ度》
★★☆☆☆(+1/2★)
(韓流恋愛映画と香港フィルムノワールが合体した映画。映像を中心にそれな
りによくできていますが物足りなさも……。)
                             <ぽち>
〔鑑賞データ〕
2006年6月4日(日)ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午後3時15分の




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◆3.メールちょうだいッ!!
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のはどうしてだ?(爆)

*今週は、イラクの日本人人質事件からモチーフをとった日本映画『バッシン
グ』を観てまいりました。今週末は、三億円事件の真相(?)を描いた『初
恋』&大好きなペ・ドゥナ主演『春の日のクマは好きですか?』などを観る予
定。スパイク・リー監督の『インサイド・マン』も観たいなぁ。『春クマ』は
恋愛話なので、カップルや女の子が多そうでちょっと気後れしてますが(笑)。
                             (ぽち)

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